東映が、必殺作ってみました!?
書いてみました、「影同心」。
第1話、「影の裁きは菊一輪」。


貧しく、家を失ったものや、その日の食事にもありつけない人々に施餓鬼を行う尼寺の香泉寺。
その美しい庵主・香月尼。
施餓鬼の米を盗む、こそ泥・留吉。

お久という女が、幼い子供を連れ、どぶ川を必死で逃げている。
そこにかかった追っ手の男3人は、お久を突き飛ばし、子供を抱えて逃げ出す。
必死に追いすがるお久。
その前に一人の侍が現れる。

「女子供じゃねえか、許してやんなよ」。
しかし男たちは侍にも殴りかかる。
侍は、寺社奉行配下の同心・堀田源八郎だった。
源八郎は、3人の男を追い払った。

どぶ川から子供とお久をあげてやると、お久は源八郎にすがってくる。
また襲われるから、助けてくれと言うお久に源八郎は、これ以上は自分にはできないから奉行所に行けと言う。
2人には目をくれず、すたすたと歩き出そうとした源八郎の背中に子供の「おじちゃん!」と言う声が追ってくる。

しかたなく源八郎は、香泉寺の戸を叩いた。
ここは源八郎の管轄の寺だった。
源八郎は香月尼に、2人を頼んだ。

香月尼にお久が語ったことによると、お久は水茶屋で働いていたところを蝋燭問屋の越前屋の主人に囲われ、やがて子供ができた。
すると子供がいなかった越前屋は手切れ金もよこさずにお久を追い出し、子供だけを取り上げようとした。
だから、お久は子供とともに逃げたのだ。

香月尼は越前屋に、手切れ金と子供の養育費を掛け合いに行く。
だが越前屋はまったく取り合わず、香月尼は源八郎に越前屋から3百両巻き上げてくるように頼む。
条件は、これまでの源八郎の借金、18両あまりの帳消し。
源八郎は承知し、さっそく留吉を探し出す。

香月尼に顔を見られた留吉は、いつかの泥棒だと気づかれ、恐れ入るしかなかった。
3百両などという大金を盗れば、確実に死罪になる。
留吉は断るが、罪の目こぼしのため、これまた承知せざるを得ない。
一人では無理だと判断した留吉は、昔の兄貴分の平七を探し出す。

元・錠前破りだった平七は、今は牢番をしている。
女房をもらい、足は洗ったが、無類の博打好きだ。
最初は留吉を追い払った平七だが、源八郎から話を聞き、越前屋の錠前を破ることにする。

平七はまず、越前屋に忍び込み、錠前を狂わせてしまう。
蔵の鍵が開かなくなった越前屋は、錠前屋に鍵を直すように飛んでくる。
そこに錠前屋を装って、店の前を掃除していた平七と留吉が越前屋に向かった。
いかにも錠前を修理する振りをして、平七と留吉は3百両を手にする。

香月尼はお久に3百両を渡してやり、お久はこの金で小さな店が持てると喜んだ。
ちょうど寺男を捜していた香月尼に源八郎は留吉を紹介し、留吉は嫌がりながらも寺男になった。
源八郎も平七も留吉も、これで赤の他人に戻ったはずだった。

しかし、越前屋は3百両がなくなったことに気づき、錠前屋が怪しいと訴え出る。
寺社に蝋燭を納入していることから、寺社奉行の稲葉の元にも話が来る。
それを知った源八郎は、留吉に江戸を出て行くように言う。
江戸を離れる前に留吉は、仲良くなったお久の子供と浅草に遊びに出かけた。

だがそれを知らないお久は子供が奪われたと思い、越前屋に駆け込む。
どうしても行方がつかめなかったお久が、自分から越前屋にやって来た。
このチャンスを、越前屋が見逃すはずはなかった。
子供が見つからず、とぼとぼと帰るお久の後を、越前屋は尾行させ、お久親子の居所をつかんだ。

その夜、留吉が子供を連れて戻った後、香泉寺の使いだと言う声に騙されたお久は戸を開けてしまう。
たちまち男たちがなだれ込み、子供を奪い、お久にのしかかった。
翌朝、お久の遺体があがった。

留吉は香月尼と源八郎に、お久がなぶりものにされ、めった刺しにされたことを訴える。
子供を連れ出した自分のせいだということも…。
この事件に関わった3人は、このまま見逃せなくなる。

源八郎は、奉行所の友人・石井に事件の捜査について聞くが、石井はお久の捜査はならず者の行きずりの犯行として打ち切りとなったと言う。
寺社奉行の稲葉に話を聞いてみても、どうにもならない。
越前屋が金に物を言わせ、事件を闇から闇に葬り去ろうしているのは明白だった。

