こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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お兄ちゃーん! 「大都会 闘いの日々」

第1話、「妹」。

マンションの一室で、殺人事件が起きる。
容疑者は、小沼三吉という暴力団員だった。
小沼には妹がおり、名前を中川元子と言った。
母方の名前を名乗っているため、小沼とは苗字が違う。

エリートの深町課長が選りすぐった、深町軍団と呼ばれる城西署の刑事たちがこの事件を担当。
丸山刑事が、元子を会社に訪ね、呼び出す。
公園に呼び出された元子は、三吉とは5年前に父親の葬式で会ったきりだと言う。
もともと縁が薄かったが、今はもう、関係がないと元子はかたくなだった。

そんな時、黒岩は妹の恵子が会社員の男性ともめている姿を目撃する。
恵子を振り切るように、男性は去っていく。
その後を恵子が追う。

「困ります、私!もともとお兄ちゃんと私は何の関係もありません!5年前から会ってないんですから!」
元子の声で、黒岩は我に帰る。
それに元子はもうすぐ、あの会社の重役の息子と結婚する予定だと言う。

「お兄ちゃんのこと、向こうは知らないんです」。
「もう勤め先に来ないでください!」
だが、黒岩と丸山は元子を尾行するしかない。
必ず、三吉が接触してくるはずだ。

元子は会社帰りに、婚約者と会っていた。
まじめそうな、やさしそうな男性だった。
兄が、妹の幸せを壊す…。

元子の姿と、妹の恵子の姿が黒岩の中で重なる。
アパートに帰ると、恵子は先に眠っていた。
恵子の目からは、一筋の涙の跡があった。

尾行は続く。
ついにある日、元子は丸山に向かって怒った。
「私と兄とは、関係なんです。関係ない善良な市民がどうして、こんな目にあわなきゃいけないんです。あなたも、もう一人のあの人も、すぐに尾行をやめてください!」

元子は、このまま、尾行を続けるなら、人権団体に訴えると言う。
階段を登っていく元子を、丸山刑事が追う。
「待ってくれないか、お嬢さん。俺たちはね、好きでやってるわけじゃないよ」。

無視する元子に丸山刑事が、ついに感情を荒立てる。
「善良な市民ってあんた言うがね、あんたの兄貴は善良な市民じゃない」。
「それは私には!」

「あんたの兄貴みたいな、そういう奴のために、ほんとの善良な人間がどんな目にあってるか、言ってやろうか」。
元子の足が止まる。
「俺の相棒、あいつはなあ。ヤクザ担当の刑事だってことで、関係のない妹を攫われ、何人ものヤクザにおもちゃにされたよ!当時、18の妹を、だぜ!」

元子は、衝撃で立ち尽くす。
「善良な市民ってのは、そういうのを言うんだ。あんたの兄貴は善良じゃない。それをかばうあんたも、善良じゃない。ふざけちゃあいけないよ、お嬢さん。ふざけちゃあ…!」
元子は、絶句した。

尾行してい黒岩と丸山には、遠目からも元子と恋人との仲がギクシャクし始めたのがわかる。
その姿が、兄のために幸せを逃していく姿が、恵子に重なる。
丸山の言葉が胸に突き刺さった元子は、兄から連絡があったことを、丸山刑事に伝えてきた。

兄と会う喫茶店にスクープを狙い、黒岩刑事を見張っていた東洋新聞の新人記者・九条がやってきてしまう。
九条がマスコミ関係者と知って、約束が違うと言って、元子が立ち上がる。
それを丸山刑事がなだめる。
九条は元子の顔、名前は一切出さない約束をした。

小沼が、やってきた。
見張っている刑事たちから小沼が発見され、喫茶店に歩いていく様子の連絡が無線から次々入る。
元子は、ジッと三吉を待っている。
刑事たちからの連絡が、次々入る。

小沼発見。
顔は確認できるか。
小沼です。
そちらに近づいていきます。

小沼が姿が、窓から見えた。
その途端、元子が立ち上がった。
止める間もなく、元子は外に走る。

「おにいちゃあん!」
元子が叫ぶ。
その後を黒岩と丸山が追う。

「おにいちゃああん!」
元子が、兄に抱きつく。
小沼は警察に気づいた。

その時、小沼は拳銃を構えて、元子を羽交い絞めにする。
元子の頭に拳銃を押し付ける。
だがあちこちの、周り中の建物、ホテルから住宅から、消えていた灯りがともる。
サーチライトも、小沼を照らす。

すでに小沼は、四方八方から囲まれていたのだった。
「行きます」。
丸山にそう言うと、黒岩は拳銃を構え、小沼に近づいていく。

「来るなあ!」
小沼はきつく、元子の頭に拳銃を押し当てる。
だが、黒岩はひるまない。
一歩一歩、小沼に近づいていく。

目を閉じる元子。
カメラを構える九条。
「こいつが死ぬぞ!」
小沼が叫ぶ。

周り中が、固唾を呑んで見守る。
「死ぬぞお!」
元子が気絶した。

崩れ落ちる元子に、小沼が気を取られた。
間髪いれず、黒岩が押さえ込む。
パトカーに連行される小沼。

九条が黒岩に詰め寄る。
「黒岩さん、ひとつ聞かせてください。さっきあなたが強引に進んだのは、犯人が人質にしたあの妹さんを殺さないと確信があったからですか?!それとも殺されたらその時のことだと思ったんですか!殺されても良いと思ったんですか!」
だが、黒岩は九条を無視する。

