俺は悪魔だろう 地獄にいるからだ ここは地獄だ 「ブラッドダイヤモンド」

「ホテル・ルワンダ」もつらく、それでも感動的な映画だったけど、これもすごい。


アフリカ西部のシエラレオネ共和国。
漁師のソロモン・バンディーは、貧しいながらも家族と暮らしていた。
息子の夢は、医者になること。
市民を巻き込んだ、危険かつ悲惨な内戦が続く国でも、希望を持つ子供たち。

しかしある日、反政府勢力のRUFが村を襲う。
ゲリラたちは、村人たちを、政府側の候補者に投票するつもりだろうと責める。
できないように。
したくてもできないようにしてやる。

ゲリラたちは村人たちの手を、次々切り落としていく。
ソロモンは家族を逃がすが、自らは捕らえられてしまう。
手を切り落とされることはなかったが、代わりに反政府勢力が資金源とするダイヤモンドの採掘の強制労働をさせられる。

採掘場でソロモンは、大きなピンクダイヤの原石を見つけた。
それを見つからないように、ソロモンは隠した。
だがRUFのポイゾン大尉は鋭い嗅覚で、ソロモンがダイヤを隠したことに気づく。

大尉がソロモンを尋問しようとした時、爆発が起きる。
政府軍の攻撃が始まったのだ。
大尉は負傷し、ソロモンも政府軍に捕らえられ、留置される。

ジンバブエとザンビアに分かれた国、かつてのローデシア出身で傭兵をしていた白人のダニー・アーチャーは、RUFに武器を調達し、その報酬をダイヤモンドで受け取る。
そのダイヤを隣国のリベリアに密輸し、金を稼いでいたが、逮捕され、留置される。
留置所のソロモンと大尉の会話から、アーチャーは巨大なピンクダイヤモンドのことを知る。

ソロモンが偶然、見つけたピンクダイヤモンドはおそらく、200カラット。
数億円の値段がつくだろう。
このダイヤモンドを手に入れれば、自分はこのアフリカでの生活、商売から抜け出せる。

アーチャーの目的は、ピンクダイヤモンド。
ソロモンの目的は、家族との再会。
アーチャーは女性ジャーナリスト・ボーエンに、紛争ダイヤとその密輸の闇を暴くきっかけになると話を持ちかける。
開放されたソロモンとともに、アーチャーとボーエンはピンクダイヤモンドの隠し場所へ向かう。

やがて政府軍は反政府軍に押され、反政府軍は首都を制圧する。
自由になっ大尉はソロモンが隠したピンクダイヤを手に入れるため、ソロモンの息子を捕らえた。
息子に麻薬を与え、銃を持たせる大尉。
一人前の戦士扱いをされた息子は、医者の夢を忘れ、少年兵となっていく。

採掘場を目指すアーチャー。
また、アーチャーの上官であった大佐もピンクダイヤを狙っていた。
アーチャーにとってソロモンは、ただのダイヤを得るための手段であったはずだった。
だがアーチャーは、ソロモンを通して内戦の国で生きていくしかない哀しみと、そこで生きる人々の悲惨な生活を知っていく。

大佐を利用し、アーチャーは採掘場の反政府軍を追い払うことに成功する。
だが次に待っていたのは、大佐たちとの戦いだった。
そこを潜り抜け、息子を救助したアーチャーだが、もともとデリケートな心を持つ息子は自分の行為に対して錯乱し、アーチャーはその銃弾に撃たれる。
アーチャーを撃ったショックの息子をソロモンに託し、アーチャーは後のことをボーエンに頼む。

ソロモンが必ず、家族と再会できるように。
そのためのダイヤだ。
アーチャーはソロモンにダイヤを渡すと、ソロモンを追ってくる兵士たちに立ち向かう。

ソロモンたちは、イギリスに到着できた。
ここから先、ボーエンはソロモンとダイヤ商人の取引の一部始終を記録し、ダイヤモンドの闇を暴く。
ダイヤと引き換えに家族と再会したソロモンは、国際社会に向かってシエラレオネとブラッドダイヤモンドの真実を訴えていく。



ダイヤモンドの価値は、4つのCによって決まるという。
カラット。
ダイヤモンドの重さの単位。

カラー。
無色で光りを通過させると、その光は虹のような光となってダイヤを輝かせる。
しかし、ピンクやブルーのようなカラーのダイヤは、それとはまた別の価値を持つ。

クラリティ。
内包物を含まない、無傷のものが価値が高い。
カット。
ダイヤの輝きを増すよう、高度なカットが施されたものほど、価値が高い。

この4つのほかに、もうひとつ、価値を計るものがあった。
どれだけ、そのダイヤのために血が流れたか。
戦争、内戦の資金源となる紛争ダイヤモンド。
それはブラッド・ダイヤモンドと呼ばれる。

