1973年の「剣客商売」も楽しく見ています。
小兵衛は、山形勲さん。
大治郎は、加藤剛さん。
三冬さんは、音無美紀子さんです。

音無さんは綺麗だけど、私はホームドラマのかわいらしい妹役というイメージが強かった。
ところが、さすが。三冬さんを見事に演じてます。
その三冬さんの魅力が堪能できたのは、この第4話「井関道場・四天王」。
タイトルからして、三冬さんの話だな!とわかります。


三冬の父の老中・田沼意次も庇護している井関道場は、道場主が死亡した後は、道場主不在のまま、4人の師範代が稽古をつける状態が続いていた。
この4人を人は、四天王と呼び、その中に三冬も入っていた。
そろそろ後継者を決めなくてはならない。

三冬から大治郎の話を聞いた四天王の1人、渋谷寅三郎が大治郎に手合わせを願う。
しぶしぶ手合わせにのぞむ大治郎だが、勝負は大治郎の気迫にすでに自分の負けを悟った寅三郎の降参に終わった。
ところが寅三郎は気持ちの良い男で、大治郎と酒を酌み交わし、上機嫌で帰っていった。
だがその帰り、材木が倒れてきて寅三郎は下敷きになり、身動きが取れないところを刺されて絶命した。

道場の後継者争いであることを見抜いた小兵衛は、芝居を打つことを考えた。
大治郎を田舎から出てきた侍に仕立て、道場で三冬に勝負を挑ませる。
そこで三冬に勝たせ、大治郎を弟子入りさせる計画だ。
まずは誰にも見破られないよう、三冬が見事に大治郎に勝たなければならない。

本来なら、自分など足元にも及ばない大治郎を弟子にするなど、芝居でも心苦しい。
できないと弱音を吐く三冬を、そんなことでどうする!と小兵衛は一喝。
稽古を重ねた結果、誰の目にも不自然ではないように勝負ができるようになった。

計画は実行に移され、大治郎は井関道場に田舎者丸出しで勝負を挑み、三冬が勝つ。
三冬に弟子入りを懇願した大治郎は、井関道場で弟子生活を始める。
掃除をしている大治郎の前に立ちはだかり、自分の股をくぐって床を吹けと笑うのは旗本の息子の小澤だった。

御用聞きの弥七の捜査もあって、後継者争いで闇討ちをしているのはこの一派と見抜いた小平衛と大治郎。
闇討ちされた渋谷のためにも、この男たちに道場を任せるわけには行かない。
やがて、後継者を選ぶ立会いの日が来たが、三冬は女性であることから立会いを自分の弟子の大治郎を代理として任せると申し出る。
小澤と対決した大治郎は、小澤の竹刀を叩き落とすのだった。

後継者は、三冬と決まった。
だが三冬は、自分には道場を継ぐ器はないといって、道場を閉鎖した。
田沼意次も承知したらしい。

しかし小澤を闇討ちの犯人として突き出せば、井関道場にも闇討ちなどされた渋谷にも傷がつく。
小平衛は小澤を告発することは、止める。
だがその夜、飯屋の梅屋から帰る道で、小兵衛と大治郎親子を小澤の一派が闇討ちしてくる。

今度は斬って良い、いや、井関道場のため、この男たちは斬らねばならない!
「天罰だ!遠慮なく斬れ」。
小兵衛と大治郎は、小澤たちを斬る。

夜遅く、自分の道場に戻った大治郎を待っているのは、三冬だった。
思い上がった自分の剣を、大治郎に本気で叩きのめしてほしい。
三冬はそう言った。

今夜は酒も入っているしと断る大治郎に対し、三冬はそれまでは帰らないと正座し続ける。
では、と外に出た大治郎は、外で寝てしまう。
その姿を見た三冬は、どうしても微笑が浮かんできてしかたがないのだった。



この回は、三冬さんがかわいくって、しょうがありません。
剣を取っては四天王と呼ばれるほど、強く凛々しく美しい三冬さん。
だが、大治郎と立ち会う時に「この人と立ち会うなんて、できない…」と目が言っている。
それは剣士として、格上の相手に勝つ嘘の試合を演じるつらさだけじゃない。

大治郎を前にした三冬さんは女性剣士ではなく、恋する女性そのものなんです。
ついに涙ぐみ、「できません」と弱音を吐く。
すると、小兵衛さん「そんなことでどうする!」と鋭い一喝。
ああ、三冬さんのつらい女心を誰もわかってくれない…。

さらに田舎者と見て、いじめにかかる小澤とその取り巻き。
道場の床を拭き掃除する大治郎の前に立ち、股をくぐって拭けという性格の悪さ。
こんなのが道場を継いだら、井関道場の名声は地に落ちるでしょう。

大治郎がまた、ニコニコしている。
ついに小澤たちは、水桶を蹴飛ばす。
とても耐えられなかった三冬さん。
小澤たちの前に、飛び出していく。

三冬の目を見て、大治郎はかすかに首を振る。
「いいんです、三冬殿は出てきてはいけません」という大治郎の無言の声。
しかし三冬は我慢できず、小澤たちを追い払ってしまう。

三冬さんの一途な思いが、見ていて本当にかわいらしい。
大治郎の田舎侍も、なかなか楽しい。
抜けた男を演じていても、やっぱりどこかにできる男の雰囲気は漂ってしまっていますが。

弥七は、山田吾一さん。
その娘のおときは、関根恵子さん。
三冬さんのところへ大治郎が弟子入りした計画で、父親に向かって、えらくへそを曲げたらしい。

飯屋・梅屋の女将のおかよは、うつみみどりさんが演じてます。
こちらも大治郎が三冬に弟子入りする計画で、えらくご立腹。
大治郎が女性に弟子入りするなんて…という怒りより、2人とも三冬さんにやきもち焼いてるみたいに見えました。

モテモテの大治郎だが、本人は本当に堅物。
最後にやってきた三冬さんをおいて、外で寝ちゃうんですから。
大治郎を見た三冬さんの目が、「…だから好き」と言ってます。
以前の三冬さんと違い、今の三冬さんは剣士としてより、女性として行動してしまうんですね。

それが何より自分がよくわかっているから、三冬さんは自分には道場を継ぐ器はないと拒否したのかもしれません。
脚本や演出もいいけど、俳優さんたちの演技がいい。
各登場人物の性格や心情が、見ているこちらにグングン伝わって来る。
だからか、1973年の「剣客商売」は相当おもしろいです。


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2013.07.22 / Top↑
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