第12話、「大物にて候」。


仲睦まじそうな老夫婦が殺された。
殺されたのは、主水の同僚の関根啓之進の妻の両親だった。
訪ねて行った主水に関根が語ったところによると、関根はこれは自分への「手を引け」という警告だと言った。

先月、山城屋という商人夫婦が首を吊ったが、実は自殺ではなく殺しだった。
関根が調べを進めると、これは小兵衛の甥の長一郎が、山城屋を乗っ取る為にやったことだとわかってきた。
大物である小兵衛の悪事を奉行所も見て見ぬ振りをして、一体何の為に奉行所があるのかわからないと関根は言う。
主水は妻のたえの為にも、関根に何かあったらと、余り小兵衛には関わらないように忠告した。

だがその直後、たえは長一郎と、長一郎が連れている手下にさらわれた。
関根はたえを返してもらう代わりに奉行所を辞め、今後一切、小兵衛たちを追及しない約束をさせられたらしい。
だが、たえは戻ってこない。

噂では、長一郎がたえを気に入って、囲ってしまっていると言う。
奉行所を辞めた関根は、酒で酔いつぶれる日々を送る。
元の同僚たちは、身の程知らずに捌屋などに手を出すからだと笑っていたが、関根はその噂を聞きつけ、たえの居場所を問い詰める。

関根はたえが長一郎に囲われている家に行くと、見張りも置かずにたえがいた。
それを見た関根が「なぜ逃げてこない」と言われると、たえは「逃げられない」と答える。
もう関根に、顔向けができない。

自分のことは忘れてくれと言うたえだが、関根はたえが必要だと言った。
青臭い正義感で、身内の危険を顧みなかった。
そして、小兵衛が怖くてしっぽを巻いて逃げたという世間の評判と、たえの軽蔑が怖かったと関根は打ち明ける。

だがそれは、一方的な思い込みだった。
関根はたえを連れて逃げようとしたが、たえはかたくなに「帰れない」と拒否した。
たえは涙をこぼしながら、「この暮らしが楽しい」とまで言って、関根を帰らせた。

小兵衛は甥の長一郎と姪のおなつを溺愛しており、長一郎には山城屋も与えてやったのだから「しっかりやれ」と言っていた。
だが長一郎は、「俺は乗っ取るまでがおもしれえなあ」と言う。
山城屋を首吊りでぶら下げた時など、うれしくてドキドキしたと言う長一郎を、小兵衛は「そうか、おもしろいか」と言って笑って見ていた。

しかし、おなつはご機嫌斜めだった。
「おや、すねているね」。
「だって悔しいったらないのよ」。
「誰かがお前に恥でもかかせたのか」。

「今、評判の役者の新之助、私の誘いを断ったのよ」。
「その男は、お前が俺の姪だと知っていて、断ったのか」。
「そう。殺してもいいくらいだわ」。

その夜、大吉と半次が悲鳴を聞きつけた。
数人の男が役者の新之助を取り囲んでおり、半次が止めようとするが、大吉は係わり合いになるなと止める。
ちょうど良く同心が駆けつけるが、男たちは動じない。

「闇の御前の、小兵衛様に逆らって誰が助けてくれるもんか」。
「おなつさまが、どこの誰だかは知ってるんだろうな」。
「よくも恥かかせやがったな!」

新之助が殴られるのを見て、同心は黙って立ち去った。
「誰だ、おなつさまって」と、大吉と半次は顔を見合わせる。
翌朝、新之助の遺体が川に浮いていた。
おなつは駕籠からそれを冷たい視線で、見ていた。

大吉は捌屋の小兵衛の仕業だと見抜いた。
長一郎と言う甥と、ちょっと良い男と見るとくわえ込もうとするおなつという姪がいる。
おなつの誘いを断ると、殺されるという話だった。
しかし、小兵衛の気配がした途端、同心たちも逃げてしまったように、みんな小兵衛が怖いのだ。

