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左膳のこと
2015/08/30(Sun)
近所に白い野良猫がいた。
少なくとも、2年前にはもういた。
家にいた猫が白い猫だったので、気になっていた。

しかし野良猫だし、向こうは私には見向きもしなかった。
あれは家の猫じゃないんだなと、そのたびに私は当たり前のことを思っていた。
最初は白かったその猫の目がやがて、目やにで一杯になっていた。

野良猫の現実を見る思いだった。
そのうち、その猫は一軒の家の前にいるようになった。
あそこでご飯がもらえるんだと思うと、ほっとした。

その家は立派な家で、良かったと思っていた。
この家が今年の夏、建て替えになっていた。
そしてこの猫が、この家の隣の空き家になった家に居るのを見た。
お前、連れて行ってもらえなかったのか…。

その猫はご飯がもらえなくなったらしいが、どうやら誰かがやっているようだった。
するとその猫がいる空き家のオーナーらしき人が、看板を立てた。
「猫の餌やり、迷惑です」。

猫はそれで、ご飯がもらえなくなったらしい。
でも猫は、その家の玄関前にいた。
しかしある朝、その猫が垣根から顔を出していた。
今まで無視していた私に向かって、猫が鳴いた。

「助けて」。
なぜか、私はそう言われていると思った。
駅に向かうはずだったけど、家に戻った。
いけないと思いつつ、ひとつかみ、家の猫のカリカリを持って、猫にやってしまった。

その次の日。
車を避けようと、その空き家の駐車場だったスペースに入った時。
こちらに向いた、赤い光に気が付いた。

監視カメラだ。
猫にご飯をやるには、ここに立たなければならない。
だからカメラを置いたのか。

こうなると、本当にもう、誰も猫にやれない。
しかし猫はずっと、ずっと、家の前にいた。
ここに猫がいる限り、私にもどうにもできない。

7月の13日。
月曜日。
会社帰りの私の前に、白い猫が出てきた。
猫が外にいる。

外に出てきたんだ。
猫が私を見た。
そして、私の後をついてくる。

何で?
ためしに止まってみる。
すると、猫も止まる。

ついてきている。
猫がついてくる私を、会社帰りの男性が不思議そうに見ている。
このまま、家までついてくるだろうか。

私が門の中に入ると、猫は駐車場の方から入ってきた。
入ってきたなら、しかたがない。
家の猫のカリカリを、白い猫にやった。

その翌日。
火曜日の会社帰りにも、同じことが起きた。
そして水曜日の朝。
猫はもう、私の家の前からどかなかった。

見ると、猫の片目は閉じたままになっていた。
もう片方の目も、ちょっと怪しい。
片耳は、かさぶたに覆われている。

もう片方の耳には、穴が開いていた。
すごい風貌だ。
でも、最初からそんな風貌だったわけじゃない。
野良生活の過酷さを見る思いがした。

浪人でも、片目でも、したたかに強く生きる丹下左膳という話がある。
私はこの猫を、左膳と呼ぶことにした。
左膳は、家の玄関前の、牛乳を配達する箱の上によくいた。

牛乳屋さんも左膳を見て、最初はビックリしたらしい。
でも「どいて?」と言ったら降りてくれた。
「ちゃんと人のことをわかってる」だと言う。
「良い子だよ」と。

私はまだ、左膳には触ることが出来なかった。
ご飯をやっていて、左膳は近づいた私の手に一度、猫パンチをしたことがある。
血が出た。

きっとずいぶん、怖い思いをしてきたんだろう。
用心しなかったら、やってこられなかったんだろう。
左膳を怒る気はしなかった。

7月の25日、家の猫の健康診断で獣医さんが来てくれた時、左膳を呼んだ。
左膳は私を見ると何かもらえると思って、車の下から出て来るようになっていた。
獣医さんは左膳の耳を感染症だと言って、薬を出してくれた。

