第20話、「一途にて候」。


加納一平という若い同心が、北町奉行所にやってきた。
一平は一刻者だった父に反発し、京都で焼き物などを焼く生活をしていたが、父が亡くなって同心の後を継いだ。
父の頼母は浪人たちと斬りあって、後ろから斬られて殺されたとのことだった。

主水がそう説明していたところ、与力の平田玄一郎がやってきて、頼母は本当に立派だったと誉める。
頼母の最期は、平田が見届けたのだと言う。
その夜、賭場に手入れがあり、親分の勘八が捕えられそうになるが、平田に袖の下を渡して事なきを得る。
だがまじめに手入れしていた一平は納得がいかず、そのまま奉行所に連行する。

それを見た主水は、顔を曇らせる。
同じ北町の同心・水上や佐山は一平にも賄賂をつかませようとするが、一平は毅然と拒否する。
水上と佐山はこのことを平田に報告し、主水は憤然と奉行所を1人で歩く一平の姿に不安を感じる。

一平には同心の叔父・笠井新兵衛がおり、その娘に美しい百江という娘がいた。
百江と一平は幼なじみで、お互い、密かに子供の頃から想いあっていた。
墓参りをしながら、一平は新兵衛から、実は自分とは違った道を行く息子を頼母は頼もしく思っていたと聞く。

本当は、自分の後を継がせたかったには違いない。
今の一平を見たら喜ぶだろうと言う新兵衛に、一平は本当に父は盗賊に斬られたのかという疑問をぶつける。
背中から斬られたというが、頼母は相当の使い手だった。

よほど油断していなければ、考えられないことだ。
すると、新兵衛は「要領よくやることだ」と言う。
その言葉にひっかかった一平だが、百江を非番の一平に預けて、新兵衛は奉行所に向かう。

奉行所の書庫で主水は平田から、一平になんとしてもつかませろと命ぜられて、賄賂として5両を渡された。
平田が出て行く時、入れ違いに新兵衛がやってきた。
新兵衛は平田の与力部屋に呼び出されると「この間の一件のことだ」と言って、またしても財布から1両出して渡そうとする。

「大したことはしていないので」と新兵衛が辞退すると、平田は「いらんというのなら」とアッサリと金をしまいながら「叔父上から何か聞かなかったか?」と訊ねる。
平田の叔父は奉行で、今は病に臥せっていて、あまり奉行所には出所できない。
奉行からの話というのは、新兵衛の娘の百江のことだった。

平田は叔父である奉行から早く身を固めろと言われているが、それならば百江を嫁にしたいと考えていた。
それは光栄だが…と新兵衛は口ごもるが、平田は奉行に媒酌を頼んでもいいと言って黙らせる。
主水はそれを、通りかかった廊下で聞いていた。

勘八と平田と水上と佐山は完全に結託しており、勘八は金はもちろん、自分の情婦のおしまさえ平田に差し出していた。
その勘八の賭場に、一平が踏み込んできた。
勘八を連行しようとする一平を、平田が止める。
だが一平は、無理やり勘八を連行して行った。

しかし、勘八は、すぐに解き放しになった。
主水は「そのうちにわかるだろうが、いろいろと裏があってな」と言うが、一平は「それはお奉行が平田様の叔父であるですか」と聞く。
「長いものには巻かれろ、だ。見ざる、言わざる、聞かざる」と言って主水は、平田から預かったと4両を握らせようとする。

だが一平は受け取るどころか、「中村さん、あんたは汚い!」と怒った。
「汚い?」
「これでは正しい道理は通らない。私は戦う。私はこの不正と戦います」。

「あんたの父上も、それを口癖のように言っておられたが」。
「父上も?」
一平のまっすぐな視線に、主水が視線を落とす。

主水は仕留人たちに、このままでは一平が危ないと相談する。
「町方が町方に始末されるというのかい?」と、全員が驚く。
主水はそもそも、一平の父・頼母が斬られたことにも疑惑を持っていた。

