オトウサン…。 「チェンジリング」(3)

全部、ネタバレしてます。


翌日、夫人の息子の手伝いで床板が切られていく。
井戸が見つかったらしい。
ラッセルが床の穴に、下りていく。

土で埋められた井戸を、ラッセルが掘っていく。
何かが見つかった。
「ちょっと、懐中電灯を。何かあるみたいだ」。

ラッセルが土をどけていく。
骨だ。
「白骨だ。人間の手の」。
「警察に電話しなきゃ」と、ミセス・グレイが走っていく。

死後50年の人間の骨だった。
「何か心当たりは?」と刑事が聞いた。
「ない」。
刑事が訝しげな顔をする。

クレアは「何もかも話せば良かったのに」と言ったが、証拠がない。
メダルが見つかれば、証拠になる。
まだ見つかっていない。

クレアと別れた後、ラッセルは無人となったグレイの家に戻ってきた。
ガラスを割り、中に入る。
床下の穴にもぐりこむ。

土を掘り始めるが、手では掘れる量は高が知れている。
その時、土から何かがするすると現れ始めた。
光っている。

極細のチェーンだ。
まるでミミズが這い出てくるように、チェーンが土から出てくる。
その先端には、メダルがあった。

ラッセルが身をかがめて、それを手に取る。
メダルはジョセフのものだった。
夜明け、ラッセルはクレアを訪ねた。

「セントポール協会、1900年9月8日。ジョセフ・カトリック・カーマイケル」。
「あったのね」。
クレアは警察に言うように進言するが、ラッセルは警察は取り合わないと言う。
70年も前に事件だ。

ラッセルは飛行場で、カーマイケル上院議員を訪ねた。
警備員に阻止されながらも、ラッセルはメダルを掲げる。
議員がギョッとする。

「これにはあなたの名前が彫ってあるんです。死体と一緒に埋められていました」。
「早く出せ!」
上院議員はすぐに専用機を発たせ、警察の上層部に連絡を取らせた。

デビッド警部を呼べと、議員は言った。
その上院議員の胸にも、同じメダルが掛かっていた。
おそらく、偽物の。

ラッセルが家に戻ると、家中が鳴動した。
ドアと言うドアが、閉じていく。
「少しわがままだぞ!私にどうしろと。これ以上、どうしろと言うんだ!できるだけのことはしたんだ!これ以上は何もできんよ!」
ラッセルは怒って叫んだ。

その後、ソファで眠り込んだラッセルを、デビッド警部が訪ねてきた。
警部はラッセルが、人の家で人間の白骨を掘り出したことを指摘した。
そして今朝、飛行場で議員を呼び止めたことを非難した。
さらに、上院議員がなくしたメダルを預かっているだろうと言って、メダルを出すように迫った。

「何のことかわからんな」。
その時、クレアが訪ねてきた。
「頭に来ちゃったのよ、今朝…」と言いかけたところで、警部がいるのに気が付いた。

警部はメダルを出さないのなら、家宅捜査すると言った。
ラッセルはどうぞと言って、警部を帰した。
クレアは協会が突然、自分を解雇したこと、この家の借家契約を取り消されたことを怒った。

何の説明もなかった。
議員の圧力が掛かったのだろう。
ため息をついてラッセルは階段に座り込んだ。
誰かが屋根裏部屋から降りてきて、ラッセルを階段の上から見つめているようだった。

ラッセルは歩き、鏡の前に立った。
突然、鏡が割れ、鏡の中に警部の血まみれの顔が映った。
電話が鳴った。

クレアからの電話だった。
いきなりクレアの前を一台の車が走ってきて、道路の真ん中でひっくり返った。
他の車と接触したわけでもなかった。

そのひっくり返った車は、先に帰ったはずのデビッド警部の車だった。
警部は即死だった。
割れたガラスの中、恐怖に引きつった警部の顔は、さきほどラッセルが割れた鏡の中に映った顔とまったく同じだった。

