こたつねこカフェ

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お雪さま 「暗闇仕留人」第7話

第7話、「食うて候」。


富士山から真夏に将軍様が食べる雪を運ぶ、「お雪さま」一行が走って行く。
雪が解けないうちに、運ばねばならない。
うっかり道を塞ぐと、一刀の元に無礼討ちとなる。

真夏の江戸はうだるような暑さで、中村家の井戸も枯れ気味。
井戸水さえ、ぬるま湯だ。
せんとりつは、貢があやに暑さは体に悪いだろうと箱根に連れ出したのを羨ましがり、妻思いの貢と主水と比べて嫌味を言う。
主水は梯子段を井戸に垂らし、井戸の中で過ごせばヒンヤリするのではないかと提案して、せんとりつを呆れさせる。

しかし、貢とあやが向かった宿では今夜はお雪の一行が来るということで、湯も沸かせなければ暖かい飯も用意されない。
お雪さまが溶けるというのだ。
部屋に戻ると、あやが役人に部屋から外を見下ろすなと言われたと話す。
貢も外を見ていると、女将があわてて止める。

将軍が夏に食べる雪を運ぶことは貢も知っているが、宿の湯も飯も炊かせないという話は聞いたことがない。
明日からは暑い昼間を避けて、夜に雪を運ぶと言う。
貢たちは冷たい夕食をとる。

しっかり主水はどろぼう市で小銭を稼いでいると、おきんがインチキな西洋の酒を売っていた。
だが、主水がやってくると集まっていた男たちは雲の子を散らすように逃げて行った。
おきんが文句を言っている時、大吉がやってきた。
半次はどこかと聞くと、長崎にネタを探しに行ったと言う。

旅先で半次に会ったという男が、何を間違ったか大吉に会いに来ているのだ。
大吉が同席して、おきんが男に聞いたところによると、男は藤沢宿で宿屋を営んでいた男だった。
藤沢宿の者がどれほど、あのお雪一行に泣かされているか、男は語り始めた。

去年はこの男の宿がお雪一行を泊める番になり、女房が部屋に通した。
その途端、一行の先頭を勤める米谷が屏風が逆さになっていると文句をつけた。
死人の部屋にお雪一行を通したと米谷は怒ったが、それは金と女を差し出すまで難癖をつけて許さない、米谷の手口だった。

女房のお咲は耐え切れず、舌を噛んで死んでしまった。
すると、お雪御用の宿から不浄の死人を出したと言って、男から取れるだけの金を取って行った。
だから男は報復の為に、短筒をここで買おうとしてやってきたのだった。
大吉とおきんは短筒を撃ったこともないのに無理だから、他人を頼んだほうが良いと勧める。

男は家も叩き売ってきた金だと言って、大金を出した。
短筒を手に入れて、米谷とその仲間の石田や山村を殺さなければ、一体何の為にこの1年、生きてきたのかわからない。
30両はあると見たおきんは短筒を売ろうとするが、大吉はおきんを外に連れ出す。

外から話を伺っていた主水は、半次が送ってきた短筒には弾丸がない。
そんなものを売って、万一の事があれば自分たちもタダではすまないと止めた。
しかし、お雪一行があれほどひどいとは思わなかった。
主水はおきんにあの男を何とか口説いて、1人頭10両の仕事にしようと言い、大吉と共にほくそえんだ。

その夜、貢とあやが泊まっている宿が騒がしくなった。
宿泊客の信助とおなつ夫婦の子の信吾が高熱を出したのだ。
貢が診たところ、まずい状態だということがわかる。
灯りをつけてくれと貢が言うと、信助はためらうが、貢の「人の命に関わることじゃありませんか」の言葉で、灯りだけはつけられた。

もしかしたら、胸を病んだかもしれない。
貢は湯を沸かしてほしいと言うが、灯りをつけただけで米谷たちは怒鳴り込んできた。
信助は石田や山村に湯を使わせてほしいと頼むが、お雪が熱気で溶けると米谷は許可しない。

貢はそれぐらいで溶けるなら、もう溶けているはずだと抗議した。
それに、お雪道中の間、灯りも火も使わせないなんて話は聞いたことがない。
しかし、お雪道中は全て、米谷が差配することになっていると言う。

宿の者も、何かあれば宿場全体が咎めを受けると言って、湯を出してくれない。
だが、湯を出す方法がないわけじゃないと、宿の主人は貢にそっと教える。
あの役人たちは口にこそ出さないがハッキリ、金を所望しているのだ。

貢がいかほどかと聞くと、どんなに安くても50両だと言う。
2年前までは、こんなことはなかった。
あの米谷、山村、石田がお雪道中の差配になってから、こんな無体が始まったのだ。

その時、あやが貢を呼びに来た。
子供の熱がひどくなった。
貢は熱さましの薬を渡し、一時ごとに飲ませるよう、そして手足をさするように言い、もう一度頼んでくると部屋を出る。
あやは貢の身の上がわかるのを怖れるが、何かせずにはいられない。