なぜ、そんなことになるのか。
主水は、自分の口から言うのもなんだが、今の奉行所では悪い事をしていない者はほんの一握りだと言う。
扶持高は低いし、懐は寒い。
正直、綺麗事は言っていられない。

だがそれも、程度によりけりだ。
おひねり程度の袖の下なら、かわいいものだ。
しかしいくらなんでも、御定法を破っている連中に悪事を見逃す代わりに金を絞るのは、泥棒の上前をはねているようなものだ。
そしてその企みに乗らないまじめな者は、目の上のこぶだ。

「それで八丁堀、俺たちにどうしろって言うんだ?」と貢が言う。
「つまりだ。その、加納一平という男を、守ってやりてえんだ」。
「守る?」
「このままだとな、必ず、あの男は親父の二の舞で始末される」。

主水は一拍置いて言う。
「俺はな、あのくそまじめな野郎が何となくかわいくてな。俺が…、とっくの昔になくしちまったものを…、まざまざと見せ付けられたような気がするんだ」。
だが貢は、「甘いよ、八丁堀は」と言った。

「甘い?」
「俺たちは仕留人なんだよ。人助けをするほど、立派なもんじゃない」。
主水は言い返せなかった。

おきんは、金はどうなってるんだと言い、大吉も町方の命を守るという話に難色を示した。
ことによると、命取りになるかもしれない。
結局、誰も賛同しなかった。

家に戻ると、せんとりつが隣の田口家に貢物が来ているのを見ていた。
何を見ているのかと伸びをして見る主水に、せんとりつが「覗き見などみっともない」とたしなめる。
田口にはあのように次々と貢物が来るのに、中村家には何も来ないとせんとりつが愚痴る。

主水は田口は上役にゴマをするのが上手いと言うが、せんは主水のふがいなさを責め、あのように貢物があるならいいではないかと言う。
おまけに、懐妊していると思っていたりつは懐妊していないことがわかり、「種無しカボチャ」などと言われて主水はため息をついた。
「今日は三隣亡だなあ」。

その夜は茶屋で一平の歓迎会が開かれ、主水は仮装してドジョウすくいを踊り、大いに受けていた。
座敷のにぎやかさに、茶屋に居候している貢が何かと女将に訊ねる。
加納一平の歓迎会だと聞いて、貢がその名前に気に留めた。

その時、仮装した主水がやってきて、女将に女物の襦袢を貸してくれと言いに来た。
頬かむりした主水と貢の目が合うが、お互いに視線をそらした。
女将が笑って用意しに行くと、主水は貢に「何だおめえ、こんなとこで、しけこんでたのかい」と言う。

「おめえあんまりこの話には乗らねえだろうと思うけどな、今日の集まりには何か企みがあるに違げえねえんだ。加納の身辺を俺が気にしてりゃあ良いが、まあとにかくおめえら冷てえよな」。
貢は主水を振り返って見るが、すっと立ち上がって、部屋を出て行ってしまう。

主水の危惧した通り、勘八が別部屋に来ていて、平田を廊下から部屋に呼ぶ。
それを、廊下で貢が見ていた。
部屋では勘八の情婦のおしまが、紅を塗っていた。

もうすぐ一平は酔いつぶれるので、そうしたらこの部屋に運ぶ。
気がついたときには、おしまとひとつ布団に寝ている。
そこに勘八がねじこむ…、という、平田と勘八の計画だった。

主水が女装して踊っている時、一平が酔いつぶれてしまった。
一平は計画通り、部屋で少し休めと連れ込まれた。
少しして、勘八がやってくる。
部屋の前で立ち止まり、中に入って来る。

暗い部屋の中で勘八は「やいやいやいやい!人の女、寝取りやがって!」と大声を出して凄む。
「どこのどいつでえ!」と言って、布団をはぐ。
だが布団の下から現れたのは、貢だった。
「だっ…、誰だい、てめえは!」

「あ、いや、どうも、部屋を間違えたらしいな」。
隣では、おしまが手足を縛られ、口には猿轡をされてもがいていた。
「いや、この人がね、無理やり私をここに引きずりこむので。はあ、危ないところだった」と言うと、「ごめん」と貢は首を振って立ち去る。
おしまはもがいていた。

