密かな欲望 「悪霊の午後」

もう、ずいぶん前に見たドラマです。
後に遠藤周作氏の原作だと知りました。
「悪霊の午後」。
タイトルですが、私は「悪霊『たちの』午後」と、間違えて覚えてました。


大学の語学講師で作家の主人公の藤綱の教え子であった、南条が自動車事故でなくなる。
南条の妻の英子は美しく、夫の死にショックを受けていたようであった。
藤綱は南条の友人の菊池の勧めで、英子を秘書に迎える。
菊池は密かに、英子を想っているようだった。

だが英子は自宅とは違う方向に帰宅し、あるマンションに男性と連れ立って入っていくなど、不審な行動が目立つようになる。
藤綱には、南条の死の原因もただの自動車事故とは考えられなくなっていく。
まだ、夫の喪が明けていないというのに…。

考えた結果、藤綱は英子に、秘書を辞めてもらった。
英子は次に画廊に勤めだした。
そこで英子は、有名な画家と付き合い始めた。

初老の画家こそが、英子とマンションに入っていった男性だった。
英子をつけていた菊池は、そのマンションで初老の画家が赤ん坊のようになり、英子に世話をされていくことを知る。
やがて英子を調べていくと、学生時代、英子と付き合っていたまじめな生徒が万引きで退学したことがわかる。

英子には、人の心の奥底に潜んでいる願望を引き出す魔力があったのだ。
それを表に出せば、社会生活が壊れるような、それゆえに理性で押さえている願望。
英子はそう言った願望を引き出し、開放する力があった。
それこそ、魔力。

やがて菊池は英子によって、人を殺したい願望を引き出させられ、男女関係にあった女性を殺すにいたる。
英子の力を探ろうとした精神科医は、英子に催眠をかける。
深層催眠によって、英子の正体を知ろうとしたのだ。

英子は苦しみだす。
催眠はさらに、深く、深く、かけられる。
確信に迫ろうとした時、突然、英子の目が開いた。
ギョッとする精神科医に向かい、英子は微笑んだ。

それ以来、精神科医は行方不明になった。
藤綱は編集者に誘われ、ゲイバーに入った。
美しいミスターレディたちが、藤綱を囲む。

藤綱に「あら。先生!」という声が、かかる。
それは、あの精神科医だった。
精神科医には、女性になりたい願望があったのだ。

再び英子に会った藤綱もまた、密かな願望を引き出されてしまう。
藤綱には、自殺願望があった。
自殺願望と藤綱は戦う。

だがある夜、引き寄せられるように藤綱は、ビルの屋上に向かう。
その後を妻が追う。
藤綱が飛び降りようとした時、妻が叫ぶ。

私から、この人を取らないで!
あっちへ行って!
稲光が光り、落雷する。

藤綱は、文字通り、憑き物が落ちたように我に帰る。
悪夢から覚めた藤綱が、道を歩いていく。
その時、向こうから、ほんの少し、微笑みながら歩いてきたのは英子だった。
去っていく英子を、藤綱が見送る。



ずいぶん前に見たドラマなので、間違えているところもあるかと思います。
美しいが派手ではなく、どちらかというと控えめな英子。
その英子の正体が徐々に、露わになっていく。

赤ん坊になっている初老の画家。
女装してはしゃぐ精神科医。
人を殺す友人。
ショッキングでした。

最後の英子の微笑を見ると、悪意があってやっていそうなんですよねえ。
英子は、悪霊に取り付かれているのか。
いや英子こそが、悪霊なのか。

微笑みながら英子が人を見つめる時、人はその、やってはいけない押さえている願望を引き出させられる。
そして破滅する。
本人はむしろ、解放されて幸福そうではありますが。
英子自身は手を下していないから、非常に厄介な存在です。

藤綱は、英子の悪霊に勝った。
いや、妻の愛情が、悪霊を追い払ったのだ。
だが、英子はこの先もまた、あの微笑で犠牲者を増やすのか。
不気味な暗示で、ドラマは終わりました。