お金は要らないと言ってくれた。
しかし私に、さわれない子は飼えないと言った。
それから安易に家に入れないように言った。

思っている以上に、いろんな菌を持っている。
家の猫に移ると、大変なことになるから。
私にもうっかり、左膳が接触した服で、家の猫に接触しないように注意した。

猫を飼う、面倒を見るなら、ちゃんと面倒をするべきで、中途半端はやるべきじゃないと思っている。
そして猫を飼うことは、そんなに半端な気持ちで出来ることじゃないと思っている。
だから、左膳を外で面倒見ることには抵抗があった。

でももう、左膳を放り出すことは出来ない。
誰かが面倒を見るとも思えない。
夏は暑い。
自分が外にいたら、つらい。

外にいる左膳は、つらいだろう。
だから冷却シートを買い、左膳がいる車の下に敷いた。
冷却材も置いた。
何とかして、涼しくしようとした。

獣医さんからもらった薬を混ぜて食べさせて2~3日目。
左膳はカリカリを食べなくなった。
食べないことは、体力を奪う。
そう思った私は、家の猫の猫缶を与えてみた。

缶を開けるのを見て、左膳は舌なめずりをした。
待ちきれないと言った風に、手を伸ばしてくる。
よしよし、と思った。

それから2週間ぐらいは、食べていた。
スプーンで口まで運ぶ。
すると、食べる。

猫パンチされないように、スプーンの距離を保って、食べさせる。
今日は10何回、おかわりをしたとスプーンを差し出した数を数える。
よしよし、と思っていた。

しかし、そのうち、左膳は家の前にいないようになった。
暑いんだろうな。
どこかで涼んでいるのか。

あんまり家の外に、出て欲しくない。
家にいるなら、私がいろんなことをやればいい。
片付ければ良い。

でも、外ではまずい。
私の家の敷地内でやることで、黙認されていることが、自分の家に影響を与えるようになったらそれはダメだろう。
そう思っていたから。

確かに文句を言う人がいても、しかたがない。
臭いし、放置してしまうといろいろと虫も寄ってくる。
私の家ならまだ何とかなるが、外ではまずい。

しかしまだ、左膳は家には入れられない。
さわれるようになって、それから獣医さんに診せて、治療して家に入れる。
家の猫との相性もある。

左膳のいた場所には、左膳のお尻から出たものがついている。
下痢なのか、粘液なのかわからない。
私は掃除しながら、心配だった。
体力が奪われないと良い。

そのうち、左膳は猫缶もあまり食べなくなった。
どうしても食べて欲しい私は、いけないことだが、かつおぶしをかけてやった。
何とか食べた。

左膳のために猫用かつおぶしや、かにかまを買った。
しかし、左膳は家に帰って来ても見なくなる日が続くようになった。
休みの日もいない。

そして8月18日の火曜日。
朝6時に外に行ったら、左膳はいなかった。
でも白い毛が落ちてるから、いたのかな?と思った。
夕べは激しい雨だった。

会社行こうと玄関出たら、玄関脇の牛乳箱の上に左膳がいる。
あっ、お前来たのか!
家に入り、ご飯をやったら食べない。

左膳はひょこひょこ降りて、家の脇の方に行こうとする。
そして、バケツをのぞきこむ。
水やったら飲まなかったんだが、もう一度、お皿に水をやったら飲む。

左膳は、家の駐車場に行く。
座り込む。
これは獣医さんに見せなきゃと思った。

7時30分というのに、獣医さんに電話をした。
獣医さんを起こした。
客観的に言って、私は迷惑な人だ。

獣医さんに、左膳がご飯を食べないと言うと、獣医さんはわかっていた風だった。
たぶん行ってもダメだろうと言う。
わかっているんだろう。

さらには野良だし、渋るのは当たり前。
この時間は助手もいないし、行っても見るだけになると言う。
それでも、家で死なれるの嫌ですと私も言う。

会社は?
遅刻しますと言うと、獣医さんは1時間くらいで来てくれると言う。
私はほんとに、迷惑な人だ。

まず、左膳確保のため、段ボール箱をかぶせる。
度々見に行くけど、左膳は出て行こうとする。
外に行こうとする。

止めなければ。
さわれる。
左膳に初めて、さわった。

