「鉢植えを買う女」、余さんの熱演がすごく良かったです。
見ているうち、池上さんのドラマも思い出しました。
以下、全部ネタバレしています。
未見の方は気をつけてくださいね!


池上季実子さんの「鉢植えを買う女」は、1993年だったようです。
思い出しましたが、記憶違いのところもあるかもしれません。
以下はこちらのストーリーの話ですが、大筋では間違っていないと思いますのでご容赦を。


誰も彼女に注目しない、最年長の女性社員・上浜楢江。
しかし彼女は密かに社員相手に、金貸しをしていた。
やがて彼女に、杉浦淳一というギャンブル好きの男が近づく。

社内でもモテる楢江の同僚と結婚を間近に控えたある女子社員が先頭に立ち、集団で楢江を嘲笑う。
この女子社員は普段から楢江を嘲笑していた。
楢江は彼女の結婚相手である同僚に金を貸しており、厳しく返済を迫った。
結婚相手の女性が楢江を嘲笑ったことを知り、あわてた同僚は楢江に謝るように言う。

意地を張っていた女子社員だが、結婚費用を借りていた為、楢江に頭を下げることは避けられなかった。
屈辱の余り、泣きながら部屋を飛び出す女性、追う同僚。
楢江はその光景を密かに杉浦に見せていた。
だが、杉浦は恐れるどころか、楢江は自分の怖さを見せ付けたのだろうと言って、楢江相手に全く引かなかった。

杉浦と関係を持った楢江は、彼と遊びに出かけるうち、華やいだ気分になり、今までとは違う世界を知った。
もっとお互いを高めあうような関係になりたいと思った楢江は、彼にいろいろなカルチャー的な活動を勧めるが、杉浦はうっとおしがった。
「私はもっといい関係になりたくて…」。
「いい関係?!」

所詮、杉浦は楢江とは金を中心にした付き合いだった。
杉浦は、楢江と距離を置くようになる。
ある日、杉浦が会社の金を横領して姿を消す。
逃げ場をなくした杉浦は、楢江の元に飛び込んで来る。

しかしそれは、楢江が杉浦は自分とマジメに付き合う気などないことを知っただけだった。
杉浦の行方は、フッツリ途絶えていた。
横領した金も見つからなかった。
楢江との付き合いを杉浦は徹底した秘密にしていたので、杉浦と楢江を結びつける人間は誰もいなかった。

そして、今まで花を良く買っていた楢江は、観葉植物の大きな鉢を買うようになる。
自宅の風呂が故障したと、外で風呂に入るようにもなった。
やがて、楢江は郊外に一軒家を買った。
金貸しをし、地味な生活を送っていた楢江のこの行為に疑惑を抱く者は誰もいなかった。

引越しの荷物と共に、大きな観葉植物も運び出された。
新居の楢江の花壇には、見事な花が咲いた。
近所の人が、その見事さにコツを尋ねる。
「うちのは、肥料が違うんです」と楢江が微笑む。


以前、別れた彼氏が会社のお金を横領して逃げたことがあると話してくれた先輩を思い出しました。
家に刑事さんが来て、ことによると共犯と疑われているのではないか?と不安になったそうです。
それで、その後、その彼氏は別れたはずの先輩のところに来て、玄関で「一緒に逃げてくれ」と懇願したとか。
先輩が断ると、「一緒に死んでくれ」。

ぎゃー、逃げるのが嫌なのに、もっと嫌だ!
警察!警察は何で、ちゃんと見張ってないんだ!
そんな怖いこと言いに、家に来ちゃってるよ!
あああ、刺されたらどうしよう。

…と思ったそうで、先輩は非常に怖かった、と話してくれました。
その人は、先輩のお誕生日にバラの花を50本ぐらい、プレゼントしたことがあるそうです。
だから先輩はそれ以来、バラが嫌いになったそうです。
バラに罪はなくても。


さて、池上さんの楢江は大人しく、女性社員から嘲笑されているのをじっとして、やり過ごしているような女性でした。
楢江をしつこくバカにする女性社員にも、杉浦に自分の怖さを見せ付けておこうと思わなければ、あそこまでやらなかったと思います。
杉浦は布施博さんでした(追記:布施明さんと最初は書いたんですが、布施博さんの間違いでした。すごくひどい間違え。すみません)。
当時まだ、この方の悪役は珍しかったと思います。

余さん版で楢江に金貸しの客をとられた、食堂のおばちゃんもいません。
刑事も、楢江に迫ったりしません。
死体と同じマンションの一室に暮らして、怖くないのか!と思いますが、余さんの楢江は悪夢にうなされたりしましたが、池上さんの楢江はそんなことはなかった。
池上さん版では、楢江は逃げ切ってます。

余さん版では、あれだけしっかりしている女性が、自分の優しさを知る唯一の理解者である母親をなくし、兄も兄嫁も頼りにならず孤独にしていました。
兄にも兄嫁にも冷たく振るまい、外で雨の中、一人泣く。
楢江は、自分の出し方が下手な人なんだ…と思いました。
つけ込まれるだけの隙が、楢江にはできていた。

余さんの楢江は、こういう描写が良かったですね。
しかし、楢江を演じている池上さんも、余さんもとっても魅力的なのはどうしたことか。
いえ、楢江って誰も目に留めないような女性という設定なのに、どちらも美しくて大人の魅力にあふれた女優さんじゃありませんか。

それから原作が発表された時代から現代に置き換えて映像化するのには、いろいろと無理があるんでしょう。
池上さんの時より、現在の方がより難しい。
そういうのを考えると、今回の余さんはすごいです。
見ていて、こちらが違和感感じない演技をしてました。

余さん版では楢江は捕まってしまったけど、駐車場から杉浦の車を出す時に、監視カメラに映っていること、隣の車を傷つけていること。
最後に楢江に食堂のおばちゃんを絡めなくてもいいし、警察がこの辺りを確認しているところで終わっても良かったんじゃないかな。
ああ、楢江はそのうち、捕まるんだ…と予感させて。
花壇に話しかける楢江と、動く警察の対比だと、余韻があって良かったと思います。

そんな風に考えてしまうのは、余さんに肩入れしながら見てしまうからでしょうね。
来週、余さんはNHKドラマ「蝶々さん」で見られます。
本田博太郎さんも出ていて、私としてはもう、必見のドラマですね。
ひゃほー。


スポンサーサイト
2011.11.13 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://kotatuneco.blog59.fc2.com/tb.php/1972-9842fe95