こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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お酒、おいしかった… 「助け人走る」第16話

第16話、「掏摸大一家」。


前に一度書いているので、ストーリーは以前の記事と、ちょっと重複するところがあります。

平内が町中で、おようという女スリに財布をすられた。
気づいた平内は、どこまでもおようを追ってくる。
一度は平内をやり過ごしたと思ったおようだが、平内はなかなか振り切れない。

ついにおようは川に飛び込んで、平内の追跡を逃れた。
おようが河原でぬれた着物を焚き火で乾していると、スリ仲間のお島が近づく。
ベテランのお島は、「自分がおようの年には、そんなへまはしなかった」と言って町に稼ぎに出かける。

平内の財布の中身を見たおようは、「たったこれだけで半日追い掛け回された」とぼやく。
財布の持ち主を「辻平内、か」と確認すると、焚き火に放り出した。
その時、「財布の方が高けえんだぞ!」という声がして、平内が飛び出してくる。
驚いたおようは、「勘弁してください」と言って土下座した。

「出来心だった」と身の上話をするおようだが、平内は「今、スリ仲間と稼ぎの話をしていただろう」と言う。
しかし、おようを奉行所に突き出したところで、平内には何の得にもならない。
「財布さえ返してもらえばいい」と言って、平内は財布を取り戻して去っていく。
おようは深いため息をつく。

スリの集まる家に戻ったお島は、年かさのお浜という女に稼ぎを差し出していた。
だが、お島の稼ぎは良くない。
奥から、おようの悲鳴が聞こえる。
おようはスリの元締め・仙八に、神社の裏で男と会っていたことを見つかり、折檻されていた。

仙八は、「男というものは甘い言葉でたぶらかすが、おようがスリと知ったら逃げていくに決まっている」と言う。
ここにいる女は全員、自分の娘のようなものだが、中でもおようは一番、かわいい。
だが、以前は10両20両とあったおようの稼ぎが、最近、悪い。

おように好きな男ができたに決まっている。
しかし、おようは頑として口を割らない。
「ようし、絶対に言うな!」と言うと仙八は、ろうそくを持ってくる。
火傷を負わされると怯えたおようは「平内!辻平内!」と先ほどの平内の名を叫ぶ。

部屋から出てきた仙八に、お島が近づく。
お島は、「おようばっかりかわいがらないで、たまには自分にも声をかけてくれ」と言ったが、仙八はお島をチラリと見ると、「年を取ったな、お島」とだけ言い残した。
小銭を渡し、「おようの見張りの駄賃だ、飴玉でも買え」と言って去る。
お浜はお島に、「明日も稼ぎが悪かったら飯は抜きだ」と言い渡す。

その夜、酔っ払った平内は河原で見知らぬ男2人に声をかけられる。
おようを知っているかと言われた平内が、「スリの?」と答えた途端、男たちは平内をすまきにして川に放り込んだ。
夜半過ぎ、文十郎の家では、しのが妙な物音に怯えて起こした。
警戒した文十郎が戸を開けると、すまきにされ、びしょぬれになった平内が立っていた。

文十郎は、慌ててしのに火を起こすように言う。
平内は「誰にやられた?」と聞かれても、心当たりがない。
その頃、平内をすまきにした辰次という男が、仙八の一味のの勘三から金を渡されていた。

辰次が平内は「大きな男で、てこずったのだから、もう少し額をあげてくれ」と言っていた時、お吉が部屋に怒鳴り込んできた。
驚いた2人にお吉は「急に慌てた顔しやがって!」と怒鳴った。
お吉が贔屓にしている定吉という板前がいるのだが、どうもその包丁裁きにケチつけた客と間違えて怒鳴り込んできたようだ。

「黙ってられない!」といきり立つお吉に、飛んで来た仲居が「隣」と言った。
お吉は、その意味をケチつけた客が辰次ではなく、隣にいた勘三かと思った。
だが、それは隣の部屋の客という意味だった。

自分の間違いに気がついたお吉は、「あらっ!いい男!」と急に愛想良くなり、お酌をして謝って出ていった。
部屋を出た途端、「隣か!」と今度は隣に怒鳴り込みに走るお吉を、勘三と辰次は唖然と見送った。
「何だい、ありゃあ…」。

