第31話、「狂乱大決着」。


利吉は昔の仲間、「別れさせ屋」を営む桃助と5年ぶりに再会した。
桃助は利吉を連れて行き、自分の仕事を見せる。
それは亭主の浮気に悩む娘の相談で、桃助は亭主の浮気を調査した結果を、娘の両親も呼んで報告した。
数々の浮気に、娘はもう亭主と別れたいと訴えるが、父親は娘の亭主より桃助の方を怪しむ。

すると桃助は証拠があると言って、隣の部屋の戸を開ける。
そこには浮気相手と床をともにする亭主がいた。
亭主は仰天し、浮気相手の娘は泣き喚く。

娘の父親は怒り、娘とは別れさせ、商売の取り引きも今日限りだと言い渡した。
それを利吉は、床下で聞いている。
騒動が去ると、桃助は依頼人の娘の横に行く。
「これであなた、自由になりましたよ」。

娘は金の包みを出すと、「お世話になりました」と桃助に渡した。
桃助はすすり泣いている浮気相手に向かって、「おい、いつまで泣いているんだ」と声をかけた。
「あらっ、もう終わったの」と泣いていたはずの娘は、顔を上げた。

桃助は渡された5両のうち1両を娘に渡す。
娘は、また儲けの口があったら声をかけてくれと言って、出て行く。
利吉がやってきて、「こういう仕組みか」と言い、良くあの亭主の浮気を調べられたと感心した。

桃助は「あれはね…、全部、嘘」と両手を横に払う。
「別れさせ屋」とは言うが、実体は「女人よろず談合どころ」。
亭主の浮気から健康問題まで、全て困っている女性の相談事に乗るのが桃助の仕事なのだ。

文十郎の家の前には、相変わらず岡っ引きが見張っていた。
岡っ引きが家をのぞきこんでいると、しのが戸を開けた。
しのは、兄はいないと答えて出て行こうとする。
どこへ行くのかと岡っ引きが聞くと、しのは酒を買いに行くと答える。

兄はいないのではなかったのかと言われたしのは、「今日は兄さんの誕生日なんです」と言うと、「お役目ご苦労様」と言って出て行った。
利吉から桃助の話を聞いた平内は、大笑いした。
いちいち浮気に目くじらを立てられたのではたまらないと平内は言うが、桃助はたまらないのは女の方だと言う。

桃助はこの世で、女ほど一番かわいそうなものはないと思っている。
「長じては親に従え。嫁しては夫に従え。老いては子に従え」。
「女三界に家なし」。
「女房と畳みは新しいほうがいい。…女を何だと思ってるんでしょうね」。

「惚れた男とは添えないし、嫌な男と一緒になっても女の方から別れるってことはできないんでがしょ。惚れた男と添い寝をすれば、腹がぷーっと膨れるのは女だけなんでしょ」。
利吉は「わかった、わかった」と言って、「この男はね、昔からおしゃべりで、棟梁もあきれていたんですよ」と言う。
その言葉に文十郎が「じゃ、おめえさん」と言う。

桃助は、5年前に清兵衛のところから抜けた、盗賊だったのだ。
清兵衛が足を洗うことを許したのは、桃助だけだった。
桃助はその後、いろんな職についた。
だが、女の不幸を見て、1人でも多くの女を救ってやろうとこの商売を始めたのだった。

そして桃助が、こうして集まって飲める場所を提供してくれたおかげで、助け人がみんなして飲める。
「龍がいないのが、寂しいがな」。
また裏の稼業をしたのだったら、仲間に入らないかと利吉は誘うが、桃助は人殺しとか、盗人とか聞いただけで足がすくむ。
だが今、捕まっても百叩きが関の山と言って、みんなには気兼ねなく飲むように勧めた。

一方、お吉は文十郎の為に刀を買い求めようとしていた。
だが30両、50両という値段に手が出せずにいた。
ガッカリしたお吉は、お座敷に向かった。

仕事に行ったお吉は飯富という、関八州取締役が待っていると言われる。
その名前を聞いたお吉は「また?」と言うが、女将は関八州と言えば、江戸を出ればみんな土下座して迎えるのだからと言う。
その飯富はある男に、ある刀をなんとしてもほしいと言っているところだった。
問題の刀は、まだ待っていてもらうとして、「代わりに」と差し出した刀を飯富が抜いて見る。

