第19話、「乗せられて候」。


芝居小屋では講談が語られ、客が夢中になって笑っていた。
桟敷席で女を片手にしている男に、芝居小屋の半纏を来た貢が近づく。
迎えが来たと言う貢に男は、「かまわん。待たせておけ」と言う。
貢は返事をして頭を下げ、自分も舞台を見て、笑ってみせる。

女を膝に乗せて笑っている男の背後に近づき、絵を描く筆の入った矢立てを構えて近づけていく。
矢立てが開くと、鋭い長い針が飛び出し、男の首筋を刺した。
針を抜き、そっとにじんだ血を拭き取ると、貢は離れていく。

男は固まったまま、絶命している。
女が男に話しかけると、男は倒れた。
悲鳴が響く。
夜の中、貢は振り返りながら、笠を目深にかぶり直し、歩いていく。

翌日、主水は見回りの際、三州屋が荷物の積み降ろしをしているのを見て、うれしそうにた立ち寄る。
そして荷物の積み方が悪いと注意し、袖の下を巻き上げた。
番頭の六蔵はいまいましそうだったが、主水はふと、去り際に三州屋が気になる。
荷を運び終わった三州屋は、船を出す門に鍵をかけた。

主水はそれをじっと、遠くから見る。
抜け荷関連の書類を見ていると、後ろから大門弥三郎に声をかけられる。
出会い茶屋で、貢は矢立から筆を出し、絵を描いていた。
女将に声をかけて、三州屋隆右衛門が帰って行く。

貢が「あの客、良く来るな」と言う。
女将によると、「すごいんですよ。何しろ金がありますからね。これぞと狙いをつけた女は必ず落とすって言うんですから」と言った。
「ほう、何の商売だ?」と聞く貢に、「さあ?何でしょう」と女将は言う。

「口が固いな」と言われると、女将は「そりゃね、こういう商売だから客のことは知らないほうが身の為なんですよ」と言う。
「でも…、あんたのことは、もっと知りたい」。
女将がそう言ってにじり寄ると貢は「怖いねえ。この宿屋もそろそろ、引き上げ時かなあ?」と言った。

「まあ、嫌ですよ、そんなさびしいこと言っちゃ」。
「冗談、冗談」と貢は笑って、出て行こうとする。
「どちらへ」と聞く女将に貢は、「お客のことは知らないほうが身の為なんじゃないのか?」と言われ、女将は「まあ」と答える。

町では本屋で新島欣吾という男が、「なぜだ。なぜこの本が買えん!」と本を前に、声を荒げていた。
欣吾は、日本に3冊とない本だと言うが、本屋の主人は黒船この方、蘭学の本は御上の目が光っていて買えないと断る。
怒った欣吾は2度とこの店の敷居はまたがないと、外に出る。

貢は本屋の外で、立ち読みをしていた。
欣吾は立ち去ろうとしたが、貢に目を止めて戻ってくる。
「糸井。糸井だろ。貴様、糸井貢じゃないか」。
「ああ、新島か」と貢が驚く。

「どうしてる貴様」。
「うん?お前も変わらんな」。
「俺は相変わらずだ」と言うと欣吾は、「おい、金を持っとらんか。持ってたら蕎麦でもおごれ。俺は朝から何にも食っておらんのだ」。
「本当に変わんな」と貢は笑った。

蕎麦屋で貢は欣吾に「お前、この辞書売るのか」と聞いた。
「やむを得ずな」。
「これはお前が、命より大事にしていたはずじゃないか」。
「金がいるんでなあ」。

「金、か」と、貢は言う。
欣吾は、今度は声を潜めた。
「俺は近く、オランダへ渡る」。
「オランダへ?」

蕎麦屋を出て、2人は河原で座り込んで話した。
貢は欣吾の話を、信じられないと言った。
本当に金さえあれば、オランダへ渡ることができるのか。

だが欣吾は現に、長州の永井が渡ったと言う。
上海から手紙が来た。
海に出てしまえば、幕府も公儀も関係ない。
欣吾はその、裏道をつかんだのだと言った。

「どうだ、糸井。お前も行かんか」。
「オランダかあ」。
「金さえあれば、いつでも話はつける。ただし、50両はかかるかなあ」。
「50両?」

その頃、主水はまたしても、三州屋の荷を積むのを見に来た。
船着場へ行く門にはやはり、前と同じように鍵がかけられ、関係者以外立ち入り禁止の札がかかっている。
六蔵が主水に気づいて、表面上は愛想良く受け答えする。
だが主水を見送りながら六蔵は、いまいましげな顔をした。

六蔵は三州屋に入ると、主人の隆右衛門に、主水がウロウロしていると報告した。
隆右衛門は、貢のいた茶屋に出入りしていた、あの男だった。
六蔵から主水の話を聞いた隆右衛門は、ガラスの器を愛でながら「構うことはない」と言った。
町方風情に何ができると言うのだ。