軽い。
背中は背骨がゴツゴツ。
痩せてる。
毛があるからわからないが、思った以上に痩せていた。

再び段ボールをかぶせて、洗剤の箱を乗せて置く。
8時20分頃。
見に行くと、左膳はいなかった。

出発寸前の獣医さんに電話をして、いないと言うと、ゲージじゃなきゃダメだよと言われた。
また消毒して使えるんだし。
でも家のゲージは、大きくて持ち出せないのだった。

獣医さんはもう、車もエンジンかけてたと言った。
捕獲したら電話してと言うことで、お詫びを言う。
ほんとに、迷惑な人だ。

でも私は「たぶん、もう来ません」って言った。
たぶん。
獣医さんも、そう思うと言った。

その日の夜、左膳はやはり、いなかった。
左膳は片目だし、左耳には穴が開いてる。
右耳にはカサブタ。

すごい容貌だけど、最初からあんなだったんじゃない。
白くて尻尾が長い。
かわいがられる家の子なら、優雅な猫になったはず。
かわいそうで堪らなかった。

左膳は私を見て、小さな声で鳴く。
野良は言葉でコミュニケーション取らないから、私に向かって言っているはず。
いなくなった日も、私に向かって鳴いた。
飼えばかわいい子だと思う。

家の者は、左膳はお別れに来たと言う。
うちで死にたかったのかな、とも言う。
死なれるのは嫌だ。
どこかにいると思いたかった。

左膳。
助けてほしくてついて来たのに、助けてあげられなかった。
ごめん。

何もできなかった。
ごめん。

カリカリを食べなくなった時点で、獣医さんに診せていたら良かったのか。
最初はあんなに食べていたのに。
ごめんね、左膳。

バイ菌だらけと言われたけど、落ちてる左膳の白い毛を一束、拾ってケースに入れた。
座っている姿から、ちょっと、安心と幸せを感じたのは自分の思い込みだろうか。

友人に話すと、今までつらかった野良生活で唯一、安らげたんじゃないかと言ってくれた。
助けてほしくて来たのはほんとだろうが、あれをしてくれとか、できなかったとか、そういうのはおそらく、人が考えること。

犬や猫はもっとシンプル。
親切にしてくれる人。
こわい人。
好きな人。

会いたいから行く。
そういうものじゃないかと言う。
左膳は体を休めていて、動けるようになると行ってたんじゃないか。
単純に会いたかったんだろうと言ってくれた。

左膳がいなくなった日の前日。
私のいない昼間に、玄関前にへばりつくように左膳がいたことがわかった。
その人が近づくと、やはり左膳はどいてくれたらしい。
家に入ろうとはしなかったと。

かわいい。
いじらしい。
幸せにしてやりたかった。

あれから、雨が降っている。
左膳の上に、雨が降っているのだろうかと考えてしまう。
野良の一生とは、なんて過酷なものなのか。

飼っていたペットは虹の橋にいて、人が来るのを待っていてくれると聞いたことがある。
左膳もいつか、虹の橋にいてくれるんだろうか。

今年は庭のブルーベリーがよくとれた。
毎年、良いのは取る前に鳥に取られていた。
今年は左膳がいたから、鳥が来なかった。

ブルーベリーは左膳からの贈り物だ。
左膳はいつも、私が帰ってくるのを見て、車の下から出てきたり、家の前にいたりした。
ブルーベリーの夏が終わる。
左膳のいた夏が終わる。


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コメント
- No title -
拝読いたしました。
 たとえ野良でも、なついた生き物との別れはつらいものですね。我が家の野良が死んでしばらく、どうかするとヒザにのられているような重量感を感じることがありました。
 ちょっとご縁のあるミュージシャンが、ちょっと似た経験をされているようなので、URL欄にはっておきました。よろしければ。
2015/08/31 12:07  | URL | #TOYZzxEc[ 編集] ▲ top
- 白猫 -
美貌を活かして、女優として成功する”あなごさん”もいれば、
こんな風に過酷な一生を終える猫もいるのですね。
どこで、誰と暮らすかとで、猫の「いのち」も様々です。

