そなたの願いをかなえることはたやすい 「眠狂四郎 円月殺法」第15話

第15話、「ふたり狂四郎木枯し魔風剣 浜松の巻」。


ある夜、狂四郎は自分が斬った亡者たちが襲ってくる悪夢を見る。
顔色ひとつ変えず、再び斬る狂四郎だが、亡者たちは次々現れる。
そこで目が覚めた。
翌朝、見付宿の旅籠を出る狂四郎の後を薩摩の3人が見送る。

その頃、一人の女性がならず者に追われ、あばら家に連れ込まれていた。
泣き叫ぶ女性に襲い掛かった2人の前に、刀が突き出される。
「昼寝の邪魔だ!出て行け!」

一人の浪人が起き上がった。
「何を!」
たちまち浪人は1人の前で刀を払う。
その男の着物の前がはだけ、あわてた2人は早々に逃げていく。

襲われかけていたのは、美代という女性で、道中、一緒にいてくれるよう、助けてくれた浪人に頼む。
その時、美代は気づいた。
「もしや、お目が…」。
その浪人・水上源之進は盲目だった。

橋を渡れば、ついに浜松宿。
薩摩の3人は、浜松の道場を頼ることにする。
美代と源之進は道連れとなり、大道芸をして暮らす。

源之進が目隠しをし、美代が柿や栗を空中に投げる。
すると源之進が真っ二つに斬る。
感心した観客は、お金を入れる。

だが浜松宿で芸を披露していた時、師範・藤江が率いる剣術道場の門弟がこの芸をインチキだと言った。
その目隠しを自分にもさせろと言って、目隠しをし、目隠しが透けているのを指摘すると、自分も同じことをしてみせる。
これならできて当たり前だ。

早々に浜松宿を立ち去れと言う藤江に、美代が源之進の目が見えないことを言おうとする。
しかし源之進はそれを止め、怒った観客は金を取り返して去った。
その様子を狂四郎が見ていた。
水上源之進、そして美代。

狂四郎は、2人に目を留めた。
立ち去ろうとした源之進は、ふと、誰かが自分たちを見ていると立ち止まる。
美代には狂四郎が見えなかった。
「まだまだ、心の修行ができておらぬとみた」と言って、源之進が去る。

かつて狂四郎は源之進と勝負をし、源之進は敗れた。
そのことを思い出していた時、狂四郎の宿に源之進と美代が現れた。
向かいの部屋に美代に手を引かれた源之進がやってきたのを見た狂四郎は、仲居に今の2人は夫婦かと尋ねた。
2~3日前から逗留しているが、盲目の夫の面倒を良く見るいい妻だと仲居は教えた。

藤江を薩摩の3人が訪ねてきて、狂四郎を生け捕りにしたら5百両、首をはねたら3百両と言う。
その金額に、藤江の顔色が変わる。
狂四郎とは、薩摩にとってそれだけの価値がある男なのか。
しかし藤江は金額ではなく、薩摩には逗留した折りの恩があると言って引き受けた。

宿屋では、美代が源之進の目を冷やしていた。
「すまんな、美代どの。拙者と道連れになったばかりに、そなたにまで迷惑をかけてしまって」。
「いいんですよ。私の方が源之進様に勝手についてきたんですし」。

「それに…、源之進様は…、、私が知っていたあるお方に、とても感じが似ているのです」。
源之進は「それは光栄な話だが。それで美代殿は、その男を捨て去りはしているのか」と言った。
美代が、ギクリとした。

「どうしてそれを」。
「おかしなものでな。日増しに目が悪くなるに連れ、人の心が読めるようになったいうか。何か、けだもののような勘が働くようになった」。
美代は目をそむけた。

宿屋の部屋で、狂四郎は目を閉じて正座していた。
そして、パッと目を開く。
同時に表から宿屋の戸を明けて大勢が、押入ってきた。
宿屋の者があわてるが、覆面をした大勢は階段を上がった。

男たちは部屋を一つ一つ、開けていく。
そのひとつが、源之進と美代の部屋だった。
「何ものだ!土足で他人の部屋に上がりこんでくるとは」。

そう言った源之進に向かって覆面の男が「昼間の大道芸人か」と、嘲りの表情を浮かべた。
続いてやってきた藤江は「おぬしらまだいたのか!昼間も言ったはずだ!とっととこの町から消えうせろ!」と言った。
源之進に刀を向けた男に向かって、源之進は刀を閃かせた。