その時、お吉が入って来る。
お吉は立派な刀に、目を留めた。
文十郎のことをうまくごまかしたお吉は、刀を今探しているが、高くて手に負えなかったと言った。
すると飯富は「刀なら、わしの屋敷にある。今夜取りに参れ」と言う。
「わしの気が変わるかも知れんぞ」と言われ、お吉は飯富について行った。

しかし、屋敷の門にいる大男のうど平に、異様なものを覚える。
座敷についていくと、飯富が女中に、「妻はどうしているか」と尋ねる。
寝込んでいると聞いた飯富は冷笑し、お吉を奥に連れて行った。

奥の座敷で、お吉は押し倒されそうになる。
「何するんですよ!」
お吉が叫んだ時、目の前に飯富の妻の沙登が立っていた。
沙登を見て、飯富は一瞬怯んだが、「かまわん!」と叫ぶと、お吉を襲う。

お吉は「八州取締りだあ?八州取締りが怖くて、江戸の芸者が勤まるかってんだ!」と啖呵を切るた。
だが、飯富は「わしは欲しいものは何としても手に入れないと気がすまない男だ」と笑った。
「ちくしょう!指一本触れてみやがれ。舌噛みきって、死んでやるから」。
は「ほほう、死ねるかな。江戸の芸者が舌噛み切って死ぬのもまた、一興かな」。

お吉が必死になって飯富から逃れようとしていた時、表にいたうど平がやってきた。
飯富は怒るが、うど平は飯富に何事か耳打ちした。
すると飯富の顔色が変わり、お吉に「ここで待っていろ」と言う。
逃げても必ず、お吉を手に入れてみせると言って、飯富は座敷から出て行く。

お吉は、「あ、びっくりした」と一息ついた。
うど平が耳打ちしたのは、妻の沙登が逃げ出したことだった。
沙登は走り、道を歩いていた桃助に助けを求めた。
飯富がやってきて、沙登にもどれと言った。

世間体というものがある。
だが沙登は「嫌です!もう、帰りません!」と拒絶する。
「わしから逃げだすことはできん。無駄なことはするな」。

すると桃助は「何を言ってやがる。てめえも弱え女をいじめる野郎だな!」と言った。
「どけ、町人!」
百介は沙登をかばうが、うど平は桃助の首根っこをつかんで持ち上げ、軽々と空中に放り投げた。
「痛えな。ちくしょう、このまま引き下がっていたんじゃ、別れ屋桃助の名が廃るわ!」

桃助は、飯富の屋敷の床下にもぐりこんだ。
沙登は、家に戻された。
飯富は沙登を、「桑山と一夜をともにした時は我を忘れただろう!」と言って責める。

そして刀で、横にいた女中の帯を切った。
刀は桃助の潜む床下に刺さる。
「危ねえ~…」。

帯を切られた為、着物が脱げて、女中は必死に身をかばう、
しかし飯富は「目の前で妻を取られた者の気持ち、少しは味わってみるがいい」と言うと、「お許しください」と叫ぶ女中を沙登の背後で手篭めにした。
「嫌な奴だな」と桃助はつぶやき、この夫婦を別れさせる方法を考え始めた。

文十郎の家に行ったお吉は、事の次第を話した。
文十郎は「ばっかだな、おめえはもう!」と言った。
「八州の屋敷へ行くなんて…、もしものことがあったら、おめえ1人じゃすまねえんだよ」。

「だって…、文さん。あたしゃ、お前さんがそんなの差してるの見ると、つらくて。ごめんなさい…」と、お吉の声が小さくなる。
だが文十郎は「しの、それからお吉。言っておくがな、俺はもう、侍じゃねえんだよ」と言った。
「その俺には、この鉄の棒がお似合いなんだよ」と、文十郎は鉄心を磨きながら言う。

飯富は蔵で、「ダメだ!これでもない!ダメだ!全部ダメだ!」と言って、全ての刀を放り投げていた。
そして、うど平を呼ぶ。
うど平は、言葉になっていないような「へえ」という声を出しながら、やってきた。
飯富は「まさかりの熊に伝えろ!すぐに日置神社の神刀を持ってくるように伝えろ!」と怒鳴った。

