こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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怪談 「大奥 あかずの間」

五代将軍・綱吉の頃。
女ばかりの世界、大奥に妙という新しい奥女中が入ってきた。
横山町の呉服問屋の娘だと言うことだった。
表使い滝山に連れられて妙は御正室・信子の方さま、続いて大奥総取り締まり・右衛門佐(えもんのすけ)の局に挨拶に向かった。

お妙はじっと、右衛門佐を見つめると、右衛門の佐は元道場家の姫君ということだった。
正室・信子の方の顔を拝むことは、できなかった。
途中に鍵のかかった部屋があり、あれは何かと訪ねるとあれはあかずの間、足早に立ち去るがよいと言われる。

ところがその前を通りかかると、戸の上から血が一筋、流れてくる。
これには滝山も、腰元たちもおののいた。
妙が他の奥女中にあかずの間の謂れを聞くと、上様の寵愛を受けた鼓の名手・お雪の方という女性がいた。

そのお雪がなぜか、上様のご不興を買った結果、自害した部屋だと言うことだった。
他のものは、自害ではなく、上様にお手打ちになったと言う。
ともかくも、大奥を血で汚したということで、お雪の遺体は不浄門から運ばれたらしい。
以来、お雪の部屋は誰も使わず、あかずの間として恐れられていた。

その夜、火の用心に奥女中が回っていると、盲目の僧侶・浦野が廊下に立ち尽くしている。
驚いた滝山がどうしたのか訪ねると、浦野はあかずの間の前に立った。
するとまた戸から血が流れてきて、お雪の「ここから出して」という哀しい声が響いた。
滝山は倒れてしまう。

その夜から滝山はお雪への詫びの言葉を口にしながら寝込んでしまい、起き上がれなくなった。
これはお雪の亡霊ではないかと、妙はあの夜に見たことを話す。
「出しておくれ、出しておくれ」とささやく声。
滝山は思い出す。

右衛門の佐は、わら人形を手に、「お雪死ね」とお雪の死を願いながら釘を刺していた。
背後には滝山が、見張りについていた。
「お雪の方様、私ではありません」。
滝山は言い続ける。

この話を聞いた信子の方は、一笑に付す。
大奥ではまだ、綱吉に世継ぎが生まれないことを憂いていた。
信子の方には、子供がなかった。
親戚である綱豊に、六代将軍に世継ぎになってもらうしかない。

信子の方はそう思っていたが、綱吉は側用人の柳沢に与えた拝領妻・染子から生まれた子・吉里が、いまだに自分の子ではないかと思っている。
もし柳沢の子供が世継ぎにでもなれば、天下は柳沢の思うがままになってしまう。
それは何としても、阻止したいことだった。

だが、綱吉とお伝の方との間に生まれた鶴松も亡くなってしまったし、京都から信子の方が呼び寄せた右衛門の佐と綱吉の間の子供も生まれることはなかった。
本来なら綱豊が世継ぎであるが、綱吉としてはもし柳沢の子供が自分の子であれば、実子を世継ぎとしたい。
しかし確証は持てず、結局、綱吉は綱豊を六代将軍として世継ぎにし、自らは引退を決意する。

大奥で恒例の井戸浚いが行われ、井戸のそこからお雪が綱吉からもらったかんざしが出てくる。
お雪のものは、全て処分したはずなのに、なぜ。
滝山も右衛門の佐もうろたえ、お雪の墓を暴くことにする。

読経の中、お雪の墓が掘り返されるが、棺の中には鼓が入っているだけで、お雪の遺骸はなかった。
雨の中、滝山は悲鳴とともに倒れ、そのまま滝山は亡くなる。
信子の方は右衛門の佐とあかずの間に向かうが、そこには浦野が座っている。

浦野はお雪についていた者だが、現在は盲目で口もきけなくなっていた。
もしや、浦野はお雪について何か言いたいことがあるのでは?
そんなことが続いたある夜、妙が綱吉の湯殿の世話をしていると、手を踏まれる。
これは寝所にあがれという、綱吉の合図なのだった。

