偏屈でとってもおもしろい奴・山崎努

黒澤明監督の名作「天国と地獄」。
この映画について語った仲代さんは、この映画でキラッと光ったのは山崎努だと言いました。
何と言っても山崎努だと。
俳優座の先輩の仲代さんが、山崎さんを語ります。

「偏屈で、とってもおもしろい奴!」
仲代さんもあんまり監督に反抗したりしないし、「はいはい」って言う人は多い。
でも山崎努は、ちゃんと抵抗する人なんだそうです。

嫌なものは、嫌だと。
だからある筋では、とても評判が悪い。
でも仲代さんは、その俳優としての生き方を尊敬しているそうです。

「影武者」の時は、本当に助けてもらった。
勝新太郎さんが降板した時、やっぱり主役、大将と思っていた人間が変わるんだから、現場の雰囲気も変わる。
特に最初は騒動のことで、雰囲気が良くなかった。
「間に立って、山崎努はその雰囲気を立て直すのに骨を折ってくれた」。

以下、仲代さんの話です。
黒澤監督がある俳優が緊張した時に「上がっちゃダメだ!何で上がってしまって、何もできなくなるんだ!」って怒った。
後で、山崎努が黒澤監督に言った。
「監督さあ、役者は『なぜ上がるんだ!』って怒られたら、余計緊張して上がるんだよ」。

黒澤監督「本当?」
山崎さん「本当?、じゃないです。監督、あなた、『姿三四郎』からずっと撮っていて、俳優に厳しく言うのは有名だけど『上がるんだ!』って言うとねえ、上がるよ。山崎、上がるよ。上がっちゃう」。
黒澤監督「そうか…、そうか。役者ってそうなんだ」。

黒澤監督「うん、じゃあ明日からそうしない」。
山崎さん「うん、その方が良いですよ監督」。
でも翌日も思い通りに行かないと黒澤監督は、怒鳴っちゃうんだけどね。

怒鳴り、わめき、すごい現場ですよ、黒澤組は。
黒澤監督は「尊敬しているのはナポレオンだ」って言っていたけど、あの人は将軍ですよ。
あの統率力は将軍だ。

「影武者」は、馬が3百頭ぐらい走った。
CGなんて使わないから。
救急車が、現場に10台ぐらい来ていた。

そして仲代さんは、言う。
黒澤監督は三船さんとは、「赤ひげ」が最後だった。
けれど、「影武者」も「乱」も三船さんを想定して作っていたと思う。
あのコンビは、別れても続いていたと思う。

黒澤監督もすごい。
そんな黒澤監督と仕事した俳優も、すごい。
もう、俳優だったら黒澤監督と仕事したことを誇りにして生きていけるくらい。
三船さん、仲代さんは当たり前だけど、山崎さんも、改めて、すごい俳優だと思います…。


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