第4話、「仕留めて候」。


北町奉行所に新しい奉行・稲葉山城守が就任し、50名いる北町同心の中から無能とされる10名を休職処分にすることが決まった。
みな、戦々恐々としているが、主水は皆から、休職処分になるものと思われていた。
居心地が悪くなった主水は厠へ行くが、先に入っているものがいた。
思わず主水がせかすと、中から新任の奉行・山城守が出て来て、主水は思わず土下座してしまう。

手ぬぐい代わりに自分の袖まで差し出して、アピールした主水だったが、やがて10名の名前が貼り出される。
定年まであとわずかの同心・庄内三郎兵衛は何とか首が繋がったと言うが、発表された10名の中に主水の名前があった。
せんとりつは金策に走り、与力の諸岡に賄賂を贈って、何とか主水の休職処分を取り消してもらった。
主水の代わりに三郎兵衛が休職処分となり、その理由は主水と間違えたということになった。

その夜、浪人狩りが行われ、捕り物で貢の住む長屋も騒然となる。
貢の家に追われた青年が飛び込んでくるが、貢は刀を向けられても平然と「人は呼ばないから、出て行ってくれ」と言う。
だが青年は倒れ、貢が見ると足に傷を負っていた。
貢は傷口を消毒し、さらしをまいて出血を止めてやると、青年は礼を言って飛び出して行った。

その青年が庄内三郎兵衛の息子・誠一郎で、良心が咎めた主水が三郎兵衛を訪ねた時に家に戻ってきた。
三郎兵衛は養子で、誠一郎は小さい時から姑や妻にやりこめられている父を軽蔑し、今はほとんど家に寄り付かないのだった。
誠一郎に三郎兵衛は、懸命に声をかけているのを、主水は見ていた。

江戸中で、廻船問屋が次々と抜け荷の罪で捕えられ、死罪となっていた。
廻船問屋・白銀屋赤兵衛も捕えられたが、処刑寸前、山城守が中止させた。
山城守は無実を訴え続ける白金屋に、牢内でご禁制の贅沢品を扱う約束をさせ、釈放した。
娘のおえいの元に白銀屋は返されたが、父の無実を信じて待っていたおえいを見た山城守は、今度は娘を屋敷で行儀見習いをさせるように言う。

次々、無実の罪で廻船問屋を潰し、白銀屋だけ残したのは山城守と与力・諸岡の陰謀だった。
その白銀屋も、山城守によって処刑を免れ、おまけに娘を人質に取られた形となっては言うなりになるしかない。
全てを見ていた主水は仕留人たちにこのことを告げた。

娘をうまく取り戻せば、白銀屋は10両は出すのではないか。
主水が金を立て替えるからと、山城守殺しの話を持ちかける。
だが貢は「相手が悪いよ」と去っていく。

主水は「けっ、まだあの野郎、気取りが抜けねえな」と言うが、他の誰も乗ってこない。
家に戻った貢の前に、昨夜の青年・誠一郎が現れる。
誠一郎は名乗り、貢の手当てのおかげで、この通りと治ったとアピールする。
薬を飲んでいたあやに、うなぎの蒲焼きを持って来た、「俺の気持ちなんだ」と渡す。

その夜、屋敷に奉公していたおえいを山城守が手篭めにしてしまう。
翌日、白銀屋はご禁制の品を届けに来た。
罪を犯す恐ろしさに白銀屋は店の看板を下ろすつもりだと言って、お役御免を願い、おえいを返してくれと頼む。
だが、山城守はおえいを通じて、白銀屋とは縁続きになったと言う。

白銀屋は拒否し切れなかった。
だが白銀屋に不安を覚えた山城守は、浪人たちを使って白銀屋を消すことを考えた。
山城守は白銀屋に持ってこさせた贅沢品を賄賂として、若年寄、老中となることを狙っているのだ。
諸岡は、その山城守についていくことにしていた。

芝居小屋で三味線を弾く貢のもとに、誠一郎がやってきた。
「家はないのか」と聞かれ、「帰りたくない」と言う誠一郎に貢は「家へは帰った方がいいぞ」と言う。
自分のことを気にしてくれると懐いた誠一郎だが、貢は「迷惑だ」と言う。

誠一郎は、貢は奉行所に後ろめたいところがあるのだろうと、言った。
あの傷の手当てをしてくれた腕前から、一度は蘭学を志した誠一郎は、貢が蘭学の心得があると見抜いたのだ。
貢の目が、鋭く光る。

それに気づいた誠一郎が「邪魔なら帰るよ。でも…、また遊びに来たっていいだろう」と言う。
「2度と来るな」。
誠一郎は口を尖らして出て行く。
おみつが「なあに、あの人」と聞くと、貢は「うん」と三味線を弾きながら口ごもる。