その定吉という若い板前は、お吉に「姐さんに迷惑をかけて…」と頭を下げた。
定吉の様子が最近おかしいので、お吉は「一体どうしたんだい」と聞く。
お吉に定吉は、町で会って好きになった女性がいるのだが、最近会ってくれないのだと打ち明ける。
「からかわれてるんだよ」とお吉は言うが、定吉は、「おようはそんな子ではない」と言った。

家に訪ねていけばいいのだが、どこに住んでいるのか、定吉には教えてくれないのでわからない。
「おように会えなければもう、生きている甲斐がありません」。
お吉は清兵衛に、おようを探させようと提案する。
すると、定吉は店を持とうとして、貯めていた金を出した。

平内は、為吉からこの話を聞いた。
要するに、自分がスリのおようの男と間違われたせいで、すまきにされ、風邪を引くような目にあったのだと判明。
平内は怒る。
為吉は、定吉の探すおようとスリのおようが同一人物とは限らないと言うが、スリならば素性を明かしたくないのもわかる。

長屋の平内の家が、「忌中」ということになる。
その時、お島が平内の家に訪ねてきた。
お島に平内のことを聞かれたしのは、「川に足をすべらせてなくなった」と答えた。
そして、文十郎がお島の前に、わざと財布を懐からのぞかせて出た。

文十郎に目をつけたお島はすれ違いざま、財布をすった。
だが文十郎は、財布にヒモをつけていた。
文十郎がヒモを引っ張ると、お島は引き寄せられる。

お島は文十郎の前に手をつき、「許してください、夫が病気で子供が待っているんです」と言った。
騒ぎに町の者が足を止める。
文十郎はお島を家に連れて行くと酒を飲みながら、本当の身の上を語らせた。

お島が言うには、自分のいるスリ一家の女たちは、小さい頃に親から買われてきてスリを仕込まれた。
そうしなければ、食べられなかったのだ。
「親に捨てられた自分たちが今日まで生きてこられたのは、親方の慈悲の心のおかげだよ」。

文十郎が絶対に口外しないと約束したが、お島は親方の名前だけは言わない。
だが「自分たちの親方は、十手持ちだ」と言う。
親方を裏切る一番の行為は、好きな男を作ることだった。
そう言ったお島だが、「だからって何も殺すことないじゃないか!」と声をあげる。

「殺す?」
「平内さんだよ!」
証拠はないが、自分たちにできた好きな男は、みんな親方に殺されてしまったのではないかと言う。
昔、お島にも、ちょっとヤクザだが末松という好きな男ができた。

だが末松はすまきにされ、溺死体で浮かんだ。
岡っ引きが来た。
その岡っ引きこそが、スリ一家の親分の仙八だった。
末松を見てヤクザだなと一言言うと、「イカサマでもやったんだろう」で片付けた。

語るうちに、お島は眠り込んでしまった。
為吉がお吉に「まだか、まだか」とせかされて、文十郎のところにやってくる。
文十郎は為吉に、「親方の名前は聞き出せなかった」と伝える。

その翌日、女たちに身支度をさせると、仙八は出勤して行った。
おようは今日から心を入れ替えると約束して、町へ出て行く。
笑顔になるおよう。
向かった先は、定吉との逢引場所だった。

定吉は「この前はどうして来てくれなかったのか」と、聞く。
おようは、「店の用事で行けなかった」と答えた。
しかし、おようは店の場所を聞かれると、「定吉が早く店を持ってそこに食べに行くのが楽しみだ」と言って話をそらす。

結局、定吉におようのことは何もわからない。
別れた後、定吉はそっと、おようの後をつける。
おようは呉服商に入った。

その後、定吉はそこの呉服商に「おようという奉公人はいるか」と聞いたが、そんな娘はいなかった。
おようは、定吉につけられているのに気づいていた。
定吉をまいたおようは、町をとぼとぼと歩いていく。

