22話「果てしなき暴走」。


深夜の東京。
交通量は一向に、減らない。
一台の赤いスポーツカーが走っている。

中にいるのは、大きな棒つきのキャンディを持ったタレントの眉村ユミと、マネージャーだった。
吐き出される白い排気ガス。
後続の車の前が、煙って見える。

やがて後続の車はクラクションを鳴らし、暴走を始める。
2台の車が接触しながら走り、ついに1台が丘に乗り上げて事故を起こす。
次々、後続の車が突っ込み、事故を起こして炎上する。

翌朝の新聞には、この三重衝突の事故が出ていた。
今は、半径50kmのところに、200万台の車がひしめいているのだ。
「この車が一斉に暴走したら、怖いだろうな」と牧が言う。
中古の車を買おうとしていた野村は、牧の話を嫌がる。

翌日、三沢はSRIの車・トータスでガソリンスタンドで給油していた。
それを見ていたのは、まともそうではないカップルだった。
「いただいちゃおうよ」と隙を見てトータスに乗り込むと、走らせて行ってしまう。

野村は言った通り、中古車を買っていた。
一度事故を起こしている車だからと、破格の金額で手に入れることができた。
そこへ三沢から車を盗まれたという連絡が入り、野村は急遽、SRIに戻ることになった。

とにかく、事故になる前にトータスを取り戻さなければならない。
カップルの女は「気持ちいーい」と上機嫌で、2人して童謡などを歌っている。
無線で牧が必死に、三沢の車に乗り込んだカップルに呼びかけている。

牧の言葉に女が「うーん、ムードないわねえ」と言う。
「その車はSRIの車だ」と言う言葉を聞くと、「SRIだって。かーっこいーい」と叫ぶ。
無線に笑い声が響く。
「君達!悪ふざけは止めて、車を降りてくれ」と言う三沢に「やあよー」と笑う。

トータスの背後に、眉村ユミの車がついた。
ユミの赤いスポーツカーは、トータスを追い越していった。
「あーん、抜かれちゃったー、早く早くー」と女がはやし立てる。
すると、ユミのスポーツカーから白い煙が、背後のトータスに吐き出される。

途中、トータスはユミのスポーツカーと違う道に入った。
SRIの探知機には、トータスが映っている。
「おもしろーい」と、まだ女は笑っていた。
しかし、男は突然、サングラスを外しむせはじめる。

「どうしたの?」
男は、フラフラになっている。
「どうしたのよぉ?」と女が聞く。
やがてSRIの無線に女の「怖いわタケシ、やめて、死ぬのは嫌よぉ」という声が入った。

男は女の訴えには無反応で、どんどんスピードを上げる。
「怖い、助けて、誰か来てえ。止めてえ。いやあ、助けてえ、止めて、怖い」。
タケシの意識は朦朧とし、女の悲鳴には構わず車は暴走し始める。

次にタケシが目を見開いた時、視界は赤く染まった。
道路にいた女性が、悲鳴をあげる。
トータスは女性をはね、道路脇のブロックに突っ込んで停止した。
タケシは首を振る。

パトカーのサイレンが、近づいてくる。
警察官にタケシが取調べを受けており、その横で女性が体をくねらし、タケシに手を引っ張られている。
三沢が車から降りて、カップルをにらみつける。
頭をかいて、微笑さえ浮かべている男。

三沢は唇を噛み締めると、そのタケシと呼ばれている男に近寄り横殴りに平手打ちした。
そして、カップル2人とも手で思いっきり突き飛ばす。
的矢所長と牧、怒りの三沢を止める。

「甘ったれやがって!貴様ら、人の命を何だと思ってやがる!」
「やめろ!」
「カッコばっかりつけやがって!ばかやろう!」
タケシは口を抑え、カップルともに怒る三沢を見つめていた。

殺されたのは、女子大生だった。
その夜、牧は三沢に「交通事故なら50秒に一件、犠牲者は38秒に1人だ」と言った。
「今こうして話している間にも、どこかで誰かが車の犠牲になっている。だから…、気にするなとは言えんが、彼女は運が悪かったんだ…」。
牧は三沢をそう言って、慰めるしかなかった。

翌日、野村は三沢を買ったばかりの車に乗せてドライブしていた。
野村を追い越していくのは、あのユミの赤いスポーツカーだった。
スポーツカーの排気管からは、白い煙が出ていた。
「カッコばっかりで整備もしてないんだな、ああいうのが良く事故を起こすんですよね」と野村が言う。

だが、そう言った後、野村の様子がおかしくなる。
「ちょっとめまいが…」。
やがて、野村の意識は朦朧としはじめ、スピードを上げ始める。
「おい、スピードの出しすぎじゃないのか。具合でも悪いのか。顔色が良くないぞ」。

ヒーターを止めようとした三沢に野村は「触るな!」と怒鳴る。
人が変わったようだった。
「ノム!止めろ!」
「嫌だ!」

野村は、どんどんスピードを上げていく。
「気でも狂ったのか!」
ミキサー車に追い越された時、野村の目の色が変わる。
「危ないったら!」

野村はミキサー車を、追い越しにかかる。
執拗にミキサー車を追いかけていく。
一瞬、気が遠くなった野村が再び目を見開くと、目の前が赤く染まっていた。
事故を起こす寸前、車は、やっと止まった。

野村は車のせいにしていたが、三沢はあの時の野村は正常ではなかったと言う。
錯乱状態だった。
牧は神経ガスのようなものが原因ではないか、と言った。

「そういえば、交差点で排気ガスをさかんに出す車の後にしばらくいた」と三沢が証言する。
ヒーターをつけていたので、ファンを通して入ったのかもしれない。
三沢はその車のナンバーを、覚えていた。
そこから調べたところ、タレントの眉村ユミの車だと判明する。