廊下を歩いていく貢を勘八が見ており、廊下には平田たち3人が立っていた。
女装した主水が、暖簾の下から顔をのぞかせた。
「何かあったんですか?」と平田たちに声をかけると、平田たちは無言で散っていく。

そしてまた次の夜、大吉が妙心尼のところに行っている時だった。
捕り方の笛の音が響き、大吉が耳を澄ます。
「やけに騒々しいな」と言って、気になった大吉は妙心尼を置いて外に出る。

手分けして賊を追うと平田が指示し、一平だけを別方向に行かせた。
主水はそれを、じっと見ているしかない。
大勢の捕り方が散っていく中、一平は浪人者を見つけた。
斬り合いになるのを、平田が離れたところから見ている。

一平が構えている背後に、平田がそっと近づく。
刀を振り上げ、一平に向かって振り下ろそうとした。
影から見ていた大吉は「どうなってんだ、こりゃあ」とつぶやく。
おきんの「町方が町方に始末される」という言葉が、思い出される。

ハッとした大吉は、一平に向かって刀を振り下ろそうとした平田の手に向かって、胡桃を投げた。
一平は、「おっ」と驚いて声をあげた平田に気づいた。
平田は刀を収めながら、背後から襲いかかろうとした者がいたと言って去っていくが、一平は平田に疑惑を持つ。
後には、胡桃が落ちているだけだった。

一平は新兵衛に父の頼母は、もしかしたら平田に斬られたのではないかと疑問をぶつける。
「私は近頃、いろいろなことがわかってきました。奉行所の中は腐りきっている。叔父さん、あなたまで汚い金を?父はその汚い金をとらなかったばかりに、殺された。そうでしょう、叔父さん」。
一平の言葉に、新兵衛が傍らで花を生けている百江を気にする。
百江も、ちらりと座敷に目を向けるが、花を生け続ける。

新兵衛は、平田は奉行の甥だと言う。
めったなことを言うものではないと言う新兵衛に、一平は「それは自分も父と同じ目に遇うと言うのか」と聞いた。
だが、一平は、奉行が私情に流されるとは思えないと言い、自分は父の死を無駄にしないためにも戦うと言う。

帰り道、百江は「お父様」と新兵衛を呼び止めた。
「わたくし、一平さんについていきます」。
そのキッパリとした口調に、新兵衛も覚悟を決めた。

奉行所に戻った新兵衛は同僚の田口に、今日、奉行は出てこられるのかと確かめた。
だいぶ具合が良いので、今日は出てくると田口は言う。
新兵衛が奉行の部屋に向かうのを、水上と佐山が見ている。

廊下をこわばった表情で歩く新兵衛を、主水が呼び止めた。
だが、新兵衛は返事をせず、歩いていく。
新兵衛は訴状を前に、陰腹を斬り、座っていた。
そこに平田が入って来て、「叔父上は具合が悪くて、来られんそうだ」と言う。

驚く新兵衛の前から訴状を取りあげ、「陰腹を斬っての訴状か。よほどのことが書いてあるらしいな」と言って読み始める。
新兵衛の訴状には、奉行の甥という立場、与力と言う立場を利用しての平田の悪事が書いてあった。
平田はそれを新兵衛の前で、燃やしてしまった。
新兵衛は燃える訴状に手を伸ばしながら、息絶えた。

すると水上と佐山がやってきて、新兵衛に切腹の形を取らせた。
一平が走ってくるが、平田は「役人にあるまじきことをしたというので、自ら腹を斬った」とだけ言って出て行く。
新兵衛の屋敷では、新兵衛のなきがらを前に、百江は気丈に耐えていた。
主水がただ1人だけ、焼香に見えた。

その翌日、一平が奉行所に向かって走っていた。
目安箱に一平の悪事の数々を書いた訴状が、投げ込まれていたというのだ。
人の女房を取り、金を強請る、やくざの情婦と通じ、賭場の手入れを見逃したなどだった。
どれも身に覚えがないと言う一平に、「だろうな。それを書いたのは、この俺だよ」と平田は言った。