しのの茶店に、変装した平内がやってくる。
死んだことになっているので、顔を見られてはまずいのだ。
平内が通りを見ると、定吉が歩いていた。

その後を、自分を襲った辰次がつけている。
路地で辰次が定吉を拉致する前に、平内が辰次を捕まえた。
すまきにされた辰次は「自分の雇い主は誰か話さない」と言ったが、平内は「喋られなくていい」と言って川に放り込んだ。

辰次は川からあげられると、文十郎と平内が顔の上で炭火の炭をやり取りする。
怯えた辰次を、文十郎はもう一度川に放り込んでくると言う。
たまらなくなった辰次は、「平内の殺しを頼んだのは仙八だ」と白状した。

約束の日、定吉はおように会いにやってくる。
だが、おようの様子がおかしい。
するとおようは、「私、腕の筋を切っちゃったの」と言った。
「私、スリなの」。

仙八は、自分がスリとして使えるうちは絶対に手放さない。
定吉はこの前、自分の後をつけたのを知ったおようは、腕を使い物にならないようにした。
こうすれば仙八は定吉にはもう、手を出さないだろうと思ったのだ。

「おめえはバカだよ!」
「嫌いになった?」とおようは言った。
「嘘をついていたから…、私、本当にお店に奉公して、定吉さんと本当にお店が持てるよう、手伝いたいの」。

それを聞いた定吉は、思わずおようを抱き寄せた。
抱きしめられたおようの目から、涙が流れる。
その時、「御用だ!」と仙八が入って来た。

「親方!」
「スリに親方と言われる筋合いはねえ!」
「およう、金持って逃げるんだ!」

定吉が、おようを突き飛ばした。
おようは定吉のところへ戻ろうとしたが、平内が抑える。
平内はおようを匿いながら、「定吉は何も悪いことはしていないのだから、大丈夫だ」と言った。

しかし、定吉は叩きの拷問を受けた。
スリを働かせて稼いでいたのだろう、と定吉は責められる。
スリ一家に帰った仙八は勘三から、「お島の稼ぎが悪くなって、もう使い物にならない」と報告を受けた。

仙八が「いくらになる?」と聞く。
「沼津あたりまで足を伸ばすとして、10両ってところでしょうか」と勘三が言う。
仙八が女衒を呼ぶよう、言う。

その時、お島が「女郎に売られるのは嫌だ!」と飛び込んできた。
まだ仕事は、できる。
そう言い張るお島に、仙八は「今、自分の財布をすってみろ」と言う。
だが、仙八の懐に伸びたお島の手は叩かれてしまった。

「中気の手よりまだ遅いぞ!」
女郎に売られるぐらいなら、逃げる。
お島の身支度を見たおようは、定吉のことを聞くが、お島は「あんたは何も知らないんだね?」と驚く。
定吉は毎日、仙八に責められ、スリの親分ということにされそうになっている。

それを聞いたおようが飛び出していこうとするのをが、お島は止める。
仙八は、おようが飛び込んでくるのを待っているのだ。
「どうして止めるんですか!あなたはいつか定吉さんのことで、私を告げ口して、そして今は私の邪魔をするんですか!」
おようの怒りの言葉に、お島は黙るしかなかった。

だが、やはり、人の生き血を吸っている仙八のところに戻るのはいけない。
お島がそう言って止めたが、おようは出て行ってしまう。
その頃、お吉は捕えていた辰次の見張りをしていた。

辰次が「小用を足したい」と言うと、お吉はしかたなく、辰次の縄を解く。
外で待っていたお吉に、辰次が匕首を突きつける。
今度はお吉が捕えられ、文十郎の長屋に案内させられた。
そこには、逃げ込んできたお島としのがいた。

お島は、辰次ともみ合いになり、刺されてしまった。
文十郎が、あくびをしながらのんきに戻ってきた。
戸を開けた文十郎は座敷で、お吉としのが縛り上げられているのを見る。
お吉としのの後ろには、匕首を2人に突きつけた辰次がいた。

そして、倒れているお島が見える。
「刀を捨てろ!ひと思いにかききるぞ!」
辰次に言われて、文十郎は刀を腰から抜く。
刀を投げて辰次に寄越すと、辰次はそれを抜き、お吉としのに突きつける。