知り合いの女性は、猫が苦手で、クロネコの配達トラックを見ても気持ちが悪くなるそうです。
繁殖力の高さ、排泄物の匂いが原因で、猫の駆除に力を入れる地域もありますもの。
餌やりに目を光らせるのも、事情があることも理解できます。
猫への虐待も深刻です。

街の自由猫を愛でて、餌をやって、猫の名前を呼んで、可愛らしくニャンと返事をする光景は風情があるけれど、
NHKの「世界ネコ歩き」でしかもう見られないかもしれないですね。

2015/08/31 12:47  | URL | パイナップル #-[ 編集] ▲ top
- ありがとうございます -
左膳の記事にコメントありがとうございます。
読んでくださってありがとうございます。

>たとえ野良でも、なついた生き物との別れはつらいものですね。我が家の野良が死んでしばらく、どうかするとヒザにのられているような重量感を感じることがありました。

つらいですね。
同じような経験をお持ちなのですね。
野良猫でももう、自分にとっては存在の意味があるものになっていて、喪失感が思っていた以上に大きいです。

ヒザに乗られているような重量感…、不思議です。
来ていると信じます。

>ちょっとご縁のあるミュージシャンが、ちょっと似た経験をされているようなので、URL欄にはっておきました。よろしければ。

ありがとうございます。
泣いてしまいました。
猫、特に野良猫との距離を持った交流とは切なく、忘れられないものですね。
良い記事を教えていただきました。
ありがとうございます。

良ければまた来てくださいね。
2015/08/31 14:10  | URL | ちゃーすけ #a2H6GHBU[ 編集] ▲ top
- パイナップルさん -
>パイナップルさん

こんにちは。
左膳の記事にコメントありがとうございます。

>美貌を活かして、女優として成功する”あなごさん”もいれば、
>こんな風に過酷な一生を終える猫もいるのですね。

あなごさん、本当に美猫ですもんね。
私も改めて、野良猫の一生の過酷さを思いました。
左膳は片目になっていたし、両方の耳も欠けたりカサブタに覆われていたり、すごい風貌になっていましたが、普通のかわいい白猫だったと思います。

>どこで、誰と暮らすかとで、猫の「いのち」も様々です。

働きに出る自分をよそに快適な環境で寝ている猫を見て「猫はいいなあ~」って私も言います。
そう言いながら後で「いやいや、猫の一生もなかなかスリリング。どこで誰と暮らすかで決まる」って言うんです。
でも今回は本当にその現実を見て。

>知り合いの女性は、猫が苦手で、クロネコの配達トラックを見ても気持ちが悪くなるそうです。

それはすごい。
生理的に嫌なものは、どうしようもないです。
それはそれで大変ですね。

>繁殖力の高さ、排泄物の匂いが原因で、猫の駆除に力を入れる地域もありますもの。

放置しておくと、どんどん子供増えますからね。
臭いや虫が来るなど、文句を言う人がいるのもわかります。
丹精込めた庭に何かされるとか、車に何かされるとか、嫌ですし。

私は仕事で行った先で、猫屋敷となっている家を見たことがあります。
何十匹の猫がうろうろしていて、すごかったですよ。
ご近所が庭に何重にも網を張っているところからして、相当迷惑していることがわかりました。

>餌やりに目を光らせるのも、事情があることも理解できます。
>猫への虐待も深刻です。

餌の後始末、排泄物の始末。
これがちゃんとできないと本当に困りますしね。
私も左膳が庭にいることで、ご近所さんが目をつぶってくれていたことがあると思います。
お礼とお詫びを言わなければ。

