こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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裏切りごめん! 「隠し砦の三悪人」

戦国時代。
秋月、山名、早川の三つの国があった。
だが秋月は、山名との戦に敗れた。

百姓であったが、戦に参加し、一旗挙げようと考えていた太平と又七はヘトヘトになっていた。
そこに秋月の雪姫を捕らえた者、居場所を伝えた者に黄金10枚の褒美がもらえるとの話が伝わってくる。
また、秋月の隠した黄金2百貫の噂も入ってくる。

2人は山名の侍たちに捕らえられ、人足にされる。
山名の侍たちは、お前たちは人間じゃないと言い放った。
その扱いに耐え切れなくなった百姓たちは、脱走を企てる。
幾重もの列で銃を発射され、多くの百姓が倒れたが、2人は逃げおおせる。

逃げた2人は米泥棒をして、飢えをしのいでいた。
鍋で米を炊いていた時、薪にした木から黄金が出て来る。
もしや、秋月の隠し金では。
薪を拾った場所に向かった2人を、1人の屈強な男がつけてくる。

男は、自分は真壁六郎太だと名乗った。。
だが真壁六郎太と言えば、秋月の侍大将だ。
こんな山賊のような男であるはずがない。

そう言って笑った2人の前に、美しい娘が現れる。
娘の美しさと威厳に、2人はこれはもしや、秋月の雪姫ではと思う。
しかし六郎太はあれは自分のものだから、手を出したら殺すと言った。

それに秋月の雪姫は、すでに捕らえられて処刑されているはず。
雪姫を捕らえ、報奨金を手にしたのは自分だと言って、六郎太は黄金を見せた。
だが処刑されたのは、雪姫の身代わりになった六郎太の妹の小冬であった。
雪姫が死んだと山名が思っている間が、脱出のチャンスだった。

姫の身代りになるなど、小冬も家臣として果報者であると言う六郎太に、雪姫は激怒する。
自分も16。
小冬も16。
命に軽い重いはない。

妹を犠牲にして涙ひとつこぼさない六郎太を、雪姫は責めた。
乳母は殿が嫡男に恵まれなかったため、雪姫を男のように育てたことを嘆いていた。
六郎太を責めているが、雪姫こそ、小冬のために涙ひとつこぼさないではないか。
しかし六郎太に怒りをぶつけた雪姫は、隠し砦の頂上で、小冬のために号泣していた。

太平と又七は故郷に帰るため、秋月と同盟関係にある早川領に入ることを考えていた。
しかも山名勢に道が占領されているため、わざわざ山名の関所を通る考えだった。
それを聞いた六郎太は、自分と姫が2人の道連れになり、その方法を取ることに決めた。

六郎太はお家再興の黄金を、金の延べ棒にして薪の中に仕込んでいたのだ。
太平と又七に協力させ、薪を運ぶと装い、馬に乗せて黄金を運ぶことにする。
問題は姫をどう隠すかだ。

いくら百姓娘の格好をさせても、人品はごまかせない。
そこで六郎太は、姫が口をきけないことにする。
こうして秋月の家臣たちは、六郎太に姫を祈る思いで託し、見送る。

道中、山名の兵に見つかりそうになったため、六郎太は馬で敵を追いかけ、斬る。
関所を越える時、薪に黄金が隠されているのをごまかすため、六郎太はわざと1本、薪を差し出す。
こんなものを拾ったと言う。
黄金を見た山名の家臣たちは薪を取り上げ、色めきだす。

六郎太は山名の兵に見せた薪を返せと言い、教えたのだから褒美を寄越せとごねる。
すると山名の侍たちは、六郎太を邪険に追い払う。
追い払った後で、殺したはずの雪姫が替え玉だった知らせが来る。

男3人、女1人で薪を運ぶ者は、すべて捕らえよ!という命令だ。
今の4人が、雪姫たちだった。
六郎太を追い払った兵の顔色が変わる。

雪姫たちは宿場町に到達した。
そこで、六郎太は見事だから馬を譲ってくれと言われ、銀を手に握らされ、馬を持っていかれてしまった。
雪姫は虐待を受けている娘を、その金で買い取った。

黄金を自分たちで運ばなくてはならなくなった太平と又七は文句を言うが、そこに雪姫たちを探しに山名の兵がやってくる。
しかし六郎太たちは馬も持っておらず、宿場町で買い取った娘もいたため、人数も変わっている。
山名の兵たちは、六郎太たちが雪姫一行とは気づかない。

