子供の頃。
夜中にふと、目が覚めた。
テレビがつけっぱなしになっていた。

親が起きて見ていたかは、覚えていない。
テレビには、古い映画らしい、白黒の画が映っていた。
その白黒の画の中の、酷薄そうな男は静かに、冷ややかに言った。
「カリガリ博士だ」。

覚えているのは、これだけ。
何の映画かもわからない。
夢だったのかもしれない。

カリガリ…、カリガリ。
人の名前だった。
そんな名前の夢が、あるものか?

それから何年も経って、オールナイトの映画館で、古い映画の上映があった。
その中のタイトルのひとつに「カリガリ博士」があった。

カリガリ…、カリガリ。
これは、あの映画?!
夢じゃなかった。

カリガリ博士という映画を、ばっちり記憶に残した。
そしてまたその何年か後。
ついにその白黒映画のビデオを見る機会があった。

ドイツの有名な、サイレント映画らしいということも知った。
しかし…、サイレント映画。
サイレント映画なら、酷薄な感じの男が「カリガリ博士だ」と名乗ったりしない。

映画は、サイレントで、不気味な雰囲気に溢れていた。
美術もなかなかで、映画史を語る上で欠かせない映画であると思った。
しかし、私が子供の頃見た、夜中の夢のような映画ではなかった。
自分が見たのは、何だったのかー!

そしてまた、何年か後。
「怪人カリガリ博士」というアメリカ映画があることを知った。
話からしてどうもこれこそが、酷薄な男が「カリガリ博士だ」と言った映画らしい。
しかし、確かめる術はない。

さらに時間が経って、今。
そのDVDを見ることができそうになっている!
子供の頃の、夢のような記憶に、私は会えるのだろうか。
あの酷薄な男は、私に向かって「カリガリ博士だ」と言うのだろうか!


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2015.02.25 / Top↑
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