「ちょっと待ってください!答えてください!黒岩さん」。
黙って黒岩は、警察車両に乗り込む。
「答えろ!答えられないんですか!」

だが黒岩はそのまま、走り去った。
残された九条はカメラを見つめた。
九条の表情は険しくなる。

翌朝の新聞には、小沼逮捕の記事が載った。
「妹を囮に逮捕」。
小沼と元子は後姿であったが、拳銃を構えて近づく黒岩のショットがあった。

「人権無視」。
「これで良いのか」
批判の文字が、紙面を飾る。

黒岩は街角に立って、新聞を眺めていた。
捜査本部の電話が鳴る。
「黒岩刑事でいらっしゃいます。私、小沼三吉の妹です」。

元子からの電話だった。
「丸山刑事さんにお伝えください。私、今日会社を辞めてきました。それから、…婚約者とも別れました」。
それだけ言うと、チン。
電話が切れた。

「批判」の文字が目に入ってくる。
会社の同僚らしき女性と別れた恵子が、黒岩に気づく。
「お兄ちゃん」と、手を振って駆けてくる。

恵子が黒岩と腕を組む。
黒岩も恵子も、笑顔になる。
すっかり日が落ちた都会の雑踏の中、黒岩と恵子が消えていく。



見たかった「大都会 闘いの日々」。
昭和だなあ、と感慨深く見てしまいました。
今、作ろうと思っても作り物にしかならない、昭和。
そりゃそうですよね、リアルで昭和だったんですから、そのまま写せばリアリティあって当たり前。

黒岩刑事が妹と住むアパートだって、ものすごい、昭和を感じさせます。
ふすま、畳、台所。
キッチンじゃないですよ、台所!
兄と妹、連れ立って銭湯へ行くんですから。

タバコはぷかぷか。
記者クラブも、タバコの煙が漂う。
何だかポマードとか汗のにおいが、漂ってきそう。

新人の記者は、新人の神田正輝さん。
当時の神田さんは、まだまだセリフが棒読み。
最後に黒岩に詰め寄るところなんか、本当にセリフ覚えたのを一生懸命口から出してますって感じですもん。
役柄も新人だし本人も新人、成長に期待しましょう、って感じです。

この「わかってない」新人を、苦々しく思いながらも成長するのを見るのは、石原裕次郎さん演じる東洋新聞の社会部キャップ・城西署担当の滝川。
黒岩の高校の先輩でもある彼の信条は、「人を傷つける記事は書かない」。
だから優秀でありながら、いまだに役職についていないわけです。
そんな彼が新人の九条の今回の記事を見て、どう思ったでしょうか…。

恵子ちゃんは、仁科明子さん。
愛らしいです。
それだけに、彼女を襲った事件が悲惨で、胸が痛む。
しかし滝川キャップも丸山刑事も話の都合上しかたがないように描いていたけど、人としても職業としても、恵子ちゃんの過去をそうそう、人にしゃべっちゃダメよ!

三吉は、石橋蓮司さん。
もう、この頃はこういう役は石橋さんとか、蟹江さんとか、得意中の得意でした。
出番は短いながらも、石橋さんの一瞬の表情に妹を想う気持ちがうかがえます。

兄とは関係がない。
嘘だ。
凶暴に見えるこの兄は妹にだけは、優しかったに違いない。

黒岩刑事と恵子の、壮絶な悲しい過去。
妹が自分のために不幸になる。
兄として、2人っきりの兄妹として、それは耐えられない。

黒岩には、わかった。
この男には、妹は絶対に撃てない。
妹を想う黒岩には、わかった。
近づく黒岩に向かって三吉が発する「来るなっ!」はまるで、悲鳴のように響く。

「死ぬぞお!」
それでも近づく黒岩に向かって、三吉が悲鳴を上げるように叫ぶ。
三吉の顔がゆがむ。
耐えられないように、ゆがむ。

元子が気絶した時、三吉の表情は見えなかった。
惜しいのは、やっぱり、石橋さんのこの、元子を支える時の顔を見せてほしかった。
この石橋さんの表情が見えたら、この話はもっともっと、深い感動が得られたと思います。

でも腕は確かに、崩れ落ちる元子を支えた。
両側から、元子を抱えようとした。
地面に落ちないように。
大事なものを、守るように。

黒岩に押さえ込まれて「ちくしょう」と悔しがる三吉の表情は、逮捕されて悔しいという表情ではなかった。
自分が一番弱いところを突かれた悔しさ。
それを見抜かれた悔しさ。
抗えなかった自分が悔しかった。

恵子と自分が、元子と三吉に重なる。
元子の幸せが壊れていくさまが、恵子と重なる。
だからこそ、三吉を逮捕しなければならない。
絶対に。

丸山刑事の告白に、衝撃を受ける元子。
元子にもわかる。
兄の苦悩がわかる。
妹の苦悩もわかる。

だから、元子は大切な兄のことを警察に密告した。
しかし兄が近づくにつれ、元子には耐えられなくなった。
次々入る連絡と、元子の葛藤は緊迫感あります。

現実に、こんな風に連絡が聞こえちゃうの?とか、思うことは、あちこちにある。
それを言ったら、人質がいるのに正面から、拳銃なんか抜いて行かないだろうとか。
今見るといろんな粗が見えちゃうとは思いますが、それを補ってなお、見ごたえのある俳優さんたちの演技。
大人の鑑賞に堪える、しっかりした人間ドラマです。


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