実際の事件を題材にしたドラマ。
この弓成のやり方って、昔の、今も?スパイがやる手ですよね。
女性スパイが男性の要人を誘惑するというのが、大概の筋でしたが。

昔読んだ本によると、ソ連のやり方は女性はあくまで餌で、後から「ばらされたくなかったら機密を渡せ」というプーチン閣下みたいなKGBさんが出てくるらしい。
アメリカのやり方は女性自身が「待ってるわん」と言って、機密を受け取るらしい。
これはKGBには「女を信用するな」という伝統というか、信念があるかららしい。


1978年の夏の沖縄から物語は始まる。
1人、やつれきった顔をし、おぼつかない足取りで歩く男。
やがてたどり着いた崖から、美しい青い海に向かって落ちていく。
一体、何があったのか。

1972年、沖縄返還。
私の上司は、学校の先生が「今日は歴史に残る日になるぞ」と言ったのを覚えているそうです。
物語は1971年の東京。

沖縄返還を前に、佐橋慶作総理はアメリカと、返還される沖縄にある米軍基地の永続的使用を認める密約を交わした。
そんな噂が流れている。
真相を暴こうとする毎朝新聞の政治部キャップ・弓成亮太は佐橋総理に鋭い質問を浴びせ、「君はどこの記者かね」と聞かれる。

弓成は、自由党の通産大臣で次期総裁候補の小平正良とも個人的に親しい。
社内外に敵も多いが、読日新聞の政治部キャップ・山部一雄とは良きライバル関係にある。
「聞いた通りに書くのは、単なるブンヤ(聞屋)だ。本物の記者は、テーマを持って本質を問い続ける「問い屋」でなければならない」。

自分が子供の頃、太平洋戦争が始まった。
政治家は国民を欺き、新聞は政治家の嘘の片棒を担いだ。
そして国は壊滅的な敗戦を迎えた。

自分はあの時の教訓を生かすのだ。
政治家の嘘と欺瞞を暴き、この国の未来を変える記事を書く。
弓成の決意だった。

だが弓成は、いつか本気で政治家を怒らせるのではないか。
周りに危惧されている弓成は、一見自信に満ち溢れ、強気に見えるが、実際は夜にうなされるほど気苦労も多い。
彼の信念を打ち明けられ、自分の側にいてほしいと言われて一緒になったのが妻の由里子だ。
由里子は弓成の、決して表に見せない弱い面を影で支えていた。

弓成の毎朝新聞は、読日新聞は連日、紙面を飾るスクープの戦いをしていた。
だが、沖縄返還に関するニュースは毎朝新聞がずっと取り扱ってきたものだ。
負けるわけにはいかない。
ある日、弓成は対米交渉の状況を探る為、日頃から出入りしている外務省経済担当審議官・安西 傑を訪ねる。

安西の事務官である三木昭子は、夫が肺病で外務省を退職し、そのコネで事務官として就職した女性だった。
華やかな雰囲気の昭子だが、病で思うように動けず、日々嫉妬深く、執念深くなっていく夫に半ばうんざりしていた。
精力的に動く弓成に、昭子は好意的な態度で接していく。

そして、彼が外出した際、完全に締め切っていなかった引き出しから極秘書類が少しのぞいていたのに気づく。
「記者に必要な正義は情報源の秘匿だけ」という信念を持つ弓成は、思わずその書類を持ち出し、コピーをとる。
それは「米軍基地返還予定リスト」だった。
毎朝新聞は一大スクープで、紙面を飾ることができた。

だが、毎朝新聞の政治部長・司修一はかつて、安保問題で政治家を追及した時、家族にまで迷惑が及んだ経験から弓成を心配する。
何とか情報を得ようとする弓成だが、安西は急用が入り予約しておいたレストランに来られなくなる。
そこで弓成は昭子たち事務次官を誘うが、一人は子供が熱を出した為、昭子が1人でやってくる。

2人きりの食事の後、弓成は昭子をタクシーに残して帰ろうとするが、昭子は雨の中、弓成を追ってきた。
もう少し、飲んでいきませんか。
秋子のまなざしに、その夜の弓成の帰宅は遅くなった。
翌日は小平ら、大臣のゴルフに参加した弓成は、ゴルフの後の祖父の13回忌に出席することも忘れ、スクープ争奪の為に奔走する。

