第2話、「直子」。


関西から進出してくる暴力団の尖兵である山形という男を、警察は指名手配した。
表向きの商売はゴルフ場の売買をしている久光という男は、関西と関東を行き来している。
この男が、山形との連絡係であろう。
久光には恋人がいて、その女性はバー「ムンク」のママ・三浦直子であった。

直子を知っている黒岩は、署でのレクチャーで直子の写真を見て密かに驚く。
「ムンク」では久光は堅気で通っており、直子は久光の正体を知らなかった。
直子は久光の名前で、ホテルに呼び出された。
部屋のドアを開けると、そこには数人の暴力団風の男たちがいた。

あわてて帰ろうとした直子だが、男たちは直子を引き戻した。
引き倒された部屋にはベッドがあり、山形は背中の刺青をあらわに直子を待っていた。
悲鳴を上げる直子。
フィルム撮影のカメラが回る。


…という、とっても不愉快なシーンがある第2回。
直子をかばって、城西署に訴え出た友人も拉致されるはめになる。
彼女は後に彼らの隙を見て直子に逃げろと電話をかけて来るんですが、「私、奴らに…」と言った後、ぷつりと電話は切れました。
これも何が起きたのか想像できるだけに、とーっても嫌な気持ちです。

しかし、随所に良いシーンがあります。
捜査会議で冷たい目で、チョコレート食べながら話を聞いている深町課長の佐藤慶さん。
被害者にも仲間にも、何の感情も持たない。
ただ、自分の任務と立場のみといった感じの冷酷さがにじみ出てます。

直子は久光に、惚れきっている。
久光はかつて、甲子園にもピッチャーとして出場したことがあり、直子はその当時から久光にあこがれていた。
しかしその時は久光に会っても、直子は子供らしい淡いデートを数回しただけだった。
やがて久光にはプロからスカウトが来て、直子との淡い付き合いは終わった。

つまり、直子にとって久光は、あの頃の輝きを持った男だった。
今はバーのママをしている自分が、熱い目で憧れの先輩を見ていた高校生の頃の自分を思い出す存在。
久光は直子の夢。
いつか自分も、あの頃思い描いた幸せになれるという夢を投影する存在だったんだと思います。

ところが、久光は直子を山形に提供した。
ブルーフィルムという、ポルノフィルムを撮影されている直子は怯える。
ところが久光はそのフィルムを取り返すために金を出した振りをして、直子を売り飛ばすことにしていた。

客を装い、黒岩は直子の店に行き、直子と会う。
久光の球児時代を覚えていると話しかけると、直子は黒岩に親近感を持つ。
黒岩はゴルフ場の話を持ちかけ、久光との接触を図った。

だが、東京新聞の新人記者・九条は直子に会い、一体黒岩とどういう接触をしているのか聞いてしまう。
九条から黒岩が刑事であること、久光が暴力団であることを知らされた直子は呆然。
ほんとに、ここでの九条はセリフは下手だわ、演技はぎこちない、それでいて余計なことするわ…。

見ていて腹が立つばっかりで、今のところは良いとこありません。
このどこか、エリート意識が抜けないお坊ちゃま記者がいずれ、現実にぶちあたるところも描かれるのでしょう。
神田さん、待ってますからねっ!

直子は、篠ひろ子さん。
この時は篠ヒロコとなっていますが、ものすごく綺麗。
色っぽいです。
美しいです。

30代ぐらいで大ブレイクした女優さんですが、この頃の篠ひろ子さんのファッションに影響されて、後にはお手本にしたりしたそうです。
大人の女性が、ロングフレアスカートを着こなしていたのが、とても素敵だったと。
現在40~50代の女優さんで、篠さんに憧れていた女優さんも結構いたのでは?

こんな人をひどい目に遇わせるなんて、考えられないことをする久光は、伊吹吾郎さん。
悪役も、ヒーロー役もこなす俳優さんです。
去年かな、バラエティー番組で猫が一杯の車を送迎に用意されて、猫たちにメロメロになってました。

さて、久光にも黒岩にも利用され、裏切られた思いの直子。
そこに久光から、あのフィルムをばら撒くと言われ、金を用意したが足りない。
今夜、話にマンションに行くと電話が来る。
すると、マンションで久光を待つ直子の下に、友人からの「逃げろ」という電話が来る。