>街の自由猫を愛でて、餌をやって、猫の名前を呼んで、可愛らしくニャンと返事をする光景は風情があるけれど、
>NHKの「世界ネコ歩き」でしかもう見られないかもしれないですね。

あれは微笑ましいですね。

そういえば、早朝に街を走る人が、狸やハクビシンを目撃しているそうです。
縄張り問題でしょうか。
ハクビシンを野良猫が追い払っていたそうですが、「わからないだけで、ああいうのも庭に入って何かしてる…」と言っていました。
だとするとこういう野生動物が街に下りてくることで起きる問題も今後、頻繁に発生するだろうなと思いました。
ハクビシン?!
ハクビシンがいるの?!ってビックリしましたが。

天気が悪い日が続きますね。
お体に気をつけて。

コメントありがとうございました。
2015/08/31 14:42  | URL | ちゃーすけ #-[ 編集] ▲ top
- No title -
名乗りもせず失礼いたしました。
 必殺や怪奇大作戦の記事を愛読させていただいております。

 我が家の野良は、住み着いて18年おりました。いろいろとたいへんな時期で、家族の誰もが問題を抱えていたので、誰かに愚痴の聞き役を頼むことが難しく、誰もが猫に愚痴をこぼしておりました。円高不況の中で迎えた正月、父が野良をなでながら「喜べ、うちには正月が来たぞ」とつぶやいていたこともありました。もはやペットというより家族の一員、それも戦友会のような。こういった猫のありがたさについては、鎌倉の古刹円覚寺の管長が時々ブログでお話になっています。詳細は「居士林だより」「かなちゃん」「しいちゃん」で検索を。

 ようやく危地を脱して何とかなる目処が立った頃に野良は旅立ちました。やっかいごとを一身に背負って身代わりになってくれたような気がしました。もうその自分には飼っていたようなものでしたが。

 念仏の鉄を見送る「新仕置人」の中村主水、と言ったらおわかりいただけますか。実際には、仕事の都合で実家を離れていた私は電話で訃報を聞いたので、どちらかというと「仕業人」の雪隠の前で呆然とする中村主水、でしたが。

 「左膳」の姿も、リアルに何匹も見送ったので想像がつきます。最後に見たのがあの姿では心残りもひとしおとお察しいたします。こればかりは効くのは「時薬(ときぐすり)」ばかりかと存じます。思い出してやってください。

 URLには、先日ご紹介した加藤秀樹さんの相方が、「お茶吉」をイメージして作った曲「ノラ」の音源がアップされております。かつて大手プロダクションで、慣れない宣伝活動に疲れ切っていた加藤さんを励ますように現れ、消えていったお茶吉のイメージだそうです。
2015/08/31 18:34  | URL | おれんじ #TOYZzxEc[ 編集] ▲ top
- おれんじさん -
>おれんじさん

また来てくださったのですね。
ありがとうございます。

>名乗りもせず失礼いたしました。

いえいえ、左膳の記事に対して、心が楽になるようなコメントありがとうございます。

>必殺や怪奇大作戦の記事を愛読させていただいております。

ありがとうございます!

>我が家の野良は、住み着いて18年おりました。いろいろとたいへんな時期で、家族の誰もが問題を抱えていたので、誰かに愚痴の聞き役を頼むことが難しく、誰もが猫に愚痴をこぼしておりました。円高不況の中で迎えた正月、父が野良をなでながら「喜べ、うちには正月が来たぞ」とつぶやいていたこともありました。もはやペットというより家族の一員、それも戦友会のような。

つらい時期がおありだったのですね。
こんなところでなんですが、あの円高株安不況は私もつらかったです。
お父様、ほっとされたのでしょう。
良かったです。

18年!
その月日は重いですね。
そして、ああ、わかるような…。
猫が私を頼った。
でも私も猫に頼ってるんです。
猫に私が救われている。

>こういった猫のありがたさについては、鎌倉の古刹円覚寺の管長が時々ブログでお話になっています。詳細は「居士林だより」「かなちゃん」「しいちゃん」で検索を。

検索して、拝見させていただきます!