妙が、綱吉の寵愛を受ける。
噂はたちまち、大奥を駆け巡った。
信子の方は嫉妬と怒りと悲しみで、一杯になる。

妙は「おめでとう」という声に送られながら、仕度をされるが、右衛門の佐は嫌味を言う。
だが自分の部屋の子から、お手つきが生まれるとあれば祝わなければならない。
上様のお手つきとなれば、今日からは妙は御中臈である。
まずは内掛けをしんぜようと、右衛門の佐は言う。

しかし寝所に入った妙に綱吉は、お雪を重ねて怯える。
綱吉は右衛門の佐を連れて、あかずの間に入った。
あかずの間に鼓があり、その鼓にぬくもりがある。
誰かが打っているのだと言った綱吉は刀を抜き、狂いまわる。

綱吉はその夜から、床に伏せるようになった。
将軍が病であるという話は、諸国に伝わった。
綱吉は右衛門の佐に、お雪の供養をするように言い渡すと、綱吉は元気になったら柳沢に七代将軍に柳沢の息子・吉里を指名する誓詞を書くと言う。

吉里は自分の子であり、次は綱豊であってもやはり吉里を将軍職につけたい。
柳沢吉保には、後見人として百万石を与えると約束した。
お雪の供養が始まった。

白く濁った目で、じっと仏様を見つめる浦野。
信子の方にそっと、右衛門の佐が耳打ちをして出て行くのも、浦野はにごった目で追っていた。
綱吉が七代に吉里を決めたと聞いて、信子も右衛門の佐も憤った。

その夜、寝所で妙を相手に綱吉は、お雪は哀れな女であったと言う。
どこかの寺の坊主と密通したお雪を、綱吉は責めた。
愛するがゆえに、責めた。

お雪は相手の名前を言わなかった。
結果、お雪は自害してしまったのだ。
だが妙は、それは違うと言う。

まるで、お雪を知っているかのような否定に、綱吉は妙に理由を聞く。
お雪に深い同情を寄せる妙の様子を見て、綱吉は心の優しい娘だと言った。
だが、妙は自分の心にも悪い虫が棲んでいると言う。
悪い虫か、と綱吉はつぶやく。

信子の方と、右衛門の佐が話している。
右衛門の佐は、お雪の子供が生きていればもう7歳。
生ませて、それで自分たちの味方につけて置けばよかったという。

それを聞いた信子の方は、自分はずっと1人であったと言う。
将軍の妻でありながら、妻であることは一度もなかった。
自分にとって、上様はたった一人の男性。

右衛門の佐でさえ、信子の方は憎いと思ったことがある。
北の丸も、お伝も、綱吉に寵愛を受けた女性はみな憎かった。
お雪も、そして今は妙も憎い。

その時、大奥に鼓の音が響く。
何かに取り付かれたように綱吉が立ち上がり、お雪はやっぱり生きているといって、刀を持ち、あかずの間に走る。
妙が後を追おうとするが、足を取られて転倒する。

あかずの間に入った綱吉は、鼓がないことに気づき、お雪はいる。
「どこかにいる!」と叫ぶ。
お雪の内掛けを羽織り、誰かが座っている。
綱吉はそう思ったが、誰もいなかった。

信子の方は1人、部屋で懐剣を握りしめ、抜く。
「上様はわたくし、1人の上様。もうどこにもやらぬ…」。
あかずの間にかかっていた内掛けが落ち、お雪の姿が見える。

「お雪、血迷うたな!」
綱吉は斬りつけたが、お雪は信子の方の姿に変わった。
「上様」。
「信子!」

「上様。上様には多くのにょしょうがおりました。だが誰一人として、心から上様を押したいしたものは、おりませんでした。全てのにょしょうに裏切られました。あれほど寵愛されましたお雪にも裏切られました。上様!」
だが、綱吉はすがりつく信子を払い、「離せ!お雪はどこかに生きている。俺はお雪に聞く。もう一度聞く!」と叫んだ。
「上様、あれほど望まれた世継ぎにも恵まれず」。

