こたつねこカフェ

癖のある俳優さん、悪役さんが大好きです。時代劇、ドラマ、映画、俳優さんのことを好きに書いています。
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みんな孤独になって終わる「仕事屋稼業」

政吉とおせいの親子。
ろくでなしの蕎麦屋の亭主の半兵衛と、文句を言いながら支えるお春という男女。
仕事屋組織の崩壊も衝撃ですが、この人間関係の崩壊が切ない。
この時代はよく、物語の世界をとことん崩壊させて終わりましたが、これはもう、すごかった。

最後に、親としての情に負ける元締め。
相棒をとことん助けながら、最後はすべてを捨てて殺し屋として旅立つ半兵衛。
ヤクザな遊び人だった政吉は元締めとの親子の絆を沈黙のままに守り、殺し屋の掟を守って死んでいく。
仕事屋としての自覚に欠けると言われ続けた2人に守られて、元締めのおせいは生き延びる。

つらかったですね。
その前にも半兵衛と政吉が、旅先での後味の悪い仕事を終えて帰ってくるシーンの回がある。
蕎麦屋の前で半兵衛が「じゃ」って言って、別れる。
あ、そうか…って顔をした政吉は歩いて行く。

しかし、ふと立ち止まると、来た道を引き返して行く。
その時の政吉の、ヤクザっぽい、肩を揺らした後姿に行き場のないものすごい孤独感が漂っている。
旗本の養子になった政吉が、どうしてヤクザになっているのか。
この背景が一切明かされないだけに、重さが増す。

林さんの演技は、大してつらそうな顔もみせていないんですが、もうどうしようもない孤独がにじみ出ている。
この年齢の林さんだからできた演技かもしれません。
外道殺し屋との抗争や、奉行所からの追求、強敵との戦いで組織が崩壊するラストはありますが、「仕事屋」はそれはきっかけに過ぎない。

「仕事屋」の衝撃は、人間関係の崩壊のすごさ。
いつもどんでん返しの仕事屋らしく、最終回は親子の関係も、男女の関係も、元締めとちょっと自覚の足りなかった殺し屋も、すべての関係がひっくり返って終わる。
政吉の後ろ姿に感じた寂しさ、切なさが数倍強くなって、「仕事屋」は終わります。



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Comment

情に基づく結束だから…
編集
「仕事屋」チームは他作品と違い、同士意識やプロ職能集団としての結び付きではなかったですね。情の関係。
縦軸はおせいと政吉の親子の情。横軸は半兵衛とお春の夫婦の情、半兵衛と政吉の友情。おせいと利助の奉公の情。ハードな殺し屋物語の体裁なのに、繊細な人情物語でもありました。

おまけに半兵衛は、仕事関係者に感情移入しまくりです。
「知らぬ顔」とは名ばかり、敵にも被害者にも同情、共感しまくってます。
元締めの指示もないのに勝手に得物を使ったキャラは彼くらいじゃないでしょうか?
半兵衛は素人殺し屋故に、職業意識でなく感情に基づいて動きます。
この崩壊劇を経てプロになった半兵衛なら、仕置人として主水と組めたかもしれませんね(緒形さんと藤田さんの競演観たかった)。

情で紡がれた関係に、殺し殺されという状況は重すぎる。
だから崩壊は一部で留まることができなかった。儚くも自壊してしまった。
「仕留人」の貢が裏稼業のプロとして生きられなかったことに通じる繊細さ。
でも、そういう関係性だからこそ、観る者に豊かさと切なさを残してくれた名作でした。
2015年08月19日(Wed) 20:57
kaoru1107さん
編集
>kaoru1107さん

>「仕事屋」チームは他作品と違い、同士意識やプロ職能集団としての結び付きではなかったですね。情の関係。

ですね。
博打のための、ちょっとした小遣い稼ぎの感覚で参加したため、最初の方なんて博打に熱中して仕事を忘れましたし。
でも、被害者への感情移入は大きい。
技が素人なところは、その必死さがカバーしていた。

>縦軸はおせいと政吉の親子の情。横軸は半兵衛とお春の夫婦の情、半兵衛と政吉の友情。おせいと利助の奉公の情。ハードな殺し屋物語の体裁なのに、繊細な人情物語でもありました。

ほんとにそうです!
関わる事件も人間関係濃密。
だから必ずしも爽快な解決とは行かない。
でもこの人間関係だから、殺しがない回なんかが成立したのかも知れません。

>おまけに半兵衛は、仕事関係者に感情移入しまくりです。
>「知らぬ顔」とは名ばかり、敵にも被害者にも同情、共感しまくってます。

行き倒れのおじいちゃんを邪魔にしていたようで、おじいちゃんが死にかけるとオロオロ。
いつまでもいてくれて良いよ、なんて言い出すし。

>元締めの指示もないのに勝手に得物を使ったキャラは彼くらいじゃないでしょうか?

ものすごく気持ちはわかるけど、依頼されていないのにやってますよね。
他の仕事師は、小銭で良いから仕事にさせないと動けませんでした。
本来ならかなりまずい。
しかし元締めまで、「盗賊の旦那の稼いだお金で人のためにやってみよう」が出発点という、仕事屋は実に特殊な組織だったんですね。

>半兵衛は素人殺し屋故に、職業意識でなく感情に基づいて動きます。

技が素人な分、怒りが武器になっている。
だから最後にプロの仕事屋として孤独に旅立つ半兵衛というラストシーンに衝撃を受ける。
貢を軸にした「仕留人」といい、すばらしい構成だと思います。

>この崩壊劇を経てプロになった半兵衛なら、仕置人として主水と組めたかもしれませんね(緒形さんと藤田さんの競演観たかった)。

私も緒形さんと藤田さんのコンビは、見たかったですね~!
後に主水は、おせいさんと組むじゃないですか。
あのおせいさんは、仕事屋のおせいさんと弱冠、印象が違いますが、あれを見たら主水と半兵衛のコンビも見てみたかったですよ。

>情で紡がれた関係に、殺し殺されという状況は重すぎる。
>だから崩壊は一部で留まることができなかった。儚くも自壊してしまった。

あの崩壊はほんとにきつい。
次の作品の世界になりますが、若くしてプロの殺し屋として生きて来た市松が、当初は感情表さないじゃないですか。
あれは殺し屋としては、必要な姿勢なんですよね。
ああでなければ自分も組織もやっていけないんでしょう。

>「仕留人」の貢が裏稼業のプロとして生きられなかったことに通じる繊細さ。
>でも、そういう関係性だからこそ、観る者に豊かさと切なさを残してくれた名作でした。

貢がプロとして生きられず、蘭学者として死ぬ「仕留人」ラスト。
プロとして全てを失う「仕事屋」。
主要人物の人生を丁寧に描写したこの2作品はすばらしい構成。
人間ドラマの名作ですよね!

コメントありがとうございました!
いつもありがとうございます。
2015年08月23日(Sun) 07:27












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