英子は、秋吉久美子さん。
これは鮮明に覚えている。
適役でした。
悪気がないようでありそうな女性に、ピッタリでした。



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ちゃーすけ様こんにちは。私もこのドラマ覚えてます! 20年以上前に観ましたけど最後に主人公の男性が辺り一面真っ黄色に色づくイチョウ並木を歩いていると向こうから真っ赤なコートを着た秋吉久美子演じる悪魔が歩いてきて無言ですれ違う場面がとても美しく、印象に残ってます。

なかさん

>ちゃーすけ様こんにちは。

こんにちは。
いつもありがとうございます。

>私もこのドラマ覚えてます!

え~、ほんとに!
うれしいです。

>20年以上前に観ましたけど最後に主人公の男性が辺り一面真っ黄色に色づくイチョウ並木を歩いていると向こうから真っ赤なコートを着た秋吉久美子演じる悪魔が歩いてきて無言ですれ違う場面がとても美しく、印象に残ってます。

そうそう、最後のシーンがすごく印象的なんです。
秋吉さんの姿を認めて、音楽が変わって。
悪魔とすれ違う、これからに不安を持たせて終わりでした。
おもしろかったですよね!
うわ~、覚えている方がいらっしゃるなんて、感激です。

通りすがりの者です

初めまして。 懐かしい作品が話題になっていたので
書き込ませていただきます。この作品は当時、自分も観て
すごいインパクトを受けました。
(当時の特撮専門誌「(旧)宇宙船」の誌上でもちょっと話題に
なっています~まともな紹介記事ではないですが。)

魔女の設定ですが、秋吉久美子演じるダークヒロインの父親が
海外出張の商社マンかなにかで、バリ島で物乞いのように
なっていた土着の老人を蹴飛ばし、重傷を負わせたところ
実はその相手は呪術師で、それで恨みを買って幼い娘=秋吉に
悪魔を憑依させた、という過去の経緯が劇中で語られたはずです。

各人の内面の秘めた欲望を顕現させて社会的に破滅させる悪魔の
能力とあわせて、このオカルト的な設定がすごく強烈でした。

録画しなかったのが返す返すも残念です。
大庭久美子の「濡れた心」のように、今からでもDVDになって
ほしいと思います。

ヨシトSさん

>ヨシトSさん

はじめまして。
訪問ありがとうございます。
返信が遅くなり、申し訳ありません。

>懐かしい作品が話題になっていたので
>書き込ませていただきます。この作品は当時、自分も観て
>すごいインパクトを受けました。

あー、ご存じの方がいらっしゃって、うれしいです!
これは忘れられないですよね。
秋吉さんは、こういう役が似合います。

>(当時の特撮専門誌「(旧)宇宙船」の誌上でもちょっと話題に
>なっています~まともな紹介記事ではないですが。)

そうなんですか。

>魔女の設定ですが、秋吉久美子演じるダークヒロインの父親が
>海外出張の商社マンかなにかで、バリ島で物乞いのように
>なっていた土着の老人を蹴飛ばし、重傷を負わせたところ
>実はその相手は呪術師で、それで恨みを買って幼い娘=秋吉に
>悪魔を憑依させた、という過去の経緯が劇中で語られたはずです。

ここはまったく、記憶から抜け落ちてました。
なるほど。

>各人の内面の秘めた欲望を顕現させて社会的に破滅させる悪魔の
>能力とあわせて、このオカルト的な設定がすごく強烈でした。

表面化させたら、社会的には普通の生活は送れなくなる。
だから理性で抑えているものを開放させる。
本人も周りも破滅させる。
すごく悪魔的な能力ですね。
クリスチャンの遠藤先生、さすが。

>録画しなかったのが返す返すも残念です。
>大庭久美子の「濡れた心」のように、今からでもDVDになって
>ほしいと思います。

DVD化してほしいですね~。
映画並みに楽しめると思います。
そういう秀逸な二時間ドラマ、たくさんあります。
原版残っててほしいです。

コメントありがとうございました。
良ければまた来てくださいね。
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ちゃーすけ

Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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