俳優の阿藤快さんが、お亡くなりになりました。
本当に突然。
もう、まだまだお元気と思っていたので、訃報を聞いて「嘘…」と思わず言ってしまいました。
時代劇で悪役を演じた時は、その大きな体躯で存在感を示してくれました。

「仕置屋稼業」では、市松が付け狙う土地の大物の四天王の1人。
「どけえーっ!」と叫びながら市松を追って走ってきて、主水にこれまたバッサリ。
刀を構えたまま、どっと倒れる様子もまた、すごく特徴的でおもしろい。
何度も見返してしまいます。

「仕業人」で中村主水に斬られた時の「おぁあ~っ?!」という声も、忘れられません。
そして何といってもおもしろかったのが、「うらごろし」。
朝早く、おばさんこと市原悦子さんの「熊の権現のお札、いらんかね~」の声が岡場所に響く。
阿藤さんは前日、食い逃げしたおねむだと思って、飛び出してくる。

すると、おばさんなので「なあんだ」と帰ろうとする。
「熊の権現のお札いらんかね」。
阿藤さん、すごくぞんざいに「んなもんはいらねえんだよ、おばさん!」

おばさん、目にも留まらぬ速さで、「いらないのは」。
「あんたの命だよ!」
グッサリ。

目の前で起きたことが、わからない。
自分に起きたことが、わからない。
えっ?
おばさんだよ。

なんで?
どうして、このおばさんが?
呆然とする阿藤さん。
いろんなことが頭に浮かんだのと同時に、阿藤さんは刀を振り上げる。

しかし、おばさんに斬りつけるには至らない。
おばさんの一撃はもう、致命傷になっていた。
阿藤さんは倒れる。
この一連の流れは、何度見てもおもしろい。

そして何といっても良かったのは、「八丁堀捕物話」の阿藤さん。
阿藤さんは、名取裕子さん演じる太夫の復讐に手を貸す元盗賊。
最初は罪滅ぼしだったが、阿藤さんは太夫を愛していた。

舟遊びを装い、標的の1人を名取さんは殺す。
その後、逃げるためには川を渡らなければならない。
阿藤さんが、幾重にも着物を着た名取さんに言う。

「太夫。しっかり捕まっていなせえよ」。
名取さんがうなづく。
阿藤さんが川に入る。
名取さんが入る。

阿藤さんは、名取さんをしっかりと抱きとめる。
名取さんは、阿藤さんにすべてを預ける。
その信頼感。

阿藤さんは無言。
しかしその表情に、命に代えても太夫を守るという決意がみなぎっている。
俺が守る、と。
彼女は、俺の命だ、と阿藤さんの目が言っている。

感動的な愛のシーンだった。
血まみれの復讐の後なのに。
この阿藤さんがほんとに、忘れられません。

レポーターをしていると、阿藤さんの温かい人柄を感じられて、これも好きでした。
まだまだ、まだまだ、活躍していただきたかった。
阿藤さん、ありがとうございました。
ご冥福を心から、お祈りします。


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2015.11.20 / Top↑
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