>ようやく危地を脱して何とかなる目処が立った頃に野良は旅立ちました。やっかいごとを一身に背負って身代わりになってくれたような気がしました。もうその自分には飼っていたようなものでしたが。

昔、テレビに良く出ている霊能力があると言われていた方が、あるワンちゃんを見て、この子はこの家の誰かの身代わりになるわとおっしゃいました。
そのぐらい、引き取ってくれたこの家に感謝していると。
飼い主の方はボロボロ泣いていました。
この方をインチキと糾弾した人もいましたが、信じたい人も多かった。
この方に救われた方も多かったと思います。
特にこういうお話は、そうだったと思います。

>念仏の鉄を見送る「新仕置人」の中村主水、と言ったらおわかりいただけますか。実際には、仕事の都合で実家を離れていた私は電話で訃報を聞いたので、どちらかというと「仕業人」の雪隠の前で呆然とする中村主水、でしたが。

すごいわかりやすいです。
心の中で、死んだ、死んだのか!とつぶやき続ける。
お察しします。
鉄の最期は、まるで野生動物のようだと思いましたし。

>「左膳」の姿も、リアルに何匹も見送ったので想像がつきます。最後に見たのがあの姿では心残りもひとしおとお察しいたします。こればかりは効くのは「時薬(ときぐすり)」ばかりかと存じます。思い出してやってください。

そうなんです、もう少し、もっと、ちゃんと何とかしてやれなかったんだろうか。
どんな思いで去って行ったのか。
苦しかっただろう、つらかっただろう、助けて欲しかったんだろうに応えてやれなかったと思って。
ありがとうございます。
思い出すことにします。

>URLには、先日ご紹介した加藤秀樹さんの相方が、「お茶吉」をイメージして作った曲「ノラ」の音源がアップされております。かつて大手プロダクションで、慣れない宣伝活動に疲れ切っていた加藤さんを励ますように現れ、消えていったお茶吉のイメージだそうです。

お茶吉の話も、本当に心に残ってしまう話ですね。
一緒に暮らしたかったでしょう。

お話を読んで、これほどたくさんいる猫と人間の中で、出会うもの。
縁って何なのか。
考えてしまいます。

コメントありがとうございました。
再度のご訪問もコメントも、ありがとうございます。
気持ちが少し楽になりました。
2015/08/31 21:27  | URL | ちゃーすけ #a2H6GHBU[ 編集] ▲ top
- No title -
多少でもお役に立てればうれしく存じます。「必殺」道楽が初めて人様のお役に立ったかもしれません。

 リンク先は円覚寺のブログ、冒頭に「かなちゃん物語」という記事が出てきます。妹の最後の目撃談「妹さんは亡くなる前の数週間姿が見えなかったのですが、突然姿をあらわし、いつもお世話になっていた人に挨拶をしてから山へと去って行ったそうです。」に、これが噂に聞く猫の最期なのだと思い出しました。「死ぬところは見せない」と。我々も覚悟はしておりましたから、人間のヒザで最期を迎えたのは、ありがたい反面意外でもありました。

 うちの野良はうどんやせんべいが好物で、最晩年は仰向けで布団を掛けて寝るような、猫を忘れた猫でしたが、左膳はあくまでも猫だったのだと思います。
2015/08/31 23:08  | URL | おれんじ #TOYZzxEc[ 編集] ▲ top
- No title -
 見つけました。円覚寺管長野良猫を語る。

「あの時、まわりにいろんな人が来てくれたが一番救いになったのは朝晩必ず現れる野良猫でした。何もものを言わずに黙ってやってきて、そして黙って帰って行く。あの野良猫が私にとって最高の支えとなりました。慰めの言葉はいりません。」