次の瞬間、男の覆面が落ち、髷が斬られて髪がばっさりと顔にかかる。
驚いた藤江が叫ぶ。
「貴様、何ものだ!」
「ただの大道芸人」。

源之進は刀を納めながら、淡々と言う。
「昼間のあの目隠しは、あってもなくても良かったのだ」。
「つまり私は、目が見えんのだ」。

この告白に、藤江がひるむ。
「厚手の布で、おぬしと勝負をしても良かったのだが、道場主であるおぬしに恥をかかせてはな。なにせ拙者にはもっと大切なことがある…」。
その時、門弟が「先生!眠狂四郎はどこにもいません!」と入ってきた。
「何い!」

門弟の言葉に、源之進も美代も反応を見せた。
「眠狂四郎!」
「狂四郎様が、この町に!」

「おぬしらが探しているのは、本当に眠狂四郎なのか」と源之進が尋ねる。
「貴様の知ったことか!貴様、狂四郎を知っているのか」。
「いささかの因縁でな」。

藤江たちは去っていく。
源之進が言う。
「狂四郎は必ず俺が斬る!」

美代が「なぜ、源之進様は狂四郎様を!?」と聞く。
源之進は逆に「おぬしこそなぜ、狂四郎を知っているのだ」と聞いた。
美代は目を伏せた。
源之助はうつろな表情で、「生々流転、生者必滅」とつぶやいた。

夜道を行く藤江たちの前に、狂四郎が現れた。
「何やつ!」
「眠狂四郎だな?」
「係わり合いのない人たちに、迷惑をかけたくない。だからここで、おぬしらを待っていた」。

「斬れ!」
藤江の言葉で門弟たちが斬りかかるが、あっという間に2人倒された。
「引け!引け、引け!」と藤江が去っていく。
狂四郎が奪った刀を放り出し、奪われた男がそれを拾って逃げていく。

源之進が美代に、狂四郎との因縁を語っていた。
4年前、源之進は一回の剣客として円月殺法に立会いを求めた。
その時の傷が、源之進の視力を奪ってしまった。

以来、源之進は藩を追われ、浪々の身となり、今一度、円月殺法と立ち会うために修行をしてきた。
「この4年間がどんなに苦しいものであったか、美代殿にはわかるまい」。
「その狂四郎がこの宿場に、いや、この同じ宿にいたとは!不覚であった。なぜきゃつらより早く、見つけ出さなかったのか」。
その頃、狂四郎は町の居酒屋で一人、酒を飲んでいた。

「しかし、なぜ、狂四郎殿をそれまでに」。
源之進の問いに、美代も語り始めた。
実は美代は江戸でも指折りの、両替商の娘として育った。

それが2年ほど前、ふとしたことから狂四郎に出会った。
たびたびの逢瀬が、続いた。
「とっても楽しかった…。幸せでした」。
ところが、半年ほど経つと、狂四郎は突然、美代の前から消えた。

旅に出たとのことだった。
それからの美代は、狂四郎恋しさに、ひと目会いたさに、とうとう家を出て、旅から旅へのその日暮らしとなってしまった。
「つらかったことや、苦しかったことが、今では憎しみに…。今は憎しみまでに…」。
美代は泣いた。

翌朝、美代は源之助の目を冷やしていた。
「大事な時にまた、目が痛くなるとは。寝ているわけには!」
起き上がろうとする源之進を制し、美代は医者を呼びに行った。
目の手ぬぐいを、源之進は震える手で取り去った。

医者に行った美代は帰り道、一本道で向こうから来る狂四郎とあった。
驚く美代。
美代は言った。

この半年間、狂四郎を探した。
狂四郎の噂を頼りに。
「私がどんな思いでいたか。狂四郎様にはお分かりになりますまい」。

美代の声は、震えていた。
「なぜ、私を捨てて江戸を出たのです」。
狂四郎は黙っている。

視線は動かない。
美代を見ない。
宿屋で寝ていた源之進は焦り、起き上がっていた。

「狂四郎様に何があったのか、知る由もありません。でも私はあなたを忘れられなかった。気がついてみるとあなたを追って、旅に出ておりました」。
「この半年間、旅のつらさや苦しさの果て、幾度死のうかと」。
「憎い!あなたが憎い!」

美代はそう言って、匕首を手にした。
狂四郎は黙っていた。
その横顔を見て、美代は泣き崩れた。

「私はあなたを殺すつもりだったのに!」
「なぜ、なぜーっ!」
地面の落ち葉を握り締め、美代は泣いた。

「狂四郎様、美代を…、今一度抱いてくださりませ」。
「そなたの望みをかなえることは、たやすい。だが、今、そなたに必要な男は私ではないはず。また、そなたを必要とする男も、私ではない」。
美代は顔を上げた。
狂四郎は美代を見ると、去っていった。

