こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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皆様方よ。今に見ておれで御座いますよ 「丑三つの村](4/5)

村に戻ってきた継男は、ミオコの家が閉鎖されているのを見る。
夜逃げ同然に、いなくなったらしい。
八一(やいち)が「わいに何の相談もなく」と言っている。

戻ってきた継男を見て、勇三や八一がやってくる。
八一が継男につかみかかり「継!おとなしゅう暮らしてる人間、何で追い出さなあかんねん!」と言う。
勇三も「中次もミオコも、ガキ連れて出ていきおった」と言った。

「俺の知ったことかよ!」と継男は叫ぶ。
勇三は「村の人間だと思って、今まで何も言わなかったが、好き勝手もええかげんにしとけや」とすごむ。
「殺すのやったら、はよ殺してくれや」。

勇三は笑いながら、「近いうちお前の処分を決めて、おばやんに言いに来る」と言った。
「日暮れ谷に住み着いた鬼は、追い出すだけや!」と八一が言う。
みんな、顔を見合わせて帰って行く。
残った継男は「逃げられたんかい。のんびりしておれん」とつぶやく。

夜、継男は自分の部屋で、自転車のライトを首から提げてみた。
鉢巻に懐中電灯を2本、差してつけられるようにもした。
実際に鉢巻を巻いてみる。
そうしてみて、首から提げたライトをつけると、鉢巻に巻かれ、頭の両側にセットされた懐中電灯が光る。

カチッ。
カチッ。
カチッ。

つけたり消したりして、確かめる。
継男の顔が、ライトに照らされて陰影を作る。
「こらやっぱり鬼や」。
継男がうっすら、笑う。

いつもの風景だった。
継男は、いつもの場所から村を見下ろす。
「まあ、皆様方よ今に見ておれで御座いますよ」。

そう言うと継男は、懐からやすよにもらった組み紐を取り出し、首に巻きつける。
自分で両側から引っ張り、締めてみる。
締めるたびに「ぐえっ」「ぐえっ」と舌を出し、声を出してみる。

継男は手紙を書いた。
やすよにだった。
手紙を持ち、ニワトリに入り口で餌をやっている祖母の横を通り、石の橋を渡って行く。
橋の袂にいた親子連れが、子供を連れて引っ込もうとするが、継男はもう目もくれない。

前略、やすよさま。
お元気ですか。
突然のぶしつけなお便り、お許しください。

僕は戦場へ行きます。
10月20日、戦場へ行きます。
その日、村には絶対に近づかないでください。

鬼になれるように、毎日祈っています。
戦場へ行きます。
鬼になります。
やすよさま、本当のさようならです。

途中、山道で継男は、ニワトリの羽を拾う。
忠明たちが、ニワトリを殺していた道だ。
羽を持って、橋の上で捨てる。

その日の夕方、時計が鳴った。
5時だ。
横になっていた継男が、目を開く。

外が赤く染まるのを見る。
障子が真っ赤だ。
継男がそれを見る。
外に行き、電柱を見上げる。

登っていくと、電線をパチン、パチンと切る。
電線は、地面に落ちた。
継男はそれも、じっと見る。

「あれ?」
夜、電球に手を伸ばした祖母が言う。
継男、停電みたいやぞ。はよ、飯食ってしまおう」。

ろうそくに火をともしながら、祖母は「今日はほんまに、けったいな日や。鶏は急に死んでしまいよるし。停電になるわ。和子が初めて里帰りしてきた日やと言うのに」と言う。
和子が、里帰りしてきている。
それを聞いた継男は晴れやかに「今日はええ日や!大安や!」と言った。

夜半の村。
静まり返っている。
ただ動くのは、村を流れる小川の水。

風に揺れる森の木の葉。
森も、家家も。
響く時計の音。

継男は、目を閉じている。
壁にかけた時計の鐘が鳴る。
継男が目を見開く。
12時。

次に時計が鳴る。
1時。
継男は、長持ちを取り出す。
蓋を開ける。

中から出てきたのは、綺麗に畳まれた服。
継男はろうそくに灯りをつけると、着ている服を脱ぎ始める。
ふんどしも取り、新しいものを身につける。
きゅっと、縛る。

白いシャツを着る。
ズボンを履く。
継男が身につけたのは、詰襟の学生服だった。
地下足袋を履く。

ゲートルを、丁寧に巻いていく。
丁寧に巻き、結んで止める。
押入れを開け、銃と日本刀を取り出す。

懐中電灯と、自転車のライトも出す。
かばんに、弾丸を入れる。
鉢巻に、懐中電灯をセットする。

ガチャガチャと音をさせ、ベルトを身につける。
ベルトに、日本刀を差す。
しっかりと皮ひもで結び、日本刀を固定する。
自転車のライトを首にかける。

一つ一つ、作業が終わると継男は「よし」「よし」と確認するように声を出す。
匕首を差す。
その上からまた、ベルトで匕首を固定する。
もう一振りの匕首を差す。

次に、油紙に包まれた銃を出す。
銃を手にして、継男は弾丸を込める。
継男は、銃を構えてみる。

四方に向かって、飛びのきながら銃を構える。
ライトをつけ、正面に向かって銃を発射する構えをする。
準備は終わった。


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