櫛巻きお藤とは丹下左膳に出てくる、左膳に惚れ抜いている女性。
遊び人というか、堅気の娘ではなく、たちが悪く、すれっからし、悪女と人は言うであろう女性。
それが奉行所に追われて、同じく逃げている左膳に助けられる。

女、帯を解け!と言われてお藤は、あたしはすれっからしだけど夜鷹の真似はしないと憤慨。
ところが左膳はお藤の帯を刀に巻きつけるとそれを上に向かって投げ、刀がどこかに引っかかってはずれないと見ると、するすると帯を伝わって上がっていく。
ぽかんと見ていたお藤は、帯を貸した約束どおり、自分も助けろと叫ぶ。

鈴川源十郎の屋敷に左膳を案内していくお藤は、すでに左膳にゾッコン。
あらゆる男を食い散らかすと、ああいう片目片腕の男に行き着くのかと鈴川にからかわれても気にしない。
「俺の邪魔をしやがって!」と左膳は言うが、お藤の行動原理は実に女っぽい。

左膳が他の女をかまうのが、許せない。
他の女との仲を邪魔したいだけ。
何より、左膳のために何かしたいだけ。
それが結果的に、左膳が邪魔だと思う事態になるわけだけど。

お藤に怒った左膳がお藤に加える折檻が、すさまじい。
やめてーと、見ているこちらが言いたくなる。
殴る蹴るは、容赦なく。

髪の毛を持って、引きずり回す。
刀の鞘で打ちつける。
すれっからしの悪女のはずのお藤は、左膳の足元にしがみつき、「だんな、あたしはうれしい」と言う。

そこまでは他人には、やらない。
つまり、私を赤の他人と思っていないと言うこと。
だんな、左膳の刀に斬られるなら、幸せ。
左膳の刀にかかる最期は、幸せだと言う。

しかし、左膳は、そこまで言うお藤につれない。
お藤は左膳の危機には、短筒を手に駆けつける。
左膳は武士だから、品の良い、芯の強い武家娘が好みかもしれない。
だけど、お藤にもうちょっと優しくしてくださいと言いたくなる。

乾坤の刀の件の終わり、傷ついた左膳が一人、いかだに体を横たえて流れていく。
それを見て、「しんじゃやだよ!」とお藤が叫ぶ。
「しんじゃやだよー!」
まるで子供のような叫び。
あばずれどころか、かわいい女性だ。

百万両の壷、こけ猿の壷の終わりは、一人、去っていく左膳の行く手にお藤が立って待っている。
左膳は何も、言わない。
今度は「来るな」とも言わない。

お藤は、ニヤリと笑って、左膳の後をついていく。
乾坤の刀の終わり、蒲生は言っていた。
あの女も左膳に似ていると。

左膳だってきっと、わかってる。
似たもの同士だと。
お藤はあの最終回の後、幸せになっていると、確信できる。




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2014.03.07 / Top↑
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