さらに途中、六郎太は知己の間柄の山名の武将・田所兵衛と出会う。
2人の槍の勝負。
延々と場所を移りながら、2人は勝負を繰り広げる。

長い槍を振り回し、幕を引き裂きながら勝負は続く。
勝負は六郎太の勝利だった。
首をはねられるため、大地にひざまずいた兵衛に六郎太は「また会おう」と言って去っていく。

この六郎太の留守中に、雪姫の脚と眠る顔の美しさに、太平と又七は良からぬことを考えた。
しかし姫に助けられた百姓娘が石を振り上げて、2人をにらむ。
2人は、姫に手が出せない。

山名は火祭りの開催を利用して、薪を集めることを考えた。
祭りなら、薪が集まって来る。
薪を積んだ車を集め、そこから金を積んだ車を探すのだ。

六郎太は祭りのために集まった車と一緒に、薪を運ぶ。
知らない人々は、運ぶのを手伝う。
山名の兵が、薪を燃やすのを見張っている。

薪の中に金がしこまれていることを気づかれない為に、炎にためらいもなく薪を投げ入れた。
祭りが始まった。
人々が歌い、踊る。

人の命は火と燃やせ
虫の命は火に捨てよ
思い思えば闇の夜や
浮き世は夢よただ狂え

歌を歌い、踊る人々。
その生命力に魅了された雪姫も、輪の中に加わる。
歌を歌う。

翌朝、太平と又七は薪の燃え跡から金を探していた。
その頃ついに、雪姫と六郎太は捕らえられる。
黄金を拾った太平と又七だが、やって来た山名の兵に奪われてしまった。

六郎太と雪姫と百姓娘は、牢に捕らえられていた。
見張りの兵は、集まってくる兵たちに「金2百貫はまたと拝めんぞ」と言う。
だがさらに「拝むなら雪姫だ」と言う。
「これこそ目の果報。だが明日には打ち首とは」。

押し寄せる兵たち。
「寄るな寄るな」「頼む、拝ませろ」との応酬。
そこにやってきたのは、六郎太と勝負した田所兵衛だった。

兵衛は首実験に来たと言って、牢に入っていく。
気づいた六郎太は「おお、田所兵衛!」と声をかける。
扉が閉まる。
陰のシルエットとなった兵衛は、何も答えない。

「どうした兵衛」。
兵衛が入ってくる。
するとその顔の額から頬にかけて、斜めに大きな傷が走っている。
顔に裂け目ができたような、深い傷だった。

「どうしたその顔は」。
兵衛は黙っている。
「おぬし、人が変わったの」。
「変わりもしようぞ」。

「わけを話せ。敵味方に分かれても、貴公と俺は百年の知己だ」。
「知己?」
屈託のない六郎太の口調に、兵衛の顔がこわばる。

「なぜならなぜこの俺に。勝負に敗れたこの俺に。なぜ情けをかけた!」
「勝負に勝って相手の首を取らぬのは、情けと見えてこれ以上むごい仕打ちはないぞ!見ろ、この俺を」。
「見ろ!満座の中で大殿に罵られ、したたか打たれたこの傷を!」

すると雪姫が叫んだ。
「愚かな!」
「これが音に聞く田所兵衛か」。

「人の情けを生かすも殺すも、己の器量次第じゃ。また家来も家来なら、主(あるじ)も主じゃ!敵を取り逃がしたと言って、その者を満座の中で罵り打つ」。
「このわがままな姫にも、ようできん仕業じゃ!」
兵衛が沈黙する。

すると、百姓娘が「姫は私です!」と叫ぶ。
だが雪姫は「もうよい!志はありがたいがこれまでじゃ」と言う。
「姫は潔よう死にたい」。

六郎太も言う。
「姫!この六郎太、申し訳もありません。姫の身には、耐え難いこれまでの苦難。その甲斐もなく…」。
すると雪姫は言った。

「違うぞ六郎太!姫は楽しかった!この数日の楽しさは城の中では味わえぬ!」
「人の世を。人の世の美しさを。人の醜さを、この目でしかと見た。六郎太、礼を言うぞ!これで姫は悔いなく死ねる…」。
「姫!」

「六郎太!あの祭りはおもしろかった。あの歌も良い」。
そう言って、火祭りの時の歌を雪姫は歌う。
百姓娘は、泣き出した。

人の命は火と燃やせ
虫の命は火に捨てよ
思い思えば闇の夜や
浮き世は夢よただ狂え

処刑の日。
後ろ手に縛られ、馬の上に載せられた姫と六郎太。
百姓娘はただ、歩かされている。

兵衛はそれを、座って見ていた。
雪姫と六郎太が、後ろの兵衛を振り返る。
兵衛も2人を見る。

後ろには、野山が見える。
あれを越えれば、早川の国である。
それを見ながら兵衛は、歌を口ずさんだ。

人の命は火と燃やせ
虫の命は火に捨てよ
思い思えば闇の夜や
浮き世は夢よただ狂え

「ええい!」と言って、兵衛が立ち上がる。
「ようし燃やすぞ!馬の向きを替えい!」と兵に命じた。
「…いや、替えるな!」

そう叫ぶと兵衛は、金を積んだ馬を逃がしてしまう。
追おうとした兵に向かって、兵衛が槍を突き出す。
たちまち山名の兵たちは斬られ、1人2人と馬上から落ちる。
うろたえる雑兵たち。