信子の言葉に綱吉は、「吉里がいる」と答えた。
「吉里は吉保の子。上様のお子などでは、ございませぬ」。
そう言って信子の方は、吉保の言葉に乗らないように懇願する。

「上様、わたくしは上様に斬られて、本望でございます。でも、上様1人をやりません。上様」。
信子の方は隠し持っていた懐剣で、綱吉を刺した。
驚いた綱吉は、信子の方を刺し貫く。
倒れそうになりながら綱吉は「お雪。わしはそなたを許す。わしを、わしを助けてくれ」と言う。

すると、内掛けを羽織ってお雪が現れた。
だが次に、お雪は妙の姿に変わった。
妙は、自分は上様に殺されたお雪の妹だと打ち明けた。
近くに浦野が立っていた。

浦野は目に手をやると、白く濁った目を覆っていた膜を取り去る。
そしてお雪が自害などとは嘘だ、短刀は背中に刺さっていたのだと言う。
綱吉の子を身ごもっていたお雪を、無残にも綱吉は見捨てた。

浦野はお雪について城に入り、ずっと娘のように育ててきた。
だから浦野は妙を呉服屋の養女にするよう尽力し、こうして大奥に入り込ませたのだ。
綱吉は、お雪を殺したのは自分ではないと叫ぶ。

「それは私じゃ」。
声とともに、右衛門の佐が入って来る。
お雪が世継ぎを身ごもったと聞いて、憎かった右衛門の佐は、それは綱吉の子ではなく、不義密通した谷中の僧侶の子供だと綱吉に吹き込んだ。

「右衛門の佐!そなた…!」
「私はお雪などには、負けとうなかった。浦野、妙、そなたたちもあの世に送ってしんぜよう」。
右衛門の佐は斬りかかって来る。
浦野が何とか、防ごうとする。

しかし右衛門の佐には、浦野がお雪に見えた。
動揺した右衛門の佐は、自分で自分の懐剣の上に転ぶ。
お雪の墓を暴いたのは、浦野だった。

全てが終わった。
浦野はお雪の内掛けに向かって、「いつの世になってもお雪はこの部屋の主。ここにおられるのが、一番良いのでございます。お雪さま、聞いておられますか」と呼びかけた。
内掛けに、お雪の姿がだぶった。

その夜、大奥を出る妙と浦野だが、雷鳴が響く。
長かった。
姉の死を聞いてから7年。

信濃屋の養女となり、本懐を遂げたのに、心が晴れない。
なぜだろう。
妙がそう言う。

お雪が成仏すれば、妙の心も晴れるに違いない。
浦野の言葉に、妙がうなづいた時、雷鳴が響き、風が吹く。
落雷に打たれた妙と浦野は、お雪の成仏を念じいながら息絶えた。

お雪が招いたのかどうか、わからない。
綱吉ははしかのため、死す。
信子の方は、10日後、同じ病にて死すと公儀は天下に告げたと言う…。



これは「日本怪談名作劇場」でも見ました。
官軍が大奥に入ってくる。
その時、きらびやかな大奥を、1人残った女性が案内する。
官軍の兵士役は、藤田まことさん。

兵士は鍵のかかった部屋に、ここは何かと尋ねる。
奥女中は、あかずの間だと言って、その由来を話し始める。
その内容は、ここでの展開と同じです。

お雪と妙は、この案内した女性と同じ女優さんでした。
ただ、最後に妙と浦野は雷に打たれて死んだりしない。
見事、仇を討った妙。

最後に兵士は、それは五代将軍の頃の話でしょう?
あなたはなぜ、それを知っているのですか?
大奥にずっと語り継がれてきたのですか?と聞く。

すると今まで晴れていた空が曇り、雷鳴が響く。
稲光に官軍の兵士が目を閉じる。
目を開けた時、女性はいない。

「もし?どこに行かれた?」と言いながら、女性を探しに歩く兵士。
誰もいない大奥。
歩いて行った兵士の足元には、お雪のかんざしが落ちている…。

といった展開。
私は自分の好みでは、こちらの展開のほうが怖いし、情緒があって好きです。
綱吉は正室・鷹司信子の方に刺されたのだという噂があるので、こういう話ができたんでしょう。

