こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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とっくの昔になくしてしまったもの 「暗闇仕留人」第13話

第13話、「自滅して候」。


息子、小一郎が将軍家御小姓組の試験を受ける中根家では、未亡人・ちづが小一郎の合格を願う余り、ライバルの平馬を殺す夢まで見てしまう。
貢は小一郎の歴史や和算の家庭教師に、中根家に通っている。
同じく中根家には佐島昌軒という男も、漢学の家庭教師に通っている。

昌軒はこの試験、富田家の平馬が思った以上に優秀なので、あまり楽観しないほうが良いと忠告するが、貢は太鼓判を押してくれた。
ちづによると、貢のことは昌平黌(しょうへいこう)の石川先生が「野に隠れた逸材」と、内々に推薦をしてきたらしい。
小姓の試験に通るのは、たった1名。
ちづは昌軒の言葉に不安になり、小一郎は幼少の頃より敵わなかった平馬にはやはり劣るのかと聞く。

「何か手立てはないものですか」と聞くちづに、昌軒は「世の中には誰かを邪魔だと思ったり、殺したいほど憎んでいる人がいると、こっそり、金で力を貸してくれる者がいる」と教える。
その夜、大吉が家に戻ると、頭巾で正体がわからぬよう、装った女性が立っていた。
大吉は何かの間違いじゃないかと言うが、女性は突然5両を投げ出し、「本所下菊の旗本の一子、12歳になる平馬という少年を殺してほしい」と言った。

だがすぐに「殺さなくてもいい!今月の25日、1日だけ平馬がどこにも出られないようにしてくれれば」と口走り、出て行く。
大吉がビックリしていると女性はすぐに駆け戻り、「今願ったことはなかったことにしてください。我ながら浅ましい!」と言って逃げた。
女性の後を追おうとした大吉は石につまづき、その痛さで現実だと認識した。

25日、ちづはずっと祈っていた。
小一郎の帰りが遅いのを使用人も心配していたが、その時、小一郎が戻った。
「母上!受かりました!」

夫亡き後、小一郎が合格しなければ夫に申し訳が立たないと言っていたちづは、大喜びした。
やってきた昌軒も50人もの競争相手と競い、見事合格した小一郎を誉め、喜ぶ。
そして表に見知らぬ武家が来ていると教えた。

「どちら様でしょう?」
「石屋の使い。そういえばわかると」。
ちづの顔が曇る。

表に来ていた浪人の大川原は、約束どおり、平馬を殺したと告げた。
今夜当たり死体が出るはずだが、旗本の子供を殺すのには屋敷から連れ出すだけで苦労し、殺すのには何かと物入りだった。
もう一度、ちづとゆっくり話がしたいと石屋が言っている。

下手に騒げば、ちづだけではなく、小一郎にも累が及ぶと大川原が言っていた時、貢も「おめでとうございます」と祝いにやってきた。
貢はちづの様子のおかしさに、気を留める。
その夜、本当に平馬の遺体が見つかった。

翌日、貢は小一郎を連れて、外出した。
途中で半次が待っていた。
釣りが得意な半次に、釣りを教えてもらおうというのだった。
突然、背中にノミが入った半次は、小一郎に背中を掻いてもらう。

その頃、約束の場所に行ったちづを、弥八が待っていた。
ちづはあの晩の約束は無しにしてくれと言ったはずだと言う。
だが、弥八は自分はどうせ先のない男だから出るところに出ても良いと言って、ちづから金を巻き上げた。

弥八の後ろから大川原も来て、次からはここが待ち合わせ場所だと言った。
ちづが1人でいると、受験のお礼参りですかと言って、昌軒が来た。
顔色の悪いちづに昌軒は、どうかしたのかと聞くが、ちづは言えない。

