14話「オヤスミナサイ」。


雨の中、高原にあるヒュッテに杉江ユキが恋人の志田竜夫を訪ねてくる。
竜夫は2年間、研究所に招かれてアメリカに行く。
その前の晩、ユキは2人だけのキャンドルパーティーを過ごす為に来たのだった。

ユキは竜夫を、たっちんと呼んでいた。
「お砂糖はいくつ?」
紅茶に入れる砂糖をユキが聞くと、竜夫は「いつもの通り」と答える。
「ふたつ半」。

砂糖を入れた紅茶を出された竜夫は、カップの持ち手をくるりと回し、自分の手前に持って来た。
永遠の愛を誓う2人。
画面がぼやける。

竜夫が「もし僕が君を捨てたら」と言う。
ユキは「殺すわ」と言い、竜夫が「ほんとかい?」と言うと「ほんとよ」と傍らにあったインディアン人形の羽飾りを投げる。
すると、羽飾りは竜夫の胸に刺さり、竜夫は倒れる。

あわてて駆け寄るユキだが、竜夫は死んでいる。
呆然としたユキ。
稲光が光ったその時、玄関のベルが鳴った。
ユキは竜夫の遺体を引きずって隠す。

ヒュッテは来年まで休みですとユキは訪問者に答えるが、道に迷ってしまったんですと言って牧が入ってくる。
一晩だけ泊めてほしいと言った牧に、ユキはどうせ自分も留守番ですからと答えた。
牧は真っ暗なヒュッテに、停電ですか?と聞くが、キャンドルパーティーを開いていたと言う。

部屋に案内され、牧は眠りに着いた。
だが牧はうなされ始める。
密かに部屋のドアが開き、牧に何者かの手が迫る。
竜夫だった。

牧と竜夫は格闘になり、階下の浴室までもつれこむ。
そこで牧は竜夫の首を締めてしまうと、竜夫は浴槽の中に沈む。
ハッとした牧が目覚め、自分の手を見て「夢だったのか」と安堵する。
だが、閉めたはずのドアが開いている。

不思議に思った牧が夢の通り、浴室まで行くと浴槽に竜夫が沈んでいた。
夢じゃない。
本当にこの男を殺してしまったんだ。
牧の背後にユキが立っていて、「見たのか」と言った牧に抱きつく。

「どうしたんです」。
「人を殺したんです」。
「何ですって」。
「たっちんを殺してしまったんです」。

「これは僕が殺したんですよ」。
「いいえ、私です。ナイフのついた矢を胸に当ててしまったんです」。
だが、遺体にはナイフの跡はなかった。
でも確かにユキは竜夫を冷蔵庫に隠したと言う。

しかし、遺体は浴槽にある。
1人の男を2人が別々に殺したなんてことはありえない。
やったのは僕ですよ、と牧は言う。
的矢所長に連絡が入り、早速三沢と野村がやってくる。

管轄外だが連絡を受けた町田警部も、牧がいるヒュッテにやってくる。
地元警察はやはり、ユキより牧が怪しいと言うが、町田警部はSRIでも冷静な牧がそんなことをするとは考えられない。
その時、竜夫の双子の弟から電話が入る。
兄に不幸があったと言われ、弟がやってくる。

弟は竜夫と違い、ヒゲをはやしていた。
夕べ兄が電話に出なかったので、その時に殺されたのだろうと言った。
牧の状況はますます不利になり、すぐにでも逮捕状が出る見込みだった。
しかし良く似ていると言われた弟は、頭の方は似ていないと笑った。

町田警部はどうも弟が現れるタイミングが良すぎると、疑問を持つ。
さおりはユキが婚約者を殺すわけがないという予測に、現代の愛はわからないと言って的矢所長を呆れさせた。
だが的矢所長は、牧が前夜うなされていたことに注目した。

ヒュッテのベッドで眠った牧は、再び牧を殺す悪夢を見た。
「またやっちまった。昨日と同じようにして、また殺してしまったんだ」。
傍らにいた三沢は「何ですって?もう一度、寝てみてください」と言った。

牧が寝ると、枕もとのラジオから音楽が流れた。
起き上がると消える。
ベッドに障害物があると、自然にラジオのスイッチが入り、音楽が流れる仕組みだった。
三沢は目的はその先だと言って、枕を切り裂く。

すると録音機が出てきた。
「眠れましたね。そう、もっともっと気持ち良く眠れます。しかしまもなく、ある男がそのドアから入ってきて、あなたを殺そうとします。男は逃げる。しかし追うんです。階段を降りて、風呂場で追い詰める。そこだ。首を力いっぱい締め付けて殺すんです」。
声はそう言った。

三沢は天井裏を調べる。
睡眠学習で、牧を操った者がいる。
これだけの仕掛けをできる人間は、そうそういない。
犯人はすぐにわかるだろう。

牧と三沢は、弟とユキがいる場所でそのことを話す。
弟は、兄の研究を盗もうとした奴がいると言い出した。
ユキは弟に紅茶を出しながら、「お砂糖はいくつにします?」と尋ねた。
弟は「いつもの通り」と言った。

ユキの顔色が曇る。
「ふたつ半?」
「ああ」。

ユキが砂糖を入れると、弟はカップの持ち手をくるりと回し、自分の手前に持って来た。
弟の前から、ユキが逃げていく。
ユキが外に走っていく。

「なぜ逃げるんだ!」
弟がユキに追いつく。
町田警部がやって来ると、「からくりがわかりましたよ」と言う。

すると、町田警部も弟に関する情報を得ていた。
東京で起きたヤクザのいざこざで、弟は1人殺しているのだ。
今までは管轄が違ったので大人しくしていたが、こうなれば町田警部の管轄だ。
もう遠慮はしねえぞ、と町田警部は張り切る。