欣吾は家で寝転がると「くそう!金がほしいなあ」と大声を出した。
前で妻の八重が縫い物をしていた。
「八重。もう一度、叔父上に頼んではもらえないか」と言われるが、八重は「とても無理だと思いますわ。この間だって、居留守を使われたぐらいですもの」と言う。

それを聞いた欣吾は、「ふん!俗物め。あんな奴は早くくたばっちまった方が世の中の為だ」と言う。
「日本に居ては、学問はできないのですか」。
八重にそう言われた欣吾は、八重の隣に来て「八重、わかってくれ。日本の蘭学は子供騙しにすぎん。寺子屋以下のものだ」と言った。

「海の向こうへ渡れば、本当の学問がある。俺が命を削って知ろうとしていることが、全てわかるんだ!」
「5年、いや3年でもいい。本場の学問に触れることさえできたら、俺は死んだっていい。まして、同じ机を並べた永井に先を越されたと思ったら。俺は…、俺は!」と下を向いた。
「夜も眠れんのだ。俺は行く!どうしても行くぞ!くそう、金がほしいなあ!」と言って、欣吾はまた奥の部屋で寝転がった。

おきんが怪しげな酒を造っている時、貢がやってきた。
貢は「仕事がほしいんだが」と言う。
「仕留めの方かい?」
「少しまとまった金がいるんだ」。

「オランダへ渡ろうかと思ってな」。
「オランダ?!」
これには、おきんも驚いた。

主水と大吉に話すと、大吉は無理もないと言う。
江戸にいれば殺されたあやのことを思い出す。
いっそ上方へと思うのが人情だが、大吉は「学のある奴は違うねえ。オランダと来たか」と言った。

だが、ご禁制を破って国抜けしようと言うんだから命がけだし、金もいるだろう。
しかも、仕留人が足抜けすると言うのは、どうなんだろうと大吉が言う。
すると主水は「大目に見てやるんだな」と言う。

「仕留人の掟に、足抜けってくだり、あったかねえ」とおきんは言う。
主水は「あの男は大体、この稼業に向く男じゃねえ。俺たちと違って、神経も細けえしな」と言う。
「どうだい。黙って50両!餞別代りに渡してやろうや」。

しかし、50両は大金だ。
「ちっとやそっとの仕留料じゃ、とても追いつかないよ」とおきんが言う。
だが、主水にはひとつだけ、大口の当てがある。

深川嵯峨町の廻船問屋、三州屋だ。
市中に出回っている南蛮ものの品は、三州屋から出ている。
はっきり言って、抜け荷だ。

だからこの首根っこを押さえてギュウと言わせれば、50や100の目こぼし料が手に入る。
「どうだ、やるか!」
おきんが「強請りだね、まるで」と言う。
「おお、そうだ。はっきり言えば、強請りだ。まとまった銭、手にするには、ちったあ危ねえ橋渡らねえとな」。

だが大吉は反対だった。
「俺は反対だな。仕留め人は仕留めだけしてりゃ、いいんだ。強請りなんざ、外道のすることだ」。
「てやんでえ。奇麗事で銭が手にはいりゃ言うことねえやな!やらないのか?」
誰も賛同しないので、主水は1人でやると言って出て行った。

奉行所に戻った主水は、先ほどの大門に抜け荷の件を聞かれる。
主水は浦安沖辺りで、派手に取り引きしているようなので、当たってみると話した。
大門は笑って「存分にやれよ」と言う。

その頃、貢はというと、欣吾に連れられて、欣吾の家にやってきていた。
「座布団ひとつございませんが」と詫びる八重に、貢は「貧乏暮らしはご同様で。どうぞ、お構いなく」と言う。
座っている八重に、「何をボヤボヤしているんだ?酒でも買って来い」と欣吾は八重に言う。

しかし、八重はなかなか立ち上がらない。
すると欣吾は「早く行け」と言う。
そしてすぐに本に目を移すと、貢に蘭学の話を始める。

八重は徳利を手にしたが、しばらく考え、帯を手に質屋へ行く。
質屋は八重に「ほう、帯ですか」と言った。
そして「この前の話、考えてくれましたか?それだけの器量をしてて、何もこんなつらい暮らし、しなくたっていいんですよ」と言った。

質屋は八重の顔をのぞきこみ、「昼間、小一時、旦那衆の相手をするだけで、2両や3両にはなりますよ。いいえ、誰にもわかりゃしない。あんたが黙ってりゃ…」と言う。
「やめて、やめてください」と八重は声をあげる。
質屋は、「そうですか。しかし、欲のないご新造さんだ。まあ、いいだろう。その気になったらいつでも相談にいらっしゃい」と言って、帯のお金として小銭を渡す。

欣吾はオランダに行ったらしかるべき教師を探し、下男として住み込んでもやりたいことをやり遂げると熱く語る。
「お前は何をやる?」と聞かれた貢は「何も」と答える。
「おい…」。

「これといって、別に目的はないよ」と、貢は薄く笑う。
「糸井」。
「ただ漠然と日本を離れてみたいだけさ。西洋行けば少しはおもしろいことがあるかもしれんし」。
「いかん、いかん!そんな生半可な気持ちじゃ、とてもオランダには渡れんぞ!これは命がけの仕事だからな」

