全部、ネタバレしています。
未見の方は、ご注意ください。


きよしこの夜が流れる。
灯りがもれる、大きな屋敷。
外の木には、イルミネーションがきらめく。

ここは女子寮。
クリスマスのパーティが開かれている。
いくつもの中庭に面した窓にも、光る星が飾られている。

荒い息遣いとともに、地面を踏みしめる音が聞こえる。
女子寮からは、笑い声が外に漏れてくる。
何者かの影が、画面を覆う。
影は、窓の中をのぞきこんでいるように見える。

「だあれ、開けっ放しにして。やばいじゃないの」。
寮生の1人、バーバラが階段を下りてきて、ドアの鍵を閉める。
荒い息遣いがする。
影が画面を覆う。

誰かがいる。
ここはダメ。
ここも…。
影は侵入できるところを、探しているようだった。

だが、どこにも侵入できそうな場所はない。
見渡していたその視線は、横にそれる。
手が伸びる。

柵に手がかかり、乗り越える。
はしごを上っていく。
女子寮で、電話が鳴る。

ジェスという長い黒髪の女性が、電話を取る。
電話はバーバラに母親からだった。
その間、はしごを上りきった誰かは、窓にたどり着く。

たどり着いた窓は、開いた。
そこは屋根裏の物置だった。
古い木馬のおもちゃ。
下がっている鳥かご。

床にある、四角い出入口が開く。
暗い部屋と対照的に、その四角から見える隙間には階下の光があった。
誰かが、その四角い出口から下に降りてくる。
笑い声、パーティの喧騒が聞こえる。

「バイバイ」
「おやすみなさい」。
招かれた客たちが、次々帰っていく。

「おやすみなさい」。
「メリークリスマス」。
「おもしろかったわね」。

バーバラという女子学生は、母親と電話で話している。
「ひどいわ。男の人とでしょ。私は邪魔者ってわけね」。
バーバラの会話。

誰かは、はしごから床に降りた。
すると、その視線の先にはもう、階段の手すりのところで電話しているバーバラが見える…。
恋人を明日、父親に会わせるクレアという寮生がいる。
明日の約束の時間を確認し、彼は帰っていく。

母親が旅行に行くため、バーバラはクリスマス休暇に家に帰ることができなくなった。
通りかかる人みんなをスキーに誘うバーバラに、ジェスは「いいわね」と返事をした。
再び、鳴り響く電話。
ジェスが取る。

「もしもし?もしもし?だあれ?」
「ねえ、静かにして、またかかってきたの!あの変なやつ!」と、ジェスがみんなに向かって叫ぶ。
「しーっ」。
女子学生たちが、電話の周りに集まる。

その電話は、最近、頻繁に寮にかかってくるワイセツないたずら電話だった。
「何をするんだ。うるさいぞお、はははは」。
「手が込んできたわね」と、フィルという寮生が言う。
「ひとりでやってるのかしら?」

声は続ける。
「あーっ、あーっ、わかるだろう?あれだよ、あれだ」。
「わははは。ひぃいいいい。はははは。豚のあれさ。豚のあれさ」。
「なめさせろ、なめさせろよお、わかってんだろう。はははは」。

みんな、息を詰めて聞いている。
ついにバーバラが電話に向かって、「いつまでやってるのよ、変態!」と怒鳴った。
「そんなに突っ込みたきゃ、電気のソケットにどう!びりっとするわよ!」
怒った声が「殺してやるやるからな」と言って、電話は切れた。

「今日は強烈だったわね」。
クレアはバーバラに「あんな、相手を煽り立てるようなこと言っちゃ、ダメじゃない」。
するとバーバラは「クレア、あんたも一回、やられてみりゃいいのよ」と言った。

クレアは「私、上で荷造りするわ」と言って去っていく。
ジェスは「あんな内気な子をからかうなんて」と、バーバラをたしなめた。
寮長のマックが、買い物から帰ってきた。

