第3話、「みだれ肌からくり女妖剣 戸塚の巻」。

戸塚村に差し掛かった狂四郎に、百姓の子供の三吉が、引っかかってしまった凧を取ってくれと言う。
その凧は海苔でできており、旅人に食べてもらう慣わしなのだと三吉は言った。
子供の頼みを聞いて、狂四郎は凧をちぎって食べる。
その途端、狂四郎は意識を失う。

薩摩から狂四郎を生け捕りにして、千両せしめるつもりの都田水心の、子供を使っての罠だった。
水心は成功したと喜ぶ。
染料になると喜ぶ水心に、三吉は「千両だと?!」と驚く。

だが「千両は、安い」と言う声がする。
狂四郎が目を覚ましていた。
「この眠狂四郎わずか千両とは見くびったものだ。せめて1万両とでも値をつけてくれれば、狸寝入りを続けて後で分け前をもらうところだったが、千両では話にならん」。

驚く水心。
「今度も拙者の負けですな」。
「次にはもっと工夫をこらすことだな」。

影から見ていた三吉は、狂四郎に毒が聞かなかったわけを聞く。
すると狂四郎は、凧に止まった蜂がころりと落ちるのを見ていたのだと言う。
こうなったらしかたがない。

「さあ、スッパリとやってくんねえ!覚悟はできてるんだ」。
ところが三吉の前に投げられたのは、小判だった。
「何でえ、こりゃあ?!」
「ここまで運んでくれた駕籠賃と思え」。

去っていく狂四郎を見ながら三吉は、「…気に入ったぜ!今夜の泊まりは程ヶ谷だな!」と言う。
狂四郎の後をついていった三吉だが、狂四郎は女郎屋に入ってしまった。
そこで三吉は引き上げ、また明日ついていくことに決めた。

翌日、女郎屋に潜入した三吉は、狂四郎に子分にしてくれと頼む。
「子分にしたらどんな役に立つというのだ?」
「わかんねえ」。
漁師の子供と言った三吉に、つまらぬ考えを起こさずに、船のこぎ方でも習っておけと取り合わない。

しかし三吉は、表に狂四郎を待ち受けている者がいることを教えた。
「そうか、ではなおさら私には近づかぬ方がいい。だが、礼は言っておこう」。
その言葉に三吉はうれしくなる。
翌日、襲い掛かる薩摩の刺客を次々と斬り捨てる狂四郎を見た三吉は、ますます狂四郎に心酔していく。

すべてを見ていた調所は言う。
「あの男の剣は、ただの強さではない。面目でもなく意地でもなく、いわば流水に似た強さだ。尋常ではかなわんな」。
すると、水心が言う。
「正面から襲ってやすやすと討てる相手なら、拙者も苦労しません。奥の手がございます。弱点のない人間はいない。眠狂四郎とて、弱点はあります」。

狂四郎が茶店にいる時、一人の大工が間男を連れ込んでいた妻を刺し殺し、子供を道連れに死ぬとわめく騒ぎが起きる。
この近所の男かと聞いた狂四郎に、茶店のおばあさんは見たこともないと言いながら、憤慨した。
茶店にいた俳諧の老人に頼まれ、狂四郎が男のもとに赴く。

狂四郎は手についた血の乾き具合から、男が妻を殺したのは狂言だと見抜いた。
茶店のおばあさんが言うように、この辺のものでないなら、妻を殺したノミから滴っている血は乾いていなければならない。
男は妻など殺していないと白状した。
だが、自分がかわいがっていた弟子と妻が密通したことが悔しくて、子供を道連れに死んでやろうと思ったのだ。

「おめえさんなんざ、こんな目にあったことはねえから、俺の気持ちなんてわかるわけねえ!」
「気持ちはわからんが、その子は預かろう。殺すよりはたとえ他人の手でも育ててもらったほうがよかろう。やけくそで死ぬようなら、自分ひとりで死ね」。
狂四郎は子供をつれて去る。
見ていた三吉は「さすが、お侍じゃ」とうなづく。

子供は茶店にいた俳人の隠居に預けられた。
狂四郎は隠居の友人で、子供を引き取ったという男の館へ誘われる。
断った狂四郎だが、助けた子供が狂四郎を見て笑う顔を見て、承知した。
子供の落ち着き先も気になったからだ。

屋敷に向かった狂四郎だが、俳人の家にいる用人は、あの大工だと見抜く。
男は大工などではなく、俳人は薩摩の元・槍指南役の渡辺一閑だった。
しかし狂四郎は、大工の足取りが町人のものではないことで、この芝居に気づいていたと言う。