「あなたが」。
全てを平田の仕業と確信した一平は思わず、刀に手をやる。
それを見た平田は「おい、加納。奉行所内で刃物沙汰を起こしたら、どうなるかわかってるのか。家名断絶、お前は切腹だぞ」と言う。

ハッとした一平は、一旦は手を収めた。
だが平田はいくら一平が正義を通そうとしても無駄だ、言う通り賄賂を受け取れと言う。
「お固いばかりが能じゃないぞ」と言われても、一平はキッと平田をにらんでいた。

「どうしても俺の言うことが聞けないってのか。それじゃあ、言ってやろう。貴様の親父も、コチコチの堅物でな。それがゆえに死んだんだ」。
平田は一平の前に立ち、一平を見下ろす。
そして「新兵衛が忠義面して、お奉行に何か言いたかったらしいが、そいつも無駄だったな!」と吐き捨てるように言った。
「叔父さんまで」。

うつむいた一平は平田に向き直ると「きさまぁ!」と叫び、刀を手にする。
平田は「乱心者だ。出会え、出会え、出会えー!」と叫びながら廊下を走る。
一平が刀を手に振り上げながら、「平田ーっ!」と走ってくる。
「あっ」と出てきた主水が、一平を抑えようとする。

「加納さん!」
「どいてください!」と一平は主水を突き飛ばす。
一平の反対側から走ってきた水上と佐山が、すれ違いざま、一平の両側から2人して一平を斬る。

倒れる一平を見て、主水が目を見開く。
駆け寄った主水を水上たちは突き飛ばし、一平にトドメを刺した。
刺される一平を前に、主水が思わず目を閉じる。
絶望の面持ちで、うつむく。

「片付けい」。
平田の一言で仰向けに死んだ一平が、引きずられていく。
同心たちが何事かと、出てくる。
主水は怒りの表情で、平田たちを振り返る。

仕留人たちに、主水が、百江が一平の後を追って死んだことを話す。
主水が、4両を投げる。
平田が加納一平につかませるつもりだった金だ。
「薄汚れた銭だけど、別にこの小判には綺麗、汚ねえって書いてあるわけじゃねえよな!」

大吉は、平田は自分で自分の仕留料を出したということになると笑った。
おきんも、平田は賢いつもりだろうが、間の抜けた話だと笑う。
主水はちょっとやそっとのやり方じゃ、気がすまないと言った。

その夜、勘八の賭場にどこかの商家の女将にしか見えない風を装ったおきんが博打をしていた。
負けが込み、ブツブツ言うおきんに、勘八が目を留める。
すると大吉がやってきて、「日本橋の飛脚屋の女将さん!」と言って、挨拶をする。
大吉との話によると、おきん扮する女将は旦那があちこちに妾を作るので、頭に来て遊んでいるように思えた。

つかないと言うおきんは、ついに店で預かった封筒の封を切る。
大吉が「そんなことをしたら手が後ろに回る」と言って止めるが、おきんは構わずに中から小判を出す。
しかし、それは表面の数枚だけが本物で、あとは木でできていた。
おきんは、その数枚を次の博打に賭けた。

勘八が鋭く目をつける。
次におきんは勝って、取り戻せたと言って、上機嫌で帰る。
勘八がおきんが残して行った、飛脚の封筒を水上と佐山に持ってやってくる。
すぐにおきんの後を、2人が追って行く。

夜道を行くおきんを、水上と佐山が呼び止めた。
「ちょっと待て」。
「何でございましょう?」

「今、勘八の賭場で、持ち主の封印のある金に手をつけたな?」
「お役人様が、どうしてそれをご存知で?あの賭場にいらしたんですか?!」
「飛脚屋のご新造が、御定法を破ったらどうなるか…」。
十手を突き出されたおきんは「お許しくださいまし。あまりの主人のやり口に、ついカッとなって…、怖ろしいこととは知りながら、でも、この通り!お金は取り戻しましたゆえ」と言う。