その日も長一郎は、たえのところに通っていた。
辰吉がついてきたが、長一郎はもう関根に牙はないと言って返した。
「関根より、俺といる方がずっといいだろう?」と長一郎はたえに聞く。
しかし、たえは突然匕首を持って、長一郎を襲った。

「てめええ!初めから俺を殺すつもりで、俺が1人になる時を狙ってやがったな」。
匕首を取られたたえは、外に逃げていく。
長一郎は匕首を手に追ってきた。
往来でたえを追い詰めると、町の人々が見ている前で刺し殺した。

騒然とする人々に長一郎は「うるせえな、この野郎」と怒鳴る。
通りかかって見たおきんが「みんな、逃がすんじゃない、逃がすんじゃないよ!」と叫ぶ。
「てめえら、俺、誰だと思ってんだ!」

「何言ってんだよ!こんなひどいことして逃げようとしたって、そうはいくもんかい」とおきんが叫んだ。
「俺、誰だか知ってんのか。俺は長一郎だぞ!」
「長一郎…」。
長一郎の名前を聞いて、おきんも、町人たちも後ずさっていく。

主水が飛んで来て、倒れているたえに向かって、「たえさん!」と名前を呼んだが、たえは死んでいた。
長一郎を見て、主水は「ひっくくれ!」と言った。
不敵な笑みを浮かべて長一郎は主水に「俺が長一郎だって、知ってんだろうな」と言う。

「長一郎?おめえが?」
「あたりめえだ。連れてけよ!連れてけよ!」
長一郎は主水の肩をこづいて、そう迫った。

だが主水はキッと前を向くと、長一郎をこづきし返し、連行していった。
その間も、長一郎は挑戦的な目をしていた。
「やばいよ、やばいよ。知らないから」と言いながら、おきんが見送った。

奉行所では昼行灯の主水が人殺しを捕まえてきたので、騒ぎになっていた。
しかもその相手が長一郎だった。
恐れを知らないところが昼行灯だと、騒ぎになっているのを、与力の今岡弥九郎が聞きつけた。

中村家では主水の手柄を祝ったが、隣の同僚の家からは戸締りをしっかりしたほうが良いという忠告も届いていたらしい。
せんとりつは、ねたみだと笑っていたが、主水は内心、穏やかではない。
今岡は小兵衛に、何分にも、白昼、衆人環視の中で行われた殺人なのでと詫びていた。
小兵衛は捕まえた同心の名前を聞くと、今岡は主水の名前を言った。

その日、りつが洗濯物を干していると、庭に犬の死骸が投げ込まれた。
悲鳴をあげたりつがせんを呼ぶと、笑い声がして小兵衛の手下の辰吉を先頭に、数人の男が押し入ってきた。
辰吉を先頭に、中村家に汚物を撒き散らし、せんは人の恨みを買うのは主水以外にいない、主水が中村家を滅ぼすと言って泣き喚いた。

その夜、妙心尼と大吉が逢引しているところを、仕留人たちは呼び出した。
主水が妙心尼のところで、せんとりつを預かってくれと頼んだ。
あんなこうるさい2人がいたら、自分は妙心尼と会えなくなってしまう。

預かりたくない大吉は貢に打診するが、貢は自分のところは狭くて無理だ。
半次とおきんは他人だから、知らん振りだ。
主水は旅に出るつもりだった。

大勢の人が見ている前で人を殺したのだから、長一郎はほっといたら死罪だ。
小兵衛だって、そのうち、年を取る。
主水はそうなったら戻って来ると言って、今度は仕留人たちに「餞別くれや」と餞別を要求する。

餞別と言われ、おきんと半次は、噴いた。
貢は呆れてそっぽを向く。
大吉は背中を向けたままだ。

誰もが応えないので、主水は「汚ねえな、おめえたちゃ。取り込む一方で出すことを知らねえんだからな。冷てえよ」とブツブツ言いながら出て行った。
おきんが、主水は本当に旅に出るのかと心配になってくる。
だが大吉は主水が本当に出て行くわけがなく、どこかに潜むつもりだろうと言った。
そして、半次に「ついて行ってみろ」と尾行するように言う。