兵衛は雪姫の縄を切り、六郎太の縄も切る。
「六郎太、急げ!姫を!」
そう叫ぶと、百姓娘の縄も切る。

雪姫に向かって、兵衛は叫ぶ。
「あっぱれ!将に将たる器!」
「大事にせい!」と兵衛は六郎太に向かって叫ぶ。

逃げていく山名の兵を追いかける兵衛。
雪姫が叫ぶ。
「兵衛!犬死無用!志あらば、来るが良い!」
雪姫の言葉に、兵衛が「はっ!」と言って、頭を下げる。

兵衛は槍を振り回し、雑兵たちを追い払う。
姫が馬を駆って走る。
六郎太も馬で走り、百姓娘の手を取り、ヒラリと馬に乗せる。
兵衛を恐れた雑兵は、近寄れない。

「裏切り、ごめん!」
兵衛はそう叫ぶと馬に乗り、走る。
山道を、馬は走っていく。
誰も追いつけない。

国境を越えた。
頂上で姫が、下を見下ろす。
百姓娘を乗せた六郎太が笑った。

姫も金を積んで逃げる馬を指差し、大笑いする。
兵衛も笑う。
あっはははは。
金を乗せた馬が、早川領へ走り去っていく。

一方、金を手に入れられなかった太平と又七は座り込んでぼやいていた。
「金を手にした時は、どんなにうれしかっただろう」。
「村に帰ったら仲良くやっていくべよ」。

泣いている2人の前に、金を乗せた馬が走ってくる。
馬は止まり、草を食べ始めた。
「うわあああ、金だあ!」
すると今度は2人は、金は自分のものだとケンカし始める。

「半分こ、と言ったはずなのに!」
「うるさい!」
2人は、つかみあう。

もめている2人の前に、早川の武将たちがやってきた。
「秋月家のご郎党か?」
「…ただの百姓だ」。

百姓のはずの太平と又七が金を持っている。
2人は怪しいものとして、捕らえられてしまった。
牢で、2人は「あの世へ行っても仲良くすべえな」と泣き出す。

2人は牢から出された。
いよいよ処刑と怯えきった2人。
平伏した2人は「又吉、太平!おもてをあげい!」と言う声に顔を上げた。

頭を上げると、そこには雪姫がいる。
「どうした、俺じゃあ!」と六郎太が声をかける。
だが2人は、きょとんとしている。

「無理じゃ!姫も見違えた!その拝領の鎧兜、よく似合う!」と雪姫が言う。
その通り、六郎太は秋月家の家紋入りの鎧を身にまとっていた。
「真壁六郎太!男ぶりが一段と上がったぞ!」
雪姫の声に、控えていた兵衛が笑う。

「又吉、太平。雪姫の顔も見忘れたかおしじゃ。おし娘じゃ!」
2人は雪姫の顔を、まじまじと見る。
美しい着物を着た雪姫が立ち上がる。
こちらに歩いてくる。

脇に控えている六郎太と兵衛が雪姫に頭を下げ、両側から歩いて雪姫に続く。
六郎太が言う
「又七、太平。お前たちには筆舌に尽くせぬ苦労をかけた。だがあの金は、秋月家再興になくてはならぬ軍用金。わしはもちろん、姫にも自由にならぬのだ。これで許せ」。

そう言って、薪に隠した金の棒を渡す。
「ほれ。ほうれ」。
恐る恐る、手にした2人に雪姫が「仲良う分けるのじゃ!けんかはならぬぞ!」と言う。
2人は褒美をもらい、城を出て来る。

城の階段を降りながら、2人は門を振り返る。
セミの声が聞こえる。
「これ、おめえ持ちな」。
「おめえ、持っててくれよ」。

2人は金を押し付けあう。
「だって、よう」。
「いいってことよ」。

へへへ。
へへへへ。
2人は笑って、城を後にする。
セミの声が響いていた。


やっぱり、これも時代劇、いや、いろんなドラマの基本になってますね。
古いですよ、でもおもしろい。
もう、たくさんの時代劇、ドラマ、映画を見ているはず。
それでなお、この古い白黒映画が、おもしろい!

