憎くもない弱い人を殺せたのは人間じゃないから

「リミット 刑事の現場」

梅木という刑事が、道を歩いていた女性を突然、刺し殺した犯人に向かって言う。
犯人と被害者の女性に面識はなく、若い男性である犯人は、相手は誰でも良かったと言った。
この男には友人もなく、職業的に未来もないと思い、彼は社会、世の中を恨み、誰でも良いから殺してやろうと凶行に至ったのだった。

梅木刑事「だから何だ。自分が如何に孤独で虐げられてきたか泣きながら話したら、誰かが話をじっと聞いてくれるとでも思ったか!」

「お前はなあ、ただ、強い奴に向かっていくのが怖かった。だから弱い人を選んで刺し殺した。ただそれだけだ」。

「おめえの話なんか、わかってたまるか。てめえがいくらここで長いことくっちゃべっても、お前の気持ちなんかだーれもわかんねえ。みんな自分の人生背負って、精一杯忙しいんだよ。お前の人生に、その退屈な人生につきあってやってる暇はねえんだよ!」

梅木の言葉に、犯人が激昂し始める。
新人刑事が止めに入る。
「確かに今の世の中は、理不尽で不公平でどこに救いを求めれば良いのか、わからない。もしかしたら、一歩間違えれば、俺もこいつみたいになってたかもしれない」。
「もし、彼のSOSを受け止めてくれる奴がどこかにいたら、こんなことにはならなかった。そんな不幸な境遇があったとは梅木さん、思いませんか!」

梅木刑事「違う!それは違う!」
「人間は生きているうちに、殺したいほど憎い奴に出会うことがある。だが普通の人は殺さない殺せない」。

「こいつにも親がいる惚れた男か女かいる。そう思うとそいつが人間に見えて、だから人間は人間を殺さない!そして殺せない」。

「だがこいつは違う!こいつは憎くもない人を弱い人を選んで刺し殺した。なぜそんな事ができたか!それはこいつが人間じゃないからだ!」

「おめえもしっかり踏みとどまって戦え、人間なら!」

「…言ってもお前には遅いか。お前はよ、みんなの為に死んだ方がいい。ばあか」。

無差別殺人の犯人「お前、何言ってんだよ。人権侵害だぞ!」
梅木「お前に人権なんかねえ!」

このシーンを思い出す時が、度々あります。
最近起きた事件が、この事件と同じ類いの事件かはわかりません。
でも、再放送して欲しいと思ってしまうシーンです。


リミット 刑事の現場
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いいセリフ

オンタイムでたまたま視てました。
全話ではないですけれど。

この梅木のキャラクター、最近の武田鉄矢では出色でしたね。
遊川和彦脚本の個性がはっきり出た名セリフだと思います。
こんなむき出しの本音を登場人物に言わせて、ドラマを成立させるとは恐れ入ります。

こうした犯罪を題材に、犯人の内面に入り込まない立場での映画は、木下惠介「衝動殺人・息子よ」1979だったと思います。被害者遺族のドラマを描くこと自体が画期的でした。
それから30年を経て、警察官にこのあからさまな本音を言わせ、犯人を精神的に追い込んでいく展開は、ありそうでなかったと感心していました。

もっともこのドラマ、後半から違う方向に走り出した印象があって、なんだか惜しいような気がしていました。

kaoru1107さん

>kaoru1107さん

>オンタイムでたまたま視てました。
>全話ではないですけれど。

おお~、ご覧になっていましたか。
確か、週末の夜に放送していましたよね。

>この梅木のキャラクター、最近の武田鉄矢では出色でしたね。

ですねえ!
人の良い役を得意とする武田さんが、屈折し、毒を吐く梅木を自然に演じていました。

>遊川和彦脚本の個性がはっきり出た名セリフだと思います。
>こんなむき出しの本音を登場人物に言わせて、ドラマを成立させるとは恐れ入ります。

これは聞いた人の心に残ってしまうセリフですね。
すごく、声を大にして言いたかった言葉なんだろうなと思いました。
kaoru1107さんのおっしゃるとおり、これを言ったらおしまいというセリフを言わせて、それで物語を勧めて行く。
NHKが本気でドラマを作るとすごいとは思っていましたが、これもそういうドラマでした。

>こうした犯罪を題材に、犯人の内面に入り込まない立場での映画は、木下惠介「衝動殺人・息子よ」1979だったと思います。被害者遺族のドラマを描くこと自体が画期的でした。

ああー、この映画も相当前に見たんですが、今でも忘れません。

>それから30年を経て、警察官にこのあからさまな本音を言わせ、犯人を精神的に追い込んでいく展開は、ありそうでなかったと感心していました。

この犯人のこれから。
この被害者家族のこれから。
いろんなことを考えます。

>もっともこのドラマ、後半から違う方向に走り出した印象があって、なんだか惜しいような気がしていました。

この1話のインパクトは相当のものでした。
こんな感じで続いていくのかと思いましたが、後半は梅木がこうなった原因でもある、因縁深い犯人が出所してきての展開。
「罪と赦し」、映画「セブン」に通じる世界になって来ました。
これはこれで見応えあったのですが、前半の迫力は今でも誰が見ても引き込まれると思います。
たくさんの人が見て、考えるドラマだと思います。

いつもすばらしいコメントありがとうございます。
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Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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