今日は12月8日。
一応、レビューに間に合いました。

15話「24年目の復讐」。


夜の横須賀の港で、吉村千恵子は恋人のアメリカ水兵のジョンとデート中だった。
だが、突然海から黒い人間が浮かび上がり、2人に迫る。
黒い人間は、助けを求めるジョンを水中に引きずり込んだ。

別の場所ではやはり、ウィリーというアメリカ兵と女性がデートをしていた。
ウィリーの釣り糸の先には、黒い人間が浮かび上がった。
そして、ウィリーもまた、水中に引きずり込まれた。

連続アメリカ兵殺人事件だった。
千恵子の証言で町田警部と牧が現場を再現した。
取調べで千恵子は、ジョンはベトナムにさえ行かなければオリンピックに出る水泳選手になったというほど、泳ぎがうまかったと言う。

「そのジョーがよ、海に落ちただけで死ぬわけないじゃん」。
蓮っ葉な言い方をする千恵子に、警察は疑いの目を向けた。
警察は千恵子が、ジョンを突き落としたのではないか、と疑い、黒い人間の話を信じようとしない。

「素直に吐いたらどうかな?楽になるよ」。
千恵子は敵意の表情で、町田警部も、傍らにいる牧も見つめていた。
牧は吉村千恵子という名前を見つめる。
「千恵子…」。

海を見ながら牧は、黒い人間について考えていた。
町田警部がウィリーの遺体からは、小銃の弾丸が見つかったと知らせる。
驚いたことに、その弾丸は旧日本軍のものだった。

水棲人間。
だが町田警部は、陸に住む人間ではないか、と言う。
牧は調査に乗り出し、三沢に水棲人間の可能性について実験してくれと頼む。
的矢所長は水陸ともに、生きられる人間ではないかと言った。

夜の横須賀、アメリカ兵が集まる店に牧は千恵子を訪ねていく。
今夜付き合ってくれと言う牧に、千恵子は警察の人間には協力しないと断る。
牧が僕は警察の人間じゃないと言ったが、「同じようなもんじゃん」と千恵子は拒絶。
すると店のボーイらしき男が来て、どうしたのか聞く。

千恵子が「しつこいんで困ってんだよ」と言うと、ボーイは「ここはお前なんかの来るところじゃない。出て行け」と言う。
「そうはいかんよ。僕は千恵子さんに頼みごとがある」。
「この野郎、なめやがって!」
牧に男がつかみかかると、牧は男を殴り飛ばす。

たちまち別の男がやって来る。
牧は応戦したが、2人相手では押さえつけられ、殴られる。
千恵子はアメリカ兵と並んで、その様子を冷たく見ていた。
牧が表に放り出される。

千恵子が踊っていると、入り口で悲鳴が聞こえる。
血だらけの牧が「千恵子さん、頼みがある」と言って立っていた。
千恵子は牧を凝視する。
男が飛んで来て、牧を殴りつける。

それを見下ろしていた千恵子だが、「やめてえ!」と止めに入る。
千恵子は牧にハンカチを渡すと、男は「ふん」と言って店の中に入った。
牧の血を、千恵子は拭いてやる。

一台の車が港に着き、中には水兵の姿の牧と千恵子が乗っていた。
「普段の通りにやってくれ。名前は…ジャックだ」と牧が言い、千恵子がうなづく。
「さあ、始めよう!」
「オーケー!」

「レッツゴー!」と、牧は千恵子と派手にはしゃぎだす。
やがて車の中で千恵子は牧に「あんなに殴られても、なぜ私に頼んだの」と聞いた。
「君が…、千恵子と言う名前だったからだ」。

「僕の姉さんも、千恵子と言う名前だった。もう…、死んじゃったけどね」。
「よっぽど好きだったのね、姉さんのことが」。
「いつも…一緒に遊んでいた」。

牧は千恵子を見ると「君のお父さんも、戦死したんだってね」と言った。
「うん」と、千恵子はうつむく。
「輸送船が、沈没したんだって」。

「お父さんは、君を知らない。君も、お父さんを知らない」。
千恵子がまたうつむいた時、黒い人影が現れる。
牧は車の外に飛び出し、「僕は日本人だ!あなたに会いに来たんだ!」と叫ぶ。