「しかし、手遅れだよ」と貢はうつむく。
「手遅れ?」
「今さらもう、学問なんかできん」。

「バカな!学問は一生の仕事だぞ。男が一生かけて打ち込むものだ。そうだろう!」
「じゃ聞くが、その学問のためなら何者をも犠牲にすることができるのか」。
貢が聞き終わるか終わらないか、途端に欣吾は「もちろん。当然だ」と答える。

鋭い声で貢が、「奥さんもか!」と言う。
帰ってきて、戸に手をかけようとした八重はその声を耳にして、手を止めた。
「八重を?」

「俺にはとても、お前の真似はできん」と、貢は欣吾から目をそらした。
「あやが労咳に冒された時、俺は心のどこかで学問を捨てた」。
「あやさんは、どうしてる?」

貢の顔色が、かすかに変わる。
「死んだよ」と貢は答えた。
「死んだ?」
八重が表で聞いて、つらそうな表情になる。

「俺が蘭学を始めたばっかりに、一生、日の当たる暮らしはできなかった。いつも誰かに追われているような、つらい毎日だった。最後は…、俺が殺したようなもんさ」。
貢はどこか、遠くを見ていた。
「お前がオランダへ渡ったら、残された八重さん、どうなる。どうするつもりだ」。

「国抜けをすれば、とても2年や3年では帰れん。この世の中が変わらない限り、一生日本には戻れんかもしれない。その時、八重さんはどうなるんだ」。
すると、欣吾は「その時はその時だ。俺が帰れなかったら、他の男と一緒になればいい」と言った。
「その方がかえって、あの女には幸せかもしれない」。

外で聞いていた八重が、後ずさりをしていく。
「俺みたいな男といたら、一生この貧乏暮らしから、足は洗えんからな」と言って、欣吾は自嘲気味に笑った。
八重は家から離れ、夜道で泣いた。
三日月が美しかった。

夜勤が空けて、家に戻った主水だが、家の中から返事がない。
突然、主水に匕首が突きつけられ、見ると、せんとりつが縛り上げられている。
騒ぐと、せんとりつを殺す。

男たちにそう言われて、主水はそのまま、数人の男たちに囲まれ、口をふさがれ、頭に布をかぶせられて、駕籠に乗せられて連れて行かれた。
脇を同じ、同心が2人、笑いながら通り過ぎていく。
誰も気づかない。

何とか縄を解いたせんとりつだが、りつが隣の田口家に駆け込もうとしたのを、せんが止める。
こんなことが役所にわかったら、中村家の大失態。
中村家はお構いになる。
「婿どのの代わりはいても、中村家の代わりはございませぬぞ!」とせんが言うのを、りつは「母上~!」と泣きながら聞いていた。

主水は、三州屋に連れてこられた。
隆右衛門に向かって、「どうするつもりでえ」と言うと、隆右衛門は「こうするつもりだ」と言って、主水を空井戸に放り込んでしまった。
「ゆっくりひもじい思いをして、死ぬんだな」と言う隆右衛門と六蔵と男2人が井戸を覗き込み、笑い声が響き、井戸が覆われた。

その日、貢が宿で絵を描いていると、客が部屋を求めてやってきた。
奥にいた貢がふと、顔を上げると、八重が質屋の男と来ていた。
貢は驚いて見ていると、女将が「おや、どうしたんです?」と聞いた。

「今の客は?」
「質屋の番頭で、女を取り持つカラスですよ」。
「カラス?」
「素人の女を口説いて、大店の旦那衆に取り持つ商売がありましてね。うちじゃ、大切なおなじみさんなんですよ」。

貢は信じられないと言う表情をしている。
「でも昼間っからあれなんですからねえ、近頃の素人女って、本当に怖ろしいったらありゃしない」。
質屋の男は、八重を隆右衛門につないだ。

隆右衛門は八重のことを、「思った通りの女だ。とても今までの女とは比べ物になりませんよ」と満足そうだった。
質屋の男は、口説くのに苦労したと言う。
そしてちょっと八重から頼みがあるのだが、前金として50両ほしいと言っていると話した。

三州屋はアッサリ「50。なるほど、いいだろう」と承知した。
使いの者をやって、すぐにでも持ってこさせると言う。
「せっかく手に入れた女だ。50や100の金、替えられませんよ」と隆右衛門は笑う。

貢は激しく雨の降る中、出て行った。
八重は座敷で、放心したように座っている。
激しい雨の中、貢は歩いていく。

その頃、大吉に妙心尼が、主水が連れ去られたと話をしていた。
せんは口止めしたが、りつは泣くばかり。
藁にもすがる思いで、大吉にも相談に乗ってほしいと言う。

「何だよ、俺はただの藁っくずか?」
「いいえ!」
「放っとけ、放っとけ。八丁堀の兄貴はあれで、なかなか肝っ玉の据わった男だ。修羅場を潜り抜けるなんざ、お手の物だよ」。
そう言って妙心尼に迫る大吉だが、妙心尼は今日だけは拒絶する。