だが、大工の子供だった娘は、どこかの孤児、生きるも殺すも勝手。
子供を殺すと言われては、狂四郎も刀を手放すしかなかった。
情けはかけない狂四郎の弱点は、罪なき子供。
子供を巻き添えにはできないと思った、水心の策略だった。

見事、狂四郎の弱点を突いて捕らえたと思った水心たちだが、狂四郎をつけていた三吉が助けに来た。
庭の枯れ木でボヤ騒ぎを起こし、そちらに藩士たちが気を取られた隙に三吉は侵入。
見張りが来た時はひそかに天井に上り、見張りの目をごまかして三吉は狂四郎の縄を切り、正宗を渡した。

あとは、狂四郎の敵ではなかった。
渡辺一閑と対峙した狂四郎は、円月殺法で彼を倒す。
一刀のもとに斬られる渡辺一閑。

子供の手を引いて屋敷を出た狂四郎は、三吉と納屋で朝を待つ。
器量は悪くない。
大きくなったら、美しくなるだろうと、三吉は眠ってしまった子を抱きながら言う。

狂四郎は悪い了見を持たない、善良な夫婦に預けたいが、どこか知らないかと問う。
しかし三吉は、町の金持ちは鼻持ちならない、そんな者に子供を預けても幸せにならない。
そして本当の幸せは5人も6人もワイワイガヤガヤ、貧乏人の子沢山の家に放り込むことだと言う。
1両もつけてやれば、大喜びだろう。

心当たりはあるのかと言う狂四郎に、三吉は、ねえことはねえよと言って笑う。
三吉の家に連れて行くのだ。
狂四郎も笑ってうなづく。

「この子を頼むぞ」。
「まかしておいて」。
三吉と幼い子供は、狂四郎に手を振って、「さよなら」と別れる。
去っていく狂四郎の背中に「さよなら」の声がこだまし、三吉が涙を流す。



最初から知恵比べのどんでん返しの展開で、なかなか楽しかったです。
まずは、最初の凧に眠り薬を仕込んで連れて行くところ。
次に心中を図る少女を、父親の手から取り戻すところ。

最後に、すべてが芝居で狂四郎を捕らえたところ。
でも屋敷には、裸の女性が待っていたりして、眠狂四郎のエロティックな雰囲気はちゃんとある。
罠だってわかっちゃいますけど。

もっと言えば、茶店で俳人が話しかけてきた時と、子供を殺そうとしている大工を茶店のおばあさんが見たことないと言うところから罠だってわかっちゃうんですけどね。
しかし片岡狂四郎は女性にはストイックなので、裸の女性の罠にはかからないのだった。
茶店のババアに聞いたと、茶店の「ババア」って狂四郎様にはなんかショッキングな言葉遣いだったりする。

無想正宗を手に円月殺法を繰り出す狂四郎を見た調所は、円月殺法を使う狂四郎は普通の手段では捕らえられないと言う。
だから水心は、狂四郎の心の弱点を突く。
狂四郎は、弱いものに優しい。
罪なき子供を巻き添えにはできない。

これだから、狂四郎は人にかかわらないようにしてるんですよね。
そういうのは敵方にしてみれば、弱点なんですね。
子供の笑顔に、狂四郎は弱い。
しかし、その弱点が助けに来てくれる。

狂四郎が非情だったら、三吉は助けなかったでしょう。
狂四郎が、薩摩の刺客を斬り捨てるのを影から見ていた三吉。
思わず「やったぁ!」と言ってしまうほど、狂四郎に心酔してしまっている。

家で三吉は、狂四郎からもらった一分銀を出す。
あれ、狂四郎は小判をあげたのでは?と思ったら、駕籠を運んだ4人で分けたと言う。
三吉、他の3人にも分けていた!
いい子だ!

しかし、一分銀は三吉の家には大金。
貧乏だけど、悪いことをしたのではないかと両親は怒る。
駕籠を運んだらお侍がくれたと言って、両親は納得。
まともな家だな、いい両親だな、兄弟は多いけど、決して裕福ではないけど仲が良い家。

この家なら、少女も幸せになれるでしょう。
子供と狂四郎の心の交流に、今回はほのぼのとして終了。
いや~、子供が容赦なく斬られる展開じゃなくて、良かった。
凧の海苔をちぎって、口に入れる狂四郎様がなんか、かわいかった。


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2013.10.09 / Top↑
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