辰次の声が、残忍な色を帯びる。
「よくもかわいがってくれたな。障子を閉めてこっち来なよ」。
後ろ手に、文十郎が戸を閉める。

取っ手の穴から、文十郎の手とその背中が見える。
文十郎の背には帯にさした、兜割りがある。
後ろ手に、そっと戸を閉める文十郎。

その文十郎の手が、兜割りに伸びる。
文十郎への復讐の期待で、辰次が笑う。
次の瞬間、文十郎は腰の兜割りを抜き、辰次に向けてまっすぐに投げつけた。
兜割りはまっすぐに飛び、お吉としのの間にいた辰次の胸に深く刺さった。

ぐうっ、と声をたてて辰次は倒れる。
文十郎はお島に駆け寄るが、お島は「お酒…、おいしかった…」と言うと、うっすらと笑顔を見せて息絶えた。
見開いているお島の目を、文十郎が閉じてやる。

その頃、おようは仙八に、定吉を諦めるから許してくれと頭を下げていた。
「そいじゃあ、まあ、置いてやってもいいが、定吉はどうする」。
「定吉さんのことはもう、諦めました」とおようは言う。
「想ってもいけねえぞ」。

言い終わると仙八は、定吉を放免してやろうと言う。
仙八は機嫌よく、茶を替えてくれと言ったが、茶を淹れるおようの様子がおかしいことに気づいた。
「おめえ、いつから左利きになったんでい?右手はどうした?」

あわてて誤魔化そうとしたおようだが、湯飲み茶碗はおようの手から落ちた。
おようの手が利かないことに気づいた仙八が、「この手でどうやって擦るんだ?!え?どうやって稼ぐんだ?」と怒る。
「左手で稼げるようになる」と、おようは言う。

しかし、仙八は「そんな無駄飯は食わせておけない」と言った。
稼げないおようは、いらない、したがって定吉も助けない。
それを聞いたおようは、必死にすがった。

すると、仙八はひとつ、提案した。
今から自分は大番屋へ行く。
その途中、自分の財布を見事、左手ですることができたら、許してやろう。
できなければ、定吉は許さないし、おようは女郎にたたき売る。

「わかりました!」とおようは答える。
為吉が、町にいる平内にお島のことを知らせに走る。
おようは町を走る。

仙八がやってくる道を、先回りする。
町角に立ち、仙八が曲がって来るのを待つ。
懸命に、指と指を擦りあわせる。

仙八が歩いてくる。
おようの待つ角を通り過ぎた時、おようの手が仙八の懐に伸びる。
だが、おようの手は仙八に抑えられた。
おようを見た仙八は、残酷な笑いを浮かべた。

手を抑えられ、絶望のまなざしで、おようは仙八を見上げた。
その時、紫煙が立ち昇る。
おようを見下ろし、仙八は口元をゆがめて笑っていた。

仙八の背後から、平内が現れる。
平内の仙八を見る目が、怒りで燃えている。
キセルから、針が出ている。

おようを見下して笑っている仙八の首筋に、平内は針を叩き込む。
仙八のゆがんだ笑みが消える。
つかんでいたおようの手を離す。
目が見開かれ、宙を見つめた。

平内は針を抜くと、仙八を手で前に押し出した。
仙八は無表情のまま、ゆっくりと歩き始める。
平内は、驚いた表情のおようを抱き寄せ、仙八を見送る。

仙八は町をゆっくり歩いていく。
そして、少し行くと仙八はがくりと倒れた。
「親分?」
人が集まって来て、仙八をのぞく。

「お、おい!」
「どうした、どうした?」
仙八を取り囲んで見下ろす人々の間から、平内とおようの顔が覗く。

平内が「あー、こりゃ脳卒中だ」と言う。
「大変だ」。
平内は知らせてくると言って、おようを連れ、その場を離れた。

仙八の家で、勘三がそろばんをはじいていた。
勘三の手の後ろから、手が伸び、そろばんをはじきだした。
「あんた、どなたですか!」と驚いた勘三に、文十郎が笑いかける。