大吉からおきんに話が行くが、大吉にもおきんにもいい考えはない。
おきんは、「お前ときたらまったく、アタマの方、カラッポなんだから!せめて貢がいてくれりゃあな」と言うが、大吉は、「バカ野郎、あんな野郎、頼りになるわけねえじゃねえか!仲間から足抜けしてオランダへ渡ろうなんて野郎だ」と言う。
大吉は十中八九、三州屋に違いないと言うが、問題はどうやってそれを探り出すかだ。

おきんは、自分は手伝えないと言った。
もう手遅れかもしれないが、今夜、三州屋に忍び込んでみると大吉は言う。
手遅れと聞いて、おきんは「ええっ」と言う。

家に戻った八重は、欣吾に50両を出した。
驚く欣吾に、叔父に借りてきたと言う。
欣吾は金を見て「そうか!貸してくれたか!50両まるまる、貸してくれたか!」と歓喜した。
八重は顔をそらす。

「あの因業じじいめ、とうとうわかってくれたか!」
欣吾は小判を握り締め、「ようし!よし、よし、これで行ける!オランダへ行けるぞ!」と大喜びした。
「しかし、よく貸してくれたな!まるで、狸か狐に騙されているみたいだ!」と言うと、八重の叔父に礼を言いに行くと言った。

「すぐ支度してくれ」と言われ、ハッとした八重は「いけません!」と止めた。
「なぜだ」。
「叔父上には、はっきりと言われました。この金は縁切り金だ、もう親戚とは思ってくれるな、2度とお前たちの顔は見たくない。そう言われたのです」と、八重は言う。
もう親戚とは思ってくれるな、2度と顔は見たくないと言われたと。

それを聞いた欣吾は、「そうか…。つらかったろうな、八重」と言う。
八重は、つらそうに顔をそむけていた。
欣吾は、八重を抱きしめた。
八重は欣吾の肩越しに泣いていた。

欣吾は飲み屋で、貢にオランダに行くことを話した。
「そうか、お前は行くのか」。
「お前はどうする」。
「俺はやめたよ」。

「どうして」。
「俺には、金持ちの親類はないしな。50両の金など、とても急場には間に合わん」。
「じゃ、金ができたら後から来い。俺から三州屋には頼んでおく」。
「三州屋?」

「深川嵯峨町の廻船問屋だ」。
欣吾は永井も三州屋の手引きで国抜けしたのだと言う。
永井もきっと、自分が行けば驚くだろう。
笑っている欣吾を貢は見つめると、真剣な面持ちで「なあ、新島」と呼びかけた。

上機嫌の欣吾は「うん?」と言って貢を見た。
「帰って来い。必ず帰って来いよ。八重さんのためにもな」。
じっと見つめる貢に、欣吾は「うん。俺もそのつもりだ」と言った。
「向こうで5年も修業すりゃあ、一人前の蘭方医にはなれるだろう。その間には、世の中も変わっているだろうしな。きっと、八重を幸せにできる。何と言ってもあいつには散々、苦労かけたからなあ」と言う。

そして貢に、留守の間、八重を頼むと言った。
「何かと相談に乗ってやってくれ」。
貢は「うん」と真剣にうなづいた。

その頃、三州屋では主水が井戸の底にいた。
六蔵が井戸の蓋を開けると、主水が目を覚ます。
主水が、蓋から零れ落ちる水滴を受け止めて吸う。
六蔵は、主水が生きているのを見ると、再び蓋を閉めて去っていく。

そして同じ三州屋の屋敷内では、欣吾が隆右衛門から説明を受けていた。
欣吾が出した金を見た三州屋は「また帰ってきた」と笑う。
「え?」
「いや」。

西洋のお茶を勧めながら三州屋は、海の上には関所も番小屋もない。
五島の沖でオランダ船に乗り移れば、あとは蒸気船に乗って眠っている間にオランダに運んでくれると言う。
気持ちがはやる欣吾は、船はいつになると聞くが、六蔵は風の具合で、明日の夕刻と言う。
その後は半年後になると言う。

半年と聞いて、欣吾は考える風だったが「どうせ身軽な体だ。明日でも構わん!」と目を輝かせた。
家に戻った欣吾は、旅支度をした。
八重に懐から欣吾は八重に「これは本を売って作った金だ。当座の費用にしてくれ」と言って、八重の手に小判を置いた。
目に涙を溜めて、八重は小判を胸に抱く。

八重にわらじのヒモを結んでもらいながら、欣吾は「貢が来たらよろしく伝えてくれ」と言った。
「費用ができたら、向こうで待っているとな」。
「はい」。
八重が何か言おうとした時、三州屋から六蔵が迎えが来た。

「頼むぞ」と言って、欣吾は出て行く。
六蔵が荷物を運び、夜道を行く欣吾を、八重は思わず外に出て追った。
本を抱えて歩いていた欣吾は足を止め、振り向くと「八重。人目に立つといけない。帰りなさい」と言った。

