第21話、「心中大悲憤」。


これも以前書きましたので、ストーリー部分が重複しております。


しのの勤める茶屋に、母親がおみくじを引く間、赤ん坊が預けられていた。
文十郎とお吉がやってきて、赤ん坊をあやす。
お吉がこんな赤ん坊がほしい、どうしても文十郎の赤ん坊がほしいと言って、文十郎を困らせる。

赤ん坊が泣いたので、お吉が抱き上げると、文が落ちる。
そこには、「やむを得ぬ事情により、この子をお預かりください」と書かれていた。
「大変!この子、捨て子よ!」と、しのが声をあげる。

物陰から騒ぎになる茶屋を「信一郎、許して」と言って、じっと見つめるおすえという女がいた。
「兄さん、どうしよう」。
「そういえば近頃、赤ん坊を捨てたり殺したりする話を良く聞くな」。

「何言ってんのよ!」
「この人ね、こういうことからっきしダメなのよ」とお吉が言う。
お吉が「こんなかわいい子を捨てるなんて、ほんとにひどい親があったもんだ」と憤る。
赤ん坊は罪もない顔をして、すやすやと寝ていた。

町に人々の「人でなし!」「鬼!」「それでも母親か!」「人殺し!」「鬼畜生!」という怒号が響く。
1人の女が、罪人として刑場に行くまで、市中引き回しにあっていた。
文十郎とお吉が見ていると、お吉の抱いた赤ん坊が、声をあげて泣く。

それを聞いた女は顔色を変え「お役人様!お情けでございます。馬を、馬を止めてください!お願いでございます」と叫んだ。
「降ろしてやれ」と役人が言うと、女は「お腹がすいているんです」と言って、乳を飲ませるように言った。
お吉が周りを気にしながらも、赤ん坊に乳を飲ませてやる。

「さあ、もういいだろう」という役人の声で、女はまた馬の上に乗せられた。
「ありがとうございました」。
女の目は涙に濡れていた。

お吉が「自分の生んだ子を殺すなんて、これは何かの間違いだよ!きっとそうだよ、お役人さん」と歩きながら、馬の前にいる役人に訴える。
「ええい、寄るな!」
「お吉!」と文十郎が抑える。
「だって文さん!お腹を痛めた子を殺せるわけないじゃないか!」

「そりゃな、そうだけどよ」。
「もし、ほんとに殺したんだったら人間じゃないよ、鬼だよ?!」
お吉はそう言うと、赤ん坊をしっかりと抱きしめる。

刑場で、その女が磔台に乗せられる。
あの、赤ん坊を捨てたおすえも見ていた。
見物人の中から、「お役人様ー」「おわかちゃんだけが悪いんじゃないよ」「こんなことさせた男が悪いんだよ」と叫ぶ2人の女がいた。

「ゆうちゃん」と叫び、女は磔になった。
お吉も、文十郎も見ていた。
おすえは口を抑えて、嘆く。

文十郎は赤ん坊を背負いながら、井戸端で洗い物をしていた。
その姿を見て、平内が笑う。
お腹がすいて泣く赤ん坊に、文十郎はお乳の張った女を見つけてきてくれと頼む。

その頃、お吉は磔になった女・おわかの勤めていた髪結いにおわかのことを聞きに行っていた。
女将はおわかのせいで客が寄り付かないと言い、迷惑だと怒っていた。
「いくら男に捨てられたからって」。
だがお吉はどうしても、おわかがあんなことをするとは、信じられないと言う。

すると主人が奉行所で油を絞られたと言いながら、刑場で叫んでいた女たちを連れて戻って来る。
女たちはおわかだけがあんなことになって、矢崎様が何もお裁きを受けないなんて虫が良すぎると怒っていた。
お吉はおわかには、何かよっぽどの事情があるのではないかと聞いたが、女将は今さら何を言ってもどうなるものでもないと遮る。
そっぽを向く女将にお吉は金を握らせ、「芸者仲間にここの髪結いが良いと言う評判を話せば…」と言うと、とたんに女将の様子が変わって笑顔になった。

おわかの位牌に、お吉は手を合わせる。
そこでおわかの髪結い仲間に聞いたが、おわかは渡り徒士の矢崎雄之助を追って、雪深い越後から江戸に出てきたのだった。
江戸で所帯を持つと言う、弥崎の上手い口車に乗ったが、所帯を持つどころか、貯めた金は矢崎に持ち出され、給金まで前借りしていた。
おわかは、体がぎりぎりになる夜遅くまで働いていたらしい。