帰り道、柳の木の下におなつが立っていて通りかかった主水に「中村主水か?」と聞いた。
「話があるの。ちょっと来て」。
すると主水の両側を辰吉を初めとする男たちが取り囲み、「お嬢さんの言うとおりにしな」と言う。

主水は茶屋に連れて行かれると、おなつが「連れてきたわよ」と声をかけ、主水に「お入り」と命令する。
座敷には小兵衛が待っていた。
「裁き屋の小兵衛だ」。
「やっぱり、あんたか」。

小兵衛は主水に牢破りの手伝いをしろと言った。
「できるな?」
「中村。お前が長一郎を捕まえたんじゃないの?だったらお前が牢からお出し」と、おなつも言う。
しかし、そんなことをしたら主水は奉行所を首になってしまう。

すると小兵衛は暮らしに不自由はさせず、婿養子の主水が今よりは胸を張れるだけの手当てを出すと言った。
だがもし断れば、せんとりつは死ぬ。
悲しむ暇もなく、次は主水だ。

「やるな」。
「はっ」と主水はうなづくしかなかった。
「一時逃れは通用せんぞ」。
「いや、決して」。

だが牢破りの方法は急には考え付かないと主水が言うと、小兵衛は一晩ここで考えろと言われる。
「では考え付いたら、その足で奉行所に行け、それが最後のご奉公」。
床下では、半次がそれを聞いていた。

翌朝、主水は奉行所に向かい、後を小兵衛の手下がつけてきていた。
門をくぐり、手下が帰ったのを見た主水は、門の外に半次が来ているのを見た。
半次につなぎをとりたいが、半次は入っては来られない。

門の外では人足が、荷物を運んでいた。
半次はその人足の頭を、いきなり叩く。
そのまま門前で騒動が起こり、半次は牢に叩き込まれる。
主水が半次を取り調べだと言って、呼びに来た。

拷問蔵に半次を連れてきた主水は、小兵衛を殺す決心を話す。
半次は小兵衛の手下が裏口にもいて、主水が出て行ったらたちまち殺されるんじゃないかと教えた。
だから主水は、外に出られない。
外にいる4人でやってもらいたい。

金は主水が出すと言うが、半次は小兵衛は必要な時に出てくるだけで、手下に居場所も教えないと言う。
用心深い小兵衛だが、主水は「おなつが手がかりになるんじゃねえか」と言った。
夕べ、主水が連れ込まれた茶屋に、おなつが男を連れてくるのではないか。

半次は前金を要求するが、主水は今は持ち合わせがないから、必ず外に出たら払うと言う。
だが主水は苦し紛れに小兵衛をごまかして、ここに来たのだ。
ここでできるだけ時間を稼ぐが、それもせいぜい3日でそれを過ぎれば、まずいだろう。
半次に託して、主水は奉行所内に戻る。

そして突然、同心部屋で主水は「あー、痛い!」と痛みを訴え、医者を呼んでほしいと頼む。
今岡がそんな主水を不審そうに見る。
主水は呼ばれた医者が「どことも悪いところはないようだがなあ」と言うのを聞くと、医者に小判を握らせ、「事情があるんだ。重病人にしといてくれ」と頼んだ。
医者は笑いを浮かべ、承知する。

その夜、おなつは主水を連れて行った茶屋で男を待っていたが、男は来なかった。
「どうするか、覚えておいで」とおなつは怒るが、その時、やってきた中居の男に目を留めた。
「お待ち。お前、近頃来た男だね」。
「はい」。

「年はいくつだよ?」
「8でございます」。
「28?」
年を聞くと「かわいがってあげるから」と言って、おなつは寄って来た。

「そんな、おなつさま」
「あたしが嫌い?」
「いえ、とんでもございません」。
「おいで」。

おなつは寝所に男を連れ込んだ。
外に供の男がいると言って遠慮する男に、おなつは「大丈夫。あたしが呼ぶまで入らないよう躾けてあるわ」と言った。
それを聞いた男が、顔を上げた。
男は、関根だった。

