迫力

仲代達矢さんが自分の半生を振り返った著書「仲代達矢が語る日本映画黄金時代」を読んでいます。
松田美智子さんの著書、三船敏郎さんの伝記「サムライ」も読んでいるんですが、これ、ハードカバーなので通勤に持ち歩けないんです。
なので、通勤中は仲代さん、家では三船さんという、日本映画黄金期に君臨した2人の伝記を読んでいることになります。

よこしまな読書の仕方!
ですが、これ、話が重なる部分があって、非常におもしろい。
三船さんと仲代さんは、何度も共演してますもんね。
しかも黒澤映画で。

黒澤映画の時の三船さんについて仲代さんが語っていて、興味深い。
仲代さんはいろんな俳優さんと時代劇で共演していますが、三船さんの殺陣はすばらしいとおっしゃっています。
力強さと速さ。

それまでの伝統的な時代劇俳優の殺陣は、流れるように、舞うように斬る。
黒澤監督はそれを否定した。
そして三船さんの殺陣は、実際に相手に当てるんだそうです。

はい、ここで前に書きましたが、黒沢年男さんがそれで額を割ったって言ってましたね。
縫った、と。
それで三船さんが当時で50万と言う大金を持って、お詫びに来たと。

三船さんは実際に相手に当てるけど、仲代さんいわく、それで本当に斬っているように見えるんだそうです。
何しろ動きがすごかった。
身体能力がものすごく高い。

三船さんはセットを壊してしまうから、黒澤監督は「壊すな!」ということでリハーサルなし。
「用心棒」も一発だったそうです。
うわ、あれ、一発勝負?!

クライマックス、連発銃を持っている卯之助こと仲代さん。
それに対して、反対側からやってくる三十郎こと三船さん。
銃を構える卯之助。

卯之助の連発銃を持つ手に、三十郎が投げた包丁が刺さる。
勝負は一瞬で決まり、三十郎は6人のヤクザをあっという間に斬り捨てる。
冒頭、「百姓なんかつまんねえ!俺はヤクザになる」と言って母親と故郷を捨てて出てきた百姓の青年がそれを見て悲鳴を上げる。

三十郎「水粥すすっても生きていた方が良くはねえか!」と怒鳴る。
青年を斬らずに「さっさと帰れ!二度と来るな!」と怒鳴る。
悲鳴を上げながら、青年は故郷へ帰って行く。

この三船敏郎さんの迫力ったら、ない。
そしてこれ、今は良くあるシーンでも、これを最初にやった、見せたっていうのはすごいことです。
名シーンです。
白黒の古い映画であることなんか、まったく気にならないで見られる。

仲代さんの話は、春日太一氏の「なぜ時代劇は滅びるのか」にも重なる部分があって、大変興味深い。
それもそう、仲代さんの本の聞き手が春日氏なんですね。
「時代劇は…」の中で、春日氏は時代劇が衰退した理由のひとつに、「俳優がいない」ことを挙げています。

そしてあるベテラン俳優、うまいと言われている俳優さんなんですが、その方の実名を挙げて、批判していました。
「自然体で今までの時代劇にない演技で○○(役名)を演じる」とその俳優さんが発言したようなんですが、これに対して春日氏は非常に怒っていました。
なぜこんなにも怒るのかと、仲代さんの本や三船さんの伝記を読んだらすごく納得しました。

ただ、仲代さんも春日氏も、俳優がいないと言うが、それは俳優の責任だけじゃないと言っています。
システムが今は、俳優をじっくり育てるということを許さなくなってしまっている。
だから昔、監督にしごかれた俳優たちは、幸せだったんだと思う、と仲代さんは、いえ、仲代さんも、言います。



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癖の強い俳優さんや悪役さん大好き。
俳優さん、ドラマ、映画、CMその他、懐かしいもの、気になるものについて、長々と語っております。

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