「はい」。
涙を目にためて、八重は言った。
欣吾も息を詰めて、八重を見る。

「お達者で」と、八重は言う。
欣吾も何か言おうとするが、言葉が出てこない。
「お前もな」と、欣吾は八重を見て言う。
「はい」。

欣吾は去っていく。
八重は口の中で、何か言いながらそれを見送った。
だがそろそろと足を進め、欣吾の後をついていく。

その頃、貢はやっと大吉から、主水が連れ去られたことを知らされていた。
大吉は、主水は貢がオランダに渡る金を作る為、深川の三州屋という廻船問屋にアタリをつけていたと言う。
それを聞いた貢の顔色が変わった。
「おい、何て言った?深川の何て言った?!」

「三州屋だ。嵯峨町の」。
貢は途端に外に走って行った。
「おい、糸さんよ!待てよ、おい!」
大吉が追うが、貢は一心不乱に走り出して行った。

本を抱えた欣吾が、荷物を持った六蔵と、船に向かう。
主水が三州屋を見ていた鍵のかかった門に、八重が来ていた。
八重が見ていると、横から隆右衛門が歩いて来た。
六蔵に声をかける隆右衛門を見て、八重は思わず隠れる。

「じゃあ、新島さん。お達者で」という隆右衛門の声がする。
「また会おう」と欣吾が言う。
その時、「待てい!」と言う声がして、大門が十手を振りかざしながら現れた。
「三州屋、今度は国抜けの手助けか?」

大門は証拠は挙がってると言って、欣吾に奉行所まで来てもらうと言う。
欣吾を叩けば、三州屋がしていることが…と大門が言いかけた時、欣吾が逃げ出す。
大門が刀を抜き、船を降り、走る欣吾を斬った。
見ていた八重が悲鳴をあげようとしたその時、背後から八重の口が手で覆われた。

八重の後ろに、貢がいた。
貢も凝視していた。
またしても、欣吾が斬られる。

「うわああ」と欣吾が悲鳴をあげ、膝をつく。
刀を抜き、大門に応戦する。
しかしアッサリと刀を弾き飛ばされ、欣吾は大門に斬られる。

欣吾が倒れる。
横たわった欣吾を足で蹴り、仰向けにすると大門は上から串刺しにした。
欣吾が目を見開いて、断末魔の叫びをあげる。

口をふさがれた八重が、欣吾に向かって手を伸ばす。
貢の目が怒りに燃える。
大門が欣吾から刀を抜くと、三州屋の者が欣吾の遺体を運び、船の上から欣吾の遺体を水に投げ落とす。

「いつもながら、お見事ですな」と三州屋が大門に言う。
「また50両の稼ぎだな」。
「いや、今度は女1人ただ取りにしましたでな」。

「女?」
「うひひひ」と三州屋は笑うと、大門と一緒に去って行く。
門の外で貢に押さえられていた八重は、貢の手が離れると崩れ落ち、嗚咽をもらした。

貢も門の向こうをじっと、見ていた。
八重は泣き崩れ、貢が家に連れて行って寝かせた。
おきんが「薬が効いてきたんだね。やっと寝付いたよ」と言って、戸を閉めた。

「糸さんよ、どうする?」
「こんなひどい話ってあるかい。三州屋の奴、端っからそのつもりだったんだ。そのつもりで、国抜けの話を持ちかけてきたんだ」とおきんが言う。
「八丁堀も殺されているかもしれねえな」と暗い声で大吉が言う。
「生きているわけないよね」とおきんも、言う。

腕組みしている貢に向かって貢、やるんだろ?やるね?!」とおきんが言った時、戸の向こうでうめき声がする。
あわてて3人が戸を開けると、八重が台所の包丁で胸を突いていた。
「八重さん!八重さん、しっかりするんだ!」

貢が八重を支えると、八重が「恨みを。夫の恨みを」と声を振り絞る。
八重の胸を手ぬぐいで押さえ、貢が包丁を抜くと、小判が落ちる。
貢もおきんも、大吉も無言になる。

その頃、三州屋では、大門と隆右衛門が酒を酌み交わしていた。
2人の話によると、欣吾で8人になるらしい。
さらに、上海からの手紙も作っていたらしく、また作らねばならないと話している。
これからさらに、商売繁盛だろうと2人は笑う。

2人の背後の障子がそっと開き、貢が顔を見せる。
手を伸ばし、大門の刀を盗む。
庭では大吉が、胡桃をすり合わせていた。
大吉は座敷から酒を下げて持っていく六蔵を、庭で背後から捕まえると口を塞ぐ。

六蔵はもがくが、大吉は膳を受け取ると、六蔵の口に胡桃を押し込む。
そして、声が出せない六蔵の心臓をつかむ。
六蔵が、思わず胡桃を噛み砕く。
大吉は絶命した六蔵を担ぎ、近くの井戸の蓋を開けた。