クレアの部屋に、マックの猫のクロードが入り込んでいた。
「あらあ。こんなとこにいたの?クロード。マックさんが心配するじゃないの」。
そう言ってクレアはクロードを抱き上げた後、帰省の支度をし始める。

「そうだわ」。
クレアは、クローゼットから服を取り、持って行く。
トランクに詰める。

クローゼットに残った、服をかけてあったハンガーにはビニールがかかっていた。
そのビニールが、風もないのに揺れた。
ビニール越しの鈍くなった視界で誰かがクレアを見ている。
クレアの後姿が小さくなっていく。

誰かが、クレアの姿を見ている。
クローゼットの中、服にかけるビニール越しに、クレアの姿がゆがんで見える。
ビニールが揺れ、クレアの姿も揺れる。

突然、クロードが鋭い鳴き声をあげた。
鳴き声は、長く尾を引き始める。
「クロード?誰?」
クロードの鳴き声が、威嚇に変わる。

不審に思ったクレアは、恐る恐るクローゼットに近寄っていく。
「誰?」
突然、誰かがクレアの首をつかんだ。
突如、クレアにビニールがかけられる。

クレアが悲鳴を上げる。
階下では女子寮のみんなが、マックにプレゼントしたパジャマを見て、沸き立っていた。
クレアの悲鳴は、笑い声にかき消された。

やがて、ジーンズの足が、階段の踊り場に見える。
壁にだらりと手を伸ばしたクレアを、誰かが担いでいるシルエットが映る。
足は階下に下りていく。
バタン、と音がして、屋根裏に続く四角い小さなドアが閉まった。

寮長は禁止されている酒のボトルを、本をくりぬいた中や、トイレの水槽の中に隠していて飲んでいた。
鳴り響く電話。
どきりとして、ジェスとフィルが顔を見合わせる。

フィルが電話を取った。
そしてほっとした声で「ジェス、電話。ピーター、彼氏からよ」と伝えた。
電話はジェスの恋人、ピアニストを目指している音楽学校生のピーターからだった。

ピーターは4日続けて、試験のための練習をしていたため、パーティにも来られなかった。
「声が変だね。どうかした?」
「ちょっと会いたいの」。
「もう、3日も眠ってないんだ。そんな暇ないよ」。

ジェスは明日、じかに話したいことがあるからどこかで会ってくれと頼んだ。
ピーターは、明日30番教室にずっといると言った。
「ごめんね、きついこと言って。愛してるよ」。
ピーターはそう言って、電話を切った。

ジェスは眠る前、クレアの部屋の前でクレアの名前を呼んだが、返事はなかった。
クレアの死体は、ゆり椅子に乗せられ、窓辺に置かれていた。
ビニールに覆われたクレアの表情は、恐怖に目と口を大きく見開いたままだった。
クレアを座らせた誰かは、屋根裏で楽しそうに歌を歌っていた。

翌日、クレアの父親のハリソンはクレアを待ち合わせの場所で待っていた。
だが、娘は来なかった。
子供に衝突され、よろめいたハロランは、ピーターに助けられた。

クレアの名前を聞いたハリソンは、ピーターに女子寮を教えてもらって訪ねていく。
ハリソンは、女子寮の様子に失望した。
ちっとも学生らしくない。
痛い指摘をされたマックは、何とか愛想笑いで取り繕う。

そしてハリソンに車を出してもらって乗っていくことになったマックは、身支度をしていた。
そこにクロードの鳴き声がしてくる。
「お前、どこにいるの?」
猫の声はするが、だが姿は見えない。

ぶつぶつと怒っているところを、ハリソンに聞かれたマックはあわてて階下に下りる。
寮の外には、車が来ていた。
ハリソンとマックが乗っていく。
それを誰かが、屋根裏の窓から見下ろしている。

