こたつねこカフェ

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女であればお互い惚れあっているのだろう 「眠狂四郎 円月殺法」第4話

第4話、「武士道残酷多情剣 藤沢の巻」。

ここ、山中藩の殿藩主・長久保忠宗は武芸は達者だが、横暴で、残酷。
逃げる百姓を、馬で追い詰め斬り殺すのを楽しんでいる。
側近たちもそんな忠宗を諌めるどころか、お見事と誉めそやすばかり。

忠宗は、自分の悪口を言ったと言って、百姓を斬った。
そんな忠宗に対し、反旗を翻した藩士たちもいたが、忠宗はたちまち斬り捨てた。
藩士を斬った後、馬を走らせた忠宗は、海辺で狂四郎とすれ違い、尋常ではない悟ったような目にギョッとする。
な、なんだ、あの目は…。

山中藩の一人の若い武士・又八が、切腹を命じられた。
理由は、忠宗の馬の前を横切った子供を斬ろうとした殿を止めたことだった。
又八の座敷牢に、兄嫁のときが入っていく。

義理の弟が、女性も知らずに死んでいくのが哀れでならない。
ときは先のない義理の弟に、身を任せた。
又八は、実はずっと義姉を慕っていたと告白する。

切腹の日。
白装束のまま、逃げ出した又八は狂四郎に遭遇する。
武士が一度、死に装束に身を包んだならば、逃げるなと狂四郎は取り押さえて引き渡してしまう。

だが突如、又八の切腹は忠宗により取りやめになる。
忠宗の本家で、世継ぎが必要となり、忠宗に話が来そうなのだ。
そのため、なるべく忠宗は身の回りを綺麗にしなければならない。
家来が切腹したとあれば、理由を探られるかもしれないためだった。

明日がないと思えばこそ、義弟と関係を結んだときは激しく動揺する。
夫が出仕した後、ときへの思いを抑えられなくなった又八はときの元へ行く。
拒み切れないときは、苦悩する。

苦悩するときだが、戻ってきた夫は役職を解かれ無役にされていた。
もう、藩では居場所がない。
絶望する夫を見たときは、自分の罪深さを思い、屋敷を飛び出す。

狂四郎は正宗を砥ぎに出し、引き取った。
その後をつける薩摩の刺客。
続々と、街角から終結してくる。
だが、狂四郎はすべてを斬り捨てた。

そして陰に潜んでいる水心に「そこにいる男。調所笑左衛門に伝えておけ。何人差し向けようとも。俺の行く手をさえぎるやつは必ず斬るとな」と言う。
水心は震え上がり、出てこられない。
屋敷を走り出たときは、それを見ていた。

ときの夫が帰ってきて、役職を解かれたと報告する。
夫は無役となり、藩での居場所を失った。
自分のためだと思った又八は、酒を飲み、荒れる。
小料理屋で狂四郎は、又八の様子を見た。

又八は再び、忠宗に向かって兄の復職を願う。
それがかないそうな希望を持った又八は、明るい気持ちになる。
だがその頃、ときは、狂四郎を探し出していた。

ときは狂四郎に義弟を斬ってほしいと言って、金を差し出した。
しかし狂四郎は金は受け取らず、人のいないお堂にときを連れて行く。
「金は要らぬ。そなたの操を頂戴しよう」。
「無礼な!」

「嫌か。ならば俺も手を出すまい」。
去ろうとした狂四郎にときは「お待ちください!」と叫び、横たわった。
ときの着物のをすそを、正宗でめくりあげる。

狂四郎の手が、ときの足に伸びていく。
ときが目を閉じる。
だが狂四郎は、ときから離れる。
「操はあずけておこう。それほどまでに思いつめた、そなたの心に免じて、申し入れは聞いてやろう。斬ってもらいたい相手の名は!」

ときは、義弟の名を言った。
「わけは聞かずにどうか、お聞き届けください」。
「わけは聞くまい。だが、憎しみで殺すのではないようだな」。
狂四郎の指摘に、ときは泣き崩れる。