誠一郎は浪人の集団に戻ったが、その時、諸岡が来て、白銀屋を殺す依頼をした。
諸岡の正体を知っていると言って、誠一郎は金をもっと出させる。
今夜の見張りはマヌケが一人と言われた、誠一郎たちは白銀屋に忍び込む。

見張りは主水だった。
だが、誠一郎たちが押し込むと、既に白銀屋は首を吊って自殺していた。
驚く誠一郎たちの前に主水が現れ、取り押さえようとして誠一郎の覆面をはがした。

「おめえ、庄内さんの!」
主水は三郎兵衛のもとに、誠一郎を連れて行く。
三郎兵衛は喜ぶが、誠一郎はすぐに出て行こうとした。
主水が無言のうちに押し留めるが、誠一郎はふがいない、事なかれ主義の父親と一緒にいるのは嫌だと言う。

誠一郎は三郎兵衛に、自分を奉行所に突き出してみろと言った。
今夜、誠一郎は、白銀屋を殺しに行ったのだが、白銀屋は既に首を吊っていたと言う。
その依頼をしたのは、父の上役の諸岡だと言った。
「まったく奉行所は良くできてるよな!」と言うと、誠一郎は出て行く。

聞いていた主水は「余計なことをしてしまったようですな」と言う。
三郎兵衛は、いくじのない、汚い自分に愛想が尽きたと言った。
息子に一度でもキッパリとした父親であるところを見せてやろうと、三郎兵衛は決心する。
そうしなければ、今そうしなければ、誠一郎はダメになってしまう。

翌日、休職処分の三郎兵衛は奉行所に出所し、諸岡の所業を山城守に訴え出た。
自分の処分も覚悟の三郎兵衛を、山城守は「良い部下を持った」と褒めちぎり、諸岡の処分を約束する。
廊下で山城守にすがった諸岡を山城守は殴り、「私の前に顔が出せるようにして来い」と言い渡す。
三郎兵衛は山城守の器の大きさを、さすがお奉行様だと心酔しながら、このことを誠一郎に知らせようと、浅草の町を息子を探して回る。

浪人たちが集まってところに諸岡が来て、仕事を依頼した。
諸岡が見たところによると、誠一郎がいない。
誠一郎の居場所を諸岡が尋ねると、仲間は「市松座だ」と答えた。
それは、貢のいる小屋だった。

町を歩いていた三郎兵衛は、市松座を出てきた誠一郎を見つけ、神社に連れて行く。
そして、誠一郎に言われて、自分の意思で動いたと言う。
諸岡の悪事を知ってはいたが、自分も賄賂を貰っていたと打ち明けた。

だから、諸岡の所業に口をつぐんでいたが、今日は諸岡を告発したと告げる。
「恥かしいことだが…。だが勇気を出して、全てお奉行様に」と言った時、三郎兵衛が「あっ」と声をあげた。
数人の浪人がやってきて、三郎兵衛に斬りかかった。

「何をするんだ!」と言った誠一郎に仲間は、「だってお前、いつもの侍が」と口走る。
虫の息の三郎兵衛が、誠一郎を呼ぶ。
誠一郎が「親父!」と駆け寄る。

「親父?!」
それを見た浪人たちは、驚いて逃げて行った。
「親父!しっかりするんだ!」と駆け寄る誠一郎に三郎兵衛は金を懐から出した。

「これ、これは汚い金だが、お前が綺麗に使ってくれ」。
「そんな、親父!一緒に家に帰ろう。なあ、一緒に暮らそう」。
誠一郎の言葉に三郎兵衛が笑顔になるが、次の瞬間、三郎兵衛は息を引き取った。
「親父!」と誠一郎の慟哭が響く。

三郎兵衛を背負って帰りながら、誠一郎は諸岡と山城守がグルだったと察する。
家に戻った誠一郎は「親父、すぐ布団敷いてやるからな」と三郎兵衛を横たえ、行灯に灯りを点した。
夜勤明けの主水が三郎兵衛の家に行くが、表を諸岡が見張っていた。
三郎兵衛の家に入った主水は、横たわった三郎兵衛を見て驚く。

「庄内さん!」
誠一郎は三郎兵衛に渡された金を見せ、「汚い金だが、綺麗に使ってくれってこの金を。俺にもしものことがあった時は!」と主水に金を託して出て行く。
「待ちなさい!」と主水が止めたが、誠一郎は表に走っていく。
主水は三郎兵衛に手を合わせると、誠一郎を追った。