帰ってきたカーマイケル上院議員が、警部に電話をする。
そして、警部が事故にあって亡くなったことを知る。
「何てことだ!」

上院議員は、家にラッセルを呼び寄せた。
「議員がお待ちです」。
ラッセルは議員の執務室に通された。

クレアはラッセルの館に電話をかけ続けたが、話中だった。
たまらなくなったクレアは、ラッセルの館に行く。
「心当たりがあるはずです。だから私を呼んだんでしょう」。
「忙しいんだ」。

ラッセルはチェスマンハウスで妙なことが起きる話をした。
あそこには、何かがいる。
「空港でお話しようとしたのは、これのことです」。
ラッセルはメダルを取り出した。

「なくしたと言ったそうですね。でもこれは少年が埋まっていた古井戸で私が見つけたんです」。
「これは私の推測ですが、間違ってはいないはずです」。
「病弱だった少年は、あの家の屋根裏部屋で殺されたんですよ」とラッセルは言った。

「私はその光景を見たんです。リチャード・カーマイケル、つまりあなたの父親が実の子供、ジョセフ・カーマイケルを殺したんです」。

議員は鋭い目で、ラッセルを凝視していた。
「そして替え玉の少年が孤児院から連れてこられ、スイスに連れて行かれて、病気が治ったと偽って帰国し、遺産を相続した。その替え玉は、あなただ」。

ラッセルも目をそらさなかった。
議員が近づいてくる。
「なるほど。うまくでっちあげたな」。
「そう言いたいでしょうね」。

「いくらだ」。
議員は小切手帳を取り出し、金額をうながした。
「冗談じゃない」。
「とぼけるな。ばかばかしい話をでっちあげて、いくらほしい」。

「ゆすりに来たんじゃ、ありません」。
「わしはな、君のような手合いは長年、扱い慣れてるよ」。
「真実は隠しおおせるものじゃない」。
「あなたにもこれが、真実だとわかるはずだ」。

議員はラッセルをにらみつけると、「出て行け!」と命じた。
「ここにあるものすべてがあなたのものじゃない!」とラッセルは手を広げた。
「さっさと出て行け!でたらめもいいかげんにしろ!」
「ここにあるものは、すべて、死んだ少年のもの!」

ラッセルは議員を指差して、「知らないとは言わせない!」と言った。
「あなたは本当のジョセフじゃない。残酷際まる殺人者からのおこぼれに預かった、哀れな替え玉だ!」
「違う!わしの父は断じて人殺しではない!」
今度は議員が叫んだ。

「そんなことは、誰にも言わせんぞ!父は偉大な人だった」。
テーブルの上には、リチャードの肖像画が写真立てに入れられて置いてあった。
「愛情に溢れた…、その父をあろうことか、言うにことかいて…、人殺しなどと…、許せんぞ!」
「父の名誉を傷つけるようなことは、誰にも言わせない!」

ラッセルはかばんから、封筒を取り出した。
「役所の記録室で探した、資料と降霊術の録音テープです。コピーはありません。どうぞ。私はもう、要りませんから」。
そう言うとラッセルは「失礼」と言って出て行こうとした。

「ラッセル!もしも君がこのことを一言でも口外したら…」。
断固とした口調だった。
「誰にだろうと!一言でも!わしは君を許さん!それだけは覚えておけ!」
ラッセルは冷ややかな、哀れみの目で議員を見ると、無言で出て行った。