六蔵を放り込むと、「何しやがんでえ。先客がいるんだぜ、おい」と、井戸から声がする。
「八丁堀か!」
大吉が井戸を、のぞく。
「石屋かあ…、腹減ったあ」。

座敷では、六蔵が遅いと三州が言っていた。
大門はもう、存分に飲んだと言い、そろそろ…、と立ち上がろうとした。
だが「どうした?刀はどこに?」と言う。
大門がそう言った時、廊下に面した障子が開いて、主水が膝を折り、障子に寄りかかりながら立っていた。

「大門さん」。
主水に呼ばれた大門が思わず、顔をそらす。
「刀ってのは、これじゃねえのか」と主水が差し出す。

「な、中村、お前!」と大門が刀に飛びつく。
主水はそのまま、刀を引く。
刀が抜け、主水は上から背中を向け、逃げようとした大門を斬る。

大門がよろけ、徳利を倒しながらうつぶせに倒れる。
三州屋は逃げた。
庭に出ると、大吉が灯篭の上に置いた膳の上の徳利が見える。

後ろを振り返りながら逃げた三州屋の前に、三州屋を凝視する貢が座っている。
三州屋はあわてて方向を変え、逃げる。
しかし、その先には大吉がいた。

三州屋は家の方に走っていくが、刀を抜いてこちらを睨む主水が立っていた。
「た、助けてくれ。金ならいくらでも」と三州屋が大吉に向かって、懐に手をやる。
だが、出したのは金ではなく匕首だった。

大吉にはじかれ、三州屋は灯篭で体を支えている主水の前に出る。
うろたえた三州屋は貢を見て、後ずさりする。
3人が近づいていく。

囲まれた三州屋は、ついに土下座する。
「か、勘弁してくれ。勘弁してくれよ」。
貢が三州屋の正面に、膝を折って座る。

三州屋は「勘弁してくれ。この通りだ」と貢に向かって、手を合わせる。
貢は冷たく鋭い目で、三州屋を見ているが、ゆっくりとうなづく。
「あ、ありがてえ」。

三州屋は貢を拝む。
貢の前に手をつき、頭を下げた。
三州屋を見ていた貢は、何かを懐から出した。
矢立だった。

土下座した三州屋がちょうど頭を上げた時、首筋が矢立に当たった。
貢が矢立の仕掛けを押す。
カチャリという音がして、三州屋が妙な表情をする。
貢がゆっくりと、矢立の長く、鋭い針を抜く。

三州屋を見下ろして、再び針を矢立の中に収め、立ち上がる。
土下座のまま、三州屋は固まっている。
主水が刀を放り出し、座り込む。
貢が大吉を見る。

主水は大吉の家で、飯を食らっていた。
貢が立ち上がり、小判を出す。
「みんな、1両ずつ取ってくれ」。
大吉が主水に1両渡すと、主水が飯を食いながら、受け取る。

「私は2両貰っておく」と貢が言って、「そのうちにな」と言って出て行く。
おきんが身を乗り出して見る。
「なんだい、あのやろう?!」と大吉が声を出す。
「怖い」とおきんが言う。

「あたい、何だか貢が怖くなってきちゃった」。
主水が飯を食いながら、「奴は本物になりやがったな。本物の、仕留め人にな」と言う。
大吉とおきんが無言で、主水を見つめる。

主水が家に戻ると、仏壇に向かって、せんとりつが一心不乱に拝んでいた。
「ただいま」。
せんとりつが振り返ると、主水が立っている。

「あなた!」
「婿殿!」
「ご無事で!良かった、まあ」。

せんとりつが、主水にしがみついてくる。
「嫌々、別にそんな、たいした事件じゃないんだが」。
だが、せんとりつは主水にしがみつきながら、泣き始めた。

「母上も、りつも、そんなに…、そんなにこの私を」。
主水も泣き始める。
やがて、うおーと大きな声で、泣き始めた。



冒頭、貢が芝居小屋で男を仕留めます。
その後姿に凄みがある。
去っていく貢にかぶさる、口笛の音楽。
貢の変貌を思わせます。

そして、貢は何と、出会い茶屋に居候して、絵を描いてます。
言い寄る風の女将は軽くかわしているものの、三味線を弾いて一座とまがりなりにも溶け込んでいた時の貢とは違います。
インテリの砦を崩していなかったのに。

ええと、細かいところを言うようですが、八重さんが死んで沈黙している貢、大吉、おきん。
3人の表情が、前回の「世のためにて候」の時の、被害者の心中を知った時の3人と同じ画面だったような。
大吉の画面で思ったんですけどね。

貢が偶然、再会した旧友・新島欣吾。
「糸井!」と読んでます。
2話では須貝が「吉岡」と本名を言っていたんですが、蕎麦屋で欣吾が「3年…、いや5年ぶりか。長英先生が捕まって以来だからな」と言っている。