「金を取り戻して、済むことではない」。
「では、どうすればよろしいんでございましょう」。
このことが知られれば、店は潰れると言われたおきんは、「どうか、お見逃しくださいまし!」と青くなった。

すると2人は「何なら、俺たちが相談に乗ってやってもいいぞ」と言った。
まず、見逃し料として3百両を2人は要求した。
「店が潰れることを思えば、安いものだ」。
「はい…、3百両出せば、見逃していただけるんですね」。

おきんの言葉が終わると、「はははは」と笑い声がする。
「上手い話ですなあ」と言うのは、主水の声だった。
闇の向こうから、主水が歩いてくる。
「なんだ、貴公か」と、水上も佐山も侮った。

おきんを捕まえても、一文にもならない。
ならば絞り上げて、銭を出させる。
上手い儲け口だ。
「私もちょいと、おこぼれを頂戴したいんですがな」。

「平田様に言って、目こぼし料を貰ってやる」。
2人は主水を軽蔑したように言う。
「目こぼし料か。いや、私はね、その3百両、そっくりそのまま頂戴したいんですがね」。
「何?」

2人の真ん中を歩いて行った主水が振り返り、刀を抜く。
反射的に水上と佐山も刀を抜くが、主水はあっという間に一太刀で2人を斬る。
主水が2人の真ん中から外に出ると、水上と佐山は刀を抜いて向かい合って座り込んだ。
お互いの方に刀を押し付けあって、固まる。

「ふふふふ」と、おきんが笑う。
「おきん。おめえのご新造も、なかなか板についてるな」。
「惚れたってダメよ」と、おきんは襟を合わせながら去っていく。
主水は去り際に座り込んでいる1人を蹴ると、2人は倒れる。

その頃、勘八は賭場の奥の部屋で、平田と酒を飲んでいた。
さきほどのおきんを金づると見て、2人は笑う。
平田が十手を打ち出の小槌と言った時、胡桃をすり合わせる音がする。

何の音かと勘八が廊下に出てきた時、大吉が胡桃を砕く。
勘八を捕え、心臓をつかむ。
手を抜くと、勘八の懐から匕首を取り出し、握らせる。

「勘八、どうした」と平田が立ち上がってくるのを見て、大吉は勘八の体を押して平田に振り向かせる。
平田は勘八の手に匕首があるのを見て、驚いて刀を構えながら後ずさりする。
背後には貢がいる。

下がってくる平田の首筋に矢立が当たった時、貢は矢立を押す。
平田が小さく叫ぶ。
貢が平田を見つめながら、矢立の針を抜く。

大吉に向かって小さくうなづくと、大吉もうなづく。
2人は平田と勘八を勢い良く、突き飛ばした。
平田と勘八は、互いに持っていた刃で相手を刺して、座敷にひざをつく。

貢と大吉が賭場から出て行くと、主水がやってくる。
合図をすると、捕り方が踏み込む。
客や壷振りが刺し合っている平田と勘八を取り囲み、そっと見ていた。
主水がやってきて、2人を見て「どうやら相打ちのようだな」と言う。

その夜、平田が勘八とつるみ、悪事をした揚句、仲間割れをして相打ちとなった調書を書いていた。
「まことに御定法をつかさどる身に、あるまじき振る舞いなり」。
書き終わった主水は、満足そうにまんじゅうを頬張る。



新兵衛役は「仮面ライダー」のおやっさんこと、小林昭二さん。
一平役は「ミラーマン」の石田信之さん。
どちらも無念を抱えて、殺される。
当時、このヒーローものを見ていた子供には、ショッキングな映像です。

主水が平田に、つかませろと命じられたのは5両。
しかし、一平に渡す時に4両になっている~!
「中村さん、あんたは汚い!」と言われたら、いろんな意味でギョッとする。

主水のドジョウすくいが、すばらしい。
顔を白塗り、頬を赤くして、女物の襦袢を来て、シナを作る。
この仕草が最高。

昼行灯の役立たずが輝くのは、こういった宴会場所という説得力がある!
こういう芝居が、堂々とできる人だから、中村主水ができるんだろうと。
表から裏に変わった凄みや、カッコよさが引き立つんだろうと。