この映画には、こういう説明がついてました。
映画公開直後にジュエリーショップで、「うちはブラッドダイヤモンドは扱っていません」と言う言葉が出ました。
マリー・アントワネットの首飾りだったホープダイヤモンドと呼ばれるブルーダイヤに、血塗られた伝説がありますね。
真実かどうかは別にして、それぐらい怪しい、魔力に似た魅力があるんですね。

ソロモンがダイヤを掘る採掘場では、人間が人間扱いされない。
劣悪なんて言葉は、生ぬるい。
これが奴隷労働ということ。

ロンドンに着いたソロモンが、ある有名宝石店のウインドウを飾るダイヤモンドに気づく。
華やかに、きらびやかにウインドで輝くダイヤを、ソロモンは食い入るように見る。
それは確かに、自分たちが採掘した宝石だ。

だがそこに飾られているダイヤは、そんな自分たちとは結びつかない。
あまりに華やかで、美しい。
奴隷のように掘っていた自分たちとは、かけ離れている世界だった。
ソロモンにはそれは、不思議な光景でしかない。

最初はダイヤを得るためだけの存在だったソロモンの、親子の情。
悲惨な境遇の中で、家族だけがソロモンの希望だ。
アーチャーはいつしかダイヤではなく、その希望のために動くようになる。

ソロモンの息子に麻薬を吸わせ、銃を持たせるポイゾン大佐は、ひどい男。
この映画最大の悪役。
救いようがない、悪魔のような男。

「俺は悪魔だろう」と、彼は再会したソロモンに言う。
「俺は悪魔だろう。なぜなら、地獄に住んでいるからだ。ここは、この国は地獄だ」。
「だが俺はこのピンクダイヤモンドで、この地獄から抜け出してみせる!」

そうか、と思った。
なぜ、この男が悪魔なのか。
それはこの国が、地獄だからなんだ。

あまりに凄惨な描写の数々。
これは、おそらく真実であろう。
平和な日本で暮らす者は、信じられないほどの残虐と悪意が満ち溢れたシエラレオネ。
人々の平均寿命が30歳半ばだという国。

悪魔のような男が、悪魔そのものになるにはそれなりの理由があったのだと思った。
ソロモンの息子の、医者になる夢を語っていた少年時代が彼にもあったはずだったのだ。
ポイゾン大尉と、まったく違うソロモンの息子が結びつく。

戦場で一番危険なのは、少年兵だと言う。
大人にはわかる、やってはいけないことがまだわからない。
そして若いから、何も持っていないから、人にはひとつだけの命と人生と家族がいることがわからない。
自分の経験を通して、それを感じ、他者への思いやりに結び付けるまでに成熟していない。

負傷したアーチャーを背負って、息子とともに崖を登るソロモン。
アーチャーは、これを持ってアフリカを抜け出そうとしたダイヤをソロモンに渡す。
「家族と家に帰れ」と言って。

アーチャーの両親もまた、アフリカで殺されていた。
自分に家族はいない。
ソロモンは、家族と暮らしてほしい。

追っ手を一手に引き受けて、ソロモン親子を逃がす時、彼はソロモンに言う。
ダイヤモンドは、家族に会うまで絶対に渡すな。
あのピンクダイヤモンドと引き換えだと言えば、彼らは必ず、難民キャンプにいる何万の人の中から、ソロモンの家族を見つけてくる。
彼らにとって、それは可能だ。

アーチャーの言葉どおり、彼らはソロモンの家族を連れてきた。
家族との再会。
抱き合い、泣き出すソロモンたち。

ダイヤ商人の眼中に、彼らはもうない。
ソロモンが出したピンクダイヤをかざして見て、その大きさ、クオリティに感嘆している。
彼にとってソロモンたちの苦しみや、自分たちがそれに加担していることなど、何の意味も持たない。

シエラレオネは、暗黒大陸だった。
神がいない国だった。
なぜ、この国のことがあまり報道されないのだろう?と思った。
すべてはダイヤ…、そのためなのだろうかと。

ソロモンが泥だらけの血だらけになり、人としての尊厳を失いながら掘り出して隠したダイヤモンドは磨かれ、美しく装飾される。
ひたすら美しい。
それはあまりに罪な美しさだった。

神のいない国、シエラレオネ。
アフリカ大陸。
それでも、神を呼び戻すことができるかもしれない。
あまりに凄惨で悲惨だった話は最後に、わずかな希望を感じさせて終わる。



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