安西のところに通う弓成に、昭子は書類袋を渡す。
「コピーですから、返してくださらなくて結構です」。
そこには、基地返還後の整備費用400万ドルという数字が書いてあった。

だが司は、読日新聞の動きが、かつて自分がスクープで出し抜かれた時の動きにそっくりなことに気づく。
弓成は危惧し、英国大使館のパーティーに出ている安西を大使館外まで追ってくる。
そしてある焼き鳥屋の屋台で張っていると、山部が料亭から自由党の大蔵大臣・田淵角造と出てくるのを見る。
山部は角造に「おもしろい奴だ」と言われ、「お役に立ちますよ…」と返していた。

翌日、毎朝新聞は読日新聞に、沖縄協定の全文を載せられてしまった。
弓成の整備費用の記事も話題と賞賛は呼んだが、山部の記事のインパクトは余りに大きかった。
完全な敗北だった。

だが弓成は、これは一つも政権に対する批判の目がないと怒る。
山部はスクープの条件に、政権批判は行わないと決めているのではないか。
実際、アメリカ議会は基地返還後に必要な整備費用を負担しないと決めてしまった。
日本政府が負担することになったが、表向きはアメリカが費用を捻出したということに見せかけなければならない。

パリ会議を前にした佐橋総理は、これがバレたら密約外交だと日本中から、そして世界中から日米両国が非難されると心配されてる。
会議後の会見で愛川輝一外務大臣は対等な日米関係の始まりをにこやかに強調する裏で、佐橋総理はつぶやく。
「これで我々には、墓場まで持っていく秘密ができた…」。

苛立つ毎日を過ごす弓成に、昭子が電話をしてくる。
昭子と会う約束をした弓成だが、その時間、いつも気苦労をかけている妻の由里子と食事の約束をしていた。
毎朝新聞社の前にやってくる由里子、そして通りかかる昭子。

互いを知らない2人がすれ違う。
その直後、弓成が新聞社を出てくる。
通り過ぎた昭子は、弓成が妻を呼ぶ声に気づく。

弓成夫婦の姿に、嫉妬深い夫に日々、疲れていた昭子の表情がこわばる。
燃え上がる嫉妬、ライバル心。
妻との約束を、急な取材が入ってしまったと反故にする弓成。

弓成が個人的に使っていいと言われ、1人記事を書くのに使っている部屋に、昭子がやってくる。
昭子は弓成に書類を渡した。
極秘と書いてあるその書類。

「これを俺に渡して大丈夫なのか?」
昭子は弓成の手に自分の手を重ねた。
「私は弓成さんに負けてほしくないんです。…言いましたよね、力になりたいって」。

「ありがとう。君がいてくれてよかった。君からもらったことは、絶対に秘密にする」。
昭子は弓成の隣にしなやかに座ると、弓成を見つめて言った。
「信じていいんですよね?」
「大丈夫だ、君のことは必ず守る」。



最初にもう、弓成失脚がわかっているだけに、ああ、これが破滅への道なんだなと感じながら見られます。
実在の政治家さんと思われる相手が、いっぱい!
北大路欣也さんは佐橋慶作、佐藤栄作総理。
伊武雅刀さんがおそらく、後藤田正晴・その時の警察庁長官のようです。

柄本 明さんが小平正良、大平正芳、後の総理大臣。
この方のお屋敷を見たことがありますが、ここの一角、全部そうなの?!庭で迷子になっちゃうよ?!ってすごさ。
不破万作さんの田淵角造は、「よっしゃ、よっしゃ」言ってたのでもちろん、田中角栄・後の総理大臣。
私の友人は、田中さんとこの池は自分の部屋より全然広い、田中さんちの池の鯉はいーなー!と泣いた。

今回は出番がありませんでしたが、笹野高史さん演じる福出赳雄さんと「角福戦争」と呼ばれる政争を戦うことになる。
そこで活躍するのが、同じく今回は出ませんでしたが、本田博太郎さん演じる曽根川靖弘、後の総理、ここでは防衛庁長官です。
本田さーん、期待してますよー。

そして、市川亀治郎さんが横溝 宏・横路孝弘代議士。
大和田伸也さんは愛川輝一外務大臣で、これは愛知揆一代議士。
政治家を演じるみなさんは、もう、一筋縄ではいかない個性を出していて、楽しくて仕方ない。


言論の自由・知る権利VS政治家なら墓場まで持っていく秘密もある・国家機密。
政治家の建前VS記者の追及する真実。
沖縄密約問題から見える、正義とは何か?