ある日、おわかは矢崎が戻って来るのを聞いて、赤ん坊を抱いて待っていた。
矢崎が旅から戻って来る間に、女の子が生まれたと言い、雄之助の一文字を取って、ゆうと名付けたいと言った。
だが矢崎は冷たく「子供なんか産むなと、あれほど言ったのに!勝手なことを」と言い、「本当に俺の子なのかどうかわかるない」と突き放した。

「何てことを。雄之助様、私をそんな女だと」。
おわかは屋敷に行き、上役に一部始終を話すと言った。
雄之助は渡り徒士というその日暮らしから、多賀根藩のお抱えに取り立てられようかと言う大事な時だと言って、おわかを止めた。
本当に自分のことを思ってくれると言うなら、今しばらく待ってくれと言う雄之助の言葉をおわかは信じた。

それから間もなく、雄之助からおわかの呼び出しがあった。
もしかしたら、良い話かもしれないと言って、おわかの同僚もおわかを見送った。
だが、おわかの前に現れたのは、数人の侍だった。
泣き叫ぶおわかだったが、武士たちはおわかを襲った。

そこに雄之助が入ってきた。
「このざまは何だ!今さら、俺の女房って言えるか!」
雄之助はおわかを突き放した。

絶望したおわかは、赤ん坊を抱いて、水面を見つめていた。
履物を脱ぎ、水の中に入っていく。
しかし、死んだのは子供だけで、おわかはああして磔になった。
「今のあたしたちにできることは、おわかちゃんのために泣いてやることぐらい」と仲間は泣いた。

お吉はその足で、清兵衛のところに行き、この雄之助を痛めつけてやらないことには気がすまないと言った。
それでどうしろと言うのだ、と言われ、お吉は腹が立たないのかと怒るが、清兵衛は腹は立つが、頼み人がいなければダメだと言う。
お吉は自分が頼み人になると言うが、清兵衛は自分たちの仕事は情に溺れたら、取り返しがつかなくなると断る。
自分たちの仕事に、やり直しはきかないのだ。

その頃、おすえが仲居をしている店に雄之助がやってきた。
仲間が大丈夫かと気にかけるが、おすえは会いに行く。
部屋には雄之助がいたが、「話ならここで」とおすえは廊下で座った。

おわかがあんなことになったとおすえは言うが、雄之助はおわかに騙されていたのは、自分だと言う。
雄之助は、おわかが男にだらしなかったと言う。
そのことでずいぶん、おすえにもつらい思いをさせたので、謝りに来たと言う。

「おめえに苦労ばっかりかけて、すまねえ。多賀根藩に正式にお抱えになりゃ、もうこんな苦労はさせねえよ」。
「じゃあ、信一郎のことは?」
「酌ぐらいしてくれよ」と言って、雄之助はおすえを部屋に入れる。
おすえが捨てた信一郎が不憫だと言うと、雄之助は「俺はガキは嫌いなんだ」と言って、おすえを押し倒す。

やがて矢崎はおすえに博打ですってしまったので、10両ばかり都合してくれと言う。
前借りも半年分してしまっていると、おすえが言うと、雄之助は「じゃあ岡場所にでも身を沈めるか」と言った。
「あんたって人は…」。

その頃、平内は乳を提供してくれる女たちを連れて、文十郎の家に向かうところだった。
文十郎の家では、赤ん坊が激しく泣いていた。
家の玄関では、じっとおすえが見ている。
赤ん坊が泣き止まないので、「一体どうしたんだろうねえ」とお吉が困っている。

おすえが戸を開けると、後ろ向きのまま文十郎が「平さんかい?」と言う。
返事がないので、文十郎が顔をあげ、おすえを見て近寄ってくる。
「おめえさんは?」
おすえは泣きそうになりながら、「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」と頭を下げる。

「おめえさんが、あの子の?」
「堪忍してください」。
おすえがお吉から赤ん坊を受け取り、乳を飲ませる。
「ほんとに、ご迷惑を…、ありがとうございます」。

平内が女将さんたちを連れてやってくるが、文十郎が母親が現れたと言う。
身支度をするおすえだったが、お吉の表情は硬かった。
おすえが礼を言って、子供を返してほしいと頼んだが、お吉は「あたしゃ、やだよ」と言う。
「はっきり言うけどね、犬や猫の子じゃあるまいし、自分の子を捨てるような薄情なことしておいて、また返してくれはないだろう?」

例えわずかな間でも、自分が生んだようにかわいくて、親が来ても返してやるものかと決めていたのだ。
「お吉、この人の身にもなってやれよ。こんなかわいい子を捨てるには、よくよくのわけがあったに違いねえ」。
「俺もそう思うよ」と平内が言うと、利吉に「平内さん、あなたにそれを言う資格はあるんですか」と言われ、頭をかいた。
おすえは「身勝手な言い草だとお思いでしょうが」とひたすら、涙ながらに頭を下げる。

