土曜ドラマ「男たちの旅路」。
第3弾の2話は、突然売れてスターとなった青年の話。
スターとなった戸部は本当の自分と、ヒットした曲から作られる自分とのギャップに悩む。

それだけではなく、自分に実力がないことにも悩んでいた。
マネージャーの和泉は、戸部の声はマイクを通さないとダメだと言う。
だが、今のマイクはかなりの音を拾うから大丈夫だ。

イメージを壊すから、戸部に笑うなとも言う。
たった1曲だけのヒットで、一発屋として消えていく。
それを怖れるあまり、戸部は引退を考えていた。

普通の青年である戸部は、警備の杉本に話しかける。
杉本にも普通の友達として、自分に接して欲しいと言う。
戸部の悩みを知った杉本は、引退を応援する。
しかし杉本から話を聞いた吉岡は、疑問に思う。

彼のマネージャーは、戦争中、吉岡と同じ部隊にいた和泉だった。
和泉は、スナックで歌っていた戸部を見いだした。
半端な気持ちで売り出したのではない。

そんな悩みを持っているなら、マネージャーである和泉に言うべきだ。
しかし、和泉が今や、金にしか価値を置かない人間になったと言われると戸部のやりたいようにやれと言う。
そして他人ではなく、「自分の声を聞け」と言う。

和泉も言う。
この世界で闘わなかった人間が、どこに行って闘える。
杉本は、スターである彼の気持ちをもっと大切にしてくれと訴える。

引退を発表するはずの、ステージ。
マイクを前にした戸部の長い沈黙に、観客がざわざわし始める。
吉岡と和泉も、戸部を見守る。

戸部は歌い始めた。
歓声があがる。
戸部は、引退を口にしない。

歌い終わったら、言うだろうと杉本は期待する。
だが、戸部は言わない。
いつか、いつか戸部は引退を発表するだろう。

そうに違いない。
杉本は、自分を励ますようにそう言う。
言いながら、杉本は打ちのめされた思いを隠せなかった。



突然、スターになる戸部は、根津甚八さん。
若い。
暗い。
歌だって「墓場の島」だし。

明るくはない。
そのイメージで、笑うなと言われたら、普通の青年だという戸部はきついでしょう。
スターが暗いのは、この時代の空気もあると思うけど。

この後、根津さん自身が売れっ子のスター俳優になります。
それも納得。
人をひきつけるオーラがあります。

ただ、この時代の主演俳優さんは、時代の独特な空気とマッチしていればいるほど、時代が変わると今度は苦労したような気がします。
80年代はまだ、時代の空気が軽く明るくなっても大丈夫だった。
90年代から2000年代に入り、バブルに入ると、かなり苦労したようなイメージ。

ショーケンこと、萩原健一さんは中間管理職の役にうまく移行した。
ただ、やっぱり、2000年に入るとつらかった気がする。
芸能界も変わったし。
彼の場合は、問題を起こしたせいと言えばそうなんですが。

役作り以外のところ、時代の空気と合わない、やり方と合わないというような苦労をしている印象があるんですね。
時代と闘うしんどさ。
この根津さんを見ると、ドラマの内容以外にいろんなことが根津さん本人と重なってしまう。
同時にこのドラマにも出て、今も主役で活躍している水谷さん桃井さん、柴田さんのバイタリティーと言うか柔軟さ、強さと実力のすごさ。

根津さんは、本当に俳優として引退されてしまった。
改めて、この世界の厳しさを思いました。
そして、根津さんはやっぱり、輝いていた。
ドラマを見ながら、惜しいなと思いました。

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2015.09.01 / Top↑
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