ここから先は、残酷、反社会的と言う判断で、R-18指定を受けたこの映画のクライマックスです。
全部、殺戮のシーンですから、気分が悪くなりそうな方はご遠慮ください。


継男はそっと、祖母の寝ている部屋の戸を開ける。
ライトに照らされても、祖母は起きない。
「おばやん」と継男は声をかける。
「うーん」と祖母は声を出し、少し咳き込んだ。

継男は土間に降り、銃を置く。
傍らにあったまさかりを手に「おばやん。約束や。笑おうて見送ってくれや」と言った。
まさかりを振り上げる。

ライトに照らされた、祖母の首を見つめる。
「やぁっ!」という声とともに、継男は斧を振り下ろした。
呼吸音だけが、聞こえている。

継男が顔を上げる。
飛び散る血で、継男の顔も、白い日本刀の柄も赤く染まっている。
「おばやん。俺を夜叉にしてくれぃ!」
「鬼にしてくれ!」

継男は、荒い呼吸をする。
ふーっ、ふーっ。
息を吸い込むと、叫ぶ。

「犬丸次男くん、ばんざあーい。ばんざーい。ばんざああーい。ばんざああ…い」。
ぎこちない万歳をする。
最後のほうは、声が枯れた。

継男はそのまま、立ち尽くす。
ガシャという音とともに、継男が動き出す。
外に出た。

まず隣だ。
すらりと継男が、日本刀を抜く。
眠っている、隣の住人のことみに近づく。

「とやあ!」という掛け声で、ことみの胸に向かって一気に日本刀を突き刺す。
「ぎゃあ」と言う声をあげて、ことみは腕を前に突っ張らせ、上体を起こした。
ことみは、目を見開き、絶命した。

「どないしたんや」と隣の部屋から、ことみの長男が出てきた。
日本刀をかざし、切りかかる継男を見て、悲鳴を上げて逃げ出す。
土間まで、長男は逃げた。

継男は、銃を構える。
逃げ出そうとした長男を、後ろから撃つ。
壁に穴が開き、長男は倒れた。

「あほんだらあ!おとなしゅう寝とけや!」と、継男は怒鳴る。
そして「栄子はどこじゃあ!栄子お!」と叫ぶと、次の部屋に入っていく。
目指す栄子は、いなかった。

継男は、外に出る
暗闇の中、見えるのは継男の頭の懐中電灯の丸い光だけだった。
光が、光だけが人魂のように異動していく。

次の家に行く。
戸を開ける。
部屋に押し入った。
和子の家だ。

布団をはぐと、いつかのように常代は足を開いて寝ていた。
その足を継男は、銃でポンと叩く。
常代は、その感触と光で、飛び起きた。

継男は、常代に向かって銃口を向けた。
「くそばばあ。夜這いに来たで」。
継男のライトに照らされた常代は、恐怖で硬直した。

「ひいいい、ひいいい」と、声が漏れる。
カチャッと、音をさせ、弾丸が装着され、銃身から用済みになった弾丸が飛ぶ。
顔に血が飛び散った継男が、常代に銃を押し付ける。

銃声がして、常代が撃ち抜かれて倒れる。
その物音に和子が戸を開け、目を丸くする。
継男の姿を見た和子は、恐怖に悲鳴もあげない。

和子に継男は、銃を向けた。
「結婚、おめでとうさん」。
皮肉な口調で言う。

和子は、声も出ない。
荒い呼吸音だけが、聞こえる。
和子の首に銃口が向けられ、それは口に向かう。
継男は、和子の口に、銃口を押し込む。

和子は殺さないでも、ごめんなさいも、許してくださいも言えない。
ただ荒く呼吸をし、口に銃を入れられ、後ろに下がっていく。
継男は和子の口から銃をはずし、音をさせて構える。
少し離れたところから、肩口を撃つ。

和子が倒れる。
苦痛にうめく。
継男は倒れた和子の胸に匕首を刺し、そのまま床に倒してぐりぐりと押し付けるようにして止めを刺す。
和子が苦痛に声を出し、動かなくなる。