「ど、どろぼうだ!」と勘三が声をあげる。
文十郎が笑いながら、「スリが泥棒毛嫌いするってこと、ないよ」と言う。
慌てた勘三は文十郎を追い払おうと、そろばんを振り回した。
「あ、悪党ーっ!」

あわてて逃げようとした勘三は、そろばんを踏んだ。
そろばんを踏んで倒れた勘三は、腹をそろばんの上に乗せて部屋のすみまですべっていく。
そして思いっきり、タンスに頭から突っ込む。

ぐきりという鈍い音がして、タンスに激突した勘三は動かなくなった。
「あらら…」。
文十郎が、思わず目を閉じる。
タンスの上から、小判や小銭が大量に降ってくる。

スリの女たちが、それに群がる。
お浜が飛んで来て、何と言っても、自分が一番仙八に痛めつけられたんだと主張する。
文十郎と平内が「公平に分けるんだぞ」。
「それを持って、今日から好きなところへ行っていいんだぞ」と言う。

そう言いながら、文十郎と平内は金をつかんでいるスリの女に「俺と所帯持とう!」と言う。
「この金で小料理屋かなんか開いてさ」。
「あ、ダメ?嫌い?じゃ、あんた!」
スリの女たちは、金を拾うのに夢中で無視していた。

為吉が呆れる。
すると平内を見たお浜が「所帯持とうよ」と言い寄った。
今度は平内が逃げ出す。

夕焼けの中、おようと定吉が旅姿で歩いていく。
2人は、晴れやかな笑顔だった。
夕陽が輝く中、おようと定吉は、しっかりと寄り添い、笑顔で江戸を離れて行く。



おようは、鮎川いずみさん。
「仕事人」シリーズで、何でも屋の加代になる前は、被害者役が多かったんですね。
「仕置人」では、たかが友禅の為に父親と婚約者を大奥の権力者に殺され、自らはいびり殺される。
可憐なイメージで、加代を先に知っていると、驚きではないでしょうか。

仙八は、加藤武さん。
横溝正史の金田一シリーズの映画で「ようし、わかった!」と、手を叩き、間違った犯人を特定する警部。
あの時の笑顔とか、なかなか単純でおかしいんですが、ここでは笑顔が怖い。

おそらく、仙八は昔から、親に売られた子供、しかも女の子ばっかり買ってきて、スリにしていたんですね。
それで、気に入った女性は自分の愛人にする。
お島もお浜も、かつては仙八の愛人だったらしい。
そして、今はおよう。

愛人として飽きたらスリとしてだけ使い、それでも使い物にならなくなると女郎に売る。
ここで売られそうになる、お島役は「りつ」こと、白木万理さん。
おようとはスリ仲間として、そんなに悪い感情は持っていないが、仙八には複雑な愛情を抱いているらしい。
自分の好きだった男を殺した憎しみと、どこかで信じたい思いと、媚と、諦め。

現在、仙八を独占しているおようへは、同情と憎しみと、自分のようになってほしくない思いがある。
そんな複雑な心のうちをもったお島が飲んだ文十郎との酒は、初めてのおいしい酒だったんでしょう。
死ぬ間際の、「お酒、おいしかった」に哀しい思いが込められています。

加代の鮎川さんが違えば、りつの白木さんも全然違う。
哀しい女スリの目をそっと閉じてやり、文十郎は抱きしめてやります。
こういう文さんの優しさが良いですね。

お吉は、定吉にケチをつけた客に怒鳴り込んでくる。
ここに辰次がいる。
後にこの辰次が厠行きたい、前を開けてくれと言われてつい、「いいよ、いいよ、ほどいたげるから」と言ってしまうんですね。
うーん、これは…、為吉か平内さんについててもらわないとダメですね。

あくびなんかしながら、のんきに帰ってきた文十郎。
戸を開けて、目の前のお吉としのの危機に途端に目つきが変わる。
辰次の卑怯そうな、うれしそうな笑い。

刀を寄越せと言われて投げる文十郎、当然、刀がなければ普通の侍はピンチ。
だが、文十郎には兜割りという、人が知らない武器がある。
これ、強い。

文十郎が、背中を見せずに戸を閉める。
すると、その戸の取っ手の丸い穴から見える、文十郎の背中。
帯に差し込まれている兜割り。
文十郎の戸を閉めた手が、そっと兜割りに伸びる。