六郎太、雪姫、兵衛の3人が脱出するクライマックスは、爽快。
観客の意表をつくより、観客が期待している展開を見せてくれるこの作りが良い。
スターウォーズは、この映画を参考に作られているそうですが、「ジェダイの復讐」とか、この作りまでも、ちゃんと継いでますね。

ハンソロ救出、反乱軍が帝国軍に勝利。
騎士として主人公が父親と対決、そして皇帝と対決。
息子の危機に父親らしい気持ちがよみがえった父親が、息子を助ける。

平和とロマンスの成就。
ジェダイの騎士たちの見守り、と観客の期待を満たしてるスターウォーズ。
観客が見たいものを、ベタであろうがちゃんと見せてくれる誠実な作り。
「隠し砦の三悪人」は、これです。

太平と又七は危機には「仲良くすべえな」と言う。
でも黄金見るとケンカ。
なくなると「仲良くすべえな」と言って、くっつく。
笑っちゃうんですが、ダイレクトに、金を前にした人の欲望をすなおに描いてます。

雪姫の上原美佐さんのセリフが、意外にも棒読み。
しかしこれが段々、男勝りだが心優しい姫が、意地を張っている口調に思えて来るのが不思議。
ずっと、口がきけない娘として、セリフがない設定が効いているんです。
黒澤監督は、かなり良い判断しましたね…。

そして、美しい。
ただ美しいんじゃない。
姫であることが納得できる、品格のある美しさ。

なりは百姓娘にできるが、この品格はどうにもならないと家臣たちが黙らせることに決める。
そんなことしなくても、別に大丈夫じゃないの?とは思わないんです。
途中、人買いが雪姫を見て「こっ、この女、売ってくれっ」って言葉に詰まっちゃう。
もう、際立ってるんです。

美しいだけじゃない。
気品、それがあるのは教養と気高い精神を持っているため。
守らなくては!と思わせる姫なんです。

兵衛に山名を裏切らせるんです。
裏切るのは、太平と又七じゃないんです。
殿に打たれたとは言え、兵衛は侍大将と互角にやりあうほどの武将。
主君に仕え、家を守る誇り高い侍。

これに「裏切りごめん」と叫ばせ裏切らせるからには、雪姫にはそれだけの説得力がなければ。
美しいだけではいけない。
雪姫の気高さが、この裏切りに説得力を持たせるんです。

また、すごいのが山名の兵を追う三船さんの殺陣。
両手を離して、刀を構え、追手を斬る。
あの馬のスピードでやるんですから。
手を離してる~!って言ってしまった。

延々と続く兵衛との決闘。
長槍の扱いだって、すごい。
でも自分が一番惚れ惚れとしたシーンは、百姓娘をヒラッと馬に乗せて逃げたシーンです。

片手で、まるで紙の人形のように軽々と乗せて走る。
どういう力なの!?って思いました。
すごい。

私は女性、悪女が登場すると「おもしろくなってきたぞ~」とワクワクしますよ。
でも三船さんが演じる侍を見ると女の出る幕じゃないなあ、って思ってしまう。
そのぐらい、男っぽい。

また三船さんスタントではなく、自分で演じてるらしいから、すごい。
この人についていけば、大丈夫なんだよ!大将なんだから!と、思わせる強さ。
「あなたの後ろが一番安全!」と、若い青年のところからスティーブンセガールの後ろに駆けて来るヒロインの気分です。

六郎太は相手が真の武士なら、敵であろうと敬意を払う武将です。
だから捕らえられても堂々として、威厳と迫力がある。
中村敦夫さんが、三船さんは侍に成りきってしまうと言いましたが、三船さん見ていると「侍がいる…」って思います。
きっと侍ってああだったと思います。

姫の将たる資質に、山名を裏切った兵衛。
妹を犠牲にしても守る六郎太。
姫に恩義を感じ、その気高さと優しさに打たれた百姓娘も姫を守る。

対してさっさと褒賞金のために、山名側に走る太平と又七。
姫、六郎太、兵衛と百姓娘と対照的に、百姓の太平と又七には金が全て。
刹那的で愚かで卑しいが、それが戦争時の百姓でもある。

対照的な人間が存在するからこそ、違いが際立つ。
それを表現する俳優さんたち。
侍と百姓の佇まい、口調、演技が、まったく違う。
姫と百姓娘も、まったく違う。

この道中で元々、将たる資質を持った雪姫は、さらに良い主君になることでしょう。
雪姫、六郎太、兵衛が人間としての気高さを見せてくれて、太平と又七は変わったか?と思わせるラスト。
それぞれの人物があるべき場所に収まり、物語が見事に収束して行く爽快な映画です。


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