その夜、上機嫌の貢は大吉と半次にも酒をおごっていた。
貢とは関わりのないはずの小一郎が御小姓組に合格したのが、そんなにうれしいのかと大吉が聞くと、貢は「俺はあの子が、かわいくてしかたがないんだよ」と言う。
「俺たちがとっくの昔になくしてしまったものを、あの子はみんな持っている。そんな気がするんだな」。

大吉は「また始まりやがった。学のある奴って言うのは、理屈が多くていけねえや、なあ半次」と言う。
貢が言うには、小一郎の父親と言うのは小判方の組頭まで勤めたのだが、5年前に突然亡くなってしまった。
小一郎が元服するまで、家名はお預かりになった。
だからちづは、小一郎の教育に必死なのだ。

幸い、家が裕福なので、ちづは小一郎には思うような教育を受けさせることができた。
貢はしみじみ言う。
「しかし俺はあの子を見て、つくづく思うなあ。貧乏ってのはいけねえよ。貧乏ってのは、罪悪だなあ」。
半次が「その通りだよ。貧乏ってのは罪悪だぞお!」と言う。

そしてまた背中が痒くなった半次は、「いくら御小姓っていったって、将軍様のノミの世話までするわけじゃないだろう」と言った。
なのに自分は、小一郎に背中を掻かせてしまった。
だから俺は将軍様より偉い、「ざまあみろってんだ」と言う半次だった。

翌日、ちづは昌軒に、話に聞いた大吉の元に魔が刺して行ってしまったと打ち明けた。
しかし、すぐに後悔してやめるように頼んだ。
どうしたら良いのだろう…、このことが世間に知れて、小一郎の将来が台無しになるようなことがあればた。
すると昌軒は大吉の件は自分が話したことがきっかけだったのだから、自分に責任があると言い、「何とかする」と言って出て行った。

その帰り道、昌軒を待っていたのは弥八と大川原だった。
弥八に昌軒は、「手始めに30両出せと言ってごらんなさい」と勧める。
自分は千津と会われる前に、大吉の始末をする。
昌軒は、大吉の家に、「墓を作ってくれ」と頼みに行った。

頼まれた大吉から「ひと月ほど先になる」と言われた昌軒は、「裏の稼業をもう少し減らしたら、早くできるんじゃないでしょうか」と言った。
大吉の手が止まる。
昌軒は昔、大吉に恨みを晴らしてもらったという人に聞いたと言って、大勢の人の人助けになる仕事だと言って、金貸しの金右衛門を殺してくれるように頼む。

そして金を置いて行く。
大吉が呆然としていると奥の戸が開き、「3両か。悪くねえな」と言いながら半次が出てくる。
半次が依頼のあった金右衛門について調べてみると、金貸しは大概、性格は良くないが、金右衛門の評判は最悪だった。

今日まで命があったのは、不思議なほどだと言う。
つまり、一生に一度あるかないかの、人に感謝される良い仕事だ。
その夜、半次は大吉を、調べてきた金右衛門が妾を囲っている家に案内する。
金右衛門が借金のかたに妾にした娘をいびっているところに半次が呼びに来て、大吉が心臓をつかんで息の根を止める。

翌朝、おきんは金右衛門が死んだ話を大吉と半次にしたが、おきんは、あれはどこかのご同業の仕業じゃないかとにらんでいた。
大吉と半次はとぼける。
夕べはあの変の貧乏人は、赤飯を炊いたというから、あんな景気のよい仕事をしてみたいもんだとおきんは行った。

その時主水がやってきて、大吉になぜあんなヘマをやらかしたと問い詰めた。
大吉がとぼけると、主水はそれなら番屋に連れて行くと言った。
奉行所に石屋の大吉だと言う投げ文があったのだ。
幸い、主水の部署だったので、主水が握りつぶしたが、そうでなければ今頃、大吉は奉行所だ。