その頃、賭場で勝っている平内はご機嫌だった。
ずるとその時、まさかりの熊と呼ばれる親分がやってきた。
勝って大笑いの平内にまさかりの熊は目を留め、自分と勝負するように言い、小判を投げ出した。

平内は勝負を受けるが、この勝負には負けた。
熊は「勝負は最後までやってみなくちゃ、わからねえもんだな」と言った。
すると熊はある男に耳打ちされると、「ここまで」と言って去って行った。
平内は悔しがる。

熊はある神主と会って、神刀を渡すように言っていた。
だが、神主は首を縦に降らない。
すると諦めた振りをして熊はいきなり、神主を刺し殺してしまった。
そして手下たちに物取りの仕業に見せかける為、部屋を荒らすように指示する。

熊が手に入れたのは、神刀・伯耆安綱(ほうきやすつな)だった。
それを飯富の元に届ける。
手に入れた飯富は、惚れ惚れと刀を手にして「伯耆安綱…!」と歓喜する。

その飯富の屋敷に、物売りを装って桃助がやってくる。
沙登は、物売りに化けた桃助に気がついた。
桃助は「別れさせ屋」と名乗り、5両かかるが相談に乗ると話す。

深川の門前仲町で「別れ屋」と言えばわかる。
「きっと待っていますぜ。がまんしちゃいけませんぜ。おかみさん自身の幸せの為です」。
桃助はそう言って、屋敷を出て行った。

深川で桃助は、若い女の相談に乗っていた。
娘の将来を考えてやり、桃助は温かい言葉をかけると、女を送り出してやる。
その後、いつかの浮気相手を装った女がやってきて、儲け口はないのか聞いて来る。
桃助は「たびたびそんな上手い話があるか」と追い返すが、女は表から桃助に客が来ていると声をかける。

「どうぞ」と言っても入ってこないので、桃助は表に出て行った。
そこには沙登がいた。
「奥さん…」。
桃助を見て沙登は、頭を下げた。

沙登を連れて、桃助は利吉のところへ行った。
一晩匿ってくれと桃助は頼む。
「今こっちも八州とことを構えるのはまずい」と利吉は言う。

だが桃助は「そんなこと言わねえで、一晩だけじゃねえか」と言う。
明日になれば、自分にも手立てはあるのだ。
桃助の様子に利吉は承知し、みんなを集めてきてくれと言う。

「承知した」と桃助は言い、出て行き際に沙登の肩に手を置いた。
文十郎が、笠をかぶって町を行く。
続いて平内が町を行く。

その時神主が殺され、伯耆安綱が奪われたと書いた瓦版が売られていた。
助け人が集まった。
沙登は、事情を話し始めた。

1年前、飯富は沙登に、上司の桑山が沙登に執心だと聞かされた。
だから一晩だけ桑山の相手をしてくれれば、自分は関八州廻りになれる。
どうしても、飯富は八州役人になりたい。

八州廻りになったら、必ず沙登を幸せにする。
桑山との晩のことは忘れる。
夫に懇願され、沙登は夫の願いをかなえるのが妻の務めではないかと思った。

だが、八州廻りになった飯富は妻を許さなかった。
折檻が始まった。
初めは殴るだけだったが、そのうち沙登の目の前で女中を手篭めにし始めた。

沙登は何度も逃げ出した。
だが、その度に飯富に捕まり、連れ戻された。
お吉が「ひどい話だねえ…」とが言う。

平内は「侍の世界にはありがちなこったな」と言った。
利吉は八州廻りと、ことを構えるのはまずい。
ここは何とか穏便に、夫と上手く行くように屋敷へ戻って話し合ったらどうか、と利吉は言う。

それを聞いたお吉は、憤慨する。
あの男と上手く行く女性など、いるものか。
自分を手篭めにしようとした時の、飯富の目は狂っていた。
あれは狂人だ。

お吉は助け人たちが黙っているので薄情と言い、「自分ひとりで沙登を預かる」と言う。
しかし、文十郎は「お前ちょっと黙ってろ」と言う。
文十郎は桃助に、手立てとは何かと聞く。