それは髪を振り乱した男のようだった。
「あなたは誰だ!どうしてアメリカ兵ばかり狙う?」
牧は追いかけたが、男は一撃で牧を撃退し、海の中へ消えた。

だが、牧は男の服の切れ端を握っていた。
的矢所長も町田警部も、海軍の制服のようだと言う。
三沢の実験を見せる為、集まっていた全員を呼ぶ。
そこには海中と同じ、陸上の50分の1の酸素をシリコンの膜を通して、水の中から酸素をとって生きているネズミがいた。

しかし、人間はどうなのか。
野村によると、沈没したアメリカの汽船の中で3週間、生き続けた男がいたという。
牧は一つの仮説を立てた。
もし、水棲人間が海軍なら、沈没した船底で生き続けるうち、水中で生きていけるようになったのかもしれない。

そして、彼の戦争はまだ続いている。
だからアメリカ兵ばかりを、襲うのではないか。
的矢所長はおもしろい予測だが、確証をつかむ必要があると言った。
牧は再び、横須賀へ向かう。

横須賀へ行った牧は、海を見つめる。
牧は横須賀から旧海軍施設のあった猿島へ、船で渡る。
猿島では千恵子と、千恵子の友人とアメリカ兵にバッタリ会った。

「今日はガイドなのよ」。
「そうか。がんばれよ」。
「うん。じゃね、バイバイ」。

千恵子は去っていく牧に声をかけると、ニッコリ笑って枝についた柿を渡す。
「ありがとう」。
「さよなら」。

牧は歩きながら、展望台の上に登り、海を見渡す。
幼い頃の思い出が、蘇ってくる。
防空頭巾をかぶった牧が、柿を頬張っている。
牧の前の手製のブランコには、姉の千恵子がいる。

空に大きな飛行機が浮かび上がる。
牧はその飛行機を見上げる。
飛行機は近づきながら、機銃掃射をする。

千恵子の背後で、着弾した弾丸で土煙が上がる。
土煙は千恵子の近くまで走ってくる。
両側に土煙が上がり、ブランコの千恵子が身をすくませる。

ブランコにしがみつく千恵子の姿が、煙で見えなくなる。
千恵子の足が、ブランコから宙に浮く。
牧はただ、身を縮めて、柿を握り締めて見ていた。

目の前で千恵子がブランコから落ちる。
牧はだた、見ていた。
千恵子が落ちたブランコが、空になって揺れている。

ブランコの下、千恵子の防空頭巾をかぶった頭が見える。
千恵子は横に倒れており、動かなかった。
牧の声が響く。

「お姉ちゃーん」。
思い出し終わった牧が、嗚咽する。
柿の枝を握り締め、思わず柿の一つをむしりとる。

島を探索していた牧は、ある塹壕に入る。
その中には背嚢が置いてあり、中を探ると弾丸が出てきた。
さらに「木村」と書かれた赤い日記帳も見つかった。
牧はそれを読む。

「昭和27年7月8日。本艦、敵駆逐艦の爆雷を受けて、浮上せず。生存者木村一人。あの日より、5505日が過ぎる。無人島に食料を探しに出かける。沖に米空母発見。頭上、敵機来襲。戦闘ますます激化せす模様なり」。
5505日といえば、15年だ。
そう思った牧の背後に、誰かが迫る。

気づいた牧が振り返る。
立っている男に、話かける。
「木村さん、戦争は、もう終わったんですよ。…23年も前にね」。

「今、日本にいるアメリカ軍は、駐屯してるんですよ」。
牧はふっと、哀しい笑みを浮かべる。
「日本は負けちゃったんです」。

牧を見据えた木村が、震え出す。
「嘘だ!」
木村を見る牧の顔が、悲しそうに歪む。

夜が明け、朝が来ても、牧からの連絡はなかった為、SRIは横須賀に赴いた。
千恵子と友人の店の前で、牧の消息を聞き、SRIと町田警部、刑事2人は猿島へ向かう。
その時、牧は木村を前に、説明をしていた。