藤江の道場の門弟たちに連れられて、源之進が道場に入っていく。
向かいの道で、狂四郎がそれをいぶかしげに見ている。
「断る!」と源之進が立ち上がっていた。

源之進は狂四郎を捕らえたと騙されて、連れてこられたのだった。
円月殺法を破ることと、狂四郎の薩摩入りを阻止するために殺すのと何が違うと、藤枝たちは言った。
だが源之進は、「純粋に剣の道で技を競い合うのと、どこかの藩の都合で人を殺すのでは、雲泥の差がある。これ以上の問答は無用だ。帰らせてもらう」とはねつけ

た。

すると藤江たちは「そうはさせんぞ!」と言った。
秘密を話した以上、このまま騙して返すわけにはいかないのだ。
「その腕で拙者が斬れるかどうか、試してみるか」。
「何!」

門弟を制して藤江が言う。
「水上殿、なればこそ、おぬしの剣の腕を借りたいと申しておるのだ。礼金のほうもはずむぞ」。
「ほう、今度は金で拙者の剣を買おうというのか」。

「そのほうがおぬしも、納得がいくのではないか」。
「黙れ!」と源之進は一喝した。
「ぬしらのたくらみに加担するような剣は持たん!狂四郎殿とは、拙者が戦うのだ。もし邪魔立てするのなら、おぬしらを斬る!」

源之進を取り囲んだ門弟たちが、一斉に太鼓を鳴らし始めた。
耳に頼る源之進を惑わそうと言うのだった。
藤江が笑う。

源之進が目を閉じる。
だが右へ左へ動きながら、太鼓を鳴らされ、源之進は耳をふさいだ。
「はははは、目の見えぬ御仁の耳は目だ!その目をふさがれては身動きひとつもできまい!」

藤江が笑い、門弟たちが斬りかかる。
それでも源之進は、刃を受け止めた。
しかし、刀を落としてしまった。
床を刀が滑っていく。

その時、狂四郎が刀を拾った。
次に手裏剣を投げ、源之進に向かって刀を振り上げた門弟の手を射る。
「狂四郎!」

「源之進殿!」
狂四郎が叫び、源之進に向かって刀を投げる。
刀を得た源之進と、狂四郎の前で門弟たちは敵ではなかった。

川原で、源之進は狂四郎に「まさかこんな形でおぬしとめぐり合えるとは、考えもせなんだった」と言った。
「源之進殿。私とおぬしの試合は、あの時すでに終わっている。もう私のことは忘れて、目の養生をしたほうがいい」。
「私の目はもう、治らない。それは私が一番良く知っている」。

「確かに私は、そなたの円月殺法に挑み、負けた。その結果がこの盲目(めしい)だ。だが今の私には、生ある限り、眠狂四郎の円月殺法を破ることしかない。もは

やここまで来たしまった以上、ぜひとも一手お願いしたい」。
「無益な戦いはしたくない」。
「剣の道を志すものとして、今一度、私の剣を受けていただきたい。ぜひとも。生々流転、生者必滅。それもこの世の慣わし。明朝、卯の刻、この川原で」。
そう言うと、源之進は去っていく。

尋常ではかなわないと思った藤江は、弓に名手を一人百両で3名雇った。
これなら一人、百両は高くないと思った藤江たちは、今度こそ、狂四郎の息の根を止めると言った。
宿屋で源之進は美代に、明日の朝、狂四郎と立ち会うと言った。
美代には道中世話になり、礼の申し上げようもないと言う。

それを聞いた美代は震える声で、「なぜ、なぜそんなに剣の道が大事なのですか。今度こそ、狂四郎様に殺されるかも」と言った。
源之進は「それも天命だ。剣の道を志すものとして、円月殺法を破ることだけが私に与えられた宿命なのだ」と答える。
「私にはわかりません!天命だとか、宿命だとか。そんなこと、わかりません!」
「美代殿には、私の気持ちがわからんのだ」。

「私は狂四郎殿が憎くて、戦うのではない。あの人の持つ、円月殺法を破りたいのだ。それも正々堂々と!一対一で何の邪魔もなく戦いたいのだ!そのためにこそ

、この4年間の辛苦があったのだ!」
「源之進様!」
「美代殿は、狂四郎殿を今でも慕っておられるのか」。

「今の美代は違います。今の私は、あなたに死んでほしくないのです。私は生まれ変わったのです」。
源之進は、ハッとした。
「源之進様、あなたも生き方を変えてください。この宿場を出ましょう。どこにでもいい。あなたと二人、暮らしていけるのならば。勝手な私のお願いを、源之進様、お

