こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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オリンピックに出る男の手は汚させられない… 「たそがれに標的を撃て」

「たそがれに標的を撃て」。


銃を使った凶悪犯罪に対抗する為、警察は特殊狙撃班を組織した。
オリンピック候補になるほどの名手が、矢崎班長だった。
ある日、警官が暴走する車を止めようとしたところ、乗っていた男が銃を発射して逃げた。
やがて犯人は銃器店に押し入って、銃や弾丸を手に入れ、通りかかった幼稚園バスをバスジャックして逃亡する。

特殊狙撃班に出動命令が下った。
矢崎班長は犯人を射殺。
人質は解放された。
だが、犯人はまだ少年だった…。

矢崎が狙撃したことを、新聞はこぞって書きたてる。
世間の非難に、警察も矢崎をかばいきれない。
だが矢崎は事件以来、犯人の位牌を仏壇に供え、拝んでいた。

数年が経った。
矢崎は自分が射殺した犯人に対し、毎朝、線香を供え、手を合わせている。
もちろん、人を射殺した男には、オリンピックの話は回ってこない。

そしてある日、また銃を持った凶悪犯の立てこもり事件が発生する。
再び、矢崎に出動命令が下る。
もう1人、矢崎を尊敬する部下は自分を参加させてくれないことに不満を抱く。

だが、上層部は言った。
「奴はオリンピックに出るのだ。手を汚させるわけにはいかない」。
矢崎は現場に向かう車の中にいた。

その矢崎の背に、オリンピック出場が決まった部下の喜びの声が響く。
「本当ですか!自分が!」
部下の弾んだ声と、祝福の声を背に、矢崎は現場に向かう。
「光栄です!一生懸命、頑張ります」。

その声が胸に響く中、矢崎は黙って銃を構える。
あの時と同じ。
夕闇が迫っていた。


事件よりむしろ、それが起きた後の矢崎班長を追ったドラマ。
もちろん、バスジャック事件と犯人の逃走、犯人逃走から射殺までの息詰まる展開はあります。
でも重いのはその後。

新聞記者は、少年を問答無用で射殺したと非難する。
寡黙な矢崎班長は、事件について語らない。
警察もかばえない。

オリンピックの候補になるほどの腕を持ちながら、彼の人生は一変して裏街道を歩くものになる。
だが、狙撃班の部下たちは矢崎班長を尊敬している。
矢崎班長のような仕事をしたいと思っている。

そこに上層部の一言。
「手を汚させるわけにはいかん」。
残酷。

ハリウッド製や、石原軍団の刑事ドラマなら、新聞記者や上層部に天罰とも言える災難がふりかかるところ。
「ダーティハリー」ではスクールバスをジャックした犯人が、結局ハリーに射殺された。
あれではもう、誰も非難はできまいという状況で。
最後、犯人と向かい合ったハリーが、「弾丸の数を数えるのを忘れた、今、俺の銃には弾丸が残っているかな?」と言う問いかけがされるのがうまい。

途中、強盗犯にこれを問いかけ、強盗犯が弾丸が残っていると思って観念したところ、弾丸は残っていなかったんですね。
それで、逃げられたはずの犯人がハリーに悪態をつく。
今度はこの犯人は弾丸が残っていないと判断し、笑いながら銃を向けた。
しかし、ハリーの銃は火を吹き、犯人は倒れる、というニクイ、クライマックス。

だけどこのドラマには、そういう結末はない。
書きたてた無責任に思える新聞記者にも、警察の上層部にも「天罰」は下らない。
そして矢崎班長を教訓にして守った部下の、オリンピック出場が決まる。
喜びの声の中、矢崎班長には出動命令。

エコーする喜びの声の中、矢崎班長は現場に向かう。
あの時と同じ、夕闇が迫っている。
流れる「聖母たちのララバイ」。
これ、火曜サスペンス劇場で放送されたんです。

いや~、映画並みの一編でしたよ!
矢崎班長を演じた菅原文太さんの、寡黙にして渋いこと!
子供たちを無事に助けなければいけない使命。
だが、少年を射殺した罪悪感は消えない。

まるで自分に罪を課すように、彼は「汚い仕事」をこなす男になる。
「汚れた英雄」。
私は菅原さんの作品で、印象に残ったものをあげろと言われたら、これをあげると思います。
それほど、存在に重みがあった。

ラスト、彼は表情ひとつ変えない。
だからこそ、彼の心の痛みが、痛いほどこちらに伝わってくる。
忘れられないラスト。

オリンピックというと、思い出すドラマでもあります。
私は「夕闇に標的を撃て」だと思い込んでいたので、検索かけても全然情報が出なかった。
こんなにまで覚えているものが、私の夢か妄想のはずないし、と、しばらく悩んでいたのでした。

「菅原文太 火曜サスペンス劇場 狙撃」でやっと自分の間違いに気づきました、とほほ。
そんなわけで、この内容にも疑問を持たれるかと思いますが、キモは違ってないと思いますよ。
素晴らしい作品です。
DVDにするか、どこかで再放送してください。


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Comment

No title
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こんばんは。

狙撃と火曜サスペンス劇場と言えば、中谷一郎氏出演でもそのようなドラマがあったように思います。

ですが、内容を思い出せないのが残念。

エンディングが「聖母たちのララバイ」であったことは覚えているので、ごく初期の作品ですね。
2012年07月26日(Thu) 01:03
愚夫愚父さん
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>愚夫愚父さん

こんばんは。
お返事が遅くなって、すみません!