2015/08/31 23:30  | URL | おれんじ #TOYZzxEc[ 編集] ▲ top
- おれんじさん -
>おれんじさん

コメントありがとうございます。

>多少でもお役に立てればうれしく存じます。「必殺」道楽が初めて人様のお役に立ったかもしれません。

多少どころか、つらかった気持ちが休まります。
ありがとうございます。

> リンク先は円覚寺のブログ、冒頭に「かなちゃん物語」という記事が出てきます。妹の最後の目撃談「妹さんは亡くなる前の数週間姿が見えなかったのですが、突然姿をあらわし、いつもお世話になっていた人に挨拶をしてから山へと去って行ったそうです。」に、これが噂に聞く猫の最期なのだと思い出しました。「死ぬところは見せない」と。我々も覚悟はしておりましたから、人間のヒザで最期を迎えたのは、ありがたい反面意外でもありました。

目の前で最期を迎えるのもつらいですが、長年付き合った猫がいなくなってそれっきり…は、つらすぎます。
左膳の場合は、見てないから生きてると思うこともできるって言われましたが。

> うちの野良はうどんやせんべいが好物で、最晩年は仰向けで布団を掛けて寝るような、猫を忘れた猫でしたが、左膳はあくまでも猫だったのだと思います。

それはかなりの安心と信頼ですね。
幸せだったことでしょう。
左膳に対してそのように言っていただけると、左膳の誇りが守れるような気がします。
ありがとうございます。
2015/09/01 08:02  | URL | ちゃーすけ #a2H6GHBU[ 編集] ▲ top
- おれんじさん -
>おれんじさん

>見つけました。円覚寺管長野良猫を語る。

>「あの時、まわりにいろんな人が来てくれたが一番救いになったのは朝晩必ず現れる野良猫でした。何もものを言わずに黙ってやってきて、そして黙って帰って行く。あの野良猫が私にとって最高の支えとなりました。慰めの言葉はいりません。」

うう、泣いてしまいます。
犬でも猫でも何でも、動物と心を寄せあったことがある者には深くうなづける言葉だと思います。

良いサイトを教えてくださって、ありがとうございます。
慰められます。

2015/09/01 08:06  | URL | ちゃーすけ #a2H6GHBU[ 編集] ▲ top
- No title -
 左膳のために力を尽くされたこと、ブルーベリーの豊作が左膳のおかげだと気づいたこと、ちゃーすけさんがそういう人である限り、左膳はいつもちゃーすけさんとともにあるのだと思います。そしてちゃーすけさんの一挙一動に厚みと奥行きを出してくれると思います。

 いつか、左膳とのことが具体的な誰かを助けることがあるかもしれません。今私がここでこうしているように。
2015/09/01 17:19  | URL | おれんじ #TOYZzxEc[ 編集] ▲ top
- おれんじさん -
>おれんじさん

コメントありがとうございます。

>左膳のために力を尽くされたこと、ブルーベリーの豊作が左膳のおかげだと気づいたこと、ちゃーすけさんがそういう人である限り、左膳はいつもちゃーすけさんとともにあるのだと思います。そしてちゃーすけさんの一挙一動に厚みと奥行きを出してくれると思います。

本当にそんな風に言っていただいて、ありがとうございます。
最後に来た時の左膳は、雨のあがった道を歩いてきたのか、体はぬれていなかったんですが、足はずいぶんぬれていました。
さわることができなかった左膳ですが、最後に見た時はさわれたのですから、タオルで体を覆ってやればよかった。
そんなことを考えてしまいます。
せめて、ぬくもりを与えてやりたかったな、と。

>いつか、左膳とのことが具体的な誰かを助けることがあるかもしれません。今私がここでこうしているように。

そうですね。
そうありたいと思います。
左膳は、自分ではどうにもできない運命の中で生き抜いてきた。
人間なら自分でどうにかできることが多いのだから、がんばらなくてはと思いました。
なんて、すぐくじけちゃうんですけどね。
左膳が教えてくれたことです。

コメントありがとうございます。
ずいぶん気持ちが癒されました。
2015/09/01 22:03  | URL | ちゃーすけ #a2H6GHBU[ 編集] ▲ top
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