忠宗は、今度は又八の家の者、全員を殺せと家臣に命じた。
奉公人から、ときの夫、全員が殺され、又八はときをつれて逃げる。
狂四郎はその騒ぎを宿屋から見ていた。
逃げ込んだ宿屋には、狂四郎とお蘭が泊っていた。

「俺が危ぶんでいたとおりになったな」。
狂四郎は宿の泊り客と、宿の人間は外に出した。
「やがてここは修羅場となろう」。

「おぬし、味方してくれるのか!」
「行きがかり上だ。無縁の往来物に変わりはない」。
そう言いながら、狂四郎は侵入してくる藩士たちを次々斬る。

「ここを切り抜けたらどうする?」
「姉上と、どこまでも行きます!」
「おぬしは?」

ときは答えない。
「私は…、まいるわけにはいきません」。
「なぜです」。

「私は…、又八どの。この方にあなたを斬ってもらうように頼んだのです」。
「それはまことですか」。
「そのとおりだ。だがその時、ともに死ぬる覚悟であったろう」と狂四郎が言う。

「私は不義者の、けだものと成り下がった女です!」
「あなたがけだものなら、わたくしも!どこまでもまいりましょう!」
2人はしっかりと抱き合う。
「だんな、来ましたよ!」と、見張っていたお蘭が叫ぶ。

2人の真実の愛を見た狂四郎は入ってくる刺客を次々、すさまじい剣で斬り殺す。
お蘭が2人を連れて、逃げようとする。
次々とやってくる藩士に、お蘭が必死に斬りむすぶ。

だが外に出た2人は、忠宗たちに捕らえられた。
忠宗がときを斬る。
続いて、又八を斬る。
倒れた2人は手を伸ばしあうが、忠宗の足がそれをさえぎる。

息絶えた2人を見て、狂四郎の怒りが燃える。
斬りかかる忠宗の家来、側近2人をいずれも一太刀で斬る。
武芸に自信がある忠宗が構える。

狂四郎の刃が、弧を描いていく。
無想正宗が妖しく光る。
正宗だけが光り、狂四郎の姿が黒く、陰になっていく。

狂四郎の姿が、顔が見えなくなっていく。
正宗は狂四郎の頭上で止まり、一層妖しく輝いた。
忠宗が斬りかかる。
狂四郎は、真一文字に斬り捨てた。

ふりむけば、ときと又八の無残な姿。
狂四郎が去っていく。
すべてが終わり、狂四郎は一人、また街道を行く…。



冒頭から残虐な忠宗。
腕が立つから、厄介。
その忠宗がすれ違った狂四郎の目を見て、ビビる。

異人の目だからっていうんじゃないんですよ。
人を斬ったのを見ても、何も動揺しない。
無、だったからでしょう。

何も知らない狂四郎は、又八を捕らえてしまう。
又八も「何も知らないくせに」と、わめいてしまう。
忠宗は、自分の馬の前を横切ったといって、子供を斬り殺そうとしたらしい。

それを止めて又八は切腹となったが、結局子供は殺したと側近たちは笑う。
又八は犬死と笑う。
このバカ殿に、バカ家来。

ときは、片桐夕子さん。
禁断の思いを抑えられず、苦悩する様子が美しい。
又八は草川祐馬さん。
ときに恋焦がれる、清廉な青年でした。

見どころとしては、城下で鍛冶屋に狂四郎が無想正宗を預けたシーン。
狂四郎は砥ぎに出した無想正宗を引き取る。
「無想正宗でございますな。砥ぎあがってございます」と主人が言う。

「お改めのほどを」と言われ、狂四郎が正宗を抜く。
それを見た主人が「大変な代物をお持ちでございますな」と言う。
以下、その会話です。

「砥いでいて、よくわかりました。そのお刀は女でございます」。
「女?」
「はい。刀にも男と女がございます。それは剛直でいて、なかなか白刃の肌理の細かさといい、たっぷりと血を吸い、あでやかに化粧でもしているようでもあり」。
「血で化粧か」。