半次はそのやり取りを、天井裏で見ていた。
突然、関根はおなつに匕首を押し付けた。
「声を出せば、殺す!」

「誰なの、あんた」。
「お前の叔父さんと、弟の長一郎がよく知っている」。
「あたしたちに盾突いたら、どういうことになるか」。

「ずっと機会を狙っていたんだ。お前が男と、この茶屋に出入りするのを見てから、ずっと!さあ、言え。小兵衛はいつも、どこにいるか」。
その時、おなつが持っていた鈴を放り投げる。
鈴が鳴ると手下が入ってくるが、関根は逃げ出した。

主水から貰った金で、医者が飲んでいるところに今岡が踏み入ってきた。
奉行所かかりつけの医者が、嘘の見立てをしたら、どうなるか。
今岡の脅しに、医者は主水から頼まれて嘘の見立てをしたことを白状してしまった。

翌日、今岡は小兵衛の手下の辰吉を奉行所に連れて行った。
今岡は「東の廊下の突き当たりだ」と、主水のいる部屋を教える。
主水は丸一日食べていないとぼやきながら、急須から茶を飲もうとしていた時、廊下の気配に気づいた。
辰吉が鋭い針を持って忍び込み、主水の布団をはがした。

だが主水は突然起き上がり、刀の柄で辰吉を突くと、気絶させ、刑場まで背負っていく。
首切りの溝に辰吉を叩き込むと、足で蹴る。
その拍子に起きた辰吉を、上から串刺しにする。

奉行所の塀にそって、貢が三味線を弾きながら通る。
主水は貢に気づくと、見当をつけて、貢の前に中から手紙を放り投げる。
祠で、貢たちは集まり、主水の仮病がばれたことを知る。
主水は殺されて死体にならなければ、奉行所からは出られないわけかと大吉は言う。

その時、半次がおなつのところの台所の婆さんから、明日、丈雲寺という寺で小兵衛の亡くなった妻の法要があると聞きこんできた。
若年寄を始め、いろんな人間が来るらしい。
「よし。今度は俺がやろう」と貢が言う。
大吉はそれだけの人間が来るなら、警備も相当なものだと言うが、貢は今夜のうちに忍び込むと言う。

翌日、小兵衛もおなつも来て、法要が始まった。
読経の声が響く寺で、貢が様子を伺うが、手下が大勢、見張っている。
だが、貢より早く、寺の中に忍び込んでいた男がいた。
関根だった。

小兵衛が焼香する。
その背後の衝立から突然、関根が刀を抜いて襲い掛かる。
「小兵衛、死ね!」

しかし、関根は用心棒たちに制止されてしまった。
たちまち、手下たちが集まり、関根を押さえる。
関根はわき腹を刺される。

逃げていく関根を、小兵衛は平然と見送った。
関根は縁の下に逃げ込む。
子分たちは手分けして、関根を探し始めた。

縁の下に逃げ込んだ関根に、貢が「おい、しっかりしろ。関根さんだな」と声をかける。
「俺を知ってるのか」。
そう言うと関根は「頼みがある」と貢の袖をつかんだ。

「何だ」。
「小兵衛を。小兵衛を殺してくれ」。
「あんな奴は、あんな奴は生かしておいちゃいけねえ。あいつらだけが、なぜ、あいつらだけが勝手なことをして許されるんだ!」

関根は貢の手に財布を渡すと「ここに金がある。小兵衛を。小兵衛を殺してくれ。頼む、頼む」と貢の手を握って言う。
「おい、いたぞ」という声が響き渡る。
「さあ、早く、早く逃げてくれ」。
関根は貢を逃がし、縁の下から這い出すと、手下たちに押さえられ、めった刺しにされた。