聞きください!源之進様!」

「美代殿、わかってくだされ。私は狂四郎殿の円月殺法ともう一度だけ、戦わねばならんのだ。もし私が、狂四郎殿と戦わずして生き続けたとして、それは私の生き

た骸でしかないのだ」。
だが美代は言う。
「生きていてほしい。死なないで。死なないで!」

源之進の唇が、わなわなと震えた。
「私も円月殺法に勝ちたい。そして美代殿と…」。
「源之進様!」
2人はしっかり、抱き合った。

そして、今夜は一人にしてほしいと源之進が言う。
「美代殿。もし明日の朝、生きて帰れたら、そなたの言うとおりにしよう。私も剣を捨てる…」。
美代は出て行った。
「源之進様、死んでほしくない…」。

美代はその足で、藤江の道場に行った。
「あんたたち、本当に眠狂四郎を殺すことができるの?」
藤江たちは、顔を見合わせた。
暗い部屋で、美代は源之進の言葉を思い出していた。

「美代殿。私は狂四郎殿が憎くて、戦うのではない。あの人の持つ、円月殺法を破りたいのだ。それも正々堂々と!一対一で何の邪魔もなく戦いたいのだ!その

ためにこそ、この4年間の辛苦があったのだ!」
「美代殿、わかってくだされ。私は狂四郎殿の円月殺法ともう一度だけ、戦わねばならんのだ。もし私が、狂四郎殿と戦わずして生き続けたとして、それは私の生き

た骸でしかないのだ」。
美代は耳をふさぐ。

翌朝、川原には風が吹いていた。
「来たぞ」。
狂四郎と源之進が歩いてきて、向き合う。
藤江たちが、身を潜ませる。

源之進が刀を抜く。
狂四郎も刀を抜く。
「やめてええ」と声がする。

美代が走って来る。
「狂四郎様ー!源之進様ー!弓矢がー!」
その時、藤枝たちが雇った男たちが弓矢を美代に向けた。

美代が倒れた。
続いて、弓矢が狂四郎に飛んでいく。
狂四郎は弓矢をすべて、落とした。

藤江たちが刀を抜き、狂四郎に向かう。
狂四郎は門弟を押さえつけ、弓矢の楯にする。
2人は次々、藤江の門弟たちを斬る。

狂四郎が門弟の刀を取りあげ、弓を構えている男に投げる。
男が倒れ、弓を構えていた2人も刀を抜いてやってくる。
2人も斬られ、藤江だけが残った

狂四郎は藤江も斬った。
源之進も最後の一人を斬った。
「美代殿、美代殿ー!」

弓矢が刺さってもがく美代が、源之進の名を呼んだ。
その声を頼りに、源之進が美代を抱き起こす。
苦しい息の下、美代が「狂四郎様、源之進様、お許しください。私が浅はかでございました」と言う。
狂四郎が「もういい、何も言うな」と言った。

美代は、源之進を見上げた。
2人は近くの水車小屋に、美代を連れて行く。
狂四郎は源之進に薬の入った印籠と、消毒の酒を渡し「これで手当てをしてやるがいい」と言った。
「かたじけない」。

それだけ言うと狂四郎は、小屋を出た。
「美代殿。傷が治ったら、そなたの言うとおり、私も生き方を変えてみたい。一緒に暮らそう」。
美代が笑う。
「源之進様」。

美代、源之進の手を握る。
「さあ、もう一眠りしなさい。目が覚めたらきっと傷も治っている」。
美代の首が、がくりと下がる。
それきり、美代は何も言わなかった。

夕暮れになっていた。
狂四郎は表で、川を見て立っていた。
源之進がやってきて「美代殿が死んだ」と言った。

美代は、狂四郎との勝負を止めていた。
「私は迷った。
剣の道に生きるか。人の道に生き、生まれ変わるか。もし、美代殿が生きていたら、私は本当に生き方を変えたかもしれない。だが今の私は、美代殿のためにもお