それを聞いたおきんは、どんな仕事も一応みんなで話し合うのが最初の約束だと言って、喚いた。
大吉は半次に「誰かに見られたかな」と言ったので、半次も関わっていたのがわかってしまう。
そこでふと、大吉は夕べの仕事を知っているのは依頼人と大吉と半次しかいないことに気づいた。
大吉は、半次が分け前を半分ではなく1両しか渡してないことを根に持って、奉行所に投げ踏みを入れたのではないかと責めた。

その頃、中根家から出てきた貢は、大川原とすれ違った。
門を掃いていた使用人に、良く見かける方だがどなたかと聞いてみた。
すると使用人は「石屋の大吉使いといつもおっしゃる」と答えた。

「石屋の大吉?!」
他の使用人に聞いても確かにそうだと言うが、お取次ぎすると奥方のちづは嫌な顔をするし、使いが帰ると人目を忍ぶように出て行くと教えた。
確かにちづは出かけ、弥八に密かに金を渡しているのを貢は目撃する。

弥八の後をつけていく貢を、主水が呼び止める。
札差の家に入って、またすぐ出て行く弥八を見ていた貢に主水は「あれは板取の弥八だぜ」と言う。
「強請りタカリ、なんでもござれのゲジゲジ野郎」と主水は言った。

弥八は大川原と共に、昌軒に会っていた。
だが昌軒は50両のうち、大川原には3両、弥八には2両しか渡さなかったことに対して、大川原が不平を漏らす。
子供とはいえ、人一人殺めているのだから半分は寄越せと言うが、昌軒は「これで仕事は終わったんです。ご苦労様でした」と言って出て行く。

主水は札差で弥八が中根の手形を持って来たので、50両の現金に替えたことを突き止める。
3日前にも30両、その前に20両と30両、両替している。
札差によると、今までに中根家がこのような金の使い方をしたことはない。

妙心尼を連れ込んでいた大吉のところに貢がやってきて、鋭い声で「石屋。聞きたいことがある。表に出ろ」と言う。
大吉は「何だよおめえもかよ。悪かったよ、勘弁してくれよ。今度いい仕事入ったら、おめえたちにも教えるからよ」と弱音を吐いた。
だが貢は「いいから、表へ出ろ」と固い表情を崩さなかった。

外に行くと、貢から強請りの事を聞いた大吉は、驚いた。
「汚ねえ奴だな、貴様は!」
「汚ねえって俺が、か?」

「人の弱みにつけこんで、金を巻き上げるのが、綺麗なことだって言いたいのか」。
「おい、ちょっと待てよ!断っておくがな、俺は金輪際、強請りなんてやったことねえぜ。どこのどいつだい、そんなこと言った奴は!」
貢は以前、大吉に疑いの目を向けていたが、大吉の剣幕に大吉を中根の家に連れて行った。

「この屋敷に見覚えないか」。
「あいにくだったな。俺は侍なんかにこれっぽっちも、縁はねえよ!」
貢は大吉を、中根の家の中に連れて行く。

屋敷では小一郎が剣の稽古をしているのを、ちづが見守っていた。
庭に潜んで貢はちづを見せ、「あの人だ」と言った。
最初は「知らねえよ、俺は」と言った大吉だったが、「ちょっと待てよ」と言った。

ちづとは、どこかで会った。
しかし、どこかで会ったのだが、どこで会ったのかが思い出せない。
「どこだっけなあ」。

「おい、思い出せないのか?大事なことなんだぞ!どうしても思い出してくれ!」
「そう急かすなよ!今、思い出すからよ~。ああ~、どこだったかな~」
大吉はちづのことを懸命に思い出そうとするが、やっぱりわからない。

その頃、昌軒は自宅で、ちづへの思いを募らせていた。
すると、大川原が弥八と一緒にやってくる。
2人を見て「あなたとは関わりがないはずです」と言う昌軒に大川原は、「仕事は終わりだと言っても、自分たちはあの金づるを手放すつもりはない」と言った。
「およしなさい。この一件は、私にとっては銭金ではないのです。あなたたちには、わからない。私にはもっと大きな望みが、あるのです。邪魔をすることは許しません」。

