「新・座頭市III」17話「この子誰の子」も、市が子供と交流する。


庄屋の葬儀の席に現れ、死んだ亭主の隠し子だと言っては手切れ金を受け取る女。
だが、それは詐欺であった。
この女と幼い息子には、ろくでもない男が付きまとっていた。
男と一緒になる約束を捨てきれず、母親は言われるままにお金を詐欺で稼ぎ続ける。

母親は、藤村志保さん。
ここではすごい汚れ役ですが、どこか品が良い。
男は、蟹江敬三さん!
若い!

しかし、この親子と市が道連れになる。
やがて母親は詐欺に失敗し、番屋に突き出される。
それを見た男はかばうどころか、「バカ」と舌打ちする。
幼い子は、番屋の前の暗がりでいつまでも待ち続ける。

屋台で蕎麦を食べていた市は、オヤジに「まだ子供はいますか」と聞く。
「いますよ、何でしょうかねえ」とオヤジが言う。
市は子供に、蕎麦を持っていってやる。

「おっかちゃんに、叱られたのかい?」
「ううん、おっかちゃんが叱られてるんだ」。
何てしっかりした子供。

母親と子供と市がいるところに、男がやってくる。
男は母親に、何もしてくれなかったことをなじられ、子供に追い出される。
だが、男は子供を引っぱたき、怒った母親を廊下に引きずり出す。
子供は怒り、男から母親を救いに行こうとするのを、市が押し留める。

廊下に出た市が、男に言う。
葬式で稼ごうというぐらい、頭がいいんだから、今夜はここで引き上げたほうがいい。
しかし男は手をあげ、市にぶちのめされる。
たまには悪い血を流して、綺麗にしたほうがいい。

子供は市に懐き、2人が連れ立って歩いているところに、ヤクザが市を狙って斬りかかってくる。
あっという間に、ヤクザたちは斬り伏せられた。
子供がそれを見て、自分もブンブンと棒を振り回しているのがかわいい。
市の腕を見た男は、やがて相棒から市に百両の賞金がかかっていることを聞く。

強い市に毒を盛ることを考えた男は、相棒に毒を持って見て、その威力を確かめる。
「こりゃ効くなー」って、蟹江さん。
男は、地元のヤクザに賞金首の市のことを知らせる。
市に女房を取られたので、自分も市を恨んでいると言い訳をする。

やがて、女は不実な男と別れ、故郷に帰ることを決心した。
ずっとずっと、葬式詐欺の片棒を担いできたのだろう。
眠っている子の頭に市が手をやっただけで、眠りながらも泣き声をあげるようになっている。
そんな子供にしてしまって…。

だが、親子と市がいる宿屋に男が現れ、市に酒を勧める。
女と子供は、無言で男を無視している。
男は、市に毒の入った酒を飲ませたとほくそえむ。
しかし市が飲んだと思った毒の酒は、市の徳利を避けて飲んだはずの自分の酒だった。

「そっちは甘口ですよ」と、とぼけて言う市がおかしい。
表に潜む男たちの気配を感じて、「誰かいますね?」とも言う。
「誰もいませんよ」と答える男。

「甘口がいいですね」と言って飲んで、「あれ?」と杯を落とす。
自分の間違いに気がついた怖ろしい場面なのに、おかしい。
「ま、ちがえたあぁ…」。

腰を抜かし、「水」「水」とつぶやきながら男は井戸まで這って行く。
その闇の中、ヤクザたちが姿を現す。
市は障子を閉め、女は子供を抱きしめる。

仕込み杖がうなると、障子が斜めに真っ二つとなる。
ものすごい迫力。
次々、市に襲い掛かるヤクザたちだが、市は一瞬で仕留めて行く。

この乱闘の最中、ひたすら水を求めて男がもがいているのが、悲惨やらおかしいやら。
女は子供が市の側に行こうとするのを止めるが、子供は母親を突き飛ばして外に走る。
母親の手を抜け出した子供は、市が杖を振るう背後に回り、市の手をギュッと握る。
市もまた、子供の手を握り返す。

母親の目から涙がこぼれる。
子供は自分のような弱い、だらしない女より、戦う市に共感したのだ。
自分が振り切れなかった男は、水を求めて無惨にもがいていた。
情けない男、情けない自分。

ついに親分が、市に斬られる。
倒れる間際、子供は親分を棒で引っぱたく。
親分は「痛てえなあ」と言って、倒れる。

この親分が、江幡高志さん。
男から市のことを聞いている時、むぐむぐとまんじゅうを頬張っている姿が不気味な迫力。
何気ない仕草なのに、残忍さが潜む。

小柄な姿が迫力。
しかし、倒れる時はどこかおかしい。
名演技!
江幡さーん、まだまだお元気でいてくださいねー!

翌朝、いなくなった市を追って親子が街道を走ってくる。
だが市は見えない。
子供は母親に「俺についてくれば大丈夫だよ」と言って、励ます。
市に勇気をもらったのだ。

前からしっかりした子供だったが、その姿は母親を引っ張っていく立派な男の姿だった。
近くの草むらに寝転んでいた市だが、もう親子の前に姿は現さない。
やがて、親子はしっかりと手を握り合い、歩いていく。
親子が見えなくなると、市は立ち上がり、反対の方向へ歩いていく。

蟹江さんと江幡さんの、どこか抜けたコミカルな悪役、最高!
次回は子供ではなく、市は犬と交流するという。
子供、犬。
市を怖いとは思わないで懐けるのは、市の優しい本質を感じ取れる純朴な者だけらしい。


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2012.04.17 / Top↑
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