信助とおなつは、米谷に江戸に帰れば必ず金子は用意すると頭を下げた。
米谷は団扇で扇ぎながら、はした金で役目を棒に振るわけには行かないと断る。
命に代えても助けたいとおなつが訴えるが、米谷は命など貰っても何にもならないと言う。
「おなごの身なら、察しもつこう。金も要らぬ、命も要らぬ。その代わり、何を差し出せばよいかは、のう」。

おなつは意を決して米谷の下へ行こうとするが、信助が止める。
自分が何とかしようと言って、待つように指示すると、湯の元へ走る。
止めていた詮を開き、湯が流れ込んでいく。
しかし、その時、おなつは既に米谷の寝所に向かっていた。

湯が流れてくる。
信助は徳利を手に取ると、流れてくる湯を汲もうとした。
宿の者たちは仰天して、「おやめください」と止めた。

山村と石田が飛んで来て、「おのれ!」と信助を斬った。
徳利が落ちて割れ、湯が飛び散る。
貢とあやが宿からそれを見ている。
あやが「あなた」と貢を押し留める。

貢の目が怒りに燃える。
その時、おなつが「あなた、信吾が!信吾が!」と呼ぶ声がした。
しかし、信助は湯を頭に浴びたまま、倒れていた。

結局、信助も信吾も死んでしまった。
おなつは貢のおかげでほんのわずかな間であっても、命を永らえることができたと貢とあやに礼を言う。
でもあの役人たちは人でなしだ。

「鬼のようなことをしながら、何のお咎めもなく済まされるなんて」と、おなつは忍び泣いた。
あやに貢は、おなつにこれ以上不幸なことが起こらないように、江戸まで送ってくれないかと頼んだ。
貢は米谷たちに顔を見られすぎたので、先に1人で出る。

あやに気分が悪くなったらすぐに休むように言って、貢は宿を出る。
夜になり、暑い昼を避けた米谷たちが「出立」と言って宿を出て行く。
おなつが号泣する。

その頃、主水は大吉にお雪を運ぶ箱の仕組みを教えていた。
箱におがくずを詰め、木炭と塩で壁を作り、囲む。
その中に雪を入れ、さらにまた中に箱を作り、その中に将軍が食べる雪を詰める。
あの男は女房の命日があさってだから、その日までにやってくれないと金は払わないと言っているから、主水と大吉は六郷まで出張っていくことにする。

お雪道中は途中で運び手を交代しながら、夜明け前に次の宿まで走る。
その道中を貢が見つめる。
貢は影のように、道中を追っていく。

ひっそりとした昼間の宿場町に貢は到着した。
確かにお雪道中がいることを確かめる。
主水と大吉も、お雪道中を途中で捕えようと出かけていた。

おきんはおきんで、お雪道中を追う男を追いかけながら、金を払うように口説いていた。
だが、男は騙されるのではないかと危惧し、おきんを信用しない。
お雪道中は藤沢宿を出発し、戸塚、保土ヶ谷、神奈川と進んでいく。

夜に川崎に到着した米谷を、影から貢が見つめる。
「お雪、ご到着」の声がして、「灯りを消せ」という声がした。
本陣に着いた米谷を貢が見ていたが、突然肩を叩かれ、バチを抜いて振り向く。

「糸さん」。
そこにいたのは大吉だった。
「何だよ…」。
「何だってこんなところへ?まさか、あの役人どもを」。

「そっちこそ、何だってこんなとこにいるんだい」。
「たぶん、同じ穴の狢だろうぜ」。
大吉によると、お雪道中はしばらく休憩した後、これから渡し場へ行く。

渡し場には案内役に化けた主水がいた。
向こう岸に江戸までの護衛と人足が待ってると言うと、米谷は川崎宿の者は同席は許されないと言って、返した。
船に乗った米谷と山村、石田は笑いあった。
だが、船が出ない。

「どうした、船を出せ!」
「へえい」と低い声がして、胡桃が鳴った。
「船は出ねえぜ」。

山村が刀を抜くと、大吉が押さえつけ、刀を藁に刺す。
米谷と石田が外に逃げ出す。
山村が小刀を抜いて再びかかってくるが、大吉は押さえつけ、心臓をつかむ。

船着場を逃げていく米谷の前に、貢が現れた。
石田は船着場を離れて、川の中を走る。
だが行く手には主水がいた。
主水に向かって斬りかかるが、主水は後ろ手に石田を刺し、さらに前から斬り捨てる。

米谷は船着場を逆に逃げ、貢が追う。
刀を抜いて斬りかかってくるが、貢は抑えた。
米谷が力で貢を突き飛ばし、刀を振り下ろす。

貢はバチで受けた。
バチがバラバラになり、芯の針が残った。
貢は針で刀を受け続けると、米谷の額を刺した。
米谷が川へ落ちる。

頼み人の男が走ってくる。
誰もいない。
男の目には、大吉がこいだ舟が、お雪と主水と貢が乗せて遠ざかっていくのが映った。

翌朝、主水と大吉と貢が待っているところに、おきんが走ってきた。
おきんは撒かれたのと言って涙ぐんだが、主水と大吉は仕事は終わってしまったと怒る。
手を上げて拝む形になったおきんは、箱を見て「何あれ?お雪さん?!」と声をあげた。

