1982年、山本陽子さんが主人公の原口元子役のドラマ。
私はさすがに見ていないのか、覚えていないのか。
記憶にないのですが、私の友人などは原口元子は山本陽子しかいないと今でも断言していました。
だから見る機会に恵まれて、すごく楽しみにしていました。


地味な銀行員の元子は、架空名義の口座が多くあることに気づき、それを黒革の手帳に書き写す。
そして銀行を脅迫し、7500万円を手に入れ、それを元に銀座にクラブを開く。
クラブの名前は「カルネ」。
フランス語で、手帳。

夜の銀座で元子は名を上げて行く。
男に捨てられ、路頭に迷っていた波子を拾ったが、波子はカルネの客の楢林と良い仲になる。
楢林に資金援助してもらい、カルネと同じビルに店を構えると言う波子に元子は激怒。
黒革の手帳のネタで、楢林を脅し、店の開店資金不足に追い込む。

こうして金と権力と名声を持つワルの男たちを手玉に取り、その間を泳ぐようにして、元子は名を上げていく。
だがそんな元子の前に、総会屋のボスの長谷川の秘書の安島富夫が現れる。
政治家の2世だが、自分には才覚がないとどこか、あきらめたようなさびしそうな富夫。

元子の母親は、男性に利用されるだけの女性だった。
母親とは真逆の女性になる。
そう決めたはずの元子は、妻子ある富夫に惹かれていく。


…というストーリーで、元子は最後、自分が利用した男たちすべてから復讐されるんです。
元子に裏口入学のリストで脅された、橋田理事長。
だが元子が安島から手に入れていたリストは、偽物だった。

そんなもの、痛くも痒くもない。
自分を振った女に仕返しするのは痛快だと、元子にタバコの煙を吐きかけて去る橋田。
しかし元子に偽物をつかませた安島は、心が痛んでいた。
橋田にやり手振りを冷やかされた安島は橋田を思わず、殴ってしまう。

だが元子に手を貸すことは、許されない。
彼が娘と公園で遊んだ帰り、ナンバーを隠した車が暴走してくる。
あわや、というところで、彼は娘を抱えて道の端に避難する。
これは長谷川の無言の、元子に同情すれば安島も家族の安全も保障しないという脅しなのだった。

クラブ「ロダン」の買収資金に行き詰まり、追い詰められた元子。
弁護士の川原も、どうにもならないと言った。
前日、カルネでがんばろうと言いあったホステスたちも、元子に退職を願い出る。

たった一人、残された元子は最後の手段として、黒革の手帳を手に、長谷川の事務所を訪れる。
そこには、元子のために責任を取らされて銀行を追われた上司・村井がいた。
彼は総会屋のボスであり、クラブ「ロダン」のパトロンである長谷川に拾われていたのだ。

長谷川の事務所に乗り込んだ元子は、彼が現れて驚く。
元子が黒革の手帳を使って、クラブ「ロダン」を譲るように迫った時、彼は先回りして資金の流れが国税局につかまれないよう、手を打っていた。
さらに「銀座で商売できなくしてやる」と宣言して追い出した波子が、長谷川を「パパ」と呼んで現れる。

ロダンは自分がもらうと笑う波子。
安島が本気で、元子なんか相手にするものかと言われ、元子は逆上。
淫売とののしられた波子と元子は、取っ組み合いのけんかになる。

長谷川と組んでいた不動産屋の田部と長谷川は、女のけんかをおもしろそうに見物する。
軽蔑のまなざしで見ているのは、村井。
波子に階段から落とされた元子は、気絶する。
救急車を呼ばれた元子の耳に、「この人、妊娠していたのね」という声が聞こえてくる。

目を覚ました元子は、目の前に楢林と楢林の忠実な部下であり長年の愛人の中岡がいるのに気が付く。
流産手術を前に、楢林と中岡の笑い声を聞いた元子は「助けてえぇっ!」と絶叫する。
「殺されるぅうっ!」
だが誰も、その声にこたえてくれるものはいなかった。


…という、徹底した破滅で終わる山本陽子さんの「黒革の手帳」。
今現在の元子は、したたかに復活する米倉さんの元子でいいのかもしれません。
これも最後、波子の復讐により、警察がやってくるのに気づいた元子が逃走を図ろうとするところで終わってはいますが。
山本陽子さんのドラマは、女性をいじめるのに定評がある、松本清張先生の「そうでしょう」と言いたくなるような元子の破滅ぶりです。

それにしても、キャストが全員ハマりすぎなぐらい、はまっている。
長谷川の小沢栄太郎さんは、フィクサーがピッタリ。
小さい体に凄みがあります。

楢林の下衆さ、いやらしさを十分すぎるほど表しているのは、三國連太郎さん。
いや~、最後の元子に「心配しなくて良いんだよ~ぉ、私はすご~くうまいんだから~ぁ」って言う口調。
ひゃっひゃっひゃっ、ほっほっほ。
あれは手術前に聞いたら、発狂する。

橋田理事長は、ハナ肇さん。
軽妙な演技もうまいけど、このずるい男もうまい。
村田は、伊藤孝雄さん。
気絶した元子への軽蔑と、どこかまだ未練がましい表情がうまい。

波子は、萬田久子さん。
長谷川の「でかい方が勝ったか」と言うセリフ、当時としては大柄な女性だからでしょう。
綺麗で見ていて、楽しいです。

そして安島の、田村正和さん。
もう、ピッタリ。
苦悩するイケメン、元子が惹かれるのに十分。
今と全然変わらないスタイルにも、ちょっと微笑みが出てしまう。

自分と家族の危険を感じて長谷川に協力するも、元子への思いは嘘ではなかった。
心が痛む。
だけどそんな安島の心を見透かしたように釘を刺す、長谷川の脅しが怖い。

元子に銀座のイロハを教える大ママに、白川由美さん。
この当時、山本さんは40歳、白川さんは46歳らしいです。
何でしょうね、この色気と貫禄。

カルネのホステスで、黒田福美さんも出演。
田部は笑っていても怖い、宮口二郎さん。
川原弁護士は、川合伸旺さん。
中岡は、渡辺美佐子さん。

みんな、すごいハマってます。
もちろん、山本陽子さんの元子の色気と燃える野望はまさに原作から抜け出した元子のよう。
とにかく、山本陽子さんはものすごい美人。
うーん、確かにこれを最初に見た人は、元子こそ山本さんと思ってしまうでしょう。

色気と凄みが、すごいんですよね。
あんな女に見込まれたら、男は破滅してしまうだろうと思わせる。
それでもあんな女と一度、対等に付き合ってみたいと思わせる。
男の勲章になるだろうと思わせるような、そんな女。

しかし安島の子供も流産してしまった元子は、あれからどうなるんでしょう。
破産したし、カルネも人手に渡ったし、安島も失って、狂わず立ち直っていくんでしょうか。
それより、無事に手術室を出られるんでしょうか。
最後に野望が過ぎた元子へのお仕置きとしても、きつすぎる破滅…。



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2014.07.30 / Top↑
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