三沢は深夜、横浜から番組の収録に向かう眉村ユミの車をマークした。
SRIでは。三沢の車を探知機で追っている。
やがて、眉村ユミのスポーツカーが白い排気ガスを出し始めた。
ユミの背後で車を走らせている三沢の意識が、朦朧としてくる。

三沢の脳波が乱れていると、さおりが言う。
危険を察知した的矢所長は、三沢に車から離れるように言う。
「スピードを落とせ。車を止めるんだ!」
だが深夜の道路で、三沢の車は暴走を始める。

やがて、三沢の視界が真っ赤に染まる。
SRIでは「やれ!」と言う的矢所長の指示で、牧がボタンを押す。
途端に車の屋根が開き、三沢がパラシュートで放り出される。
車はそのまま暴走し、道路の端を外れて下の墓場に落下し、炎上、爆発した。

スクラップ工場で、押しつぶされる車。
積み上げられたタイヤの山。
牧は事故を起こした車を調査し、ガスの粒子が付着していることを突き止める。

鍵はあの車のガソリンか、オイル…。
運ばれ、乱暴に投げ出される車。
鉄がそれを押しつぶしていく。

三沢は海岸で遊ぶ眉村ユミに接触し、車を調べさせてほしいと言った。
ユミは黙ってうなずく。
すると、三沢は、車のオイルがまだ新しいことに気づく。

三沢にはまったく構わず、ユミは「あったわ」と言って貝殻を拾い、笑い出す。
ユミのマネージャーの中島という男が、三沢に声をかけてきた。
「最近、車を整備に出しましたか」と聞くと、マネージャーは「それなら駐車場の整備員に全てを任せてある」と言う。

夜の東京。
相変わらず、車が道路をあふれるように走っている。
眉村ユミの赤いスポーツカーは駐車場に止まり、中からユミが走り出てくる。

離れた場所で、SRIがじっと見張っている。
誰もいなくなったユミの車に、近づく人影がある。
「ライトをつけろ」。
人影はライトに照らされて止まった。

逃げていく男を、三沢が追う。
車の影を縫うように、男が逃げていく。
三沢が追う。

その時、外で、「ギャーッ」という悲鳴がした。
逃げていた男が道路に倒れていた。
救急車が呼ばれ、的矢所長と三沢が付き添って乗る。

男は「俺じゃねえ」と苦しそうに言う。
車の中が救急車のライトで時折、赤く照らされる。
「頼まれたんだ」。

「頼まれた?誰に?」
「くるま…」。
そう言うと、男の挙げた手は落ち、動かなくなった。

「車…」。
的矢所長が「東京だけでも200万台の車があるんだ」と言う。
「それじゃあ、これから一体、何を目標に犯人を捜せばいいんだ」。
途方にくれた2人をライトが照らし、サイレンが鳴り響く。



「何を目標に犯人を捜せばいいんだ」というセリフの後、すぐにエンディングテーマ。
えっ、これで終わり?!
ビックリしました。
未解決?!

眉村ユミか、マネージャーが、犯人と思ってました。
ユミは「我関せず」過ぎるし、あまりに突拍子もなく笑い出すし、子供と言う年齢でもないのに、大きなキャンディーをペロペロなめてる。
ちょっと怖い。
もしくはユミを利用したマネージャーで、2人のうちのどちらかが車に恨みを持っているのかな、と。

しかし犯人は整備係!
解決かと思ったら、何者かに殺されてしまって終わり。
ひえー、何度も言いますけど、これ、子供番組でしょ?
こんな割り切れない終わり方するなんて。
犯人がわからないので、動機もわからない。

「霧の童話」は、人間が起こした事件だけど、その背後で、人間には計り知れない大きな力は働いたのかもしれないと思わせました。
それでも一応、怪奇現象や犯罪は、科学でちゃんと説明はしていました。
しかし、「吸血地獄」のニーナの吸血鬼化も解決はしていない。
今回もまた、科学では説明がつかなかった事件という解釈もできる。

洋画の「クリスティーン」を思い出しました。
気弱な青年が手に入れた赤いスポーツカー、クリスティーン。
彼はこの車で、自分をいじめる青年たちに復讐していく。

クリスティーンは青年に好意を持ち、青年はクリスティーンによって人が変わったようになる。
しかし、実は車のクリスティーン自体が意思を持って、この青年を操っていたのでは?という話。
最後にスクラップになったクリスティーンだが、スクラップの山からいつもかかっていたカーステレオから音楽が流れ始めて、スクラップがわずかに動く。
クリスティーンはまだ、生きているのでは?と思わせるラスト。

これも混雑した車の群れが映って、牧さんがこの車が一斉に暴走したら怖いだろうなとか言う。
スクラップ工場で、鉄くずと化す車が映る。
だから、使い捨てにされた「車」が意思を持ってやらせていたのかも?
車の人間への復讐?とも思える。

SRIの迫る気配を感じた何者かは、これで一応、犯罪は終わらせたのでしょうか。
いかにも出てきそうなんですが、町田警部は今回、出てきません。
野村くんの人が変わった演技は、うまかったです。

果てしなき暴走をするのは、正体不明の犯人とそれに操られる車なのか。
それとも現代科学と文明なのか。
「えっ?!」という終わり方でしたが、最後の赤いライトに照らされた車内で終わるラストで不気味な印象は深く残りました。
好き嫌いのある回だと思いますが、私は好きです。


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2012.01.21 / Top↑
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