昌軒を野原に呼び出した大川原は刀を抜くが、昌軒は「私をただの儒学者だと思っているらしいが、これでも元は武士。今の内に帰った方がいいのではないか」と平然としている。
大河原は刀を構えて近づく。
「それほど死にたいのか」。

そう言うと、昌軒は身構えた。
大川原が警戒したが、昌軒は突然、背中を見せて走り出した。
逃げると思った大川原が追うと、昌軒は立ち止まり、今度は大川原に向かって走ってきた。

「死ね!」と叫んで刀を振り下ろした大川原の太刀を受け止めると、昌軒は大川原の胸に向かって頭突きを食らわした。
骨が折れる音がして、大川原の胸がめり込んだようにへこむ。
体がまるで、2つに折れたようになって、大川原は倒れる。

見ていた弥八は震え出す。
「あなたはどうする?」
昌軒に聞かれた弥八は、逃げ出した。

その夜、昌軒は加減が悪いと言う、ちづの見舞いに訪れた。
「石屋のことで話が」と言われて、ちづは使用人のお咲を下げさせた。
「良い知らせです。明日からもう2度と、石屋の一味は現れないでしょう」。
「本当ですか!」

ちづの顔が輝く。
奉行所に手を回したので、石屋は遠からず、捕えられるだろう。
それを聞いたちづは、「ありがとうございます。この10日間、生きながら地獄にいるような思いでございました。何とお礼を申し上げてよろしいか」と泣き出した。
昌軒はちづに向かって金を差し出すと、「ちづ殿。私はここにある百両と、おのれの頭しか持てぬ、一介の儒学者です」と言った。

そう言うと昌軒は、一年も前から、ちづのことを思い続けてきた。
もうこの思いを胸に収めておくことはできない。
どうか、この金を納め、自分と夫婦になってほしいと言った。
「ちづ殿、そなたは私がお嫌いか。お頼み申す!」

ちづはそれを聞くと、「わかりました。お心はよくわかりました。お返事はいずれ、後刻。わたくしは今…」とうつむき、口を濁らせた。
昌軒は「そうですか。わかりました。お体の具合の悪い時に、こんな話をして申し訳ありませんでした」と言って、引き下がったに見えた。
だが、「ちづ殿、私はそなたが好きだ」と抱きついてきた。

「人を呼びます!」と、ちづは叫んだ。
すると昌軒は「あなたと私は離れられぬ仲だ。ともに、富田の小倅を…、殺した仲ではないか」と言った。
ちづの目が見開く。

全ては昌軒の仕組んだ罠だったのだ。
気づいたちづは、昌軒を見つめ、「あなたという方は!」と睨んだ。
「今頃わかったのか」。

その頃まだ、大吉はちづのことを思い出せずにいた。
おきんがやってきて、主水が、ちづへの強請りを働いていた弥八を見つけたから、すぐに来るように言っていると伝える。
その時、大吉は「あっ、そうだ!思い出した!」と叫ぶ。

町外れの墓地に、主水は弥八を連れて行った。
咳をして合図をすると、主水は最近、弥八が良い鴨を捕まえたという話を聞いたと言う。
主水が一口乗せろと言うと、なんだその話かと弥八はホッとする。

だが弥八は、口を割らない。
主水が怒って、中根の屋敷に乗り込むというと弥八は「中根の家を知ってるんですか!」と言うとあわてて、話をし始めた。
この件は余り自分も細かいことは知らないが、全ては佐島昌軒の書いた筋書きだと言う。

そこまで聞けば後は自分がやると、主水は言った。
「あばよ」と言って去っていく主水の背中に向かって、弥八は匕首を抜いて飛びかかってきた。
主水は交わすと、刀で弥八の胴を払った。
弥八が倒れる。

