またまた「吉宗評判記 暴れん坊将軍」ですが、大木実さんが実に味のある役でゲスト出演されていました。
若い頃、極道をやって人を殺め、まだ赤ん坊の息子と妻を置いて家を出た男。
人斬り島蔵と人は呼んだ。

その島蔵が、30年近く経って江戸に帰ってきた。
江戸では将軍吉宗が決めた工事の材木調達を落札した木曽屋が、ライバルから嫌がらせを受けていた。
島蔵は行きがかり上、木曽屋のお嬢さんを助けることになったが、お嬢さんのそばにはいつも、小頭の佐吉がついていた。

そうです。
佐吉が島蔵の息子。
島蔵の息子は、木曽屋で立派に成人していたのです。

そこで島蔵は、密かに木曽屋を守る。
材木の下敷きになるはずの佐吉の袖を引っ張り、佐吉は捻挫ですむ。
まだ安静にと心配するお嬢さんの肩をかりながら、必死に歩く佐吉を影で見守りながら、島蔵は涙する。

立派になった。
こんな極道の息子が、立派な堅気になった。
だからこそ、こんな父親がいてはいけない。

飛び出していって、おぶってやりたい。
しかし、堅気の息子に人斬りの父親がいてはいけない。
だからこそ、江戸を出る前、守り袋に入れた迷子札の、父親の名前を自分は消したのだ。
涙する島蔵。

木曽屋襲撃の先で、島蔵は待ち構えている。
残った材木をダメにし、木曽屋が納入できないようにするために木曽屋に向かう悪党たちの前に島蔵が現れる。
死に花、咲かせる。

大勢を相手に切り結ぶ島蔵だが、劣勢に。
そこに上様の正義の扇子が、飛んでくる。
だが悪党の刃が、佐吉に向かって振り下ろされた。
島蔵は飛び出し、佐吉の代わりに斬られる。

すべてを察した上様の言葉。
苦しい息の下、佐吉が息子だと、うなづく島蔵。
言わねえでくだせえ。
おねげえだ。

わかった。
言わぬぞ。
島蔵は言う。
木曽屋と佐吉を助けてほしい。

わかった。
約束する。
それを聞き届けた島蔵は、目を閉じた。
木曽屋を追い詰めようとした悪徳商人と、結託した深川奉行を成敗した上様。

一件落着した木曽屋のお嬢さんと、佐吉は島蔵の墓をたてた。
花を手向けながら、佐吉はなぜ、島蔵が自分をかばってくれたのかと不思議がる。
上様は答えない。

「なぜかな…」。
そしてそっと、島蔵が持っていた守り袋を水に流す。
これで、いいのだな、島蔵…。


もう、仁侠映画見ている気持ちです。
この回の主役は、大木実さんです。
悪党を演じると怖すぎる迫力の大木さんの、父親であることを隠す切なさ。
暖かさ。
死に花を咲かせる悲壮な決意。

「必殺仕業人」で大木さんは、生き別れの息子を探す、島帰りを演じましたが、あの役も不器用な男の優しさ、悲しさが伝わって来た。
この話は、ほんとにひどい話でした。
「仕留人」では悪辣この上ない男。
この話もほんとにひどい話でした。

「新・仕置人」では半ば狂いかけている男。
狂気と残酷さが印象に残りましたが、こういう役も似合う!
すばらしい俳優さんなんですね。

そしてさすが、上様。
正体を明かさずとも、この人に託せば間違いないという雰囲気をかもし出しているのでしょう。
島蔵は、上様の正体を知らないけど、その確信で上様に木曽屋を託していった。

かくして、不正を働く奉行たちも一新され、改革は前に進んだ。
それは1人の、人斬りと呼ばれた男の献身が生んだものだった。
不思議がる佐吉に、上様は島蔵との約束を守った。
島蔵の笑顔が見えるような、ラストシーン。


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2014.09.17 / Top↑
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