こたつねこカフェ

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英雄と悪魔 「アメリカン・スナイパー」

「人間は生きているうちに、殺したいほど憎い奴に出会うことがある。だが普通の人は殺さない殺せない」。

「こいつにも親がいる惚れた男か女かいる。そう思うとそいつが人間に見えて、だから人間は人間を殺さない!そして殺せない」。

「だがこいつは違う!こいつは憎くもない人を弱い人を選んで刺し殺した。なぜそんな事ができたか!それはこいつが人間じゃないからだ!」

「おめえもしっかり踏みとどまって戦え、人間なら!」

NHKのドラマ「リミット 刑事の現場」で、通り魔に対しての主人公の言葉です。
いわば「人間の証明」。
「怪物」ではなく、「人間」であることの証明。

しかしこの論理が通らない世界がある。
それが戦場だ。
戦争だ。

敵であるだけ。
何の恨みも関係もない相手を、殺す。
クリント・イーストウッド監督。
「アメリカン・スナイパー」。

狙撃手・クリスが護衛を1人つけ、部隊を援護している。
部隊に対して攻撃する者を見つけ、狙撃し、仲間が犠牲になることを阻止する。
この時、クリスの標的内にいたのは、子供だった。

男が倒れている。
その男の傍らに、ロケットランチャーが落ちている。
子供が近づく。

クリスがつぶやく。
「拾うな」。
だが子供は、ランチャーを手に取る。

「拾うんじゃない」。
子供はランチャーのベルトを、肩にかける。
クリスは子供に狙いを定めながら、つぶやく。
「捨てるんだ」。

子供でも、武器があれば大量の仲間を殺せる。
それはもう、立派な戦士なのだ。
仲間を守るためには、これを倒さなければならない。
犠牲は押さえなければならない。

「拾うな、クソガキ」。
そう言いながら、クリスは子供に狙いを定める…。
子供はランチャーを市街地に向ける…。

クリスは父親から言われた。
人間には3つの種類がいる。
羊と狼と、番犬だ。
お前は番犬になれ。

弱い者、羊。
ならず者、狼。
弱いものをならず者から守る者、番犬。

だからクリスは、海兵隊に入隊した。
そして今、クリスは子供を標的に捉えている。
クリスの指が、撃鉄にかかった…。


今、すぐにはレビューができない。
それほど、この作品は衝撃的だった。
彼は仲間からは「英雄」と称えられた。
敵からは「悪魔」と憎まれた。

クリント・イーストウッド監督の戦争を語る目は、いつも公平だと思う。
硫黄島の激戦を、日米双方の視点から描いたことでもわかる。
「父親たちの星条旗」で、アメリカ側から。
「硫黄島の手紙」で、日本側から。

この作品もなかなか、レビューが書けない。
イーストウッドは、答えをこちらにゆだねる。
答えは、ひとつではない。

そのイーストウッドが、伝説の狙撃手を描いた。
ただの反戦映画でも、アメリカ賛美映画でもないと思う。
イーストウッドの描く正義も、ひとつではない。


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