町を行く今岡を、大吉と半次が追っている。
人気のない場所で今岡とすれ違った男は、突然、今岡をすれ違いざまに刺す。
倒れた今岡に半次が駆け寄ろうとするが、大吉はもう死んでいると止める。

今岡は小兵衛の居場所を突き止めるための、最後の綱だった。
その今岡が、殺されてしまった。
落胆する中、貢がやってきて、主水から連絡があったと言う。

主水からの連絡によると、小兵衛は香を利くのが趣味だそうだ。
「それが何の手がかりになるんだ」と大吉は言うが、貢は香の会を片っ端から調べると小兵衛の名前が出てくると教える。
香の会の場所がどこかわかったら、半次の出番…と、言いたいところだが、うまく行くだろうか。

小兵衛の名がある香の会の場所はわかった。
半次は香の会に香木を持ってくるよう、言い使ったと、入り込もうとする。
だが子分は小兵衛にそのことを聞きに行くと、そんなことは知らないと言われた。
子分たちは半次を囲んでにらむが、半次は世話役の弟から注文を受けたのだとごまかして入り込むことに成功する。

香の会が始まった。
入り込んだ半次は警備の手薄な内側から合図をし、貢と大吉が塀を越えて庭に忍び込む。
香の会が進み、次は小兵衛が秘蔵の一品を持ってくることになった。
小兵衛が手下を連れて廊下を通り、角を曲がると、誰もいない部屋で香が焚かれている。

不審に思った小兵衛が近づいた時、手下の背後から貢が忍び寄り、口をふさいで庭に引きずり出す。
匕首を向けてきた手下の手を抑えると、手下も貢のバチを振り上げた手を抑える。
だが貢はバチから針を抜くと、手下の額にに刺した。
額の真ん中を刺され、手下は匕首を持ったまま倒れた。

小兵衛の耳に、胡桃をすり合わせる音が聞こえてくる。
振り向いた小兵衛の前に、大吉が現れる。
大吉が胡桃を鳴らしながら、近づく。

小兵衛が逃げようとするが、大吉が捕える。
胡桃が砕け、大吉が小兵衛の心臓をつかむ。
声もなく、小兵衛が座り込む。

大吉が消えた後、おなつが小兵衛のところに「おじさん」と近づいてくる。
だが小兵衛は座ったまま、死んでいた。
「おじさん、どうしたの」と近づいて肩を触ったおなつだが、小兵衛が倒れたのを見て「死んでる」とパニックを起こす。

おなつは叫び声をあげながら「誰か!」と、庭に走り出た。
その絶叫に、貢が振り向く。
すると、おなつは、貢が仕留めた男につまづく。
男が持ったままでいる匕首の上に、おなつが倒れる。

貢がそれを見ていた。
やがて、大吉が貢のところにやってくる。
貢と大吉がうなづいて、庭から立ち去る。

主水が奉行所から出てくる。
門の前で大きく伸びをして体を伸ばし、歩いてくる。
木の影で大吉が待っていて、「八丁堀」と声をかけてくる。

「ご苦労さん」。
「長一郎はどうしたい」。
「今朝方、死罪になったぜ」。
主水は晴れ晴れとした顔で歩いて行き、その後に少し離れて大吉が続いた。



冒頭、とっても微笑ましい老夫婦が出てくる。
それがいきなり殺されるショック。
続いて、家の中で妻が誘拐されるショック。
とんだ無法で、小兵衛が大物だと言うことはわかる。

関根は、亀石征一郎さん。
悪役が多いけど、ここでは最後まで正義を通そうとして、悲劇に見舞われる主水の同僚で良い役です。
若い頃の亀石さん、カッコイイですね~。

長一郎は、太田博之さん。
「仕掛人」のレギュラーで、秋野さん演じる岬の仙蔵の後輩でしたね。
あの時とはまるで違う。

関根にはもう、キバはないと言い放ち、自信満々。
それがすっかり、自分のものにしたと思ったたえに襲われて、ものすごく悔しそうな顔をする。
主水にも態度が大きい。

おなつは、伊佐山ひろ子さん。
とんがった口で「中村主水」と呼び捨てにしたり、すごくえらそう。
でもこのふてぶてしさが、魅力なんです。
「仕置人」の「夜がキバむくひとつ宿」でも、まるで自分の魅力に引っかかった男を殺すのが楽しいような女殺し屋を演じてました。