完全に、騙されていたことがわかった直子。
久光が来て、翌日、あのフィルムを買い取る話をつけるから、ホテルのラウンジで3時に山形と会うと伝える。
直子も一緒に行くのだ。
それはフィルムを取り返す話ではなく、直子を騙して売り飛ばすための顔合わせになるのだろう。

翌日、「北海道に帰らなくてはいけないから、その前に商売の話がしたい、久光に会わせてくれ」と黒岩は直子に言う。
直子は、今日は自分と久光は一緒に、大事な客に会うから無理だと告げる。
しかし直子は、会うホテルと時間をさりげなくも教えた。

ずっと下を向いて、落書きをしていた直子の手元を見た黒岩は、直子が牡丹の花の模様を描いているのに気づく。
その牡丹の花の真ん中を、くっきりと遮断する線が入る。
城西署に訴え出てきた直子の友人が、直子が見た男の背中には牡丹の刺青があったと話していた。
その刺青の真ん中にスッパリと、刀傷があったことも…。

直子さん、絵、うますぎです。
さらにこれ、コースターかなんかに短時間で描いてるんですよね。
絵心あるなあ。
これ、下手な人だったら何描いているかわかんなくなっちゃうかも。

約束の場所に久光と直子は向かったが、久光の前に客は現れない。
電話でトイレに呼び出された久光は、山形の使いから山形は現れないと言われる。
これだけ刑事がいたら…。
刑事がたくさんいると教えられ、ビックリする久光だが、次の瞬間、裏切り者として刺殺される。

席に戻ってこない久光。
直子は何の表情も変えず、戻ってこない久光を待たずに立ち上がり、レジで勘定を済ませて立ち去る。
何が起きたのか、わかっている。

自分がしたことで、警察が山形を捕まえようと張り込みをすることも。
それに気づいた相手が、久光をどう扱うかも。
立ち去る直子の後姿を、車から黒岩が見る。
黒岩には、妹の恵子と同じ目に遇った直子もまた、恵子と重なる、放置できない存在なんでしょう。

パトカーが、何台も走ってくる。
サイレンが、鳴り響く。
直子は、振り返らない。

久光への思いも、淡い思い出も、夢も、自分から断ち切った直子。
トレンチコート姿が美しいですねえ。
後姿なのに、きっぱりとした直子の決意が伝わってきます。
みんな、味のある演技してます。

その夜、店に来た黒岩に、個人的に会いたいと直子は言う。
黒岩に会った直子は、久光との高校生の時の思い出を語る。
直子は久光と、江戸時代に建てられたお城を見た。
久光はとても、照れ屋だった。

やがて久光は、ピッチャーとして甲子園で脚光を浴びた。
だんだん、会える時間が少なくなっていった。
久光には、東京からスカウトが来た。
自分も、東京に出た。

そして東京で久光で再会した。
あの頃の輝きはなかったけど、久光は相変わらず、照れたように直子と話した。
そして、直子に「変わらないね」と言った。

直子は、言う。
「あなたもって私、言ってあげた」。
「そう言ったほうが、良いような気がして…」。

直子は、ハンカチを落とした。
黒岩が直子を見て、ハンカチを拾う。
「今度はいつ、東京に来るの?北海道は寒いんでしょう?」
自分がまだ、警察官だと知らないと思った黒岩は、直子の言葉に表情を硬くする。

黒岩の正体を知っていることも、久光の正体を知ったことも直子は言わない。
知っているのに言わない直子も、騙している黒岩も切ない。
いろいろと、切ない。
久光、そして直子がこうなるまでに、一体何があったんだろう?という想像もまた、切ないものがあります。

そして、当たり前なんだけど、みんなすごい大人だなあ…と思いました。
今、こんな大人の演技ができる同世代の俳優さん、いや、こういうドラマがないかも、なんて思いました。
いや、全体的にみんなが若くなってるということもありますし、時代もありますから、それが悪いって言ってるんじゃないんですが。
ただ、それほど、しっとりとして、切なく、秘めた感情が2人のシーンにはありました。

嫌な話ではありますが、それをじっくり描くことで久光を、というより、過去の自分を断ち切る直子と、黒岩に向き合う直子を描いています。
悪女としていくのか、黒岩には純な気持ちを持つのか。
直子が黒岩に対して、どういう気持ちで行くのかはまだ、はっきりとはわからないんですが。
直子というキャラクターが参加し、「大都会」に深みが出ました。


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2014.05.23 / Top↑
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