狂四郎が、うっすらと笑う。
「お気を悪くなされては困りますが…。それは…、やはり魔剣の類に入るのでは」。
「知っている。承知のうえでこいつとは離れられんのだ。女であればなおさらだ。お互い惚れあっているのだろう」。

狂四郎が、うれしそう。
彼の一番のパートナーは、この無想正宗。
必殺の剣法、円月殺法で多くの刺客を葬り去る。

死神を背負っている。
虚無的で、孤独で、無頼の男。
何者にも縛られない男。

この男のパートナーは、この刀しか考えられない。
誰よりも狂四郎を知り、狂四郎に寄り添う正宗。
女は、狂四郎の恋人は、無想正宗がいれば十分…。
この2人の間には、誰も入れない。

そんなラブストーリーと、ときと又八が重なる。
ときが狂四郎に刺客依頼をする時、狂四郎はときの不義の匂いに気づいたのでしょう。
だから、金は要らぬ。操をいただくと言った。

ところが、ときは抵抗した。
嫌がる女性に言い寄るような趣味は、狂四郎にはない。
しかし、ときは思い直し、狂四郎に身をささげようとする。
狂四郎の、ときの扱い。

ときがふしだらな、情の薄い悪女かどうか…。
探っているようだった。
そしてときの性質を、見事に見抜く。

思いつめたときに、申し入れを聞いてやると言う。
ときがなぜ、この男を斬ってほしいと言うのか、それさえも見抜く。
後でわかるが、ときもまた死ぬ覚悟をしていることまで見抜いていた。
この観察眼、そりゃ、調所も怖れますわ。

互いに人の道に外れたことを自覚し、ともに地獄に落ちることを覚悟した2人に狂四郎は味方してくれる。
だが、誰も幸せにならないところが、眠狂四郎の虚無的なところ。
自分の腕に自信を持っていた忠宗。

狂四郎の恋人の無想正宗が、血を吸う予感にときめくように、弧を描く様子が美しい。
魔剣の名にふさわしく、妖しく輝く無想正宗。
それを操る狂四郎が、逆に光を失い、黒く消えていく。

無想正宗と狂四郎、まさに一心同体。
こちらの血塗られた恋人同士は、忠宗をたちまち葬り去る。
忠宗を成敗し、無常、無情をまたひとつ背負って、狂四郎は行く。


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Comment

No title
編集
この義姉と関係を持った若者が切腹を免れてしまう話は
後に「三匹が斬る!」でもやっていたりしますね。
「必殺」や「大岡越前」のような長期シリーズなら似た話を設定を
少し変えて繰り返す事があるのが解りますが
脚本家が好きな話を別の時代劇でやることもあるらしいですね。
藤沢周平作品「用心棒」を最初に映像化した「江戸の用心棒」で
描かれたエピが「御家人斬九朗」でやっていたり。
2016年04月25日(Mon) 10:08
巨炎さん
編集
>巨炎さん

お返事が大変遅くなり、申し訳ありませんでした。

>この義姉と関係を持った若者が切腹を免れてしまう話は
>後に「三匹が斬る!」でもやっていたりしますね。

意外なところで!

>「必殺」や「大岡越前」のような長期シリーズなら似た話を設定を
>少し変えて繰り返す事があるのが解りますが
>脚本家が好きな話を別の時代劇でやることもあるらしいですね。

「眠狂四郎」と「必殺」でも、ありました。
「必殺」と「暴れん坊将軍」でもあったり。
「暴れん坊将軍」では「必殺」の悲劇的な展開には、なりませんでしたが。

>藤沢周平作品「用心棒」を最初に映像化した「江戸の用心棒」で
>描かれたエピが「御家人斬九朗」でやっていたり。

原作が有名な作品の場合は特に、違うところで引用されているようですね。
2016年05月07日(Sat) 00:36












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