「ひとりぼっちの戦争」。
まるで「ランボー」や「レオン」を思わせるタイトルです。
しかしここで取り上げる「ひとりぼっちの戦争」は、柴田昌弘氏のマンガ。

地球に来襲する侵略者たち。
そのまがまがしい飛行物体を迎撃するため、防衛軍のパイロットたちが飛び立つ。
パイロットたちは次々、敵を撃墜するが、敵の弾も当たる。

1機、また1機と戦闘から離脱していく。
だが、あるパイロットは違った。
確実に敵を撃墜して行く。
しかし、被弾した。

戦闘機が火を噴く。
脱出せよと、コンピューターの声が響く。
だが男は、脱出しない。
まだ、敵は残っているのだ。

「死んでもお前たちを地球に近づけさせやしねえ!」
パイロットは叫ぶ。
機は炎上し、男は炎に包まれる。
それでも男は操縦桿を握り締め、敵を撃つ。

地上でレーダーを見ていた司令官たちは、感嘆の声を上げる。
「やった!」
「仮想敵は1機残らず、撃墜したぞ!」

そう、これは訓練。
パイロットたちは、実際の戦闘機に載ってはいるが、飛行はしていない。
仮想の敵を相手に戦闘機に乗って戦う。

強い暗示をかけられて。
戦闘シュミレーションだった。
これまで、すべての敵を殲滅したパイロットはいなかった。

操縦席が開けられた。
全員が駆け寄り、パイロットを賞賛しようとした。
だが。

全員が絶句した。
操縦席のパイロットは、黒焦げだった。
「暗示と言うものは、怖ろしいものだ」。
「彼は地球を守るため、本当に戦争をしたのか…」。


おそらく、10ページか、それに満たないページ数の短編。
柴田昌弘氏は70年代、80年代に時代を先取りしている作品を発表しています。
これも戦闘シュミレーションは、暗示までかけないけど今は実現しているのでは。

長編もすごいですが、柴田氏のすごさは短編で発揮されていると思うんです。
これなんか、その際たるもの。
使命感を持ったパイロットにとって、戦争は本物だったのです…。
人の心を、操ろうとしてはならない。


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2015.10.10 / Top↑
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