「東慶寺に、駆け込みます」。
利吉は「なるほど、餅は餅屋だ。いいところに目をつけた」と言う。
東慶寺とは、鎌倉にある尼寺で縁切り寺だ。

そこに駆け込んで3年修業すれば、誰でも亭主と縁が切れる。
「よし、俺が送ってやるか」と平内が言い、「じゃ、俺も行くか」と文十郎も言う。
「では、この仕事は受けるということで」。と利吉が言う。

だが、桃助は文十郎と平内の申し出を断った。
縁切り寺への道なら、裏の裏まで知っている。
助け人たちには、一晩匿ってもらえればいいのだ。

翌朝になり、出発す時、桃助は利吉に5両渡した。
「奥さんが俺に10両くれたんだ。俺の仕事は5両が決まりだ、それ以上は、もらわねえ」。
桃助は利吉に5両手渡すと、「またいずれ世話になることもあるさ。あばよ」と言って沙登と出た。

飯富は熊に、「一本、間道だけは警備を開けておけ」と言っていた。
そうすれば沙登は絶対、その道を通る。
桃助は東慶寺まで後少し、というところまで来ていた。

一休みしながら、桃助は考えていた。
これが本当に、沙登の幸せに繋がるのか。
沙登の境遇を変えようなんて、おこがましいのではないか。

しかし、こうも思う。
誰でも、自分の境遇に甘んじていたのではいけないのではないか。
沙登は「ありがとう」と、礼を言った。

だが沙登の前に、うど平がニヤニヤしながら現れた。
沙登の手を引いて逃げようとする桃助だが、その前にまさかりの熊と、そして飯富が現れる。
桃助は熊の手下に囲まれると殴られ、飯富は沙登に戻って来いと言う。

しかし、沙登は拒絶した。
ならば、しかたがない。
「日置神社の神主を殺したのは、この男だ!」と飯富は叫んだ。
沙登は叫ぶ。

「刀剣泥棒はあなたです!伯耆安綱が家にあるではないですか!」
「黙れ!」
「いいえ、あなたがこの、まさかりの熊を使って盗ませたのです!それがあなたの、いつもの手じゃありませんか!」
「沙登は取り乱しておる」と飯富は「屋敷へ戻せ!」と言った。

桃助は神主殺しとして捕えられ、市中引き回しにされた。
道端には笠をかぶった文十郎はうつむき、お吉は桃助を見上げる。
桃助が文十郎たちを見た。

平内、そして角には利吉がいる。
利吉が桃助を見つめる。
2人の視線が交差し、馬上の桃助が、がっくりとうなだれる。

その夜、利吉は飯富の屋敷の床下へ忍び込む。
天井裏に回ると、利吉は飯富に責められている沙登を見た。
飯富は「あのような下賎なものとも通じるとは、本当にみだらな女だ」と言った。
「2度と外には出られないようにしてやる」と言うと、刀を払った。

沙登の髪が、ばっさりと落ちた。
そしてお前の駆け落ち相手は、今日、お仕置きになったと言う。
だが沙登は「桃助さんは、あなたよりずっと立派な人です」と軽蔑しきった顔で言った。

「何いっ!」
沙登は振り返ると、「あなたの持っているその刀は、伯耆安綱でしょう」と言う。
「役目をかさに、自分の罪を他人になすりつけるようなあなたは、人間のくずです」。
「言ったな!」

飯富を見つめ、沙登は言う。
「この世の中で。あなたが一番、嫌いな男です」。
飯富は、沙登を斬り捨てた。
利吉が天井裏で見て、悲壮な顔をする。

助け人たちは利吉から話を聞き、沈黙した。
利吉は言う。
「この5両は桃助が残していった金です。どうぞ、受け取ってください」。
まず、龍が1両取る。

「話はわかった。俺は先に行くぜ」と言って出て行く。
文十郎も、平内も1両を取る。
夜道を並んで、文十郎と平内が歩く。
平内が「俺は相模に行くぜ。まさかりの熊は俺に任せてくれ」と言い、2人は2つに別れる。

飯富は蔵でうっとりと、伯耆安綱を見ていたた。
その飯富の背後を、鉄心をかついだ文十郎が通る。
気配に飯富が「誰だ」と言う。
姿を現した文十郎に「何者だ」と、叫ぶ。