大吉がお雪の箱を開けると、雪に包まれて又1つ、箱が見えた。
箱を取り出してあけると、おきんが「わっ」と歓声を上げる。
仕留人たちが手を伸ばし、お雪をさらう。
貢も大吉も主水も、おきんもお雪を手にして食べ始める。

主水が「今度の仕事は、一文にもならなかったなあ」とぼやく。
だがおきんが「だけどさあ、おかげでお雪さんにありつけたじゃない。こりゃ千両の値打ちだよ、将軍の上前はねたんだからね!」と言う。
貢がうなづく。

大吉が「しかし何だな、こいつは蜜かなんかかけたほうがうめえんじゃねえのかな」と言い出す。
貢が「うん、甘く煮たあずきも合うんじゃないかね」と返事をする。
笑った大吉の懐に、おきんが雪を入れると、大吉が冷たさに「わっ」と言って立ち上がろうとする。



「からくり人」では、「佐渡からお中元をどうぞ」で真夏に将軍様が食べるお氷さま道中が描かれます。
ここで描かれるのは、真夏に将軍様が食べる雪のお雪さま道中。
冷凍技術がない時代に氷だの雪だのを食べる、真夏の最上級の贅沢ですね。
貢が避暑に向かった箱根で、その為の悲劇が起きる。

まず、この宿屋にお雪が到着すると言うことで、火が使えない。
だからご飯も冷たいし、おかずも冷たいし、お茶まで冷たい。
貢がひどいことになっちゃったとあやに謝り、あやはしかたありませんわと言うけど、これが主水だったら…。
せんとりつに、とんでもなく怒られることでしょう。

そして、泊り客の子供が病気になる。
蘭学者らしく、貢が病状を診てやる。
薬をやる。
しかし、灯りもともせない中では、湯も起こせず、どうにもできない。

やがて事態は、最悪の結末を迎える。
さらに夫まで斬り殺される。
バカンスの悲劇は、いつの時代でも悲惨で哀しい。

おなつにこれ以上、悲劇が起こらないよう、貢があやと一緒に帰す。
それは貢がお雪道中を追う為に、あやを返す理由でもあった。
相手はスピードが命で夏の街道を突っ走るので、貢は当然、裏道を行ってるんでしょうね。

この貢の追跡と、江戸で3人で仕事をしてたんまり儲けようとたくらんだ主水と大吉の道中が重なる展開が見事。
お雪を運ぶ荷車の車が回り、地図が進んでいく演出。
そこに流れる、仕留人のオープニングのBGM。
上手い演出。

お雪道中の後をつける貢は、まるで狼が得物を付け狙ってついていくよう。
裏稼業の人らしくない貢だけど、目の当たりにした役人の横暴が許せない。
だから殺意を持ってつける。
そこが既に、普通の人の感覚ではない。

だけど自分を、高野長英を思った権力側のああいう人間は、貢も恨んでいるからかもしれない。
しかし、主水と大吉は仕事だけど、貢は私情で追っている。
おなつが頼んだわけじゃない。
ここがまだ、徹底した裏の人間じゃないところ。

おきんが珍しく、依頼人から金をとりはぐれる。
大吉が船をこいでいたから、大吉の顔は見えなくて、大吉だということはわからなかっただろう。
復讐しようとしたら相手は殺されていた。
顔を上げると、お雪を乗せて船が離れていく。

そこのは役人の姿をした男と、黒ずくめで笠を目深にかぶった男が並んで、夜の川を遠ざかっていく。
これを見たら、得体の知れない怖さを感じませんでしたかねえ。
プロの殺し屋とは、こういう風に見事に人を殺すものなんだと。
お金払わなくておきんから逃げてきたけど、これ、相手が殺されてるのを見たら、怖くないだろうか。

仕留め仕事では、貢がバチで刀を受け止めて、バチが粉々になる。
芯だけが残ったと思ったら、それを針にしてトドメを刺す。
梅安さんと、おりくさんの、両方見ちゃった気分で、貢はいろんなことしてくれる。

確かに通常の仕留め料はもらえなかったけど、絶対に食べられなかった真夏の雪を食べた。
将軍の上前はねたということに、貢も満足そう。
雪を食べた主水が「うう~、来た~」と首の後ろを叩いているのが、リアルでおかしい。

「蜜かなんかかけたほうがうまいんじゃないか」という大吉、それはカキ氷。
でもうまいとこ、ついてる。
「甘く煮たあずきなんかも、あうんじゃないか」という貢、それもカキ氷。
でもうまいとこ、ついてる。

ラストは、「仕置人」のBGMでもあり、まるで「仕置人」でやりそうな明るいラスト。
おきんが大吉の懐に雪を入れて、大吉が冷たさに立ち上がっちゃうのが楽しい。
半次が見たら、食べたがっただろうな。


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