献上氷の季節がやって来た。
しかし献上氷の三日月藩は、隣国の新倉の藩と仲が悪い。
もし、献上氷が届かなければ、三日月藩は立場がなくなる。
献上氷の一行には危険が待ち受けていることは確実だ。

そんな大事に、三日月藩は道中奉行として駒田主水を選んだ。
駒田主水は影で「こまだもんど」をもじって「こまったもんど」と呼ばれるような男。
必ずしくじると噂されていた。

城を抜け出した吉宗は、駒田の一行が襲われたのを助けた。
徳田新之助の腕を見込んだ駒田が道中の用心棒を頼んだことから、吉宗は一行と旅をする。
駒田一行に、盗賊の仙太もくっついていく。

お氷一行は将軍家の威光をかさに、道中でやりたい放題のはずだった。
しかし駒田はやりたい放題どころか、茶店で食べた料金まできちんと帳簿に記す。
駒田にある百姓が、氷を分けてくれるように懇願してきた。

子供が熱病で熱が下がらないと危ない。
氷が欲しい。
だが、それはできないこと。

断るしかない駒田の様子を見ていた仙太は憤り、氷を盗もうと考えた。
悩む駒田に吉宗は、人の命は何より大事。
分けて良いと思うと言う。
その言葉に駒田はお氷を分ける決意をする。
氷を分けてもらった百姓は手を合わせて拝む。

戻ったお氷を、事情を知らない仙太が盗む。
勇んで氷を届けるが、百姓の母親はとんでもないと仰天。
仙太を叱りつけ、仙太とともにお氷を返しに走る。

そこを隣国の新倉の藩が襲い、お氷は奪われ、放置される。
しかし吉宗とお庭番の奮闘でお氷は奪還され、お氷は江戸に向かう。
小さくなったお氷は江戸城に届く。

だが、献上されたお氷に、新倉から待ったがかかる。
それは百姓の子供に分けた、不浄の氷。
ほくそ笑む新倉。

その時、三日月藩から、本当の献上氷が届く。
駒田が守って来たのは、囮だったのだ。
聞いていた駒田は、やはり…と肩を落とす。

しょせん自分は、こまった主水。
このような大役が回って来るはずがなかったのだ。
しかし、吉宗は傍らにいる加納の爺に言う。
「囮に使われた男の気持ちが、わかるか?」

そしてこの献上氷は大奥に届けろと言う。
余は、この氷が良い。
人の命を救った氷が不浄なものか。
駒田主水、大儀であった!

ずっと後ろで控えていた駒田が、顔をあげる。
吉宗の顔を見る。
「新さん…」。
駒田の顔が微笑み、涙でぐしゃぐしゃになる。



夏の時代劇の風物詩。
怪談そしてお氷様、お雪様ご一行話。
蟹江敬三さんが、ちょっと抜けているけど人の良い盗賊。
藤岡卓也さんが、お氷係。

この話を見て、わかった。
「暴れん坊将軍」の第1シリーズは、ファンタジーなんだ。
将軍は雲の上の人。
本来なら雲の上にいる人が、私たち庶民のところまで降りてきてくれる。

雲の上の人が、私たちと経験と気持ちを共有する。
私たちの気持ちをわかってくれる。
見えないところで努力した人たちを、見ていてくれる。
そして、その気持ちに報いてくれる。

本当なら日の当たらない人を見て、光を当ててくれる。
まるで神様だ。
神様はいるよ。

見ていてくれるよ。
いいことをすれば、必ず、いいことがあるよ。
そういう夢を見せてくれるのが、「暴れん坊将軍」だったんだ。

ありえないけど、あったらいいなというそういうことを見せてくれる、これはファンタジーなんだ。
これを夢だ、ファンタジーだと言い切ってしまいたくはない。
でもそう言ってしまうほどには、見てきたこともある。
これはそういう人に向けての、希望を与えるファンタジーでもあったんだ。

「必殺」が最後の最後の希望なら、これもまた希望なんだ。
この回を見てはっきり思った。
水戸黄門だって何だってそうなんだよ!
今頃気づいたか!と言われてしまいそうだけど。

蟹江さん演じる仙太は、お氷様を守って小競り合いの最中、橋から百姓の母親と落下。
下に草がふんわり、たくさん生えていたので二人は無事だった。
しかしこの後の出番は、ない。
自称義賊の仙太は、あのお百姓さんたちの村に住み着いて暮らした、と私は勝手に思うことにしました。



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2014.07.24 / Top↑
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