三遊亭小朝さんの落語「紀州」。
吉宗が8代将軍に決まる日の話です。
思い込みで聞き違い、または自分の願望でそう聞こえる、というお話でもあります。

その吉宗は、何将軍と呼ばれた将軍でしょう?
学校でも、クイズ番組でも、そういう問題が出ると、9割の答えが「暴れん坊将軍」だそう。
私も学校の試験の答えが圧倒的に「暴れん坊」だったと聞きました。
答えは「米将軍」なんですけど、いや~、「暴れん坊将軍」はすごいです。


さて、「紀州」。
江戸城に向かう途中の、尾張公の耳に聞こえる鍛冶屋の音。
とんてんかん、とんてんかん。
これが、てんかーとーるー、てんかーとーるーに聞こえる。

何かの暗示か。
格からしても、尾張が御三家筆頭。
八百万石は、尾張公のもの。
これは、本当になるかもしれない。

そう思った尾張公。
だが、将軍職を打診されて、「日本人の悪いクセが出た」。
一度で受けたら、いかにも「待ってました」と言わんばかり。
飛び付いたみたいで、みっともないし。

狭い島国。
人の目が気になる日本人。
謙遜しちゃう日本人。
「余は徳薄く、将軍の任ではない」。

私のような未熟者は、将軍の器では、と尾張公が謙遜した。
尾張公の計算では、ここでもう一度、請われて、渋々引き受けることになるはずだった。
しかし、ここで紀州の吉宗に話が行っちゃった。

吉宗もまた、「余は徳薄く、将軍の任ではない」と言った。
しかし、吉宗にはその後があった。
「しかしながらかほどまでに請われて固持するのは、御三家として責任上、心苦しい」。

結果、将軍は紀州の吉宗に決まる。
一回で受けてりゃ良かった~、と思った帰りの駕篭の中、尾張公の耳に、また鍛冶屋の音が聞こえて来た。
てんかーとーるー、てんかーとーるー。

やっぱり、天下とる!と聞こえる。
そこで尾張公、はたと気づいた。
紀州の吉宗も断るんじゃないか?

一度引き受けておいて、ここはやはり尾張公が、と譲ってくれるんじゃないか?
そうだ、そうに違いない。
鍛冶屋の音の、とんてんかん、が止まる。

熱く鍛えた鉄が、水に入れられた。
その途端、鉄は今までと違う音を立てた。
「キシュ~」。
てんかーとーるー、てんかーとーるー、きしゅー。


人間、どんな人にも三回、幸運の女神さまがやって来ると言う。
しかしこの女神さま、後ろに髪の毛がない。
心にないことなど言わずに、幸運が来たらガッチリつかめ、というお話でもあるようです。



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2014.03.24 / Top↑
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