密約はあるのか?
それは日本の為だったのか?
だとしたら、それは正義なのか?
「記者に必要な正義は情報源の秘匿だけ」という弓成は、果たして正義といえるのか?

こんな感じのテーマに、愛憎劇が加わるんですね。
「官僚たちの夏」というドラマを思い出しましたが、こちらはとってもわかりやすい作りだと思いました。
「平清盛」からの流れで、心地よい疲労感があります。

弓成がつかんだ英語の書類からは、アメリカ議会は、基地返還後、土地を持ち主に返す際の整備費用を払わないと言い出したとある。
これは基地に使用した土地は農地が大半だった為、返還する時にちゃんと元通りにして返すという約束に基づいている。
そして、その整備費用はアメリカが払うってことになってたんですが、議会がNOだと言い始めたというんですね。

だから日本政府がそれを負担することにしたが、表向きはアメリカが費用を捻出したということに見せかける。
パリ会議を前にした佐橋総理は、これがバレたら密約外交だと日本中から、そして世界中から日米両国が非難されると心配されてる。
「これで我々には、墓場まで持っていく秘密ができた…」。

まー、基地返還後の整備費用を日本が負担することにしただけなんだから。
密約はあるけどそれで沖縄が返って来るんだから。
第一、日本が敗戦国だって自覚ある?

対等な日米関係の始まり、って外交はそんなに甘くないよ!
余計なこと探るんじゃないよ!って言いたい政治家。
政治家の嘘が国を破滅寸前にまで追いやったのを見ていた弓成は、欺瞞は許さない!って食いつく。

それに対して、私は一緒に戦っているつもりですと言う、弓成を支える妻・由里子。
松たか子さん、「坂の上の雲」では義姉さんでしたね。
今回は夜遅くなっても待っている、何度約束を反故にされても怒らない妻。
この包容力、相手を選ばないと、つけあがらせちゃうなと思っていたらどうも夫は昭子と「疑惑の一夜」を過ごしてきたようです。

弓成が帰宅して、風呂に入る為に服を脱いでいる時です。
「ああ、これで何か気づくことがあるんだな」と思っていたら、ランニングシャツの肩がねじれていたんですね。
疑惑の一夜がはっきり描写されないのは、後で事件になってから双方の言い分で描写されていくんでしょうか。

松さん演じる由里子に対して、外務省に勤める美女・昭子は真木よう子さん。
スーツ姿が決まってる!
きっと女性同士の「私の方が彼を支えている」バトルが炸裂するんでしょう。
どちらにも互いにないものがある。

それが互いの劣等感を刺激するんじゃないか、と。
昭子は弓成に好意を抱いて、自主的に機密を渡してます。
このあたりの愛憎によるドラマ独自の展開は、もう、ドラマだからと割り切って見ます。
原田泰造さん演じる秋子の、「プライドばかり高い」元外務省の職員の夫の危険な嫉妬深さが上手い。

山部一雄役の大森南朋さんが重要な役で、脇を締めてくれます。
この俳優さんは「ハゲタカ」といい「龍馬伝」といい、いいですねー。
「疑惑の一夜」はもちろん弓成と昭子のことですが、山部と角さんの密談…、何を話したかにも当てはまりますね。

それと、松重豊さん!
「孤独のグルメ」で「腹もちょいとペコちゃん」なんて一見、コワモテ風の外見とのギャップで笑わせてくれる演技とは全然違います。
良い役で出て来てくれるようになって、うれしい。

雰囲気としては「官僚たちの夏」ですが、あれは視聴率は悪かったらしい。
あんまり個人的には視聴率は気にしないんですが、視聴率が悪くて、こういうの作られなくなっちゃうとつまらない。
日曜の夜に緊迫感溢れるやり取りを見るし、頭も使うし、もっと娯楽を、カタルシスをという気持ちもわかりますが、私はこういうドラマ好きです。

だから作ってほしいんですけど、大衆に望まれていないと作られなくなっちゃうのかなー、残念。
しかしこれは私は本田さんも松重さんも出るので、絶対見ます。
日曜の夜が楽しいったら、ありません。
最後までこの緊迫感で、お願いします!


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2012.01.16 / Top↑
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