「吉宗評判記 暴れん坊将軍」に、西沢利明さんが出演されていました。
西沢さんは紀州で三男として暴れん坊だった吉宗と、同じ境遇で仲が良かった友人。
ともにもし、国を治めたらああしよう、こうしようと理想を語り、良い国を作りたいと話していた友人。

吉宗は将軍になり、西沢さんも巡り巡って、藩主となった。
そして話していた通り、庶民に愛される殿になった。
1年に一度、領民を招いての宴に出た殿の床の土台が崩れ、殿は転落して頭を強打した。

それ以来、殿は白痴状態となり、国は荒れた。
吉宗は友人に会いに行くが、代官は吉宗を将軍と知りつつ、曲者として捕らえてしまう。
だが、これには陰謀があった。


…と言う話で、ネタバレしちゃうけど、もちろん、殿の転落は陰謀による事故。
痴呆状態になった殿は、訪ねてきた吉宗の顔もわからない。
おもちゃの蝶々を追いかけ、吉宗に帰れ!帰れとわめく。

城の誰もが殿を嘲る中、ずっと使えてきた奥女中だけは殿に献身的に仕える。
他の奥女中たちは、正室狙いだろうが、あの殿が相手では報われないと笑う。
牢から開放された吉宗とじいは、覆面姿の男たちに襲われる。
そこに助けに入ったのは、何と、吉宗を捕らえた代官だった。

実は代官は、悪代官、鬼とののしられながらも家老たちの仲間になったと見せかけ、殿の事故を探っていた。
そして家老たちの悪事の確証を得た時、殿を守って斬り込もうと思っていたのだ。
吉宗を牢に入れたのも、吉宗の身を案じ、一番安全な牢にかくまおうと思ってのこと。

吉宗とお庭番、代官と奥女中が家老一味と対決した時、呆けていたはずの殿が羽織を脱いだ。
その下は、たすきをかけた戦仕度だった。
白痴となった振りをして、殿は一体誰が獅子身中の虫なのか探っていたのだ。
吉宗への「帰れ」も、陰謀渦巻くこの地に吉宗が来たことを案じ、失望して去らせようとした友情だった。

戦仕度の姿は、吉宗と夢を語り合っていた男の、りりしい姿だった。
友人は何一つ、変わっていなかったのだ。
西沢さんの、見事な演技!

菅貫太郎さんの狂気の殿は世界一ですが、西沢さんの冷徹で残酷なエゴイストな殿もまた、天下一品。
その西沢さんが、白痴となった殿を演じるんですから、これは迫真の演技。
もしかしたらと思っていたら、まさに迫真の演技で悪党たちはみんなだまされていた。
あれは騙される。

スパッと、戦スタイルになった西沢さんのりりしいこと。
吉宗と語り合う知性的なこと。
西沢さんにこういう役をさせた、初期の「暴れん坊将軍」は本当に意欲的な作品だった。

悪党たちを一掃し、忠義の代官を家老に迎え、奥女中を正室に迎え、吉宗と友情を確かめ合って別れる西沢さん。
この役は西沢さんの紳士な面が、うまく生かされていた。
ダンディーな方です。
素敵な俳優さんだと思いました。

知性と優しさが、それはもう、お人柄がにじみ出ていました。
これは演じようとして出るものではない。
改めて、西沢さんのご冥福をお祈りします。


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2014.09.11 / Top↑
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