赤ん坊の小さな手を見て、お吉が微笑む。
おすえは子供を抱き、外に出ると深く礼をしながら、去っていく。
文十郎と平内も頭を下げ、お吉も頭を下げる。

しのがおもちゃを持って帰って来るが、利吉が赤ん坊はもう、母親が連れて行ってしまったと言う。
がっかりするしのに、いつでも赤ん坊は作ってあげると言うと、文十郎が奥から顔を出し「おめえ今何か言ったかい?」と言う。
「い、いいえ、何も」と利吉が焦る。

その夜、おすえの家に雄之助が来て、金はできたかと聞く。
おすえは何とか無理を言って、3か月分の給金を前借りしてきた。
だが、雄之助はそれだけでは友達に会わせる顔がないと言った。

まだ隠しているだろう、出せ!と迫る雄之助は寝ている赤ん坊を見て、「てめえ、俺があれだけガキは嫌いだと言ったのに」と激怒した。
おすえを蹴り、雄之助は箪笥の引き出しをを次々に開くと財布を持って外に出て行った。
泣いているおすえの前に、1人の老人が「いきなり驚かせてすまんねえ。ひでえことをしやがって」と言って立っていた。

老人はおわかの父親・清造で、孫ができたと頼りがあったので、母親と共に越後から3ヶ月かけておわかを訪ねてきた。
「そうしたら、娘も孫も…、こともあろうに、おわかは罪人として…」。
母親は心臓がおかしくなり、そのまま息を引き取った。

全ての経緯は、おわかがいた髪結いで聞いた。
せめて娘の無念をと、清造は雄之助をつけていた。
そしておすえがされたようなことを、娘がされていたと思うと、たまらなくなったのだ。
清造は赤ん坊を見て微笑むと、おすえもおわかの二の舞になると言って、「わしと一緒に行かんか?」と言う。

博打場にいる雄之助を清造は呼び出し、娘と孫の恨みを晴らしてやると言って匕首を向けた。
だが雄之助はアッサリとかわすと、「どうした?」とやってきた友人たちに「この老いぼれが俺の命をほしいんだとよ」と教える。
清造は雄之助と、雄之助の友人3人に袋叩きにあってしまう。

清兵衛のところに清造がやってきて、娘と娘のように雄之助に苦しめられた女性たちの恨みを晴らしてやってほしいと頼んだ。
まだ顔に痛々しい傷の跡が残る清造を見て、清兵衛は「わかりました。この話はあっしもまんざら知らねえ話じゃねえんで、実を言うとお待ちしていたと言ったほうが。恨みは必ず、お晴らししましょう」と言った。
「ありがとうごぜえます」。

平内は「今の話を聞いて、俺も身につまされたよ」と言う。
清兵衛は「お孫さんのみやげが、こんなことになろうとはな」と言って、お金を2人の前に出した。
利吉に雄之助の身辺を探るように指示した。

その頃、雄之助はまた、貢がせていた他の女性に子供ができたようだとうれしそうに報告された。
うれしそうに所帯を持つのだからいいでしょうと言う女性に、雄之助は口では承知したと言った。
その後、仲間が来て、雄之助の身辺を嗅ぎまわっている男がいると教える。
影から利吉を見た2人は、奉行所のものではなさそうだと言ったが、誰が雄之助を探っているのだろう。

友人はもしかしたらおすえが誰かを頼んで…、と言うので、雄之助は「はっきりさせてやる」とつぶやいた。
博打場で龍を見た雄之助は、龍の後をつける。
尾行に気づいた龍が走り、あわてて雄之助達が追うと龍が「何の用だ」と言って現れる。

雄之助の刀をよけた龍に「なかなかやるな」と言って、「矢崎雄之助と言う者だ。おまえさん、何か裏稼業をやっている人だと聞いたもんでね。だったら頼みがある」と話を持ちかけた。
「いくら出す?」
「5両だ。いや、7両、10両出す。誰か俺を狙っている奴がいる。そいつを突き止めて殺してくれ」。

その頃、おすえは前金で20両、雄之助に払った金で売られようとしていた。
おすえは、あの人は亭主じゃないと拒否しようとした。
清造が割って入り、金は払うと言ったが、おすえは百両で売られることになっていると友人たちが連れて行こうとする。
子供を抱きかかえたおすえが連れ出される時、友人たちの頬をいきなりはたいて、平内が現れる。