源八郎は、なじみの娘・おいねの料理屋で、酒をあおる。
もてあましたおいねは源八郎に、「いっそのこと、役所勤めなんか辞めたら?」と言う。
源八郎が顔を上げ、黙り込む。
誰もやらないなら、自分がやればいいのだ。

お久が葬られた墓の前で、香月尼、源八郎、平七、留吉が集まる。
役人の源八郎が?
あわてて止める平七に、意外にも香月尼が言うのだった。
「一殺多生。浮かばれぬ哀れな人たちを成仏させるためなら、私は喜んで地獄に堕ちます…」。

人々が行きかい、女性たちが客を引いている道。
平七が越前屋から依頼を受けてお久を殺した岩吉の子分の首に縄をかけ、縊り殺す。
留吉が女郎と部屋にいた岩吉が、ふすまを覗き込んだ際に額に向かって鋭い釘を飛ばし、鎚でその釘を打ち込んで仕留める。

岩吉が死んでいるのを見て仰天した子分が、越前屋の番頭の下に走る。
そこに源八郎が現れ、2人とも斬る。
最後は越前屋を、香月尼が蔵におびき寄せ、菊の花の茎を首筋に刺す。

お久の墓の前に再び集まった4人。
香月尼は言う。
「私たちはもう、影の刺客。2度と戻れない道に踏み込んでしまったのです」。



豪華なキャスティングです。
香月尼は、浜木綿子さん。
香川照之さんのお母様ですが、尼僧姿が何と美しいこと。

堀田源八郎は、黒沢年男さん。
「女子供じゃねえか。見逃してやんなよ」の登場の仕方が男っぽく、かっこいい。
助けたものの揉め事はごめんだと、振り返らずに歩いていく源八郎。

それでも優しい人はわかるのか、子供の「おじちゃん!」と叫ぶ声。
子供の声を聞いた源八郎は、もう放置できない。
あ~あ…、と言ったように、目を閉じる。
損な性格。

香月尼に預けたが、越前屋は寺社に蝋燭を納めている関係で、稲葉奉行も動かざるを得ない。
稲葉様は、岡田英二さん。
この方が出てくると黒幕っぽいんですが、ここではまじめなやり手のお奉行様らしい。

留吉は、若い若い水谷豊さんです。
気が小さいようで、小悪党なんだけど、悪党じゃない。
それどころか優しくて、人が良い。

お久の子供と仲良くなってしまうところなんか、さすが。
江戸を去らなきゃいけないと言われて、話が違うよ~と泣き言を言うが、仲良くなった子供と思い出に遊びに行く。
だけど攫われたと思ったお久は、半狂乱。
一言言うべきでしたね…。

お久が子供を抱きしめるのを見た留吉の、泣きそうな表情。
留吉の半生を物語っているような、表情。
おっかさんかあ、良いなあ…、と言っているよう。
水谷さんの、細やかな演技だと思います。

結果として、それがお久の居場所が突き止められて殺されることになってしまうんですから、留吉の罪悪感は深い。
一人でも越前屋をやりかねかった。
木槌で木の釘を打ち込む殺し方には、ビックリでした。
そうでしたっけ?って。

お久は、吉行和子さん。
源八郎の恋人、おいねは、私も好きな片桐夕子さん。
平七の女房のお勝は、森みつるさん。

「必殺」シリーズでも見かける方々です。
片桐さんは被害者も、悪女も演じました。
森みつるさんは、声に特長があって、「新仕置人」では鉄のおなじみのお女郎さんなんかやってました。

ここでうれしかったのは、源八郎の奉行所の友人・石井が早川保さんだったことです。
「必殺」でも悪役常連さん。
「仕事屋」でも、「新・仕置人」でも女性にずいぶん、ひどいことをしてました。

この早川さんが、人が良さそうで、それでいて役所の限界を承知している同心。
新鮮で良いです。
もっと出番が増えてくれると良いな、と思います。

殺しは最初から皆さん、結構手馴れてるなって感じです。
源八郎は武士だし、平七は元錠前破りだし、留吉もこそ泥。
もともと、下地はあったということでしょうか。

留吉が殺しに手を染めてたとは思いませんが、激情型ではある。
なので、殺しに走るだけの原動力となる怒りは十分感じるひどい事件があればOKでしょうか。
実際、ひどい事件ですし。

ここで謎なのは、仏に仕える香月尼があっさり殺しに走るところ。
あっさり、「もう私たちは影の刺客」って言ったのも気になる。
それはそうなんですけど。
ワケありそうな香月尼の過去は、これから明らかになることでしょう。

「影同心」にはなかった、結成編が第1回でした。
やっぱり、結成編があると感情の入り方が違うと思います。
芸達者さんたちがそろってるドラマは、やっぱり楽しいです。


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2014.09.25 / Top↑
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