継男はまた、暗闇を走る。
やすよを追い出した葉村史明の家だった。
戸を開け、部屋に飛び込むと「起きんかい!皆殺しにしたるわ!」と叫ぶ。

飛び起きた葉村の夫婦でまず、妻を撃ち殺した。
次に、夫を撃つ。
奥の部屋の戸を開けると、飛び起きた3人の子供を次々撃つ。

「史明はどこじゃ。やすよを追い出したガキはどこじゃ!」
そう言って、継男は押入れに発砲する。
悲鳴を上げて、史明が戸を開け、布団を継男に放り投げ、逃げる。

必死の史明が追ってくる継男の銃を抑え、もみ合いになる。
継男を突き飛ばすと、外に飛び出す。
足をもつれさせながら、史明は後ろを振り返り振り返り、叫びながら走る。
転び、振り返ると、3つの光が追いかけてくる。

暗闇の中、継男が照らす史明の背中だけが明るく闇に浮かび上がる。
一軒の家の前まで来ると、「助けてくれ、継男が気い狂いよったあ」と叫ぶ。
後ろ手ぶ戸を開けて、中に逃げ込む。

継男の銃が障子を破る。
その穴から、銃が突き出されると火を噴いた。
史明は右の肩を撃たれ、囲炉裏がある部屋まで這いつくばって逃げる。

継男が入ってきて「助けてくれ」と、絶叫する史明を追い詰めていく。
壁を背に立ち上がった史明の左肩も、撃ち抜く。
背後の壁に、穴が開く。

継男はさらに、銃を向ける。
銃を史明に押し付けていき、至近距離から体の真ん中を撃つ。
史明は、ずるずると崩れ落ちていく。

継男は、その家の家族が集まっている部屋の戸を開ける。
銃を構えた継男に、老人が叫ぶ。
「わしら、お前の悪口言うた覚えないわ!」
老人とその家の夫婦の夫は、男の子を真ん中に抱き合っていた。

その背後には、妻がやはり子供を抱きかかえていた。
「助けてくれえ」。
「静かにしとけよ!」
そう言うと、継男は外に飛び出して走る。

暗闇の中、3つのライトが動く。
継男が戸を開け、また一軒の家の中に飛び込む。
ライトに照らされた暗闇の中、寝ていた夫が跳ね起きる。
栄子のいる家だ。

横にいた栄子が夫に飛びつきながらも、継男に向かって「おかやん、どないしたんや!」と怒鳴る。
顔に血を飛び散らせ、銃を向けながら継男は言う。
「いっとう最初に死んでもろうた!お前も探しとったんやで!」
そう言うなり、発砲した。

弾丸は命中し、栄子がふすまを倒してひっくり返る。
継男は次々、発砲する。
舅、背中を向けて逃げようとした姑、怯え切って「やめてくれ」と言うように両手を前に伸ばして振っている夫。

次々撃つ。
動く者がいなくなる。
布団をかぶっていた老人を撃ち、恐怖で逃げ出した娘は日本刀で刺し貫いた。

外に出て日本刀を地面に突き刺し、銃に弾を込める。
「八一(やいち)ぃ、待っとれよ八一」。
やいち、やいちと叫びながら、継男は戸を開ける。

部屋の戸を開けると、暗闇の中、八一の一家が照らされる。
手前にいた妻は起き上がり、奥に逃げる。
八一が怯えたように叫び、飛び起きる。

継男が上にかかっている壁時計を見て、発砲する。
悲鳴が、悲鳴に鳴らない、泣き言のような声が響く。
時計が壊れるのを見た継男が、すさまじい笑顔を浮かべ、銃を向ける。

「八一、ミオコ、中次、逃がした罰じゃあ!」
そう叫ぶと、継男は銃を向ける。
怯えた声が止まらない八一は子供をつかんで前に押し出そうとして放し、妻をつかんで前に押しやった。
部屋の奥、たんすの前に逃げた八一だが、右肩を撃たれた。

妻と子供が、逃げた。
継男は2人にも、発砲した。
ふすまを倒して、2人は倒れて動かなくなった。

悲鳴をあげて逃げる、老いた八一の父親を撃ち、母親も撃った。
誰も動かなくなった。
八一が継男に、声にならない声をあげながら、むしゃぶりついてくる。

継男は八一を突き飛ばすと、八一は「うわーああああ」と叫びながら、廊下を走った。
八一が逃げた方に向かって、継男は歩き、日本刀を抜く。
奥に、奥に、八一は暗闇の中、継男のライトに照らされてひたすら逃げる。
継男は障子を蹴飛ばし、追い詰めていく。