三沢は野村に「あの人が危ない!」と言う。
「見たわよさっき。竜夫さんの癖は全部知ってるわよ。お砂糖はふたつ半。飲む前に必ず、お茶碗を回す」。
「俺とアニキは双子だからな。癖まで似てるのさ」。
「嘘よ、嘘!あなたは…たっちん!」

「冗談もいい加減にしろ!」
ユキともみ合い、突き飛ばされた弟から、あごヒゲが取れた。
弟はユキを見据えて、口ひげも取った。

「弟さんを殺したの?」
「ユキ、わかってくれ。正当防衛なんだ。殺すつもりはなかったんだ」。
「あなたは人でなしよ!」
「ユキ…」。

「弟さんを殺したばかりじゃない。その罪を人になすりつけようとしたじゃないの」。
「黙っていてくれ、そうすれば僕たちは今までどおり…」。
近寄ろうとする竜夫だが、ユキは後ずさりしていく。

「嫌よ。死んでも嫌よ!」
「ユキ、愛してるんだ。愛してるって言ったろ?」
竜夫はユキの手を取る。
ユキは竜夫から目をそらしながら、「あたしの愛したたっちんは、もう死んだのよ!」と言う。

「けっ!」
竜夫はユキを突き飛ばし、皮ひもをかざす。
「死んでもらう」。
ユキの首に皮ひもをかけた時、野村と三沢がかけつけた。

竜夫は逃げるが、その行く手に弾丸が打ち込まれた。
離れた場所から、牧が猟銃を撃つ。
「志田竜夫。逃げても無駄だ」。

竜夫の進行方向に、牧は次々と先回りして弾丸を撃ち込む。
銃声に気づいた的矢所長と、町田警部がかけつける。
やがて竜夫は行き場を失い、座り込んだ。

竜夫の証言によると、弟は竜夫のダイオードの研究が成功したことで金の無心にやってきた。
断られた弟はいきなり竜夫に飛びついてきた。
まさか殺人犯とは知らなかった竜夫は、弟に成りすまそうと考えた。
誰かに自分を殺してもらわなければならなかった。

その先は、牧が説明した。
ユキを殺人犯に仕立て上げようとした竜夫は、ユキのインディアン遊びを利用した。
だがユキが竜夫を冷蔵庫に隠した時、牧が来てしまった。

とっさに考えを変えた竜夫は、牧を犯人にしようとした。
そうすれば、ユキは口をつぐんでくれると思ったのだ。
竜夫は冷蔵庫を抜け、装置を牧の部屋に仕掛けた。

牧を泊めるであろう部屋は、見当がついた。
竜夫は弟の遺体を浴槽に沈め、ヒゲを落とした。
その手順を睡眠学習のテープに吹き込んだが、ユキが真相を牧に告白してしまい、計算が狂った。

「人間を信じないお前の計算が、お前を捕えることになった。皮肉な結末だったな」。
竜夫にかける手錠を、地元警察と町田が譲り合っていた。
ユキは1人、外に出ると、竜夫からもらった指輪を外した。


催眠学習。
昔、雑誌に「眠っている間にどんどん覚えられる!」「これで試験はバッチリ!」などという広告が出ていました。
勉強もしないでOKの、夢のアイテムでした。

これね、実際に使った人の話を聞いたことがあります。
うるさいんですって!
眠い時に、寝ている時に、耳元でぶつぶつ、ぶつぶつ話を聞かされている。
しかも自分より同じ部屋のお姉さんが、「うるさいっ」と怒ったそう。

関係ない人から、関係ないことを、寝る時に話されているようなものだったらしい。
だから、睡眠の邪魔でしかなかったとか。
喋る枕はその後、放置となったと。
もちろん、学習効果なんかなかったらしい。

でも嫌な夢は見そうだな、と思いましたが、まさにそんな話でした。
寝言言っている人に質問すると、正直に答えるとかそんな話もありますが、真相はわかりません。
私自身は眠い時に邪魔されると、ものすごく不機嫌になるらしいので、こういうのを使うのは無理です。

竜夫と弟の2役は、佐々木功(ささきいさお)さん。
悪役や、気の弱い役などでまたまた言ってしまいますが「必殺」にも出ていました。
「からくり人」の、男色の旗本役は良かったですよー。

最初に紅茶の砂糖と、カップを回す癖をクローズアップしてましたが、最後にこれが活きて来ましたね。
婚約者だけにはわかった、弟の正体という設定がうまかった。
しかも最後に、弟は人を殺していたという、どんでん返しもあって、まさにサスペンスぽかった。

利己的な愛してるという言葉を拒絶する女性とか、いろいろと無理な設定はあるにしても、上手い作りですね。
町田警部も言っていた冷静な牧さんですが、ラストに猟銃を発射するという無茶を。
冷静な牧さんでも、殺人犯に仕立てられ、科学を悪用され、頭に来ていたんでしょう。

結局、竜夫が愛しているのは、自分だけ。
人間を信じない、信じるのは自分だけ。
だからこそ、最後はそれで破滅した。

上手にアレンジすれば、現代でも2時間サスペンスになるかもしれない。
だけどこれ、子供が見てわかるのか。
わかるけど、大人が見た方が、ユキの心情とか深くわかるかも。

たっちんという呼び方に、時代を感じます。
それと、女性が歌う鼻歌。
曲名はわからないんですが、当時の歌謡曲で、懐かしのメロディーで聴いた気がします。


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2011.12.06 / Top↑
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