流れる殺しのテーマ。
文十郎への陰湿な仕返しへの期待で、笑いが止まらない辰次に飛んでいく兜割り。
見事、お吉としのの間の辰次に刺さる。
絶体絶命から、一発大逆転の心地よさ。

町を走り、定吉のため、命をかけてスリに臨むおよう。
流れる音楽。
近づいてくる仙八。
角に潜むおよう。

指と指を擦り合わせる。
仙八が角から姿を現す。
おようの手が伸びる。
スローモーション。

あっさりと仙八が、おようの手をつかむ。
絶望するおよう。
心底から凶悪な笑みを浮かべる、加藤武さん。
その後ろに、紫煙が…。

流れる殺しのテーマ。
平内さんが来ている!
まさに「紫煙流れる時」。
8話「女心大着服」もそうですが、一番のピンチに来てくれている心強さ!

おようをバカにしたように見下ろす仙八の背後から、平内さんが現れる。
その表情が、怒り。
制裁といった趣。

刺さる針。
余裕の笑いを浮かべていた仙八の目が見開き、手がおようを離す。
おようが驚く。

平内さんがおようを抱きとめて、仙八を前に押す。
おようさんと関係なく、仙八を衆人環視の中、葬ろうとしているんですね。
優しい。

ここで仙八が、ゆっくり、ゆっくり、町を歩いていく。
周りから聞こえてくるのは、町の音。
顔から表情というものが、消えている。
やがて、倒れる。

周りの人が驚いて、見下ろす。
輪になって見下ろしている人々の間から、平内さんが白々しく「あー、卒中だ」。
このお約束も楽しいんですよね。
そして、おようを連れて離れていく。

残ったのは、いつも算盤はじいている勘三。
直接手は下さないが、仙八の悪事に、十分加担していることには間違いない。
文十郎に驚いておののく小心者。
「悪党」と逃げるところが、「お前もじゃ!」状態でおかしい。

お金が降ってきて、文さんと平さんが女スリたちを一生懸命口説く。
文さん、お吉さんに見つかったら、すごく怒られるっていうのに。
そこでお浜が「あたしが一番ひどい目にあってる」と言って押しのけようとするが、他の女スリはそんなこともう関係ない。

お浜は、正司歌江さん。
これがスリを口説いていた平内さんを見て、今度はお浜がアタック。
すると平内さんが逃げていくのが、楽しい。
今回、清兵衛さんと利吉はお休み。

仙八は、男はおようの正体を知れば去って行くと言った。
だけど、定吉はおようの為に命を賭けて耐えた。
そして、おようは定吉の為に、腕の筋を切った。

この2人は幸せになるだろう。
美しい夕陽の中、おようと定吉が歩いていく。
明るい音楽とともに、幸せを予感させて終わります。
助け人たちの情けも、殺陣も、女優たちの熱演も、悪役の加藤さんの嫌らしさもあって、見応えある回です。


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Comment

No title
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こんばんは。

スマキがステキな回でしたね。
「助け人」は全般的にそうですが、お話のテンポがいい。
必ずしも展開がフォーマットには待っているとは限らない。

懐かしいなあ。

あまり前記後期の話をすべきではないのでしょうが、これも「仕事人」では見られないエピソードでしたね。
2012年03月13日(Tue) 00:31
No title
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たった今、BS JAPANで「注文の多い料理店」が放送されていました。

こちらのあらすじを読みながら観ていたので、とてもわかりやすかったです(笑)

