13話「氷の死刑台」。


風の強い夜、研究室でデータを取っていた研究員が去る。
すると、水が満ちた水槽のような箱の蓋が開く。
中から何者かが開けたのだ。
見回りをしていた管理人の前で、ドアが開いた。

中に入った管理人に近づく、何か。
バシャッ、バシャッという音を立てて、それは近づいてきた。
見た管理人は悲鳴をあげるが、首を絞められて倒れる。

道端に管理人が倒れているのを見た女性が駆け寄り、声をかける。
その女性の背後からまた、何かが音を立てて近づいた。
女性はそれを見て、悲鳴をあげて倒れたる。

町田警部がSRIに来て、変死体が立て続けに発見されたと言う。
男は女性から少し離れた場所に投げ出されており、絞殺された跡があった。
女性には外傷はなく、ショック死と思われた。

男の遺体を見た牧は、男の首に凍傷があると言う。
さらに調べた牧は、凍傷の他にはがれたらしい皮膚組織があるのに気づく。
凍りついた人間か…。

その夜、凍りついた男が、一軒の家の前までやってきていた。
白い伸び放題の髪、青い顔は氷が付着している。
「川辺」という表札を見た男は、「違う」と心の中でつぶやく。
「家の様子も何もかも少しずつ、違う。私が今朝、家を出てから。今朝」。

すると、1人の女性が外に出てくる。
「誰だあの女は。ここは私の家だ」。
冷凍人間はそうつぶやいて、近寄った時、気づいた女性が悲鳴をあげた。
家の中から、驚いた夫が出てくる。

その頃、男が目覚めた実験室に、加瀬という研究員が石油をまき、火を放った。
あわてて同じ研究員の島村が「あの男が、焼け死んでしまう」と言って止めに入る。
しかし加瀬は管理人が変死していると言い、島本に「警察の手が回ってみろ。これでいいんだよ」と言う。

「今、世の中に知れると我々は殺人犯だ」と加瀬が言うと、「もう成功したも同然だ。あの男を助けて発表するんだ」と島村が言った。
しかし加瀬は島村に、自分が資料を整理して、完璧な報告書を作ると約束した。
これができあがれば、自分たちには素晴らしい栄光が待っている。

加瀬と島村は、車内のラジオで、殺された男には凍傷が残っていたこと、SRIが捜査に乗り出したことを聞いた。
島村は「あの男が生きている」、生きて自分たちも狙っていると怯える。
だが加瀬は誰かの嫌がらせだと言って、聞く耳を持たない。

新しい実験室で、2人は話す。
自分たちのアイデアを実際に試すには、他に方法はなかった。
うさぎ、ねずみ、モルモット、そんなものではダメだと加瀬が力説する。
「それではあの男は」。

「そうだ、尊い犠牲者だ。科学が進む為には葉、いつだって犠牲者が…。犠牲者が出たからって、宇宙開発は中止したか?」
すると、警備員がやってきて、凍りついた何かをひきはがすような音が聞こえたから注意するようにと言いに来る。
島村は怯えるが、加瀬は取り合わない。

2人を外から、冷凍人間がこっそり見ていた。
加瀬を見て、「昨日の朝、声をかけてきたのはあの男だ」と冷凍人間は思った。
通勤ラッシュで人があふれる駅、1人の男がベンチで座っている。
そこに加瀬が声をかける。

「どうです?1日だけ蒸発しませんか?」と加瀬は言ったのだ。
話を聞いた男は、「サラリーマンの1日だけのはかない反抗ですな」と笑った。
やっぱりあの男だ、と加瀬を見た冷凍人間は思う。

気配に気づいた島村が見ると、ガラスの水滴が凍りついている。
あの男は生きている!
長い間体にしみこんでいるあれが、体の中を流れ始めていたら…。
だが、加瀬はもしあの男だとしたら、実験は成功していると顔を輝かせ、捕まえようと言い出す。

その頃、牧は、町田警部に金魚を凍らせて組成させるところを見せる。
牧は、ある教授を訪ねる。
宇宙を移動するには、光速でも相当かかる。

人間の寿命では到底たどり着けなくても、冷凍されて眠りに着き、蘇生されれば年は取らない。
教授は、人間を冷凍させて蘇らせる技術を発見するのは、これからの宇宙開発を推進するのには欠かせないと言う。
しかし、現段階ではまだ無理だと言う。
冷凍人間を誰かが開発しようとしている可能性はある、と牧は考えた。

絞殺死体はあるビルの管理人だとわかり、町田警部と牧は現場に向かった。
だがビルは、焼かれた後だった。
放火だとすると、何者かが証拠を隠滅したのだろう。
そんな会話をしている2人に、何かが近づいてくる。

2人は隠れ、町田警部が懐中電灯でその何かを照らす。
暗闇に浮かび上がったのは、冷凍人間の顔だった。
町田警部に近寄ろうとした冷凍人間の腕をつかむ。

すると、逆に腕をつかまれてしまった。
牧の腕が服の上から凍っていく。
2人ともみ合った末、冷凍人間は逃げていく。
つかまれた腕を見た牧は、腕が痛み、青く変色しているのを見た。

牧は冷凍人間である、確信した。
冷凍人間は冷凍中も基礎代謝が続き、低温に対する耐性を身につけたのだろう。
冷凍人間は「妻や子供たちはどこへ行ったのだ」と悩んでいた。
何もかもあの男たちが…と冷凍人間が考えた時、新しい実験室の警備員が通りかかる。