スーパー時代劇と銘打って放送された「大奥」でも、夏に「怪談編」として、あかずの間の話がありました。
このあかずの間の前に、喪服を着た見慣れない女性が座っていることがある。
それを将軍が見ると、必ず将軍家や天下に悪いことが起きたのだという言い伝えがある。

時はお盆。
里帰りしない奥女中たちが肝試しで、あかずの間に行って帰ってくる。
だが本当の殺人が起きてしまう。
怪談というより、女性同士の間でもつれた愛情の末の犯罪の話でした。

しかし最後に、怪談が来ましたよ。
十二代将軍・家慶が大奥に入ってくる。
その時、あかずの間の前に、見慣れない喪服の女性が控えている。

「あの者は誰じゃ?」と家慶が聞く。
だが誰もいない。
確かに、喪服の女性が座っていた。

それを聞いた大奥の女性たちは、顔を見合わせる。
誰もが、聞いてはいけないことを聞いたように怖れ、言葉を発しない。
家慶が亡くなるのは、この直後だった。
こんなラストでした。

もともとの噂としては綱吉の母、桂昌院は綱吉が寵愛した染子を、なぜか不吉と言って嫌い、綱吉は柳沢吉保に染子を下げ渡したことから始まっている。
しかしたびたび、染子のもとには通ったし、吉保も綱吉の染子への執着はわかっていた。
結果、染子が子供を身ごもった時、綱吉はこの子・吉里を自分の子ではないかと思っており、将軍職を譲ろうとした。
そのため、綱吉の側室に目をつぶっていた信子の方がついに綱吉を刺した…という噂があったんですね。

綱吉が吉保の家に非常に足しげく通ったことや、桂昌院が吉里に目をかけたりしたことから流れた噂らしい。
だが実際の柳沢吉保の側室になった飯塚染子は大奥にあがったこともなく、綱吉の側室であったこともない。
したがって染子が綱吉からの拝領妻であったこと、その後も染子と通じていたこと。
その子供・吉里に将軍職を譲るつもりであった説は、現在では否定されているとか。

信子の方と綱吉が、相次いで亡くなったことも、噂の元になったんでしょうね。
つまりこの話は、綱吉が信子の方に刺殺されたことまで含めて、綱吉の当時の評判というものがどんなものか。
それをうかがい知る話だと、されているそうです。

でも実際に、大奥にこのあかずの間はあったらしい。
大奥女中たちに伝わる話では、この部屋は信子の方が綱吉を刺した部屋で、この部屋の前には信子の方付きの御年寄の亡霊が出ると言われていたらしい。
それはどうかわからないとしても、この部屋の前で大奥で見たことがない女性の姿が目撃された後は、必ず悪いことが起きたそうです。
ちゃんといろんな物が置かれていたので、本当に鍵がかかったあかずの間ではなかったようですが。

やはり大奥の女性たちには、怖れられていたという話。
夜など見回りでこの前を通るのは、相当に怖かったでしょうね。
家慶が京都に向かう前、大奥に来た時にこの部屋の前に女性がいるのを見たという噂は、本当に大奥に残っていたらしい。
この後、家慶は亡くなっていますね。

嘘かまことか。
わからないけど、大奥という場所の一面を想像させる話ではあります。
自分の身ひとつで、出世、しかも天下に君臨する将軍の生母となる。
女の頂点ともいえる出世、一族の浮沈がかかっているわけです。

この権力闘争は、男性に負けず劣らずすごいものがあったと思います。
ロンドン塔に幽霊の噂が絶えないように、そういう場にはやはり、人の念といったものがあっても不思議ではない。
古今東西、人はそう思うんでしょうね。
大奥にあかずの間の噂があっても、しかたがない。


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