「あなたが棲み続けていた潜水艦を爆破したのは、敵じゃないんですよ。サルベージが、解体作業を始めただけなんです」。
木村は黙って、ダイナマイトを磨く。
体にはずらりと、ダイナマイトを巻きつかせていた。
「狂っている。戦うことしか、頭にない。後は全て、忘れてしまっているんだ」。

牧がそう思った時、「おーい」「牧さーん」という声が聞こえる。
その声に牧が立ち上がると、木村は銃を手に取る。
ダイナマイトを首に巻き、木村は牧に銃を突きつけて外へとうながす。
手を上げたまま牧は歩き、その背後には木村が銃をつけたまま歩いてくる。

牧がSRIと町田警部たちの前に現れると、町田警部は木村に「銃を捨てるんだ」と言った。
「警部。あまり刺激しない方がいいですよ。この人が身につけているものは、全部火薬だ。下手をすると、我々もろともドカンと行きますよ」。
的矢所長が「銃を捨てるのは、町やんの方かもしれないな」と言うと、町田警部も刑事も銃を捨てる。

銃を構えたまま、木村は後ずさりしていく。
止めてあったモーターボートに乗るのを見た町田警部は「どこへ行くつもりだ」と言う。
木村が乗ったボートは、沖へ出て行く。

「軍艦に体当たりするつもりなんだ」。
牧の言葉に町田警部が「何だって!あの軍艦には2千人の兵士が乗っているんだ!」と驚く。
木村のボートは右に曲がり、進んでいく。
辺りは暗くなり、木村の行く手には、巨大な軍艦がシルエットとなって2隻、浮かんでいる。

木村のボートは、軍艦に向かって進んでいく。
そして木村は、牧たちのいる陸地を振り返る。
唇を噛み締めた木村が、前を向く。

「ああっ」。
牧たちが見ている前で、ボートは爆発した。
大きな爆発で、軍艦が照らし出される。

爆発はさらに大きくなった。
火花が散る。
「自爆したんだ…」。
辺りは静かになった。

翌日、町田警部がSRIにやってきて、今度の事件は牧のおかげで解決したと感謝する。
的矢所長が、牧君の執念だなと言うと、牧は執念といえば、木村二等水兵だと言う。
「23年間、ただ、戦う執念だけで生き続けてきたんですからね」。

野村が「バカみたいな話ですねえ」と言うと、三沢が「ノム、そんな言い方はよせ」と制する。
「戦争の影響から逃れられないでいる人々が、まだまだ大勢いるんだ」。
的矢所長が「ノムは戦争を知らない。だから他所の国の出来事のように思えるんだろうな」と言った。

「いやあ、僕だって勉強しましたよ」。
さおりが「じゃあ、12月8日が何の日か知ってる?」と聞く。
「12月8日?」

「知らないでしょう。三沢さんは?」
「針供養かい?」
「違う、違う」。

「12月8日…、おお、そうか」と町田警部が気づく。
「昭和16年12月8日だ」。
「そうか。帝国陸海軍は今8日未明、西太平洋において米英と戦闘状態にいる」と的矢所長が言う。
「ああ、真珠湾攻撃の日か」。

「忘れません。俺はその日、警視庁警察官を拝命したんですから」。
的矢所長が「うん、そうだった、そうだった」と思い出す。
牧が「待てよ」と言った。
「昭和16年12月8日。他に何かあったぞ」。

「はて。何だったかな」。
「何だ、そうか」と牧が笑う。
「僕の誕生日でした」。
全員がはじかれたように笑う。



牧さんの、子供の頃の壮絶な戦争体験。
こんな壮絶な体験が、あったんですね。
目の前で姉が機銃掃射を受ける…、考えただけでトラウマ。

まだ色濃く残る戦争の影、そこから抜け出せない人を描くエピソードも多い「怪奇大作戦」。
しかし、これはダイレクトに戦争の真っ只中にいる男が出てくる。
今も「一人ぼっちの戦争」を続けている男。

この後、本当に、横井庄一さんという日本兵が発見され、日本に戻って来るんです。
さらにその数年後には、ルバング島で小野田寛郎さんという、少尉が発見されて帰還する。
たった一人でずっと、戦争を生きていた人がこの後、本当に見つかったんですから、このドラマの先を見る力はすごい。