全てを知った貢がこのことを解決しようと中根の家に行くと、座敷でちづが自害していた。
使用人のお咲が「糸井先生!奥方様が!」と泣き崩れた。
「小一郎殿は、このこと知っているのか」。

「い、いいえ!」
貢は別の使用人に、昌平黌(しょうへいこう)の石川先生を呼びに走らせた。
そして座敷の戸を閉めると、ちづの側にあった書き置きを見つける。

祠では、仕留人たちが待っていた。
貢がやってくると、手ぶらなのを見て、おきんが「まさか、ゆすりの黒幕をタダで教えたんじゃないだろうね?」と言った。
主水が「おい、冗談じゃねえぞ。危うく、食い荒らされそうになった1200石助けてやったんだ。その礼金となりゃ、どう安く踏んだって、百両はくだらねえはずだぜ」と言う。

だが貢は黙っていた。
おきんも「じれったいねえ。何ボンヤリしてんだよ」と言う。
貢が口を開く。

「ちづ殿は死んだ」。
「死んだ?」
「自害されたのだ」。

主水も立ち上がる。
「佐島昌軒に殺されたと言ってもいい」。
「それじゃあ、おめえ、1200石は断絶か!」

「いや、潰されぬよう処置をしてきた。それで遅くなったんだが。おそらく、急な病と言うことになるだろう」。
そして貢は懐から、ちづの書き置きを出した。
「これはな、ちづ殿が我が子に残した書き置きだが、私はこれを故人の遺志に背いて盗んできた。ここへ来る途中、何度破り捨てようと思ったか知れん。だがそれでは、ちづ殿の心が…、本当の心遣いが誰にも知られずに終わってしまうと思ってな。せめてあんたたちだけでも聞いてやってくれぬか」。

書き置きの最初のほうは、佐島昌軒の企みについて書かれていた。
昌軒の目的はちづの夫になり、1200石の家を我が物にすることにあった。
そう言うと、貢は書き置きを読み始めた。

書き置きには、こう書かれていた。
ちづは魔が差して、平馬の死を願った。
だが、小一郎を信じてさえいれば、そのような考えは及びもよらぬはずです。
悪い母だった。

この手で命を縮めたことが公儀に知れたら、中根の家は取り潰しになり、小一郎は長い苦しみを背負うことになる。
そして、母を恨むことになるだろうが、こうすることが誠。
愚かな自分が小一郎に残せることは、これだけ。

小一郎の成長を、これからも見たい。
妻も、子供も見たい。
「でももう、がそれも、叶わぬ夢となりました」。

聞き終わったおきんが泣きそうになる。
半次も、大吉も、主水も黙っていた。
読み終わった貢は、書き置きをろうそくにかざし、燃やした。

誰もが黙っていた。
黙って燃える書き置きを見つめていた。
炎が、仕留人たちの顔を照らす。

大吉は突然、金を出した。
「これは奥方の金だ。奴は俺に、墓を頼みやがった。望みどおり、墓に入れてやろうじゃねえか」。
大吉が金を投げて配る。
主水がろうそくを吹き消す。

半次が昌軒を墓ができたと呼びに行った。
墓場まで来た昌軒は、それを見て「ほう。これが私の墓か」と言った。
だが彫られた名前を見て、「氏を入れるのを忘れているではないか」と言った。

さらに没年月日を見て、「これは…、今日死んだことになっているではないか」と半次を振り向いた。
しかし、半次はいなかった。
「おい?どこへ行った?石屋!出て来い!」
声が響き渡る。

静まりかえっている墓地に、貢が現れた。
「そうか、貴様も仲間だったのか」。
大吉も墓地の中、立ち上がる。

両側から2人が近づいてくる。
昌軒は草履を脱いだ。
突然、昌軒は大吉に背を向けて、走り出す。

大吉の手の中で胡桃が鳴る。
「こっちじゃねえ。向こうだ、向こうだ」とうながした半次の手に昌軒の頭が当たる。
半次が倒れて、手を見ると、手が血まみれになっていて半次が驚く。