警備員は加瀬と島村に知らせる。
2人が冷凍人間を探しに外に出るが、冷凍人間は島村の前に現れた。
島村は冷凍人間を「岡崎さん」と呼んだ。
「やめろ、岡崎さん。よせ!」

だが岡崎と呼ばれた冷凍人間は、島村の首を絞めた。
島村は翌朝、首に凍傷を負った遺体で発見された。
町田警部は同じ実験室の、加瀬が行方不明だと言う。

連絡を受けた町田警部とSRIは、川辺家に走る。
また今朝、幽霊を見たと川辺家の妻は言う。
青白い顔をして、青白い煙が体中から出ていたと言う。
家族の中で、行方不明者はいないかと的矢所長は聞くが、川辺家に行方不明者はいなかった。

しかし、その前に住んでいた住人にはいた。
川辺一家は、6年前にこの家を買った。
その前に住んでいた岡崎という家族の主人が、家を売る1年前から行方不明になったと言った。
つまり、ちょうど7年前から岡崎という男が行方不明になっている。

その時、加瀬が失踪したと知らせが入った。
しかし、加瀬は岡崎の名を呼びながら、冷凍人間になった岡崎に近づいた。
岡崎に良く帰ってきたと抱きつき、笑う。
加瀬は狂っていた。

それを見た岡崎は立ち去る。
加瀬は研究資料に火をつけて、笑っていた。
焼けた実験室から加瀬が発見され、逮捕された。
しかし、加瀬は狂っていて何の手がかりもなかった。

だが岡崎が元の家に戻って来ると予測した牧は、サンビームの手配を頼む。
その通り、岡崎は川辺家の前までやってきた。
待ち構えていた警察官と町田警部が、岡崎を撃つ。
拳銃では岡崎に通用しない。

的矢所長はサンビーム500を使うと言い、町田警部のOKと共に牧に合図を出す。
牧がサンビーム500を発射し、岡崎に命中させた。
岡崎の手が崩れていく。
炎が上がる。

岡崎が燃えていく。
それを見た牧は、哀しそうな顔をした。
サンビームを発射した車を降りる。
「かわいそうに。あの男は既に7年前に殺されていたんだ」。

牧は岡崎の燃えている炎を見下ろす。
「いや、7年の間、氷の死刑台で殺され続けていたんだ。狂った死刑執行人のせいで。そしてそれは、今終わった…」。
サイレンが鳴り響き、炎が収まって来た。

SRIで、さおりが、テレビで月旅行の様子を見ていた。
本格的な宇宙旅行のときは、人間を冬眠状態にするそうだねと町田警部が言う。
例えば、交通事故にあって治療法がない状態の人間を冷凍状態にする。
そして、その間に治療法を見つけるということができたとしたら、それは素晴らしいことだろう。

怖ろしい勢いで、科学は進んでいく。
しかし、その為に人間が犠牲になることは許されない。
科学の進歩に人間がついていく為には、科学者である前に、まず人間であることだ。
的矢所長はそう言った。



加瀬役は、西沢利明さん。
「必殺」では身分の高い、しかし非道な武士などをやるとハマっていました。
ここでも科学実験の為、罪もない平凡な男を犠牲にしても何とも思わない科学者がハマってました。
島村に笑いかける笑顔の凶悪なこと。

岡崎を「尊い犠牲者」と言い「科学が進む為にはいつだって犠牲者がいる」と言う。
「犠牲者が出たからって、宇宙開発は中止したか?」
こんな理論で、自分たちの行為を正当化できると思っている。

岡崎さんは、犠牲者になる可能性があるとわかってて協力したわけじゃない、騙して連れてきただけ。
普通に生きていた人を、本人の承諾もなしに勝手に科学の犠牲にしていいわけがない。
加瀬と島村は的矢所長の言葉どおり、科学者である前に人間ではなかったんですね。

そういうものが科学を発達させれば、それは夢や希望ではなく、恐怖と悪夢を人類にもたらす。
エイリアンを地球に持ち帰ろうとしたりする人と、同じですね。
加瀬は狂ったまま、服役するんでしょうか。
せめて、罪の意識を持ってほしい。


島村役は、住吉正博さん。
おおっ、「助け人走る」の為吉ではないですか?!
気が弱く、それでも世界中の科学者が自分たちに跪く夢が捨てられない。

冷凍人間になったことも、その理由も最後までわからない岡崎さん。
7年経ったことも知らず、今朝家を出た時と違っていると戸惑い、見知らぬ侵入者に怒る。
浦島太郎というには、あまりにも岡崎さんはかわいそう…。
突然失踪された家族も、かわいそうだった。

元の岡崎さんの風貌は、欠片も残っていなかった。
もう、家族も家を売り、どこかに行ってしまった。
見つかったところで、岡崎さんが戻れるわけもない。
いや、触れると凍傷を起こさせて人を死に追いやる岡崎さんがもう、いられる場所はない。

川辺家に現れた冷凍人間を、牧はサンビームという熱線?で燃やす。
燃えていく冷凍人間を見た牧に、達成感はなかった。
哀しそうな表情で、牧は岡崎を見つめる。
岸田さんの表情は哀しそうであると同時に、慈愛に満ちているように見えます。

燐光人間を燃やして、永遠の眠りにつかせてやりながら、哀しい顔を見せた時と同じです。
8話の、マジメで気弱な男が1人、汚職の罪を背負わされて燐光人間になったエピソード。
生き延びるはずのない状態で変化(へんげ)を遂げてまで生き延びたのに、居場所がなくなってしまう点でも似てます。
こちら、13話は、ウルトラマンのジャミラも思い出します。


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2011.12.04 / Top↑
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