刀を抜こうとした男の手も抑え、思い切り張り飛ばす。
恐れをなした女郎屋の男に平内は、「銭だったらその連中から取り戻しな!」と怒鳴る。
逃げていく男に「おいおい!忘れもんだ!2人とも連れて行け」と言うと、男は怒って雄之助の友人たちをつまみ出す。
泣いている赤ん坊に「おじちゃんの顔、忘れちゃったか?」と言って、あやす。

同じ頃、龍がどうしても頼みたいことがあるといって、清兵衛を訪ねてきていた。
「すみませんが、そちらでお待ちを」と利吉が取り次ごうとした時だった。
龍の挙げた手に、利吉がハッとする。

清兵衛の横に控えた利吉が、立ち上がろうとすると龍が「ガタガタしなさんな」と言う。
「清兵衛さん。この前、挨拶に伺ったんだが、あいにくお留守でね」。
「そうですか、そいつはとんだ失礼を。お前さんが一匹狼を気取っている裏の助け人でしたか」と清兵衛は笑った。
「俺は裏の稼業であんたの命を貰いに来たんだ」。

面を彫っていた清兵衛が、ノミを手にする。
清兵衛の背中を見ながら、龍が構える。
背中を向け、ノミを手に清兵衛は動かない。
全身全霊を集中させ、龍が構える。

どちらも動かない。
清兵衛の彫った木屑が、ちらちらと落ちる。
龍の足元に、汗が落ちる。

やがて、龍が構えを解いた。
同時に清兵衛のノミが、面を砕いた。
その音に、傍らで立ち上がりかけたまま固まっていた利吉が腰を抜かす。
「どうしなすった」。

龍は座り込むと、「間違いなく、あんたの命をとることができる。だが俺も生きちゃいねえ。あんたのそのノミでな」と言った。
清兵衛は笑うと、文十郎と平内が現れる。
「裏の仕事を知られたからには、このまま、生かして帰すわけにはいかねえんだよ。事と次第によっちゃあ、人様の命を頂戴しなくちゃならねえ仕事なんだ。万が一にも間違えは許されねえんだよ」。
「じゃあ、どうすりゃいいんだ」。

「どうでえ。俺たちの仲間に入らないか。仲間なら殺すわけにもいかねえんでね」。
文十郎と平内が、龍を見下ろす。
清兵衛は黙っていた。

龍が顔を上げる。
口元にわずかに笑みが浮かぶ。
「わかったよ」。

3人が夜の町を行く。
「おう、俺たちをどこまで連れて行くんだよ」と言う平内に龍が「黙ってついてきな」と言う。
文十郎が文句を言う平内に「ガキの言うことだ。勘弁してやれ」と言う。

「ちっくしょう、あの雄之助のやろう。こいつでどこを突いてやろうか。喉か、首か」と平内が言うと龍が「あの野郎は、俺がやる」と言った。
「何だとう。おめえ、戌年じゃねえだろうな。申年の俺とはどうも馬があわねえみたいだ」。
文十郎も「おうい、はっきり断っとくがな。余計な手出しはするんじゃねえぞ」と言う。

前を見たまま、龍が口を開く。
その顔は静かな怒りに満ちている。
「俺は…、捨て子なんだ!」

文十郎と平内の足が止まる。
「平さん、雄之助の始末は龍にまかせるか」。
「ああ。思う存分やんな」。
龍は口を真一文字に結んで、歩く。

雄之助と友人たちは、芝居小屋で女たちと遊んでいる。
龍が現れる。
女と遊んでいて気配に気づいた雄之助が「誰だ」と言って刀を手にする。
龍がそっと、下駄を脱ぐ。

振り回した刀が暖簾を斬り、龍の顔が見える。
「何だお前さんかい」。
龍がかすかに笑う。
「仕事は済んだのか?」

「いや、まだ残ってる」。
「え?」
「お前さんをやることになった」。
「何い!」

矢崎が刀を払い、龍が宙を飛んで避けた。
刀はそのまま、女性に当たる。
女が悲鳴をあげた。
それぞれ、女の肩を抱いていた雄之助の友人たちが、悲鳴を聞きつける。

駆けつける3人の前に三味線の音が響き、横から芝居に使う猪が仲間の前に立ちふさがる。
背後からは、獅子が現れる。
猪と獅子に友人たちが挟みうちにあう。
友人たちは怯え、刀を突き出す。