誠一郎は山城守の屋敷に斬り込んで行った。
しかし、山城守の前で斬り殺された。
主水は門から、全てを見ていた。

翌日、仕留人たちは主水の呼び出しで集まっていたが、主水が来ない。
「遅いねえ」と言うが、主水は諸岡に、後をつけられていた。
飯屋に入る振りをしてうまく撒いて祠にやってきた主水は、諸岡に尾行されていると教える。

「十手持ちが十手持ちにつけられたのか?」
「そんなバカな」と、おきんが叫ぶ。
「何てヘマしやがんでえ。そんなことじゃ、これから先、あんたとは仕事はできねえな」と大吉が言う。
「そうだよ、焼きが回ったね、八丁堀」とおきんは主水を責める。

「そんなことで八丁堀の巻き添えを食ったんじゃ、かなわないよ!」と半次が言う。
半次がそう言って出て行こうとする。
貢は主水の後ろで、黙って見ていた。

主水は「そうかい。じゃ、俺が1人でやらあ!与力やらねえことには、俺が殺されるんだ」と言った。
誠一郎から預かった金を並べながら、「俺だけじゃねえぜ。おめえたちも一蓮托生だ。ま、運よく助かったら率の良い仕留め仕事でも探すんだな」と言う。
半次が、金を前に目を丸くする。
小判が一枚、落ちたのを、半次が拾う。

その時、「来た…!」と、おきんが諸岡が表を歩いてくるのを見て言う。
主水の後ろに、貢と大吉がいる。
「俺を見捨ててってもいいんだぜ」。

大吉が動き、貢が動く。
窓を見た大吉は、「おい、段々近づいてくるぜ」と言う。
貢が主水を凝視する。

半次とおきんが、並べられた金を取る。
続いて身を伏せた大吉が、金を取る。
半次がおきんの手を取り、仕留人たちが散っていく。
主水と貢も身を伏せる。

貢が主水が握り締めている小判を手から、一枚、抜く。
主水がそれを見て、ニヤリと笑う。
貢が主水を見て、うなづく。

諸岡が祠とは別の方向をキョロキョロと見ているのを見て、半次、おきん、貢、そして主水が祠を出る。
大吉を残し、4人が出て行く。
祠に諸岡が気づく。

諸岡が小屋に近づいて来た時、大吉が胡桃を鳴らす。
異様な音に諸岡が中をのぞく。
大吉が影に身を潜め、もう一度胡桃を鳴らす。

諸岡が走って、大吉が胡桃を鳴らした方向から覗き込む。
身をかがめたまま、大吉が反対方向に走る。
大吉が胡桃を砕き、壁に近づく。
諸岡の前の壁が割れ、大吉の手が伸びてくる。

ハッとした諸岡の心臓をつかみ、手を抜いて大吉が去る。
表で諸岡が倒れ、誰かの「心の臓の発作だ。これはもう、ダメだ」という声がする。
「心の臓が止まってるぞ」と騒ぎになる中、大吉が諸岡を振り返りながら離れる。

主水が貢を捕えて、奉行所に帰って来る。
門番が「また小者ですかい」とつぶやく。
奉行所では異人専門の奉行所ができるんじゃないか、ともっぱらの噂だった。

主水は聞きかじった異人の言葉を「カメラに、カステイラに、シガーレットですか」と言うと、同心仲間は「人は見かけによらんもんだな」と寄ってくる。
異人の間では夫より妻がえらいらしい、などと異人の話に花が咲く。
主水は異人の夫婦について語り始めた時、廊下を奉行が歩いて厠に向かう。
それを見た主水は同心たちを集め、話はヒソヒソ話に変わっていく。

厠で山城守は「いよいよ運が向いてきたぞ。これで思う存分、腕を振るえる」と、ほくそ笑み、鼻歌を歌う。
その時、どこからか三味線の音が聞こえて来る。
山城守は不思議そうに辺りを見回す。

三味線の音が止まる。
「幻聴か」。
貢がバチを構える。
バチから刃を出す。

だが厠の下では、貢がバチを構えていた。
バチの刃が光り、山城守の顔に反射する。
怪訝そうな顔をする山城守だが、次の瞬間、貢が飛び上がり、山城守の喉から額までを一気に切り裂く。
山城守が悲鳴をあげたその時、部屋では主水の話に集まった同心たちが大爆笑していた。

その声にかき消され、山城守の悲鳴は聞こえない。
貢はそのまま、山城守を引きずり込む。
1人の同心が山城守を探しに来たが、誰も見ていないと答える。
厠にもおられぬと言う声を聞いた主水が、密かに笑う。

奉行所の表では、半次とおきんが夫婦喧嘩を派手にやらかしていた。
仲裁に入った主水が半次を殴り飛ばすと、おきんが「何しやがんでえ!」と主水に飛び掛る。
主水が「女の分際で!」と、おきんを引っぱたくと、今度は半次が主水に殴りかかる。