糸井と名乗っていたのを知っているんだと、解釈することにしました。
「世の中は先生の、おっしゃるとおりになってきたじゃないか」と言う欣吾は、貢に高野長英門下で学んでいた時のことを思い出させたのでしょうか。
貢はもう、蘭学への情熱どころか、何もかも気力が失せているように思えましたが、欣吾のオランダと聞いて、自分も行こうかなとおきんに仕留め仕事がないか聞く。

この時のおきん、何やらお酒を造っている。
貢が入ってきたのでビックリするが、貢に何をしているのか聞かれると「商売のネタだよ。何だか知らないんだけど、しいどるっていうんだって」と言う。
シードルですね。
本当は林檎から作るのだが、西洋の酒だというとありがたがって買っていく客がいるので、なんだっていいのだと言う。

仕留め仕事がないか聞かれたおきんは、「貢よう、あんたって水臭い人だね」と、おきんは言う。
「あたいたち、仲間じゃないか。そうだろう。だったらどこでどんな暮らししているとか、かくかくしかじかで金がいるとか、もっとざっくばらんに言ったらどうなんだい」。
おお、ざっくばらんと言うか。

「ええ?いきなり入ってきて金が要るって言われたって、あたいだって困っちゃうよ」。
一気に言うと「で、何だよ。何で金が要るの?女か?死んだかみさんを忘れるような、いい女ができたって言うの?」と聞く。
でも「オランダに渡ろうかと思ってな」と聞いて、「オランダ?!」とビックリ。

それを聞いた大吉は「おい、おきんよ。もうにっぽんにはオランダ」とかシャレを言って、おきんと笑う。
だけど、主水はまじめな声で「うるせえ!」と言う。
大吉は貢の足抜けを認めるつもりか、と言ったが、主水は「大目に見てやるんだな」と言う。

「仕留人の掟に、足抜けって下り、あったかねえ」と言うおきん。
かつて、貢に足抜けを認めてもらったのに、それはないじゃないですかー。
そこで、主水が「しかしな、おきん」と言う。

「あの男はだいたい、この稼業に向く男じゃねえ。俺たちと違って、神経も細けえしな。どうだい。黙って50両、餞別代わりに渡してやろうや」。
主水が優しい。
同じ、家庭持ちの思いやりかもしれない。

仕事人になった主水は、仲間に対してあんまりこういうことを言わない。
その主水は、三州屋の積荷を見て、うれしそうな顔をする。
袖の下を貰える匂いがしたんですねえ。

一方、家に戻った欣吾は、八重に叔父から金が借りられないかと、そんなことばっかり言っている。
八重さんのやつれぶりがわからないか。
やつれているが、美しい八重さん。

無理だと言われると、「ふん、俗物め。あんな奴は早くくたばっちまった方が世の中の為だ」って。
八重さんは縫い物してるんですよ。
自分で何とかして来れば、いいじゃないか。
でも貢同様、肉体的にも、そして精神的にも、できる仕事が限られているのかもしれない。

「日本にいては、学問はできないのですか」と八重さんが聞く。
すると「八重、わかってくれ。日本の蘭学は子供だましにすぎん。寺子屋以下のものだ」と言う。
「海の向こうへ渡れば、本当の学問がある。俺が命を削っても知ろうとしていることが全てわかるんだ」って。
わかってほしいのは、目の前の八重さんのことだと思う。

勝手だ!
自分のことしか考えてない!
八重の哀しそうな顔にも、疲れた顔にも欣吾は気づかない。

それで「あー、金がほしい」と寝転がる。
子供か!
頭は良くて、これじゃあ…。

そこへ、家に招かれた貢は「今さらもう、学問なんかできん」と言う。
欣吾、「バカな。学問は一生の仕事だぞ。男が一生かけて打ち込むものだ」。
「じゃ聞くが、その学問のためなら何者をも犠牲にすることができるのか」と貢。
すると欣吾、即答で「もちろん。当然だ」。

貢は鋭い声で、「奥さんもか!」と言う。
帰ってきて、戸に手をかけようとした八重はその声を耳にして、手を止める。
「八重を?」
「俺にはとても、お前の真似はできん」と、貢は欣吾から目をそらす。

欣吾にはまだ、事件は起きていない。
だからわがまま言っている子供のようで、いられる。
でも貢は違う。
「あやが労咳に冒された時、俺は心のどこかで学問を捨てた」。

その貢の最後の砦、あやさんはいなくなり、学問もなくなってしまった。
「あやさんは、どうしてる?」と聞かれた時の、貢のかすかに変わる表情。
「死んだよ」。
あの事件を、貢も見ているこちらも思い出す。

「死んだ?」
「俺が蘭学を始めたばっかりに、一生、日の当たる暮らしはできなかった。いつも誰かに追われているような、つらい毎日だった」。
そして「最後は俺が殺したようなもんさ」。

この言葉と表情から、貢の感情が滲み出てくる。
身を切るような悔恨。
ただ、欣吾には、あやさんが病死したとしか受け取らなかったでしょう。
まさか裏稼業の抗争に巻き込まれたとは思わない、それは無理はないけど。