表では「長いものには巻かれろ、だ。見ざる、言わざる、聞かざる」が、身についてしまってるといえば身についてしまってる。
13話で家庭教師をしている子供に、自分がなくした純粋さや未来を見た貢が、子供のお家を守ってやろうとした気持ちと同じ。
主水は一平の感性をうらやましく、そしてかわいく思って守ってやろうとする。
仕留め稼業に堕ちた者だからこそ、抱く思い。

しかし、達観しちゃったような貢は拒絶。
主水が表立って動くには、限界がある。
今回、貢が居候している場所を、主水が初めて知ったのも驚き。

関わりたくないはずの貢は、企みを前にしてつい、一平を助けてしまう。
その助け方が貢らしくて、微笑ましい。
勘八が踏み込むと、情婦の声が聞こえる。

そのくぐもった声に、すっかり一平が罠にかかったと思ったら、貢。
貢がおしまと?と思ったら、おしまが見事に縛られて身動きできなくなっている。
「あー、危なかった」と貢に、おしまの迫りっぷりが目に浮かんでおかしい。

さらに大吉は、妙心尼と「なりませぬ」の最中。
捕り方の笛に気を取られて駆けつけ、胡桃を投げて助けてやるというのも、やっぱり微笑ましい。
後には胡桃だけが落ちていて、誰も知らないけど助けてくれていたというのが良い。

新兵衛のお焼香に、主水以外誰も来ていない。
ここに、奉行所の現状が語られている。
しかし、一平にはどんどん罠がかけられていく。

ついに平田は、一平を挑発することに成功。
平田が百江を好いているという伏線が張られていたし、一平と百江がとっても微笑ましかったので、その関係で一平を追い詰めてくるかと思いました。
そして平田が嫁にと狙ってた百江は、父親と恋人と両方失って後を追うという、哀しい結末。
一平が刀を持って奉行所内を走っているのを見た時の、主水の止め方。

「あっ」と言って、必死に止めようとする。
それも空しく、目の前で斬られたのを見た時の主水の絶望的な、悲愴な顔。
「ああああ…」と声にならない声が出ている。
その後に平田を振り返る時の、怒りの形相。

怒りの主水は、平田たちを仕留め仕事にかける。
貢は「まあ、八丁堀にすれば無理のない話だよ」と言う。
大吉とおきんは、「十手持ちを仕留めるなんて、ゾクゾクする」と言う。

どんな料理で仕留めてやるか、考えながら主水が1両を懐に入れた時、チャリンという音がする。
おきんが主水の懐を叩くと、金の音がする。
手を差し出されて、「うん、そ、そうか、ご、5両だったんだぜ」。

そうです、平田が渡したのは5両でした。
「後で4人で分けようぜ」と言って主水が1両を投げる。
うーん、みんな、お金にはシビアだ。

その後、おきんが賭場で仕掛ける小判が笑えます。
上の1~2枚だけが本物。
後は木で、小判の形をしているものがあるだけ。

主水じゃないけど、なかなか、どこか良いとこのご新造さんぶりも板についている。
おきんが封を切るのを他の客は、「あーあ」という顔。
博打場では見慣れた風景なのかな。

おきんを脅す水上と佐山が主水に見られても、ドジョウすくいなんかやっている昼行灯なんかどうってことない。
それをあっという間に斬っちゃうから、カッコいいんですねえ~。
主水に「惚れたってダメよ」と言って、しゃなりしゃなりと帰って行くおきん。
「なぁに言ってやんでえ、タコ!」と言う主水。

平田は、後ずさりしたところを貢が待っていて、首筋に矢立を当てると自動的に針が出るという省エネの仕留め。
十手持ちが相手なので、平田と勘八も、水上と佐山も相打ちにする。
しかも、不正を働いての仲間割れなので、あんまり追及されない。
一平がやりたかった平田の罪を暴いて、最後の調書で満足そうな主水で終わりました。


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2015.10.25 / Top↑
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