貢と大吉が驚いて顔を見合わせる。
昌軒が今度はこちらに走ってくる。
大吉が胡桃を割る。

貢がバチを取り出す。
走ってくる昌軒をすれ違いざま、貢が切り裂く。
大吉が昌軒を避けると、昌軒は自分の墓に激突した。

墓石が割れる。
大吉が昌軒の心臓をつかむ。
昌軒が墓石に寄りかかって絶命する。

翌日、貢が小一郎と釣りをしていた。
大吉と半次がそれを見ている。
明日から、小一郎が城に上がるのだった。



今回、貢は家庭教師やってます。
おお、ピッタリな職業だ。
昌平黌(しょうへいこう)の石川先生が「野に隠れた逸材」と、内々に推薦をしてきたというから、さすが。
本来なら貢は、こういうことをしている人なんだと思います。

しかし冒頭で既に昌軒が、ちづに不安を吹き込んでいる。
後から考えたら、これも全て昌軒の企みだった。
最初にもう、ちづは平馬を殺す夢を見てしまっているけど、昌軒がそう、仕向けてたんですね。
ちづが昌軒ではなく、貢の方と先に知り合って、貢の方を頼っていたら違ったかもしれない。

だけど、大吉は裏の稼業で結構、有名なのか。
それで大丈夫なのか。
犠牲になる平馬が、とても痛々しい。
今の時代劇ではありえない設定かも。

貢が半次が釣りが上手いから、小一郎に教えてやってほしいと言う。
すると小一郎に会った半次は「釣りってのはまず、フナから始まるんだけどね、フナ、鯉、鮎、はや、はぜ、カツオ、にしん、鯨から女へと行くんだがね。女にもいろいろとあってね、玄人と素人では針りも違えば柄も違うんだぞ」と、とんでもないことを言う。
貢は「おいおい、まだそこまで教えちゃいないよ」と止める。

さらに釣りに向かおうとした半次だけど、ノミ!が背中に入って痒くなる。
小一郎に背中をかかせていると、後ろから貢が釣竿で半次をつついてるの。
細かく、おかしい。

大吉に、貢と小一郎は縁続きでも何でもないのにと言われる。
すると、貢は「あの子がかわいくてしかたがない」と言う。
今回、貢はよほど小一郎の合格がうれしかったのか、大吉と半次と飲んでいる。

貢の口調が、うれしさのあまりか、くだけている。
そして「貧乏ってのはいけねえよ。貧乏ってのは、罪悪だなあ」と、珍しく貢が大吉と半次に本音を漏らす。
蘭学を志して追われる身となり、あやさんの治療費に困って、主水に強盗を働きそうになって、それがきっかけで貢は仕留人になった。

希望。
未来。
貧乏は、貢からこういうものを奪った。
それを小一郎は、みんな持っている気がすると貢は言う。

昌軒の罠の3両の仕事で大吉が半次に1両渡すと半次は、「あれ?いつから3両の半分がいつから1両になったんだよ?」と言う。
「だってやるのは俺じゃねえかよ」と言う大吉に対して、半次は「調べるのは俺じゃねえかよ。おもしろくねえなあ」。
さらに「大体直接手え下すなんてのはよ、戦で言やあ、足軽雑兵の仕事だよ。頭が悪くたって、顔が悪くたって誰だってできんじゃねえかよ」。

密偵だろうが殺し屋だろうが、捕まればみんな同じ獄門台だから、平等なのはわかる。
けど、そういう論理で半次が来るとは思わなかった。
そういえば、ちづのことを思い出せない大吉を前にして半次が笑いながら「生まれつき、ここが弱いってのは怖いもんだよ」とこめかみを指して貢に言いますからね。