「お前がオランダへ渡ったら、残された八重さん、どうなる。どうするつもりだ」と貢は聞く。
国抜けをすれば、とても2年や3年では帰れない。
いや、世の中が変わらない限り、一生、日本には帰れないかもしれない。

その時、八重さんはどうなる。
すると欣吾は「その時はその時だ。俺が帰れなかったら、他の男と一緒になればいい」と言う。
「その方がかえって、あの女には幸せかもしれない」。

残酷な言葉!
今までの苦労が全部、流れてしまうような言葉。
外で聞いていた八重が、後ずさりをしていく。
「俺みたいな男といたら、一生この貧乏暮らしから足は洗えんからな」と言って、欣吾は自嘲気味に笑った。

この後、八重は家から離れ、夜道で月を見上げながら泣く。
当然です。
お酒を買うお金もないことに気づかない欣吾が、言うべきじゃない。

だったら、八重さんと別れて、自分だけで生きるべき。
八重さんも、黙っているべきじゃない。
貢と違って、夢ばかり見ていて、現実と向き合わないで済むのは八重さんがしっかりしているおかげ。

でも、八重さんは、そんな欣吾が好きなんだろう。
本当は2人で小さくても、幸せに暮らして生きたいだけ。
しかし、欣吾の幸せは蘭学だけ。

だから、八重さんはついに、質屋の話に乗る。
その瞬間を貢が見てしまう。
放心したように、八重が哀しみに沈む。
八重を見た貢も、いたたまれずに雨の中、表に出て行く。

しかし、貢は欣吾と違って大人だから、誰にも言わない。
苦労をかけたあやさんと八重さんが、おそらく貢には重なって見えたはず。
自分もこんな風にしてしまったかもしれない。

そして、夢ばかり見ている欣吾は超現実とに食い物にされる。
自分のことしか考えない欣吾は、八重の言葉の裏など思うこともなく信じて、オランダ行きに大喜びする。
八重のつらそうな本当の意味など、欣吾にはわからない。

「帰りなさい」とか、キリッとして大人の、しかもエリートに見えるけど、この人は子ども。
こういう人、現代でもいる。
リアリティがある。

でも自分勝手な欣吾が過酷な現実に直面するのはいいことだけど、八重さんまで巻き込んで不幸になることはない。
ちょっと目を覚ましてくれれば良かっただけ。
八重さんとしては、これから自分を待つ生活を思えば、好きな夫が出て行くところを最後まで見たい。
しかし、八重が見てしまったのは、斬り殺される夫だった。

ここで主水と三州屋、大門が一気に繋がる。
そうか、この前にも7人は犠牲になっているんだ。
欣吾がうらやましがった永井という人も、殺されている。

上海からの手紙は、餌だった。
ここで悪事が見つからなかったら、欣吾の手紙は捏造され、八重に届けられ、八重は信じて三州屋の妾になっていたはず。
そして貢も、やがて引っかかったのかもしれない。

三州屋は多々良純さん。
「また戻ってきたよ」とか、「仕事屋稼業」の5話でも発揮された、妙におかしい言い回しで、悪党なのに笑っちゃう。
この愛嬌は何だ!
八重を得た時の品のないうれしそうな顔が、貢や欣吾と言ったインテリ男と対照的。

三州屋は怒りの主水、大吉、貢に追い詰められて、土下座する。
貢のこの時の軽蔑しきった、冷たい、しかし怒りに燃えた目。
助けてくれと拝まれて、冷たい目で、うなづく。

8話でうっかり許してしまって、逆襲にあった貢。
今度は相手を安心させ、一番ホッとさせた時に、アッサリ殺す。
この時の多々良さんの白目をむいた、笑顔のような顔が絶品。
悪党なんだけど、やっぱり笑っちゃう。

今回、主水は大ピンチ。
井戸に落ちて、良くご無事でした。
兵糧攻めにあって、フラフラ。

だから、大門には怒りの一撃。
お腹すいていると、腹立ちますから。
最後にはせんとりつが、「仕留人」「仕置人」通じて初めてと言っていいほど、主水を心配して泣く。
仕掛人の明るい音楽に合わせ、いつもは嫌味しか言わないせんと、りつの号泣に思わず、乱れ髪の主水も泣いちゃう。

そして、貢は変わった。
冒頭、貢が鮮やかに新しい武器の仕込み矢立で仕留め仕事をする。
冒頭でも変わったけど、今回でさらに変わった。

外国へ渡ることにも、絶望する貢。
仕留めた後、自分は2両貰っていくと言って、今までにない一方的な宣言をして、去っていく。
その迫力に、おきんが「こわぁい…」と言う。
今の貢には、それほど凄みがある。

本物の殺し屋になった。
主水も「奴は本物の仕留人になりやがった」と言うほど、貢は殺し屋らしくなった。
でもそれは、まるでマンガの「日出処の天子」の厩戸王子のように見える。
「別に何か目的があってのことじゃない。…何かしないと、生きている気がしないから」。


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2015.09.09 / Top↑
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