「何かあったんですか?」
秘書がやってきた。
「何もない!あっちへ行け!一人にしてくれ!」

クレアがチェスマンハウスへ到着した。
灯りはついていた。
ドアをノックしようとすると、玄関のドアはひとりでに開いた。

訝しげな顔をしたが、クレアは「ジョン」と呼びかけながら入ってきた。
「何度も電話した…」。
その時、「待っていたんだ」と声がした。

「ジョン?どこにいるの?」
クレアは声がした方へ、階段を上っていく。
踊り場で、2階を見渡した。
誰もいない。

クレアは、さらに上に登っていく。
「クレア」。
「ジョン、何をしているの?」

「ジョン?」
「上だよ」。
「ジョン?」
クレアは屋根裏に到達した。

「クレア、もっと上だ」。
クレアは屋根裏へ行く。
ドアを開ける。

「ジョン」。
「お願い、あたし、そこに登っていきたくないの」。
「クレア」。
「ジョン?」

クレアは屋根裏部屋のドアを開けた。
部屋には誰もいなかった。
すると、車椅子がひとりでに回転し、クレアの方を向いた。
クレアは悲鳴を上げ、階段を駆け下りていく。

その後を、車椅子が走って追う。
クレアは下へ走っていく。
必死に走るクレアは、階下へ転落した。
悲鳴をあげたクレアに、ジョンが駆け寄る。

「大丈夫、落ち着いて!」
「あなたが、あなたが上にいると思って!」
シャンデリアが揺れていた。

「あなたの声が、あなたの声が、ほんとに聞こえたのよ!」
クレアと一緒に外に出たジョンは、クレアに車の中にいるように言うが、クレアは「ダメ!」と叫んだ。
家の中に戻ってはいけない!

「大丈夫、すぐ戻る」。
家に戻ったラッセルは「なぜ!もうやめろ!」と叫び、階段を上ろうとした。
風が吹いてきた。

ラッセルが途中で止まらなくてはいけないほど、強い風だった。
風は、うなり声をあげていた。
ラッセルは手すりに捕まりながら、階段を上りきった。
風で扉が開き、ラッセルが押し出される。

踊り場から手すりにぶら下がったラッセルは、風で階下に落ちた。
倒れたまま、動けない。
階段の手すりを、炎が降りてくる。
炎は階段を下り、ラッセルの1階までやってきた。

その頃、議員はメダルを見つめていた。
父親の肖像画に、そのメダルをかけたときだった。
「オトウサン…」。
「オトウサン…、オトウサン」。

議員は肖像画を凝視した。
「僕のメダル…」。
「ぼくの、メダル…」。
「オトウサン…」。

メダルが揺れ始めた。
いや、肖像画が揺れている。
肖像画だけではない。
机が揺れている。

肖像画を見ている議員の顔が、赤く照らされている。
「オトウサン、僕のメダル…」。
議員も揺れている。
だが憑かれたように、目が離せない。

「僕のメダルぅ…」。
「オトウサン」。
「僕のメダル」。

「僕のメダル」。
「僕のメダル」。
声がこだまする。

議員はチェスマンハウスにいた。
炎に包まれた階段を上っていく。
「僕のメダル」。

議員が階段を上りきった時、炎の中、階段は崩落した。
シャンデリアが揺れている。
ラッセルは倒れたまま、それを見ていた。

館中に、あの音がこだましていた。
シャンデリアが落ちてくる。
ジョンは体をかわし、避けた。

「ジョン!」
クレアがドアを叩いていた。
ラッセルはよろよろと外に出ると、クレアの車に乗り、チェスマンハウスを離れた。
「僕のお父さん」。

「僕のお父さん」。
「僕のお父さん」。
屋敷の窓と言う窓が、明るい。
3階の屋根裏部屋の窓も、炎を映して明るい。

議員は屋根裏部屋へ向かっていた。
「お父さんお願い」。
「お父さんやめて」。
「たすけてええ」。

ごおん、ごおん。
音が響く。
「お父さん、やめて」。

ジョセフの脚を、リチャードが持っている。
少年が、もがく。
部屋中が揺れる。

議員の部屋。
リチャードの肖像画のメダルが揺れる。
肖像画の前、微動だにしない議員がいる。
ただ、見ている。

その顔に炎が反射し、赤くなる。
「苦しい!」
ジョセフが叫んだ。

「うううっ」。
議員も喉を押さえ、苦しみだす。
チェスマンハウスが爆発とともに、吹っ飛ぶ。
議員が倒れた。

ラッセルがカーマイケル議員の家に到達した時、救急車が来ていた。
議員の遺体が担架に載せられ、運び出される。
サイレンを鳴らして、救急車が遠ざかる。

ラッセルとクレアは、無言でそれを見ていた。
救急車が病院へ急ぐ中、入れ違いに消防自動車がサイレンをあげて走る。
チェスマンハウスへ走る。

焼け跡となったチェスマンハウス。
車椅子がこちらを向いている。
誰もいない。

燃え残った車椅子の横にあった、オルゴールが開いた。
メロディが流れ出す。
屋敷跡。
形あるものは、それだけだった。


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Author:ちゃーすけ
癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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