御家人残酷物語 「吉宗評判記 暴れん坊将軍」

長寿シリーズ作品「暴れん坊将軍」の第1シーズン、「吉宗評判記 暴れん坊将軍」の第19話「纏持おとこの詩」。

もと、町火消しめ組の子頭だった弥八郎は、頭の辰五郎と懇意にしていた御家人・戸田家から養子に望まれた。
辰五郎が断りづらいと思った弥八郎は、自らすすんで養子となった。
ところが元町人であることから、御家人たちからは蔑まれ、いじめにあう。

その様子を目撃した吉宗だが、御家人たちの鬱屈とした気持ちを聞かされる。
将軍にお目見得がかなう旗本と違い、御家人は将軍に会えることはない。
武士とはいえ、その身分は低く、町人と変わらない生活だ。

さらに将軍は側用人たちと政を進めるため、自分たちには一生、チャンスは巡って来ない。
その鬱屈とした気持ちが、元町人の弥八郎への風当たりの強さとなっているのだろう、と。
家では義母の厳格で冷たい態度に、弥八郎の安らぎの場はどこにもない。

御家人たちの弥八郎への行動は剣術の稽古と称して、辻斬りの現場にまで連れて行かれるまでエスカレート。
最後には放火の罪まで着せられる。
武士ならこういう時、切腹をする。
言われて切腹の体勢となり、早くやれとはやし立てられた弥八郎。

初めて「黙って見てろぃ!」と啖呵を切って、御家人たちを黙らせる。
駆けつけた吉宗と辰五郎だが、瞬間、間に合わなかった。
切腹して果てている弥八郎に吉宗は、「見事である。立派な武士である」と声をかける。

卑怯な御家人たちに激怒し、弥八郎に免じて戸田家には親戚から世継ぎを迎えることを許した。
だがすべては、弥八郎が犠牲になった後のこと。
吉宗の心には、哀しみだけが残ったのだった。



悪が成敗され、大概はすっきりとした結末になる「暴れん坊将軍」。
ところがこの「吉宗評判記」の「暴れん坊将軍」には、いろんなパターンがあって、これは養子残酷物語みたいな趣の話でした。
弥八郎に森次晃嗣さん。

戸田家の、弥八郎に冷たい義母は、菅井きんさん。
「婿殿!」どころではない、冗談の隙もない冷たさ。
無体な御家人に、亀石征一郎さん。

みんな自分の不満を、弥八郎にぶつけている。
でもそんなことしても、本当の問題は全然解決してない。
ただその場で気を晴らしているだけで、全然幸せにならない。

しかしやられる弥八郎は、たまらないはず。
それでも弥八郎は、耐えている。
耐えることが、町人だった自分の意地のように。

纏持ちで、子頭だった時は、威勢の良いしゃきしゃきの江戸っ子であっただろう。
本来の自分でいられないところにいる悲劇。
ほとんど感情を出すことができない弥八郎の、耐え忍び、爆発する様子を演じて、涙を誘います。
最後、間に合わなかったけど、上様の声は弥八郎に聞こえていたと思う。

ウルトラセブンこと、諸星ダンだった森次晃嗣さん。
森次さんの周囲の無理解と理不尽に耐える演技は、秀逸です。
最近、「眠狂四郎」でも正義感から堕ちてしまって苦しむ武士の演技を見ました。

「新・仕置人」のお船番の婿養子になった男の、妻への愛憎入り混じった演技も良かった。
こういう鬱屈を抱えた森次さんの演技は、良いですね。
複雑な内面を持つ武士の演技が良いのは、ヒーローを演じていた反動なのでしょうか。




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