きっかけは水棲人間のアメリカ兵襲撃。
しかし、それは本当に「怪奇大作戦」の怪奇というテーマに乗せる為。
後半、牧が木村に会ってからは今までの事件を忘れるような、戦争の後遺症の話になります。

前半を忘れるわけじゃないですが、あまりに壮絶な戦争の話が続くので、水棲人間による連続殺人事件が吹き飛んでしまう。
これで30分とは、濃い。
製作者が本当に描きたかったのは、戦争から逃れられなかった男の姿だと思いました。
そして、戦闘に参加したわけではないが、戦争に忘れられない傷を受けた牧のような人では。

やっぱりこれには俳優さんにも、スタッフさんにも、戦争体験者がいるからこそ描ける凄みっていうものがあると思いました。
リアル。
作ったもの、借り物という気が全然しない。

千恵子にしても、戦争で傷を負っている。
父親が戦争で死んだ千恵子が、アメリカ兵がたまっている店に出入りするまでには何かがあったに違いないと思うんです。
だけどアメリカ兵と付き合っている千恵子は、同情もされず、むしろいろんな嫌な思いをさせられてきたのでは。
警察での千恵子、最初に牧に接する千恵子が敵意でいっぱいだから。

わざと、お望みどおり、蓮っ葉な女を見せてる千恵子。
しかし殴られてもやってくる牧をかばった時から、千恵子から敵意が消えます。
それからの千恵子には、牧を信頼し、心を許した笑顔がありました。

最後の野村の言葉で、当たり前のようでもやっぱり、戦争経験者と戦後生まれでは相当な違いがあるんだと感じます。
良い悪いではなく、背負っている重さが違ってしまうんですね。
三沢にはまだ、戦争経験者の重さを量り知る気遣いがありますが、野村には別世界の出来事のようですから。
いつまで引きずっているんだ、ぐらいの気持ち。

これは戦争以外でも、災害でも事故でも当事者以外はそんな気持ちのことがありますよね…。
今回は牧さんは、千恵子がいる店の男に殴られたり、木村に吹っ飛ばされたり、大変です。
しかし、岸田森さんの演技は素晴らしい。

姉が撃たれた時の情景を思い出した時の、悔しい、やりきれなさ。
こみ上げてくる嗚咽、感情が柿をむしりとる手に表れてます。
そして木村水兵に話しかける時の、哀しい笑み。
「日本は負けちゃったんです」という、軽くも哀しい口調。

姉という罪もない子供にまで犠牲にして、それでも負けてしまったことを知っている哀しさ、空しさ。
こんなにも表情豊かに、一市民、子供が経験した戦争の残酷さを感じさせてくれるのは、やはり、この時代に作ったものならでは。
さらに天本英世さんの、細かい演技。

天本英世さんというと、私には「仮面ライダー」の死神博士が最初の出会いなんです。
ここでは若くて、精悍な天本さんです。
死神博士の時も、実はこのぐらいのお年だったんですね。

木村、ほとんどセリフはないです。
戦うことしかないように見えた木村でしたが、最後に振り返った時の目は全てを理解していました。
戦争の時は敵を殺しただけの行為でも、今の平和な世の中では殺人。
この平和な日本には、自分のような戦争の亡霊の場所はないと思ったんですね。

時代においていかれた自分。
自分の生きる場所はもうないと語っている顔。
小野田さんが日本に戻ってきた時も、そんなことを考えて苦悩したそうです。
誰も道連れにせず、戦艦の前で意地を見せたように自爆した木村が哀しい。

最後に12月8日を強調して、それでも笑いでドラマは終わる。
牧さんは哀しみを、戦争を忘れることはないけれど、時間は止まらせないでいられる。
そんな希望が感じられました。

アメリカ兵に扮する牧さん、いや岸田さんが楽しそう。
お茶目な岸田さんも見られるのも、楽しい。
「24年目の復讐」というタイトルですが、「23年の孤独」を感じました。
そして、牧さーん、お誕生日、おめでとう?!


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2011.12.08 / Top↑
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