土間に下りた八一の左肩に向かって、継男は日本刀を押し付けた。
一気に、日本刀を走らせる。
手を上げ、目を見開いたまま、八一は倒れた。

継男はまた、外に出る。
隣家から3人の女性が、悲鳴を上げながら走り出る。
継男は1人を追い詰め、発砲した。
女性は、わらを背に崩れ落ちる。

きゃあああと叫びながら逃げる女性もまた、撃った。
1人は田んぼまで這いずりながら、逃げた。
継男は女性の前に先回りすると、発砲した。
女性は田んぼの泥の中、前のめりに倒れた。

銃に弾丸を込めるため、継男は一度、山の方に登る。
「継男」と呼ぶ声がする。
「誰じゃ!」
声のした方に、継男は銃を向ける。

ライトに照らされて見えたのは、やすよだった。
やすよは泣いていた。
震える声で、「もう、や、やめてえ」と言う。

「心配すな、おまえとこやらん!」
「手紙貰ろうて、あわてて戻ってきて…」。
やすよは、泣きじゃくる。

「音が聞こえて、行かな思って。止めなあかん、思って」。
やすよは、顔をくしゃくしゃにして泣いた。
だが継男は「まだ3軒残っとる!」と言った。

やすよが鋭く叫ぶ。
「鬼や!」
継男は「鬼のどこが悪い!」と叫ぶと、行ってしまう。
「継男!」

戸から恐る恐る、ランプを持って、嘉子と太一は出てきた。
辺りを見回す。
太一は棒を持っている。

「おばちゃん、こっちや」。
継男の声がする。
声に笑いが含まれていた。
太一が、声がした方をライトで照らす。

3つのライトだけが、暗闇に光っていた。
「ひえっ」と嘉子が口を開けた時、継男が発砲した。
暗闇に照らされ、倒れる嘉子だけが浮かび上がる。

太一が腰を抜かす。
継男が近づき、嘉子を撃って止めを刺す。
「何てことするんだ」と太一が、後は言葉にならない叫びを上げながら、継男に飛び掛って来る。

継男が発砲し、弾が太一の頬をかすめた。
太一が叫びながら、継男に飛び掛る。
銃を持って、何とか継男を阻止しようとする。

2人はもみ合いながら家の中に飛び込み、土間に転がった。
太一は銃を奪おうとする。
だが太一はのけぞり、しりもちをついた。
継男が、近づいてくる。

ひい、ひいと太一が、悲鳴を漏らす。
継男が匕首を抜くと、太一に向かって突進してくる。
柱を背に、太一は刺された。

匕首に手を添えたまま、太一は転がった。
継男は思わず舌を出して、唇をなめる。
戸口の前には、嘉子が絶命していた。

継男は、太一たちが飼っていたヤギの腹の下にもぐりこむ。
口に向かって、ヤギの乳を搾る。
喉を潤した継男は、「あ~」とため息をつき、「よしっ」と言って走っていく。

勇三の家の前に行くと、「勇三、出て来い!一番許せん!撃ち殺してやる!」と叫び、発砲する。
2階の窓が開き、勇三が「助けてくれーっ!早う、誰か!警察に知らせるんや!」と絶叫する。
次々、発砲する継男。

勇三が窓から継男に向かって、部屋にあるものを次々投げてくる。
たんすまで、投げてくる。
勇三は、畳を起こすと、窓に押し付ける。
畳を弾丸が貫通する。

勇三がまた、1枚重ねる。
弾丸が、貫通する。
3枚目を立てかける。
弾丸が、貫通する。

4枚。
5枚。
そのたびに、畳の真ん中を埃を立ててて、弾丸が貫通していく。
貫通するが、勇三は畳の横に立ち、弾丸を避けている。

「えへへへ」と、勇三が妙な笑い声を立てる。
「ちくしょう!」と言って、継男が2階に向かって匕首を投げる。
匕首は、畳に当たって、落ちた。
「時間があれへん!」

継男は走り、えり子の家に向かう。
戸を叩かれたので、夫が戸を開けると、血まみれの継男がいる。
「継男、どないしたんじゃい!」
「おっちゃんには、関係ない!」

そう言って継男は家の中に踏み込むと、寝ていたえり子が飛び起きる。
恐怖に顔を引きつらせ、悲鳴を上げて、えり子は左右に逃げ惑う。
「えり子お!あんたが最後やあ!安心しい」。