鉄心をかついで、文十郎が現れる。
飯富は持っていた伯耆安綱で斬りつける。
文十郎が鉄心ではじく。

「うど平!うど平!」と飯富が叫ぶ。
うど平が、ドタドタ廊下を走ってくる。
すると、うど平の首根っこを、龍がつかむ。
「うど平だな」。

だが、うど平は龍の胸倉をつかむと、持ち上げた。
うど平は龍を庭に叩きつけた。
飯富は蔵にある刀を手に取り、襲い掛かってくる。

それもまた文十郎は受け止めた。
はじかれた飯富は、蔵の隅にしりもちをつく
飯富は刀を構えて斬りかかって来た。
文十郎の鉄心が、またはじく。

飯富は文十郎を突き飛ばして、出口に向かう。
だが目の前に刀が飛んできて柱に突き刺さり、飯富は逃げられない。
飯富は怯えながら、蔵の奥に引っ込む。

文十郎が鉄心を床に突き立てる。
すると、飯富は恐る恐る、再び伯耆安綱を手にする。
用心深く構えて、後退する。

文十郎が刀を投げると、飯富の左側に刺さる。
飯富は伯耆安綱を手に、文十郎に挑むしかなくなる。
文十郎の鉄心が伯耆安綱を受け止め、飯富は壁に叩きつけられる。

はじかれた伯耆安綱が、飯富の右側に刺さる。
文十郎の鉄心が、伯耆安綱の刀身を叩く。
刺さっていた伯耆安綱が折れ、飯富は右も左も刀に囲まれた。
文十郎は折れた伯耆安綱で、飯富を刺した。

うど平と格闘していた龍は、地面に投げられた。
しかしうど平の背後から、龍がうど平を持ち上げ、脳天から落とす。
うど平の首が、ボキリと折れる。

その頃、熊は、なじみの女の家にいた。
女とじゃれあっている熊の背後で、戸が少し開く。
戸の影から平内が覗く。

平内が、キセルの針を抜いた。
女とふざけて、壁に寄りかかった熊の首の後ろを平内が刺す。
熊は口を開けると、動きを止めた。

女が、不審に思って熊をゆする。
熊が崩れ落ちて、女が悲鳴をあげる。
平内が去りながら言う。
「勝負は最後までやってみなくちゃ、わからねえもんだな」。



以前にも書きましたが、桃助役は常田富士夫さん。
小さな体ながら、女性のことを第一に考え、いろんな方法で解決してくれる。
人が良くて、女性には頼もしい男。
最後に市中引き回しされている時、文十郎とお吉を振り返り、平内と利吉を見てガックリと肩を落とす。

不幸な沙登を救えなかった無念さが、伝わってきます。
この後、沙登に降りかかる災難を思って、ガックリしている…。
後姿の無念さが、利吉に後を託している。

耐えていた沙登が、ついに軽蔑をあらわにする。
この男は人間のくずだ。
もう言って良い。
自分はこの男が大嫌いだという、沙登の心の動きが見える。

その飯富は、戸浦六宏さん。
刀も地位も、単にわがままでほしいのか。
妻で屈折して、それで思い通りになる刀に気持ちが向かったのか。

ここでは上司の桑山もおかしいし、飯富もおかしい。
「侍にはよくあること」って、平内が武士が嫌になったのもわかる。
八州廻りとしても、無能で、非情で、人の迷惑だったと思う。
特に迷惑だったのは、女中さんたち。

お吉さんは以前、文十郎が自分の為に刀を手放しているので、刀がほしい。
しかし、文十郎は俺はもう、侍じゃないと言う。
平内の言葉どおりのことが侍なら、侍じゃなくて良い。

最後の飯富との対決で、飯富が手に入れた名刀を次々無力にしていく文十郎。
このシーンが、偽りの武士の誇りを打ち砕いていくようで痛快。
結局は、名刀かどうかは持っている者による。

最後は神主を殺し、桃助に罪をなすりつけて手に入れた伯耆安綱を折る。
飯富の心も折る。
確かに鉄の棒がお似合い。
自嘲する言葉ではなく、鉄心を扱う文さんは立派な武士と言う意味。

平内は博打恨みがある熊を仕留める。
うどの大木を連想させる怪力大男、うど平は龍と対決。
こちらも力だけでは勝てない。
確かに、勝負は最後までわからない。

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2012.07.10 / Top↑
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