窓の脇、クレアのビニールがかかったままの死体は、椅子に座っていた。
翌日、ジェスはピーターに子供ができたことを伝えた。
そして、生むつもりはないことも告白した。

ピーターは生んでくれと頼むが、ジェスは今は生めないと手術を受ける覚悟であると言う。
「自分の都合しか考えないのかい?」
ピーターはいらだった。

「そうじゃなくても今すぐ生むわけにはいかないでしょう」。
「今日、僕の試験があることを知っているだろう」。
「知っているわ」。

「じゃあ出てってくれ」。
ジェスは立ち上がった。
「今夜話そう。9時ごろ行くから」。
ピーターの言葉にジェスは「決心は変えないつもり」と言って出て行った。

帰ったジェスは、鳴り響く電話を取った。
電話の声は「ビリー!」と叫んだ。
「違うわ、間違いよ」。

だが電話の声は、お構いなしに続けた。
「ビリー返事をしろ!」
「違うったら、番号が違うのよ!」
そう言うと、ジェスは電話を切った。

翌日、ハリソンととバーバラは警察に行った。
警官のナッシュはクレアの失踪を、本気では受け取っていなかった。
クリスマスに蒸発する娘の行き先は、恋人の家だと相場が決まっていると言い、ハリソンは憤慨した。

妹の家に帰省するマックが仕度をしている時、ジェスは夕べの電話の話をした。
「気味が悪いの。変な男がわめいたり、怒鳴ったり」。
マックはクレアの父親のハリソンが訪ねてきて、クレアを探していたことを話す。
それを聞いたジェスはクレアの恋人のクリスを訪ね、クリスの行きそうな場所を聞いた。

自分たちは警察にも行ったが、警官は本気にしてくれないことも言った。
ピーターのピアノの実技の試験は、散々な結果だった。
放課後、誰もいない教室でピーターはピアノを椅子で打ち壊した。

その頃、警察には13歳の娘が戻ってこないと、母親が相談に来ていた。
娘が行ったはずの友達の家に、娘は来ていなかった。
その時、クレアの恋人のクリスは、警官のナッシュのところに怒鳴り込んでいた。
様子を見ていたフラー警部が、ナッシュの代わりに訴えを請け負ってくれた。

クレアの父親のハリソンは、家に帰るのをやめたため寮で夕食を振舞われていた。
その最中、バーバラは卑猥な話を持ち出した。
バーバラはしかし、突然、黙ると「あたしのせいなんでしょ?」とつぶやいた。
「そんなこと言ってないわよ」。

「わかってるわよ。すべてあたしがクレアにひどいこと、言ったせいなのよね。みんな心でそう思ってる!」
「バーバラ、飲みすぎよ。上で休んだら?」と、フィルが言った。
「ふん…、そうね。じゃあ」。
クレアが失踪したことで、彼女をからかったバーバラは罪の意識にさいなまれていたのだ。

外から、誰かがその食卓の様子をのぞきこんでいるようだった。
ジェスとクリス、フィルとハリソンが、いなくなった子供の捜索に協力するために公園に出かけた。
警察犬も出ていた。

出掛けるフィルにマックが「戻ってきたら自分はいないかもしれないが、妹の家に行くから」と言った。
子供の捜索が始まった。
そんな中、誰かが女子寮の外に立ち、そして女子寮を見て、そっと道端に座り込んだ。

マックが酔って歌っている間、クレアの遺体をクロードがなめていた。
クロードの声に気づいたマックは、「クロード?何してるの?出ておいで」と声をかけた。
猫の声は一層、高くなり、マックも異常を感じた。

屋敷の中を探していたマックは、梯子の上、屋根裏から声が聞こえることに気が付いた。
「どうしてそんなとこに上がったの…、嫌ね」。
そう言うと、マックは梯子を上り始めた。

外でマックが呼んだタクシーが、待ちきれずにクラクションを鳴らし始めた。
四角い、床にあいた出入口から屋根裏部屋の物置に向かってマックの頭がのぞいた。
マックの頭の後、暗闇の中、誰かが、物を持ち上げるために天井に備え付けられたクレーンの金具を握り締めて待っていた。