>狙撃と火曜サスペンス劇場と言えば、中谷一郎氏出演でもそのようなドラマがあったように思います。
>ですが、内容を思い出せないのが残念。

あっ、それもありましたね!
オリンピック候補の射撃の名手と、篭城する犯人との対決。
私の記憶違いかもしれませんが、小林稔侍さんが悪役で出ていたような…。

>エンディングが「聖母たちのララバイ」であったことは覚えているので、ごく初期の作品ですね。

そうです、これも相当前です。
「たそがれに標的を撃て」と同じ頃じゃないでしょうか。
最後に「聖母たちのララバイ」が流れて終わってたと思いますから。
あの頃の火曜サスペンス劇場には、このエンディングが余韻を残す名作がありました。
2012年07月26日(Thu) 23:40
駅 STATIONと「たそがれに標的を撃て」
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初めて書き込みます。

「たそがれに標的を撃て」は再放送で見ましたが、「バスジャック発生の報せを受けて矢崎刑事(文太さん演じる刑事)が出動する→犯人を狙撃した矢崎だが、新聞記者が矢崎の名を公表したことで事態が一転する・・・」展開しか覚えていませんが、「主人公はかつて、オリンピックの候補に挙がった。だが、篭城事件で犯人である若者を狙撃したことで、マスコミの槍玉に挙がる…」と言う重い展開があったとは知りませんでした。

「オリンピックに出場予定だった刑事が特殊部隊で働く」と言うと、高倉健さん主演の東宝映画「駅 STATION」を思い出しますが、この映画で健さんが演じた刑事も「オリンピックの射撃代表になった。だが、いつしか狙撃班で凶悪犯を撃つ仕事になった」と言う設定があったような気がします。

>≫エコーする喜びの声の中、矢崎班長は現場に向かう…あの時と同じ、夕闇が迫っている。それをバックに流れる「聖母たちのララバイ」。

>そのシーンは自分も覚えていますね。エンディングの「現場へ向かう覆面パトカー・その覆面パトカーには矢崎が載っている」をバックに「マドンナたちのララバイ」が流れる展開でしたが、「彼は自分に罪を貸すように、犯人に銃口を向けるのだろうか」と言うナレーションが流れそうな雰囲気を感じました。
2012年11月12日(Mon) 18:01
時間ですよ、しんこちゃんたびたびさん
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>時間ですよ、しんこちゃんたびたびさん

はじめまして。
お返事遅くなって申し訳ありません。
ようこそ、ご訪問ありがとうございます。

>「たそがれに標的を撃て」は再放送で見ましたが、

再放送があったんですか!
うわー、見たかったです。

>「バスジャック発生の報せを受けて矢崎刑事(文太さん演じる刑事)が出動する→犯人を狙撃した矢崎だが、新聞記者が矢崎の名を公表したことで事態が一転する・・・」展開しか覚えていませんが、「主人公はかつて、オリンピックの候補に挙がった。だが、篭城事件で犯人である若者を狙撃したことで、マスコミの槍玉に挙がる…」と言う重い展開があったとは知りませんでした。

この新聞の書き立て方が、正義というより、単に警察官を非難したいんじゃないか…と勘ぐりたくなるような態度だったんです。
彼によって助かった命もあったんじゃないのか?
被害にあいそうになった側の言い分は?
あまりに一方的…、と言いたくなった記憶があります。

>「オリンピックに出場予定だった刑事が特殊部隊で働く」と言うと、高倉健さん主演の東宝映画「駅 STATION」を思い出しますが、この映画で健さんが演じた刑事も「オリンピックの射撃代表になった。だが、いつしか狙撃班で凶悪犯を撃つ仕事になった」と言う設定があったような気がします。

ああ、高倉さんも寡黙にして背中で語る男なので、こういう役は見所があります。
やっぱり、映画になるだけの題材なんですね、これは。
2時間サスペンスで、こんなクオリティの番組を見ていたんだなあと今になると、そのことにも感動してしまいます。

>そのシーンは自分も覚えていますね。エンディングの「現場へ向かう覆面パトカー・その覆面パトカーには矢崎が載っている」をバックに「マドンナたちのララバイ」が流れる展開でしたが、「彼は自分に罪を貸すように、犯人に銃口を向けるのだろうか」と言うナレーションが流れそうな雰囲気を感じました。

そんなナレーションがピッタリなラストでしたね。
彼はまた、合わせる位牌が増えてしまうのでしょうか…。
ものすごく心に残るラストでした。
ある銀行で立てこもり事件が起き、最終的に犯人が射殺されたのがまだ記憶に生々しかったこともあって、すごく考えさせられました。
人を助けようとしてギリギリの選択の中で行った狙撃手の方が、四方八方から非難されるなんてこと、あってほしくないと思いました。

訪問ありがとうございます。
良ければまた訪ねてきてくださいね。
2012年11月13日(Tue) 11:13












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