ぬしと戦わねばならない。
結局、私は剣の道に生きるしかないのだ。

狂四郎は黙っていた。
風が吹く。
夕日が2人を照らす。

2つの影はゆっくりと歩き、向き合った。
源之進が剣を抜く。
狂四郎もまた、正宗を抜く。

正宗の先が、狂四郎の足元で返る。
ゆっくりと正宗が、弧を描きながら上がっていく。
源之進の剣も、同じように弧を描く。

刃が止まった。
2人が斬り結ぶ。
だが狂四郎の正宗は、源之進を斬った。
源之進が倒れる。

狂四郎が、正宗を納める。
風が吹く。
夕暮れが終わろうとしていた。
狂四郎は源之進を見つめると、一人、去っていく。



源之進は長塚京三さんです。
冒頭、亡者に襲われる悪夢を見る狂四郎。
過去、狂四郎が立ち会った、斬った相手。
前にも仇と狙ってきた、薩摩の女性たちに狂四郎は言っている。

尋常に立ち会った相手は、襲ってきた相手、卑怯な手段を取った者を斬っている。
だから恨まれる覚えはない。
でも恨まれているということは、わかっている。
恨みが自分にこびりついているということは、わかっている。

男も女も狂わせる、狂四郎。
美代が狂っちゃうのはいかにも、という感じ。
ですが狂四郎は、剣客としては立ち会いたい相手なんだろうな。

美代もまた、愛情と憎しみが表裏一体。
江戸を離れたわけがあるから、美代をもてあそんでいたわけじゃないと思うけど、美代にしたらわけわかんない。
納得できなかった美代は、狂四郎の後を追って旅に出てしまう。

すると両替商の娘として育った美代がその日暮しになり、転落していく。
そしてついに狂四郎を恨み、憎むに至る。
でも憎んでいるうちは、忘れてない。
愛情の反対は、無関心。

しかし美代に対する狂四郎の答えが「そなたの願いをかなえることはたやすい」って、天下の色男じゃなきゃ言えない答えだ。
これが絵になる俳優じゃないと、狂四郎はできない。
そして狂四郎は美代が本当に愛して一緒になるべき男は、源之進だと言う。

おお、「北斗の拳」のラストのリンとバットだ。
狂四郎に対して執着が取れなかった美代。
この言葉で、自分が今、誰を愛しているか愛するべきか目が覚める。

生まれ変わった美代は、源之進も生まれ変わってほしいと言う。
ところがこちらは、剣客としての生き方をなかなか捨てられない。
だから美代は、藤江たちに浅はかにも協力してしまう。

いや、どこまで狂四郎のために狂わされるんだと、今度は本気で殺そうと思っちゃうよ。
狂四郎に人生を狂わされた2人が一緒になって、さらにまた狂四郎に関わる。
すごい因縁話ですね。

源之進の一途な言葉が蘇り、自分の愚かさに気づいた美代は命を落とす。
瀕死の美代を前にして、今、自分の大切なものに源之進も気づいた。
たまに思うんだけど、武士のこの、剣の道に生きるとか、意地って時にはすごく不幸だよね…。

過去と対決しなければならない狂四郎と、因縁によって結ばれてしまった2人。
この3人のドラマの前では、藤江一派は単なる邪魔者。
強ければいいけど、対して強くない。

藤江たちは源之進を見下していたけど、相手にしてなかったのは源之進だったのか。
黙ってお金を取り上げられて、美代がかわいそうだった。
しかし、こういうのに耐えるも源之進の修行だったのか。

さらには藤江が卑怯で、どうしようもない。
1人百両で3人って、もう儲け度外視。
かくして道場全滅。

狂四郎は、源之進には優しいというか、礼儀を尽くしている。
彼も卑怯者が嫌いだから、太鼓なんか叩いて挑む藤江が許せない。
太鼓の囲みを破り、源之進に刀を投げる狂四郎に武士の友情を感じました。
さらには源之進に薬を渡し、出て行くところがかっこいい。

美代を失い、もはや生き直す意味を失った源之進。
やはり、狂四郎と勝負するしかない。
源之進はもう、死にたかったのか。
これで対決しないで生きていっても、それこそ生きる骸だ。

だから狂四郎も、源之進と立ち会う。
源之進の取った構えは、なんと、円月殺法!
おお、それで「ふたり狂四郎」。
つまりあれは、剣客の行き着く剣法なのか。

だが狂四郎に円月殺法が出てしまうと、眠狂四郎世界では終わり。
なので敵は、円月殺法を出させないように、刀を奪ったり、狂四郎を縛ったり、罠にはめたりする。
だけど円月殺法が出たら無敵なのだ。

結局、自分が斬ることでしか終わらなかった源之進の剣客道。
自分が心ならずも狂わせてしまった、男女の人生を思ったのか。
無表情ながら去っていく狂四郎は、自分の罪深さを思い知っているように見える。

男も女も狂わせる狂四郎。
罪な男だ。
つくづく、それが似合う俳優じゃないと、できない役だ。


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ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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