猪の被り物を取ると、文十郎が現れる。
背後の獅子の口から、紫煙が洩れる。
獅子の被り物を外し、平内が現れる。
「貴様ら、何者だ!」

「助け人だよ」。
文十郎が言い、平内がタバコを吸いながら、針を出す。
「おめえさんたちは邪魔なんだ。消えてもらうよ」と文十郎が言う。
「何!」

文十郎は斬りかかってきた1人をあっという間にかわして抑えると、兜割りを刺す。
後ろからかかってきた1人を、左手の刀で斬る。
「貴様!」
平内が残る1人の刃をかわし、押さえつけて獅子の面をかぶせる。
獅子の面の上から平内が男の脳天を刺し、獅子の口の中で男が悶絶ずる。

雄之助が龍を追ってくる。
龍は大きくジャンプすると、刀を持った雄之助の手を叩く。
雄之助を背後から羽交い絞めにすると、頭の上に担ぎ上げ、回転する。
そして、そのまま後ろに倒れる。

グキッという音がして、雄之助は口から血を流して動かなくなる。
文十郎と平内が見ている。
龍の元にやってくると、文十郎はそのまますれ違った。
平内が龍に、下駄を渡してやる。
芝居小屋の錦絵が、恨みの形相で血を流している。

翌朝、清造はおすえが抱いた赤ん坊におもちゃを見せながら、あやしていた。
「しんちゃん」。
おすえと清造はふと、後ろを振り返る。
幸せそうなおすえと、清造は江戸を離れていく。



前半は、子供に情がわいたお吉が、おわかについて調べる。
お吉メインかと思いました。
子供の泣く声に反応したおわかの表情と態度に、何かの間違いだと叫ぶお吉。
そんなことができるわけがない、できたら鬼だと言う言葉に、今の社会が重なり、複雑な思いがしました。

雄之助は不安定な身分だということで、親の代からそうだったのか。
だとしたら、生い立ちは何も語られないけど、あそこまで子供を嫌うことから、何か幼年時代にあったのか。
あそこまで女性と子供にひどい仕打ちをする、その人格はどうやって形成されたのかと思います。

それがもてるっていうのが、よくわからない…。
私には、雄之助の魅力がわからない…。
でももてなきゃ、話は成り立たない…。

おわかの無惨な最期に対し、何もお咎めがない元凶の雄之助に怒ったお吉は自分が頼み人になると言いだす。
ここで清兵衛が諭す。
頼み人がいないので、雄之助はどうにもできない。
情に流れたお吉が、頼み人になってもいけない。

「人様の命を頂戴することもあるんだから、万が一にも間違いは許されない」。
今回は2回、お吉とそれから龍にも信念を語りました。
それだけ、肉体的にも精神的にも、危うい仕事なんですね。

赤座美代子さんが、2回目のゲスト。
今回は最後、幸せになりました!
良かった!

そして、龍が仲間入り。
前回、清兵衛に会えなかった龍は、ちょっとだけ知らないうちにわずかな不信感というか、薄い反感を持っていたみたいです。
対決は、どちらも動けない。

空気が張り詰め、神経が研ぎ澄まされる。
清兵衛も、龍も、利吉も誰も動けない。
影から文さんと平さんも見ていたんですね。

龍が諦め、力が入っていた清兵衛さんのノミが面を砕く。
利吉が腰を抜かす。
緊張感溢れる場面でした。

龍を悪い男ではないと見抜いた清兵衛が、仲間入りを勧める。
清兵衛を元締めの器と認めた龍も、仲間に入る。
3人の助け人が歩き、どうも気に入らない平内になだめる文十郎。
それでもしっかり釘を刺した時、龍が固い表情で言う。

「俺は捨て子なんだ!」
この一言、表情に、同じような子供を作らせた雄之助への怒りが伝わってきます。
龍の怒りと、哀しい生い立ちを感じた文十郎と平内は、「思う存分やんな」と言って譲ってくれる。

場所が芝居小屋なだけに、被り物で現れる文十郎と平内。
獅子の被り物を被された男が、平内に刺されて悶絶するのが、獅子の口から見える。
龍は雄之助を担ぎ上げ、振り回し、トドメを刺す。
この時、雄之助の新しい女性が斬られているところが、かわいそう。

血を流している雄之助を、まるで見下ろすような血を流す錦絵。
おわかの恨み、怨念を感じます。
龍を理解した平内が仲間として認めたサインが、龍の下駄を渡してやること。

江戸を去って、おそらく清造の田舎に行く3人。
その姿は誰が見ても、祖父と娘と孫に見える。
きっと田舎で、幸せに暮らすことでしょう。

お吉の赤ん坊に見せる情、おすえに見せる意地。
平内が、おすえ親子を守ってやる様子。
文十郎の赤ん坊を抱っこした奮闘振り。
助け人の人情も、見ていてうれしい回です。


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2012.04.04 / Top↑
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