いろんな意味で最近では見られないようなドラマだったので楽しかったです。
2012年03月13日(Tue) 12:56
No title
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辰次役の谷村さん、子供の頃は実写版「忍者ハットリくん」の”はなおかじった先生”で愉快な演技で楽しませてくれました。
ケンイチくんと喧嘩して家出したハットリ君が、泣きながら空を飛んでいくと、見知らぬ町中ではなおかじった先生を見かけて地上におり、「先生!こんなところで名をされているのでござるか?」と聞くけど、実はその人ははなおかじった先生とそっくりな別人だった・・・そんな話も覚えているぐらい、はなおかじった先生は好きだったなぁ。
^^;
はなおかじった先生のテーマとでも言うべき曲が、後に「仮面の忍者赤影」でも使用されていて、すごく嬉しかったものでした。
私にとっては伝助さんとともに、浅草のコメディアンという認識だった方なので・・・今まで観ていて全然気がつかなかった。こんな凶悪な役もやられていたのですね。今回観ていてようやく「あっ!谷村昌彦だー」ってビックリ仰天!!

2012年03月13日(Tue) 13:51
愚夫愚父さん
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>愚夫愚父さん

こんにちは。

>スマキがステキな回でしたね。

スマキにして川に放り込むって、ああいうことなんですね。
あれは危ない。

>「助け人」は全般的にそうですが、お話のテンポがいい。
>必ずしも展開がフォーマットには待っているとは限らない。

一話一話、完成されてますよね。
しかも人助けから始まる展開に、ルーティングワークと言えるものがない。
改めて、素晴らしい作品です。

>懐かしいなあ。

もっと知られて良い作品ですね。

>あまり前記後期の話をすべきではないのでしょうが、これも「仕事人」では見られないエピソードでしたね。

確かに、後の作品にこんな展開、見られないです。
パターンのある楽しさもありとは思いますが、助け人の展開は今見るととても新鮮です。
柔軟な展開ですよね。
2012年03月13日(Tue) 16:47
香子さん
編集
>香子さん

はじめまして。
ようこそ、いらっしゃいませ。

>たった今、BS JAPANで「注文の多い料理店」が放送されていました。

あっ、そうなんですか!

>こちらのあらすじを読みながら観ていたので、とてもわかりやすかったです(笑)

ありがとうございます。
ネタばれしてました、すみません。

>いろんな意味で最近では見られないようなドラマだったので楽しかったです。

若い西岡徳馬さんや岡田菜々さんも見られました。
ファッションも時代を感じさせて、楽しかったです。
確かに、最近では作らない、もう作れないパターンのドラマですね。

ご訪問ありがとうございました。
良ければまた、のぞいてみてくださいね。
2012年03月13日(Tue) 16:57
香子さん:追伸
編集
>香子さん

最初、失礼にもお名前を間違えてしまいました。
すみません。
これに呆れずに、機会があればまた寄ってくださいね。
2012年03月13日(Tue) 17:51
オギャンさん
編集
>オギャンさん

>辰次役の谷村さん、子供の頃は実写版「忍者ハットリくん」の”はなおかじった先生”で愉快な演技で楽しませてくれました。

あー、どこかで絶対、見たことがあると思いました。

>ケンイチくんと喧嘩して家出したハットリ君が、泣きながら空を飛んでいくと、見知らぬ町中ではなおかじった先生を見かけて地上におり、「先生!こんなところで名をされているのでござるか?」と聞くけど、実はその人ははなおかじった先生とそっくりな別人だった・・・そんな話も覚えているぐらい、はなおかじった先生は好きだったなぁ。 ^^;

子供をそこまで楽しませるなんて、芸達者な方なんですね。

>はなおかじった先生のテーマとでも言うべき曲が、後に「仮面の忍者赤影」でも使用されていて、すごく嬉しかったものでした。

それは知りませんでした!

>私にとっては伝助さんとともに、浅草のコメディアンという認識だった方なので・・・今まで観ていて全然気がつかなかった。こんな凶悪な役もやられていたのですね。>今回観ていてようやく「あっ!谷村昌彦だー」ってビックリ仰天!!

コメディアンの方って、怖い演技うまいですよね。
人を笑わせる、子供を楽しませるのって難しいから、怖い演技もできますよねー。
いや、お吉としのに刃物を突きつけて、文さんにこっち来いと言う時、全身から凶悪さが滲み出ていました。
2012年03月13日(Tue) 17:56












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