この時、貢が「うん」と言う感じで、そっとうなづくのも、おかしい。
「何を!」と怒る大吉。
すると半次は「何でもないよ、こっちの話だよ」。

そして、おきんはさすが、金貸しが死んだのは、どこかのご同業の仕業だと見抜く。
貢は貢で、大吉が強請りを働いていると思って、大吉にすごく怒った。
逢引中に貢に踏み込まれた妙心尼が、取り繕うように身を起こして貢にお辞儀をしているのが、おかしい。
妙心尼は貢と一緒に大吉が行ってしまうと、「こちの人も、そちの人も、なりませぬ!」と、大吉、そして大吉を連れて行ってしまった貢にもすねてるのが、かわいい。

ちづは、南田洋子さん。
最後の書き置きを、ちづの気持ちを捨てきれず持って来て、語る貢とちづの姿が切ない。
ちゃんと処理してきた貢は、さすがでしょう。

弥八は、江幡高志さん。
途中で殺されることも多いとおっしゃってましたが、今回は途中で主水にバッサリ。
主水の殺しは、今回はこれでした。

昌軒は、山本学さん。
知的な雰囲気で、そのインテリぶりは貢に負けない…と思ったら、すごかった。
すごい石頭だった。
物理的な意味で。

大河原に呼び出される前、ちづを思って、自宅で柱に頭をゴンゴンぶつけている。
その柱が最初からその目的でなのか、それともやっているうちにそうなっちゃったのか、頭の形にへこんでいるのもおかしい、怖い!
大川原を殺した時には、レントゲンまで登場。
あばらにちゃんと、頭がめり込んでる。

山本さんというと、まじめな二枚目なんですが、何でこんな役やってくれたんでしょうね?!
だからこそ、すごくおもしろいんですけど。
山本さんがまじめに演じてくれていて、本当に楽しい。

そして、祠で仕留人たちが、貢を待っている。
ちづから礼金を貰うことを期待していた仕留人たちが、ちづの自害を聞いて驚く。
「それじゃ、1200石はお取り潰しか!」と言うのは武家の主水。

貢が書き置きを読むのを聞いて、おきんが泣きそうになる。
書き置きがスローモーションで燃えていく。
仕留人たちの顔が、炎に照らされるのに、「旅愁」が流れる。

大吉が突然、もらっていた金を貢に投げる。
シュパッという音。
次々、投げて寄越す。

仕留人たちが輪になっているのを、上から映す。
主水が炎を吹き消すと、真っ暗になる。
雰囲気たっぷりの演出。

真っ暗闇から、仕留めは緑の風景に移る。
昌軒が自分の墓を見ると、没年月日が今日。
そして振り向くと、半次がいない。

「おい、石屋?」と訪ねる昌軒の声に、エコーがかかる。
誰もいない。
そして静まり返っている墓地…というのは、なかなか不気味。

こちらに走ってくる昌軒の頭にぶつかった半次の手が、何と血まみれになる。
それを見て、貢と大吉がとっさに息の合ったところを見せる。
向こうから走って近づいてくるスローモーションの昌軒の前に、大吉が胡桃を砕く手が映る。

バキバキ。
また、貢もバチを構える。
「シュパッ」という音がする。
音の演出もいい。

刀を持っている相手に向かってあんなに走ってくると斬られそうなものだけど、それは貢や主水だったらの話。
少なくともあんなに突進してくるところを見ると、今までは通じてた手らしい。
すれ違いざま貢に切られて、その後、墓石に激突。
墓石が粉々に!

昌軒が墓石を抱くようにして座り込むから、大吉が心臓をつかむ。
そして、ほ、ほんとにタイトル通り「自滅」!
いや~、おもしろかった。

最後は母をなくした小一郎が、貢と釣りをしている。
城に上がるのだから、悲しんでもいられない。
小一郎が笑顔なので、貢がうまく癒してあげている気がする。
背中を掻いてもらった半次が、「えらくなったら、俺の背中を掻いたことなんか、きっと忘れちまうんだろうな」と大吉と笑って終わります。


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