こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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馬に水を飲ませることはできない 「孤独のグルメ」

深夜に見たらお腹が空いて眠れなくなる「孤独のグルメ」。
心も体も楽にして、深夜にのんびり見るのがいいんですが、録画して昼間に見て何か食べた方がいいのだろうか。
月曜日になると、早く水曜日の「孤独のグルメ」放送日にならないかななどと思ってしまう。

今回はゴローちゃんは、旧友との再会と仕事の両方で目的地が決まった。
仕事では美容院の改装で、オーナーからオブジェを置きたいのだが、イメージはパリ、そこにオーナーご本人の、私のクリエイティブだかアートだかのイメージを加えて引き算してとか言われて、混乱。
うん、こういう抽象的なこと言われると困っちゃうだろうなあ。

この美容院に向かう前、道を歩く女性2人の会話の「要するに馬を水辺につれていくことはできるけど、馬に水を飲ませることはできないってことよ」という言葉に気を留める。
美容院のオーナーも「わたくしたち、お客様の髪をケアすることはできても、疲れている心の中まではケアできませんでしょう?」と言っていた。

できることと、できないこと。
無理強いできることと、できないこと。
してあげたいこと、だけど力が及ばないこと。
そんな事を言いたいのだろうかと考えていると、ゴローちゃんは旧友のお店に向かう。

途中、栗大福を試食、おいしかったので5個買い求めてそれをおみやげにする。
しかし、ゴローちゃんがついたお店は、旧友が経営しているはずの、輸入雑貨の店ではなかった。
ブランド物のリサイクルショップ。
しかも、中にいるのは女性らしい。

旧友はかつて、五郎が雑貨をやる上での心得を説いてくれた。
偽物の時計を買った五郎に、「目を養え。世界中の美しいものを見ろよ」と言ってくれた。
だから、ゴローちゃんはパリにいたのか。
あのパリは、浦安のマンション群に見えたけどって、嫌味な私、でも嫌味のつもりじゃないのよー、好きなのよー。

旧友は「恋をしろ」とも言った。
「恋をして、その人に美しいものを見せたい、その人の周りを美しいもので囲んでやりたい。そんな思いで雑貨の仕事をしろよ」。
彼の心に、その言葉は今でも残っていた。

とまどいながらもゴローちゃんは入店した。
「あのー」と言う声に振り向いた女性は、女装して化粧をしてはいたがゴローちゃんの旧友だった。
「えっ」。
「あらー!」

…ニューハーフだったのか。
この旧友役が、田中要次さん。
迫力ある悪役も、コミカルな役もうまい俳優さんですね。
綺麗にカールしたまつげ、キラキラ光る瞳、なかなかお綺麗です、楽しんで演じてるのがわかります。

「ラストマネー 愛の値段」では調査会社の怖い社長さんと、保険金詐欺を働く男として共演してましたね。
「見い~ちゃった」と大きな体と長い足で窓から、麻雀をやっている病室に入ってくる松重さん。
ビビっちゃう田中さん。
おもしろい画でした。

同じ「ザズウ」という事務所だということで、対談している雑誌も見たことがあります。
「うちは怪優事務所」とか言っていて、おかしかった。
こういう、味のある、癖のある、そして演技派の俳優さんが、私は大好きです。

さて、リサイクルショップを、男をリサイクルした私がやってるなんておかしいでしょ?と旧友は笑った。
ゴローちゃんはとまどったが、中身は当然だがあの旧友だった。
おみやげを渡し、しばらく話して、ゴローちゃんは腰を上げた。

「最後に五郎ちゃんに会えて良かった」と旧友が言う。
「最後?」
旧友は、この店は友達に譲って、自分は旅に出るのだと言った。

「五郎ちゃん。ちょっと後ろ向いて」。
ゴローちゃんは手を取られて、ちょっとぎっくりして振り向くと、「やあね!何にもしないわよ!」と旧友は言う。
「ちょっと背中貸して」。

背中を向けた五郎に、頭をもたれかけさせて旧友はつぶやく。
「輸入雑貨はもうできないの。世界中の美しいものを見つけるなんて、もうあたしには無理…」。
その声は、さっきまでの明るい声とはまるで違っていた。