悪役は、こうでなくっちゃね。
さすがに貢は、おなつを手にかける気はなかったらしい。
まあ、小兵衛がいなかったら、おなつは何にもできないと見たのか。

男をあさっていて、断ると殺されちゃう。
それを知った半次がもし、おなつに自分が見初められたらどうなるのかと大吉に話す。
すると大吉は「安くても良いから、鏡買って見た方がいいよ」と言う。
あの中でおなつが気に入るとしたら、貢でしょう。

おなつに連れ込まれた茶屋が手がかりになるんじゃないかと思った主水だけど、同じ同心だった関根もおなつがネックということには気づいていた。
しかしまさか、茶屋に従業員として入り込んでるとは思わなかった。
おなつに匕首を突きつけ、子分たちに追われて逃げる時にかかる「仕掛人」の音楽が緊張感たっぷり。

小兵衛は、永井智雄さん。
なかなか仕留人たちも接近するまでは手こずりましたが、大吉を目の前にしたら悲鳴もあげず、静かなものでした。
逃げもしない。
まるで覚悟を決めたように、人形のように立ってましたが、それは大吉がすごい力で押さえ込んでいたからなのか。

4話に続き、奉行所内で主水がピンチに陥る。
今度は、表に出られない。
どーなってるんだ、北町奉行所。

小兵衛と通じている今岡が小兵衛に主水のことを、昼行灯で普段は何の役にも立たないのに今回に限って…と言ってます。
でもあんな人ごみの中、殺しをやれば、主水だってしょっ引かないわけには行かない。
主水に手柄を立てろと日頃から言っているせんとりつは、長一郎を捕えた主水の手柄に大満足。

手柄を立てれば、中村家は結構な待遇で迎えてくれる。
隣の家からの戸締りをしっかりしろ、気をつけろと言う忠告に、めったにない「妬まれている」という優越感に浸るせんとりつは思わず、笑いをもらす。
その能天気さと事の重大さをわかっている主水は「おほほほ」と、笑うしかない。
この「おほほほ」が「とほほほ」に見える。

おきんは、たえを殺した長一郎に向かって「みんな!逃がすんじゃないよ!」と取り囲むように指示する。
正義感強し。
半次は何だかんだ言っても、主水の為に騒動を起こし、したたかに殴られてあざを作って、牢内に潜入。
主水と連絡を取れるようにしてくれる。

貢も三味線を弾いて、主水と連絡を取ろうとする。
三味線の音で、だいたいの貢の位置がわかるらしい。
それで手紙を放り投げると、貢が受け取ったという意味で三味線の音が止んだ、という流れと解釈していいのかな。

今回、貢の教養は、香の会で小兵衛を仕留めることが決まった時に出てくる。
大吉が「(小兵衛が)香を嗅いでいい心地になったところを…」と言う。
すると、貢が「いやいやいや!香はな、嗅ぐじゃない。利くと言うんだ」とキッパリ訂正する。
こんな時にも、こだわる貢がおかしい。

奉行所と言う密室で繰り広げられる主水のピンチ。
主水不在で動く貢たち。
この両方が描かれます。

主水は奉行所で辰吉を殺すんですが、仕留め仕事自体には参加しない。
大暴れした長一郎だけど出番はあまり多くなく、最期は処刑されたのが主水の口から語られるだけ。
あれだけ暴れたんだから、処刑場でジタバタしながら処刑されるところも、ちょっと見てみたかった。

最後に口笛のBGMと共に、開放感たっぷりに奉行所から出てくる主水。
晴れ晴れと歩いていく様子が、すがすがしい。
仕留人たちのチームワークの良さが、発揮されている回でした。


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2013.07.20 / Top↑
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