暗闇の中、ライトに照らされたえり子が逃げ惑う。
銃を構えた継男の前に出たえり子の夫が、「お、おいこらっ、うちのおかんに何するんや」と叫ぶ。
えり子が、夫の背後に逃げ込む。

「おいっ、貴様、やめんか!」
「どいてくれ、おっちゃん!」
継男が悲壮な顔をする。
「どいてくれ、どいてくれや!」

そう言うと継男は発砲した。
えり子の夫の頭が、吹っ飛んだ。
壁に貼られた帝国軍人の心得に、黒く穴が開く。

それを見下ろしたえり子が、目も口も開いて、絶叫する。
「ぎゃあああ」と声を上げ、壁を背にしてへたりこむ。
這いずりながら、継男から逃げる。
暗い家の中、逃げていくえり子だけが照らされた。

ひたすら叫び声をあげながら、えり子は部屋の奥に逃げた。
壁にかかっている国民服を、継男に投げつける。
暗闇の中、えり子だけが照らされる。
部屋に、えり子が照らされた影ができる。

土間に下り、継男の方を見たえり子を継男は撃った。
弾丸はえり子に当たらなかったが、えり子は硬直した。
起立したまま、部屋の奥に上がった。

継男は、えり子の左胸の上を撃った。
えり子が目を見開き、ずるずると倒れていく。
障子が倒れる。

倒れたえり子のふくらはぎが、あらわになる。
「ここが、いかんのや」。
継男はそう言うと、カチャッと音をさせ、近づいていく。

銃で継男は、えり子の着物の裾をめくる。
白い太ももまで、あらわになる。
継男は、えり子の股間に弾丸を撃ち込む。
血しぶきが、あがる。

継男が外に出ると、やすよが泣き崩れていた。
「終わったんや。肝心の奴、やれなんだ」。
継男の声は、晴れ晴れとしていた。
「もう、やめて…」。

「俺はこれで終わりや」。
継男はそう言ってやすよに近づくと、やすよの腹に耳を当てる。
「心臓の音や。俺にはよう聞こえる」。

継男は血まみれの手で、泣いているやすよの顔を自分に向ける。
「鬼のやや子に、よう覚えとといたってくれよ」。
「鬼、鬼、おにおにおに!」と泣きながらやすよは、拳を振り上げる。

やすよの拳を受け止めながら、継男は笑顔でうなづく。
「鬼や。けど、鬼は鬼退治しただけの話や」。
そして笑うと「おばやん、1人で寂しがっとる。そばにいてやってくれや。ここのおなごはみんな、寂しがり屋やからな」と言った。

笑顔で継男は、森の奥に消える。
もやの出る森の中、継男が身につけたライトだけが動いてく。
山の中、いつか、継男が標的にしたわら人形があった。
継男は、それをじっと見つめる。

朝。
すすきが、さらさらと音を立てる。
継男の歌声が、ぼんやりとした歌声が聞こえる。

「おーれは、かーわらの、かーれすーすーきー。おーなじ、おーまえも、かーれすーすーきー」。
「どーうーせ、ふーたりーは、こーのよーでーはー。はーなーのさーかない、かーれすーすーきー」。
「おーれーは、かーわらーの、かーれすーすーきー」。

歌いながら、継男はゲートルを取って巻いていく。
「おーなーじ、おーまえーも」。
歌が止まる。

継男は、やすよに貰った紐を取り出す。
手に握ると、村が見える崖下に向かって放り投げる。
じっと、継男は放り投げたほうを見る。

かたわらの葉を手でしごくと、手のひらに朝露がたまった。
もうひとつ、葉をしごく。
たまった朝露をなめる。

そして継男は、銃を手に取る。
引き金に、親指をかける。
銃口を口にくわえる。

カチッと音がする。
眼下に見える村。
「皆様方よ。さようならで御座いますよ」。

継男は、そう言うと銃を口にくわえる
引き金に、親指がかかる。
笑顔が浮かぶ。
全てが止まる。

血のような赤色で染まった、山のようなイラスト。
背後は、暗く沈んだ灰色の空。
(古尾谷雅人をトップにキャストが流れていく。監督が最後に出て)

「終」の文字。
響く銃声。
最後の、銃声…。


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2014.02.11 / Top↑
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