「五郎ちゃん、結婚してる?」
ゴローちゃん、ちょっととまどいながら「いいや」と答える。
「恋はしてる?」
「いいや」。

ゴローちゃんから離れた旧友は、寂しそうに微笑みながら言う。
「あたし、人を愛することはできても、子供を産むことはできないの」。
「行き先が決まったら、また連絡してくれよ」。
「うん」。

ああ、これ、何かあったんだろうなあ。
どうにもできない、何かがあって、とっても傷ついたんだろう。
それはもう、普通の人にできない生き方をするわけだから、普通の人がしなくていい苦労も、見なくていいものも、一杯見てしまうんだろう。

田中さんの表情、声がそう感じさせる。
そして、あえてそこを聞かないゴローちゃん。
口下手というか、気が利かないのかもしれないけど、そういうゴローちゃんが、この人は好きなんだろうなあ。
ゴローちゃんのことは男性としてちょっと、友人としてものすごく好きだったんじゃないのかな。

ゴローちゃんは複雑な気持ちで、店を出た。
商店街を歩いていく。
そして…、腹が減ったのだった。
もう!

でも人間、お腹が空くうちは大丈夫だと思う。
そしてゴローちゃんは、かわいい豚のイラストが描いてある看板を見る。
おいしそうなとんかつのお店。

中に入ると、昼間から居酒屋か?状態の常連さんが並んで、ご飯を食べている。
その端っこの人にちょっといじられながら、トンカツとチキンカツのミックスかつ定食を頼むゴローちゃんでした。
カツをあげる音が、食欲をそそる~。

何とゴローちゃん、ミックスカツを食べたのに、常連さんがにんにく焼きというおいしそうなのを頼んでいたら、それもオーダー。
素直に自分のと同じものをオーダーしたゴローちゃんに、常連さんがコップでお酒をおごろうとする。
しかし飲めないゴローちゃん。
他の常連さんに、本当に飲めないみたいだよ、ダメだよと言われて、その常連さんがおどける。

ミックスカツはおいしいし、にんにく焼きは甘辛でこれまたおいしい。
久しぶりにガッツリいったゴローちゃんは、大満足で店を出る。
そして、ふと気づく。

酒が飲めなくても、全然大丈夫。
じゃあ、女性になった旧友が…。
子供を産めなくても、きっと大丈夫だよ!
満足したゴローちゃんは、歩いていく。

そうだね、ゴローちゃん、旧友にそう言ってあげてね!
ゴローちゃんの素朴な言葉でそう言われたら、旧友はきっと元気が出る。
「あり、あり、おおあり、オオアリクイだ」とかボソッとモノローグで、かわいいことを言う。

本当においしそうに、口元が笑っている。
食べた後の幸せそうなゴローちゃんを見ていると、こちらまであったかい気分になる。
1人で食べる機会って、仕事をし始めると結構あるんじゃないかな。

女性が1人で食べてるっていうと、またちょっと印象が違うのかもしれないけど。
だけど、全然合わない会話に無理して毎日合わせて集団でご飯を食べていた時。
たまたま仕事が昼に食い込んで、1人で後で外で食べることになった。

「1人で食べるなんてかわいそう~」。
「私はお茶だけど、一緒に行ってあげようか?」
すごく好意はありがたかったし、うれしいと思ったけど、1人で食べている時、すごくホッとした。

そうか。
私は無理していたんだ。
その時、開放感と共に実感があったあのお昼は忘れられない。
こんな経験を思い出させる。


馬を水辺まで連れて行くことはできるけど、馬に水を飲ませることはできない。
疲れた心の中までは、ケアできない。
人に無理強いしても、ダメなものはダメ。
でも、自分が納得したなら、普通じゃなくても大丈夫!

別に何かを考えてもらおうとか、何かを暗示して作っているシーンじゃないのかもしれない。
そういうドラマじゃないのかもしれない。
ただ、淡々と日常を綴っているだけで、深い意味はないのかもしれない。

こまごまとしたことがある日常が、ささやかなご飯で幸せに変わる。
ただ、それだけ描いたドラマなのかも。
でも、そんなこのドラマが大好きです。
さあっ、私も今日、何食べようかな。


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