屋根裏を覗き込んだマックは「嫌だ、汚い。いつか掃除しなくちゃ」とつぶやいた。
床から頭だけを出した状態で、マックは猫の名を呼んでいた。
中が暗くてよく見えない。
だが、外の明かりで窓の近くがぼんやりと見えた。

何がある。
マックが目を凝らした。
ビニールに頭を覆われ、口を開けて座っているクレアだった。
口の部分のビニールは、クレアが空気を求めて開いた口に吸い込まれるようにへこんでいた。

マックが息を呑んだとき、うめき声がした。
恐る恐る振り返ったマックに向かって、クレーンの金具が飛んでくる。
マック悲鳴が鳴り響く。

梯子から出ていた、マックの足が上に向かって引っ込む。
マックの赤いハイヒールが落ちる。
暗闇の階上にマックの足が上がり、四角い暗い出入口から、マックの悲鳴がほとばしる。

待ちくたびれたタクシーの運転手が、女子寮に歩いてくる。
窓からのぞくが、何も見えない。
「誰もいないのか?」
屋根裏への、四角い出入口が閉まる。

敷地から出て行く運転手と、去っていくタクシーを屋根裏から見ていた誰かが声を上げる。
窓際にはクレアがいる。
その誰かは、大騒ぎをして、屋根裏の中のものを崩した。

子供の捜索をしている公園で、1人の女性の絶叫があがる。
犬のほえる声が集まってくる。
「デニス!」

子供の名を呼び、母親が走ってくる。
そして絶叫する…。
子供は、遺体で見つかった。

捜索から、ジェスが帰ってくる。
電話が鳴り響く。
ジェスが電話を取ると、「ああっ、ああっ!」という声が聞こえてくる。
あの電話だ。

「どういうつもり!どうしてこんなことするの!」
「ビリー!お前がやったんだなビリー!どうしてこんなことするんだ!」
「もう耐えられないわ!」

異様な声の調子に我慢ができなくなったジェスが、電話を切る。
そしてマックを探しに行く。
いない。

ジェスはダイヤルを回し、警察に電話をした。
警官のナッシュは、相変わらずのらりくらりと対応する。
「いつ?電話局に言いましたか?公園で子供が殺されて急がしいんですよ。男の子の嫌がらせじゃないかな?」

再び、ハリソンとクリス、フィルが警察署に行く。
しかし、ナッシュはさっさと引っ込んでしまった。
フラー警部補が、ハリソンたちに応対してくれた。
「子供が殺され、女子学生がいなくなった。そして女子寮に妙な電話がかかってくる。これは関連があるんじゃないか?」とナッシュをにらみつけた。

寮では、電話しているジェスの背後から、ピーターがジェスの肩をつかんだ。
「あたし、息が止まるかと思ったわ!」
驚いたジェスが抗議した。
「上でちょっと眠ってたんだ」。

ピーターは大学を辞めて結婚しようと、ジェスに言った。
「8年間、ピアニストを目指してやってきたが、もううんざりした」。
だがジェスは「夢を捨てるつもりはない、結婚は無理」と言った。

「あなたとは結婚したくないの」。
「わかった。子供は?」
ジェスは手術をするつもりだった。

「いくらなんでも勝手過ぎる!」とピーターは怒った。
「赤ん坊を、腫れ物でも潰すように始末するなんて!」
「子供のことは、黙っていようと思ったのよ…」。

「そんなの、あんまりじゃないか」。
「でもあなたに何ができるの!」
「今に後悔するよ」。
そう言うと、ピーターは出て行った。

出て行くピーターと、フラー警部補がすれ違った。
警部補は、去っていくピーターの後姿をジッと目で追った。
電話機に、逆探知の装置をつける。
この電話を取ると、警察でも会話を聞けるようにする。

警部補は、ジェスとフィルと一緒にクレアの部屋に入った。
クレアのトランクは開けっ放しで、荷作りの途中であることがわかった。
いつも寮には10人がいるが、今はジェスと部屋で寝ているバーバラ、フィルだけだった。


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2015.03.23 / Top↑
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