おきんが主水の背中に乗って、大騒ぎになる。
訴えを待っている人々も、大ゲンカを見物している。
他の同心たちが飛んで来て、騒ぎを収めようとしている中、貢は奉行所を出て行く。

新しい奉行が来て、主水の首も繋がった。
りつは喜び、主水に着物をねだる。
「悪い世の中になったもんだなあ」と、まんじゅうを頬張りながら、主水がつぶやく。



諸岡の家に話に行くせんを見たりつが、「母上、それはご禁制の」と帯を見て言う。
ご禁制のぜいたく品なのだが、それはせんが一番気に入っている品らしい。
ここでご禁制のぜいたく品という話が出てくる。

貢の家に誠一郎が飛び込んでくる際、物音がして貢が「誰です」と言う。
「誰だ!」じゃなくて、「誰です」と礼儀正しく言うところが、貢の性格が出てる。
しかし刀を抜かれても冷静な貢。

どちらかと言うと、誠一郎が気圧されている。
それは殺し屋だし、インテリだし。
さらにちゃんと手当てをしてやると、誠一郎は懐いてしまう。
ご人徳。

主水同様、婿養子で小さくなって暮らしていた三郎兵衛を見ていた息子は知性的で、肝の据わった貢を尊敬してしまう。
貢の家に蒲焼きは持っていく、三味線を弾いている芝居小屋には来る。
この時、貢の蘭学を見抜いた言葉を聞いた時の貢の眼光の鋭さには、誠一郎はさすがに押し黙る。
貢に追い返されて出て行くけど、あれは事件が起きなければまた来ましたね、きっと。

誠一郎たちが白銀屋に押し込む時の、「今夜の夜警はマヌケが一人」って言われるのは、主水のことなんですね。
しかし、主水は誠一郎を捕え、家に連れ帰る。
反抗的な誠一郎は出て行こうとするところを、主水が無言で止める。
主水だって、迫力あるんです。

白銀屋は、北村英三さん。
「仕舞人」や「商売人」では、悪役で印象深い。
京マチ子さんに仕留められる時の表情が、おかしいんですよ~。

三郎兵衛は、加東大介さん。
こちらも悪役をよくやっておられます。
最期に息子さんと和解できて、本当にうれしそうだっただけにかわいそう。

黒幕が奉行で、手先が与力なので、主水も危ない。
その主水のピンチに、半次もおきんも大吉も冷たい。
今回は主水が「一蓮托生」と言っている。
おきんの「来た!」で、場が一気に緊張感に包まれる。

オープニングの音楽が流れる。
このタイミング、この選曲。
ピッタリ!

すると冷たいことを言っていた仕留人たちが、次々と小判を取っていく。
近づく諸岡。
隠れる大吉。
半次がおきんの手を引いて出て行く。

全員の流れるような動きを、上から撮影。
隠れる大吉と、胡桃の音で覗き込む師岡の緊張感ある画。
ドクドクッ、ドクドクッという心拍音が効果的。
倒れた諸岡を囲んで「心の臓の発作だ、これはもうダメだ」と言う声が聞こえますが、外傷がないし、心臓つかまれるなんて考えも及びませんものねー。

主水が貢を連れて奉行所に入る時、門番に「へっ、また小者ですかい」と言われているのが印象的。
門番がそんなこと言っちゃうの?
それほど、主水は侮られてるの?

厠で座っている山城守が鼻歌を歌うと、どこからか三味線の音。
ど、どこから?
なかなか粋で不気味。
「幻聴か」と言う山城守。

貢が暗闇から現れる。
殺しのテーマが流れる。
バチから刃が見える。
刃が光って、山城守の顔に光が反射する。

途端に山城守が切り裂かれるんですが、貢は下から飛び出している。
下から?!
殺す時も、確かにカメラは山城守を下から見上げてるんですが…。
絶叫が主水のバカ話と爆笑に紛れて、聞こえないと言うのがすばらしい。

それで貢は、厠の下に山城守を引きずりこむ。
自分も下がっていく。
後には、わらじだけが残ってる。
ぎょーえー。

そして、バカ話が終わった奉行所では、半次とおきんが大ゲンカを演じている。
主水も交えて、大騒ぎ。
この時、主水も半次も、おきんも、貢に道を空けてやっている。

奉行所を出て行く貢を門番が見ていると、貢は軽く会釈。
まあ、門番もまた勘違いかぐらいの認識なんでしょうね。
貢さん、大変なお仕事でした。
哀しい話なんですけど、前2話と違って、ラストはりつのおねだりと頭を抱える主水で終わり。


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2013.01.26 / Top↑
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